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ご訪問いただきありがとうございます。大人の女性向け、オリジナルのBL小説を書いています。興味のない方、18歳未満の方はご遠慮ください。
BLの丘
待っているよ 6
2012-06-04-Mon  CATEGORY: 待っているよ
穂波の行方が知れたのはすぐのことだった。
本人が登校したのである。
それこそ、筑穂が今にも会社を出ようかとしていた矢先。
携帯電話を握り締めていた筑穂は、ワンコールも鳴り終わらないうちに相手と繋がった。
かけてきてくれたのは大野城だった。
『単なる遅刻かもしれない』と言った大野城が、そのとおりだったと、落ち着き払った口調で語りだす。

『すみません、お騒がせしました。あの後すぐにやってきまして…』
謝罪をのべるとは…。いらぬ心配をかけた、という思いが大野城の中にあるのだろうか。
いや、迷惑をかけているのは、あきらかにこちらのほうだ。黙ってフラリと消え、本来のやるべき学業をまっとうしないなど…。
冷静に対応してくれる大野城のゆったりさに、少しばかりの憤りを感じる。
「そんなっ。それより、穂波と話ができますか?」
回りくどい社交辞令など、今交わしていたくはない。
何が起こったのか本人の口から聞きだしたい筑穂である。
大野城はすでに聞いたのだろうか。
『えぇ。……ほら…』
きっと授業に出ることなく、隔離されているのだとは、何となしに悟ることができた。
遅刻した理由を、さらに筑穂から聞いた話とは食い違うことを、何も問い質さず授業に向かわせるほどいい加減に処理する教師ではない。
僅かに電話の向こうでやりとりをする声が聞こえた。穂波は抵抗しているようであるが、説得されたのか、しぶしぶといった感じで出てくる。
『もしも…』
「バカヤローッ!!!どこで何してやがった――っ?!」
もちろん怒りはあるが、声が聞けて安堵したのも確かだった。
そこがまだオフィスだということも忘れて、筑穂の絶叫が響き渡る。
その声に、最悪の事態は免れたのかと、周りの人間もホッと胸を撫で下ろしていた。
『あー…、後で話すよ…』
後ろめたそうな声は、問題解決を後回しにしようとしているのか。
誤魔化されそうな気がする筑穂は、第三者がいる前でじっくり話を聞いてやろうと心に決めた。
「後で、だぁっ!?ふざけんなっ!今から学校に行ってやるから首洗って待ってろっ!」
『はぁっ?!何言ってんの。兄貴仕事だろ?』
筑穂の大声は大野城にも聞こえているのか、はっきりとした声で『お兄さん、来られるのか?』と問いがかかっている。
問題を起こした生徒、と捉えれば、保護者を呼びたいのは山々だろう。
ためらいを持たれたのは筑穂の若さのせいか…。
こんなところでも筑穂の精神状態を気遣われていることをなんとなしに知る。
頼りない"保護者"ではいたくなかった。
「おまえのせいで、今から帰るところだったんだよっ!!」
“穂波行方不明事件”が、筑穂にどれだけの心労を与えたのか、現実を悟ったようだった。
穂波は何も語らず、電話は大野城に代わられた。
短いやりとりをして、筑穂は周りのみんなに挨拶をし、オフィスを出る。
福智が「気をつけろよ」と最後に声をかけてくれて、ようやく笑みを浮かべることができた。

タクシーを飛ばし、30分もかからずに学校に辿り着くと、事務室にいた人が生徒指導室まで案内をしてくれた。
廊下を歩き、あちこちから授業の行われている声が聞こえてくると、必要外で呼び出された現状に情けなさが込み上がってくる。
両親がいないから…と世間から後ろ指をさされないように育ててきたつもりなのに、まさか自分がこんな形で学校訪問することになろうとは…。
教室から少し離れた場所だった。
「失礼します」
筑穂が声をかけると中から扉が引かれた。
明らかに上を向かなければ視線を合わせることのできない、筋肉質の男が出迎えてくれる。
以前見かけた時よりもだいぶ髪が切られ、清々しい印象に変わっていた。ポロシャツにノータックパンツを合わせた軽装は動きやすさを追求しているからだろうか。
厳しい中にも穏やかさのある眼差しは相変わらずだ。
「お忙しい中、すみませんでした」
「こちらこそ、穂波がご迷惑をおかけして…」
あまり広い部屋ではない。中に通されると、ミーティングテーブルのような長机があり、穂波が不機嫌そうに座っていた。
その姿を目に入れては、筑穂がつかみかかる。
「穂波っ、おまえな~っ!!」
勢い余って頬を平手で打つと、「何すんだよっ!!」と逆に体を取られそうになり、穂波の手が上がった。
立ち位置はともかく、今の体格や体力は筑穂に勝ち目などないと明らかに伝えている。歳が離れているせいもあったが、取っ組み合いの兄弟喧嘩なんてしたことがなく、運動部で鍛えられた力は計り知れない。
喧嘩腰になる穂波に、自分で手を上げておきながら凄味に怯む筑穂が脅えた。
「津屋崎っ、やめろっ!!お兄さんも落ち着いてください」
穂波の動きよりも早く、背後から両腕で抱えられて引き離された筑穂は、大野城の腕の中にすっぽりと収まってしまった。
穂波の元気な姿に安心したからか、ここまで呼ばれた情けなさからか、兄にまで殴りかかってこようとする態度に悲しさが浮かんだのか、詰まっていた気持ちがぶわりとこみあがって目頭が熱くなった。
それとも咄嗟に守られ、冷静に状況を判断してくれる人に甘えたくなるからか…。
一度密着した体はすぐに離れたが、覗きこんだその一瞬で潤む瞳を見つけられてしまう。
慌てて反らしたが、フッと吐息がはかれ、スッと大野城の親指が、筑穂の眦を撫でた。
「お兄さんがどれだけ心配したか理解しろ」
先程上げた制止する声よりもずっと静かに言葉を発する。大野城の動きに穂波も筑穂の感情がいかなるものであるのか改めて知ったらしく、黙りそっぽを向いてしまった。
何を言わずとも筑穂の気持ちを汲み取ってくれるのは、さすが教師と言うべきか。
気を張って生きてきた人生の心がますます折れそうになる。
兄として、弟の前で涙を見せたのは、初めてかもしれない…。

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待っているよ 7
2012-06-05-Tue  CATEGORY: 待っているよ
グッと涙を堪えて平静を装った筑穂は、大野城に促されるまま、穂波の隣の椅子に腰を下ろした。
目の前に座った大野城が改めて、不貞腐れている穂波に視線を向ける。
「さて。お兄さんも来てくれたんだ。何があったのか話くらいできるだろう」
それは、教師には言えなくても、痛みを分かち合い連絡を密に取り合った”家族”を武器にしたものなのだろうか。
家族という繋がりの大事さを、普通の子より強く知るだろうから、せめて兄に対しては本音が零れることを期待される。
これまでも深入りすることはなくても、嘘もなく付き合ってきた家族関係だと思っていた。
今朝だって、弁当を受け取るまでちゃんと待ち、筑穂の忙しさを気にかけてくれる優しさを持っていた子だったはずなのに…。
出掛ける間際、突然のことに、申し訳なさそうに『悪い』と言ってくれたのに…。

「穂波、朝練も参加しないで、早くからどこに行ってたの?授業だって、ちゃんと出ていなかったって…」
筑穂はできるだけ感情的にならないように努めた。
自分が感情的になってしまえば、ますます穂波が殻の中に閉じこもってしまう不安が生まれた。
親ではないが、歳が離れすぎるだけに今時の子の考えることを想像できない。
親がいないから、と、我慢させた部分もあったのだろうか。これが反抗期というものなのだろうか…。
家族の心が離れ離れになることだけは避けたかった。
いや…、自分が孤立してしまうことの恐怖か…。どうしても穂波と嘉穂のほうが結びが強い気にさせられていたから…。
それを筑穂が家事をすることで繋ぎとめてきたのだ。

しばらくの沈黙が流れた。
大野城は穂波の心の整理を待つのか、慌てさせるようなこともなく、腕を組んでゆっくりと吐き出される言葉を待つ。
俯いたままの穂波は、誰とも視線を合わせることもなく、だけどはっきりと口を開いた。
「俺、大学、行かない」
「…っ?!何言ってっ…っ?!」
言葉の意味を理解するや否や、すぐさま筑穂から絶句を交えた声があがり、また目がパッチリと開いた。
その手が視線を向けさせようと動いた。
腕を掴むと、バンッと弾かれる。
頑なになる穂波に、筑穂の冷静になろうとする気持ちなどあっという間に吹き飛んだ。
「穂波っ」
「行かないっ!俺、大学なんか行かないっ!」
「行かなくて何するんだよっ?!」
「じゃあ、行って何するんだっ?!俺、兄貴みたいに頭良くもないし、意味も分からず金なんかかけたくないっ」
「学費のこと心配してるのかっ?!それだったら穂波の分も嘉穂の分もちゃんと学資保険…」
「そういうこと言ってんじゃねーのっ。行く理由がねーって言ってんのっ」
「だけど大学くらい出て…っ」
「お兄さん、ちょっと待ってください」
今にも喧嘩になりそうな二人に、静かに大野城が割って入ってくる。
数多くの生徒や親を見ている分、穂波の言い分も理解できるのか、感情的になるまいと思いながら挑んで、結局止められたのは筑穂のほうだった。

ふぅっと一つ息を吐いただけで、大野城は胸の前で組んでいた腕を解き、机の上に肘をついて両手を組み合わせた。
「津屋崎が大学に行きたくないと言う理由と、遅刻を繰り返したことに関連性はあるのか?進学についてはまた後で話しあえばいい。今知りたいのは、この前まで学業にも部活にも励んでいたのに一変した態度のことだよ。朝練だとお兄さんに嘘をついてまで、どこで何をしていた?そんな朝の早い時間に、一高校生にできる何がある?」
言葉を紐解けば、そこに穂波が進学しないと言い出した理由があると繋げるのは教師の勘なのだろうか。
確かに大野城の言うように、今確認するべきことは、進学問題ではなく、この数日に何があったかのほうだ。
穂波の考えを変えるものがあるとするなら、原因を探る方が先だった。
穂波はグッと唇を噛む仕草を見せ、また沈黙が流れた。
不安げに見つめる筑穂の視線を感じるのか、半ば悔しそうな表情をしているとさえ思えた。
それは”兄”の思いを知り、だけど裏切る結果になって悲しませることになると、穂波自身が思うのか…。

「専門学校に行きたい…」
「専門学校っ?!なんのっ?!」
「製菓…っていうの?俺、パン屋やりたいの」
「パン屋~~ぁっっ?!」
もうどこまで響いてもおかしくないくらいの奇声が筑穂から発される。
幼い子供に、将来の夢はなぁに?と聞いて、大半の女の子から返されるような答えに目はこれでもかと見開かれた。
バスケ部で鍛えられた図体のデカイ男が夢見るものなのだろうか。少なくとも今までの暮らしの中で一度として聞いたことのない職業でもある。
あまりの筑穂の驚きぶりに、自棄になったような穂波が声を荒げる。
「ずっと教えてもらってたんだっ。学校行く前の少しの時間だから大したことなんてしてないかもしれないけど、でも兄貴みたいにデスクワークについているより、ああやって体動かしてるほうがホッとすると思った。自分で作るのが楽しいし。ちょっとの間だったけど、お店にいて、お客さんが来てくれて出来を褒めてくれるのもいいなって…。お客さんと会話して、良いとか悪いとか言ってもらえることとか」
「バイトしてたってことか?!」
「そこまでしてないっ。してないっていうか、させてくれないんだ。だから俺、ちょっと手伝って見学するだけ。端から見てるだけ」
「なんだ、それっ?!いつからだっ?!どこの店だっ?!バイトでもないのに仕事をさせるってっ。どんな奴がやってる店だ?!」
随分と勝手に扱われている存在なのだと知れば、怒りの矛先が変わってくる。
朝早くからでも、素直にバイトをしていると告げられれば、心配しつつも見送っていたかもしれない。
しかし、賃金も払われない場所のことを口に出せなくて、結果穂波は”朝練”と言い張っていたのだ。

筑穂の怒りが他人に向けられてヒートアップするのを、今度は穂波が制する側へと変わった。
しかし、そこから零れたことは、筑穂と大野城をまたもや瞠目させる内容だった。
「ちがっ。そんなんじゃっ。浮羽(うきは)さん、優しいから強く拒絶できないんだよ。でも後をついて回る俺に少しずつ言葉をかけてくれて。俺が勝手に行ってるだけで、迷惑かけてるのは俺のほうでっ」
「浮羽ってっ?!」
明らかに親しみを込めた呼び名は、穂波が懐いているものと語っていた。
タダ働きでも文句も出ない、うろついても邪魔にしないほど親しくなった関係とは…。

相変わらずな筑穂と穂波の言い合いに、また沈着冷静な大野城の声が挟まってくる。
「だが、高校生と分かっていながら遅刻させる時間まで店に残すような人なんだろ?」
「ちがっ。だから俺が勝手に…っ」
「どちらにしても、注意もできない人なんだな」
「そんなんじゃないっ。お店出てからも、俺が外から覗いて中を見ていたりしていただけで、浮羽さんは学校に行ったと思っているもんっ。浮羽さんは絶対に悪くないっ。俺はなんでもいいから浮羽さんのために何かしてやりたくて、つい居座っちゃって…」
「穂波っ!!まさかその人のために専門学校に行きたいなんて言い出したんじゃないだろうなっ?!」
あろうことか、の台詞に、再び筑穂の声音に棘が生えた。
高校生が言う台詞か?!そんな一時の気の迷いみたいな感情にまかせて、人生の選択を決めてしてしまうのか?!
ずっと激しい勢いで言葉が交わされていた中、突如訪れた穂波の沈黙は、肯定を告げていた。

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お兄ちゃん、卒倒だな…。
もう今日は、お家に帰って寝込もうよ…。
気持ちを素直に表せちゃう無垢なところは高校生としてウブでいいけどさぁ。
弟ふたりして…。
きっと詳細はシークレット部隊が調査してくれるから~。
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待っているよ 8
2012-06-06-Wed  CATEGORY: 待っているよ
筑穂は怒りと呆れで思考が全くといえるくらいまわっていなかった。
口がパクパクと幾度か動いたあと、「ほなみぃぃぃぃっっっっ!!!」と今日一番の絶叫がこだまする。
「馬鹿かっ!!どこのどいつだっ、そいつはっ!!いたいけな高校生を誑かして何しようってんだっ?!なんて吹きこまれた?!今頃、うまく手懐けられたって笑われていることにも気付かないのかっ!!」
「兄貴っ!!そんな言い方ないだろっ。浮羽さんのこと、何も知らない癖にっ!!悪口言うなっ!!」
激昂した穂波が徐に筑穂の胸倉を掴んだのを見て、慌てて大野城が「津屋崎っ!」と止め、机を回りこんできた。
穂波の手首を取って引き離し、椅子の上に崩れ落ちる筑穂に、肩に手を置いて「大丈夫ですか?」と声をかけてくる。
少し咳き込むことはあったが、コクコクと頷き視線を上げた。
こんな兄弟喧嘩は初めてだ…。
穂波の力の強さを改めて教えられたのかもしれない。
それよりも穂波の感情の向け方だ。その人を神か何かと崇めているのだろうか。
世の中の何も、まだ知りもしないのに、一人の言うことを信じきるなど…。

「津屋崎、今すぐに決断をくだすのでなくても、もう少し良く考えてから…」
「うるさいっ!!もう、いっぱい考えたっ!!浮羽さんにも相談して、専門学校のこともいっぱい聞いてっ!!……もう、いいよっ!!」
感情的になった人間は人の言うことに耳など貸さず、勢いよく教室を飛び出していく。
「津屋崎っ!!」
「ほな…っ」
「ちょっと行ってきます。ここにいてくださいよっ」
大野城も動きだしながら筑穂に念を押して追いかけていく。
筑穂は机に両肘をつくと、ぐったりと両手で顔を覆った。
どこから考えていいのか全く分からず、頭の中がぐちゃぐちゃだ…。
言われなくてもここから動く気力も体力も消耗し尽くしていた。

突然湧いた進路変更の話。その影に潜む、見知らぬ、穂波に影響を与えた人物。
まだ高校生なのだ…。そう、ひたすら部活を頑張ってきて、自分の満足のために暮らしていた無邪気な高校生のはずなのに、それが”誰かのため”に人生を決める?
人を思いやる気持ちを持つことは確かに大事なことだが、まだもう少しゆとりをもって未来を考えればいいと思っていた矢先に突き付けられたのは、人生の確定事項とも言えそうな選択肢。
何を吹きこまれたのかと、筑穂には恨みの方が大きくなっている。
筑穂が希望していた穂波の今後とは、全く結びつかないものを簡単に受け入れられるはずがなかった。

穂波は筑穂が大学進学を望んでいることを知っていた。だからこそ言い出せなかったのだろう。
筑穂の期待を裏切ることになるから…。
それにしても、何故突然…。
しかも、どこの誰とも分からない人を介しての将来設計など…。
もっと前から、憧れたり夢を持っていたと言うのなら充分納得できる。それこそ喜んで送り出したはずだ。
今は、あまりにも突然のことすぎた。
一度大学を卒業してから、改めて考え直すのではだめなのだろうか。
なによりも、穂波が慕う『浮羽』という人物が気になって仕方がない。
話からするに、個人経営の店なのだと想像する。素人を、ましてやバイトでもない存在を簡単に店に入れられるのだから…。
そして家と学校との通学圏内を考えたら、遠い店ではないはずだ。
正直なところ、筑穂が家事を担ってから、大食漢の弟二人のために、質より量となって食費を浮かせるほうが優先され、時に外食でファミレスを利用していた津屋崎家にとって、店で手作りしている『パン屋』という存在が無縁だった。
その味に惹かれて知った関係なのだろうか…。どのようにして買い求めて…?
少ない小遣いから買ったのか…と思いつつ、おまけでもされて…と考えながら、これではまるで胃袋を掴まれたナントカじゃないか…っ!と、筑穂は自身の不甲斐なさまで思い浮かべてしまった。
成長期の体は常に食物を欲しがる。ましてや運動部にでも所属すれば消費量も半端ないだろう。
筑穂の用意する食事だけでは物足りなかったということか…。せめてもっと小遣いを渡していれば、『買う』だけで過ぎたかもしれない…。(←すっかり餌付けされたと思い込んでいる)

だからといって専門学校への進学まで推奨されたとは納得できるものではない。
勝手かもしれないが、筑穂が抱いていた穂波の未来ではない。
筑穂が店や人間、調べることは簡単だろう。
穂波の兄と分かれば店の出入りを禁止してくれるだろうか。
あとは穂波をどう説得するか…。

筑穂なりにあれこれと思考を巡らせるが、これといって解決案など浮かばない。
飛び出していった穂波の存在も、大人しく筑穂の言い分を聞いてくれるとは思えなかった。
それに、また感情の昂った穂波に近付かれた時に、手を上げられたらひとたまりもないと震えが走る。
一瞬掴まれただけで、全身が凍りつく恐怖心を植え付けてくれた。
『いちいち文句を言うな』という脅しか…。

どれくらい経っただろう。30分だったのか一時間だったのか…。
うつ伏せていた筑穂は、ドアが開かれる音でハッと顔を上げた。
「お待たせしました」
そこに居たのは大野城一人だけだ。うっすらと額に汗が浮かんでいるようだが、現役高校生と走りまわった結果なのか…。
「穂波…は…?」
ひとつ大きな深呼吸をしてから、大野城は先程まで座っていた席に戻らず、少しの間を空けて隣に座った。
横向きになり片肘を机について、頭を拳に乗せる。まっすぐに筑穂の瞳を見てきた。
こんなふうに崩れた姿を見るのも初めてで、また探られるような視線も初めてで、突然の変化に、こちらにも驚かされた。
大野城も疲れた結果なのだろうか…。
「津屋崎は授業に戻しました。とりあえず俺の方からお兄さんに話をすると言いきかせてきましたが…。…こう言っては失礼ですが、頭ごなしに否定すると逆上する年頃なんですよ」
大野城はこの場のとりなしを無事終えたようだった。
教育現場にいる人間の強みか、先程の筑穂の言動を咎められる。
多くの人間に触れあうわけでもなく、それどころか機械ばかりを相手にしていた筑穂には人間関係は難解なものとも言えるのかもしれない。
それに加えて、人生経験のなさ。
大野城からみたら、子供の部類に入れられたっておかしくない。説教したくなるくらいの存在なのではないか…。
それでもがんばってきた…。”頭ごなしに否定”と言うなら、今までの筑穂の頑張りすら否定されているようで、落ち込み、悲しくなった。
筑穂の行動も考えも、大野城から否定されているように感じられる。

誰が自分の努力を認めてくれるのだろう…。

悔しいとは違う。完全な情けなさと喪失感。自分になにができるのだろうか…。
他人から見られたなら…。
堪え切れない感情が涙となって溢れた。
潤んだ…、その程度のものではない。大粒の涙が頬を伝わり、スラックスや床の上に落ちる。
気負ってきた何もかもが、弾けた。
だけど、穂波のように感情的になって相手にぶつかることができなかったのは、"兄"としての威厳か…。

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先生、泣かせちゃ…アタフタ ヘ( ̄□ ̄;)ノ ヽ(; ̄□ ̄)ヘ アタフタ
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待っているよ 9
2012-06-07-Thu  CATEGORY: 待っているよ
人前で泣くなんて信じられなかった。
堪えようとして唇を噛んでも大粒の涙は止まってくれることはない。
「…ん…、く…っ…」
ひとりで頑張ろうとする姿に、離れていたはずの大野城が手のひらをかけてきた。
うつ伏せる背中を撫で、髪と額と、濡れた頬に指先が這う。彼にしたら、生徒の”保護者”でも未熟な年下だ。
逞しい腕がそっと抱き寄せてくれて、岩のような胸板に引きずり上げられた。
頬に当たるその硬さは何をしても壊れないものだと思わせてくれる…。
人肌の温もりは…、母を失って以来初めて感じる”安堵と優しさ”だった。
死ぬ直前まで縋りついていたわけではないが、そこにいる、という空気があの頃はあった。甘えていたのだと、今でも強く思う。
抱きしめられたと同時に、堪えなくてもいいのだと、世界の自然を相手にするかのようなおおらかな抱擁ぶりが見えた。
大きな海原に抱かれるような恵みと安らぎを目の当たりに感じると、人はどれほどちっぽけで、その悩みがかけらになるのか…。
人肌の温もりを感じて、余計に涙腺が弾け飛んだ。
ただ、安心感がそこにあった。
「あぁぁぁっ…っっ」
もう、だれにぶつけられた言葉かも分からない。
何が原因なのかも自身で分からないほど、縋りたい深い気持ちがあった。
弟たちのために耐えて、自由にならなかった人生は決して長いものではないけれど…。
一時的な安らぎでもいい。誰かに頼る、こんな時間を忘れていた…。
否定されても努力を認めて肯定してくれる人が目の前にいる。言葉は冷たくても抱き込んでくれる腕は”否定”ではなく、今までの努力を褒めてくれるものだった。
奥深くで筑穂の気持ちをしっかりと捉えて、今あるべき注意も今後の指導もしてくれる人。

ひとしきり泣いた後、落ち着くタイミングをはかって言葉がかけられる。
「本当に…、…無理しすぎな兄弟だ…」
そこには呆れなのか、感心なのか、でもクスリと笑われる雰囲気がある。嫌味とかじゃなくて…。比べられては同じだと評価されるのは、兄弟を良く感じ取れた証拠なのだろうか…。
大野城からみたら、まだまだの若造…。
自分たちの生活すら、見透かされたような雰囲気だ。
でも貶されているわけではない。知れてホッとしたというくらいの…。

そう思いながら、自身を正そうとして、でももう少し甘えたくて、その場をごまかした。
泣き喚いた恥ずかしさも胸の内に秘めながら顔を隠して…。
教師は所詮、その場かぎりの、生徒を見守ってくれる存在でしかない…。
一時的なものと分かりながら、ふと引っかかってしまった。

『無理しすぎな兄弟だ』
筑穂には、優しくて慈しみの混じる声音の意味が、理解できなかった。
穂波のことを知ってくれているという感謝の念は湧くが…。

だけどそれ以上問うこともできなく問われることもない。
腕に抱かれたまま髪をさすられ、筑穂は照れも忘れて人肌の温かさに寄り添いながら、そして大野城が嫌がらないことに甘えてそのままの体勢で真実を聞いた。
誰かに寄り添うなど…何年振りだろうか…。最後は、弟に取られた、母親のような気がする。
あの時から、ずっと、”我慢”してきた。

「たぶん、津屋崎は知らせたくなかったと思うけど…。気持ちは汲んでやってほしい。…さっき少し話をした時に、一番にお兄さんのことを考えていたから…。ずっと自分たちの面倒を見させてきてしまって、津屋崎は少しでも早く働きたかったらしい。だけど中途半端に働きだせば必ず文句を言われる。そのために技術を身につけたかったと…。ある世界で生きる姿の背を押してほしかったんじゃないかな」
そう言いながら濡れた髪を掬いあげてくれる指は穏やかだった。
見つめてくれる瞳も、この場限りにしない精神的な強さを纏っていると思うのは自惚れか…。
『アイツも強情っぱりだから』と大野城は生徒の性格として見てきて、笑みを浮かべながら続けた。
「手に職をつけようと随分前から考えていたらしく、そんなときにたまたま、今の工房に出会ってしまった…。それが『パン』への入り口だった…というのか…」
「そんなっ、そんな、一瞬のことでっっ」
筑穂の体が跳ねあがる。
だけどやはり宥めるように、もう一度背をさすられて崩れ落ちた。

どう説明されたって筑穂には納得がいくものではなかった。
それが本当に穂波にとってやりたいものであるのならともかく、筑穂の負担を考えてとか、残す嘉穂のことを思ってとか、そんなことを考えさせて狭めさせたくはない。
それこそ、一生後悔する出来事に匹敵する。
反論しようとする筑穂に、言い聞かせるようなしっとりとした低い声音が届いた。
「自分自身で決めたことは決して後悔にはならない。それに大卒だけが全てではない。何故大学にこだわる?今の津屋崎は未来に希望を持っているし、やりがいを見出している。大卒といいながら就職にあぶれたアルバイトが作るパンやケーキが並ぶ店と、経験を積んだパティシェのいる店、どちらを買う?」
学歴が全てではないと言い放つ大野城に、独り立ちする時間の大切さまでも教えられた。
いち早く大空に飛び立ちたい穂波の心も思って…。
少しでも技術を身につけたい穂波のことを、筑穂以上に感じているのかもしれない。
筑穂も頷きかけた。見せかけの学歴の中で苦しむのは穂波なのだろうかと…。

「確かに彼の存在は気にかけるところだけれど…」
大野城の台詞を大人しく聞きながら、胸に刺さってくるような棘を感じた。

『彼』…?

甘えて蹲っていた筑穂は、またもや最前線の問題に突き当たる。

穂波が夢中になったというその人は、当然”職人”としての腕を持ち、端から見ても見込まれているからなんだよな…。
…と思いながら、ではその”熟練技”を持つとはいくつのどんなやつだと…。
この点だけは、教師の方が詳しいらしい。
それこそ、過去に聞いた話の全てが絡み合い、脳内ですったもんだした。
「せ、んせ…?」
「今度一緒に行きますか?どの店かちゃんと聞いておきましたから」
嫌っていない雰囲気は、大野城も相手を認めてしまったと言うことなのだろうか。
情報収集の早さに絶句なのか、兄より教師に打ち明けた信頼度にへこむのか…。
だけど今は首を縦に振る以外の道は残されていない。
筑穂は小さくなりながらも、「うん」…と頷いた。
穂波の内偵をするような後ろめたさを持ちながら、確かめたい気持ちの方が勝っている。

そしてなぜか、大野城と一緒にいくのであれば、何があっても冷静に受け止めてくれる安堵感があった。
泣きわめいたせいか…恥を晒したあとで、これまで押し留めてきた汚い感情を、多少見せてしまっても問題ないような…。
筑穂は、長男で、家族を守るべき人間は自分しかいないと思って過ごした反面で、いつか誰かがいったように、何もかもを晒して無垢な姿に戻りたかったのかもしれない。

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もう終わりにしようよ…今日という日…(汗)

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待っているよ 10
2012-06-08-Fri  CATEGORY: 待っているよ
筑穂は大野城に宥められて、先に家に帰ることにした。
大野城は勝手に動く筑穂を心配するのか、『浮羽』についての詳細を教えてくれなかった。
だが、見せてくれる表情は、深く心配することはないと告げてくる。
「またゆっくり話しましょう」
大野城は筑穂の背中を見送ってくれた。
他人事…にしてはいないのだろうが、『他人』であることに変わりはない。信頼したいがどこまで見守ってくれる”教師”なのだろう。
今、頼れるものが大野城しかない筑穂には、受け入れるしかないような気がしている。

穂波が真面目に授業を受けている今、ここにいる理由がない。
遅刻の原因も、穂波が何を考えているのかも知れて、納得がいかない部分がありはするものの、あとは話しあいに任せられる。
穂波が帰ってくるまでに、自分の考えをまとめて、冷静に話し合える状況を作らなければならないと思った。
穂波が筑穂や嘉穂を気遣ってくれるのはありがたいが、どうしても筑穂が望むものが優先されてしまう。
何の心配もなく、伸び伸びと学生生活を送ってほしい、とは、自分がそう育ってしまったからだろう。
自分だけが…、両親の愛情を無限に浴びて好き放題やってきた。
成人するときですら親がいた。
でも、弟たちは…。見守ってくれる安心できる存在がいない…。自分が代わりにはなれない…。

決して口にはしなかったが、穂波の胸の内に抱えているものは大きく、筑穂以上にあれこれと考えていた現実を知る。
弟ふたりともそうだったのだろうか。
その第一陣が穂波だったわけだ。
まだ子供だと思っていても、成長していく姿がある。
嘉穂の性問題はまた別として…。
そんなことを考えながら、穂波が『浮羽のために』と言ったことは、”師匠”以上の深い意味があるのだろうか…と辿り着いた。
それこそ、まだ高校生なのに…。
あまりにも早すぎる決断を、早々受け入れ許せるはずがない。それも含めて、穂波が言い出せなかった理由になるのか…。
筑穂の硬い性格を考慮したら、必ず反対されるとは、知り過ぎた兄弟の疎通で分かっていたのだろう。
自分が特定の相手を持っていないぶん、先を越された悔しさも混じっているのかもしれないが…。

「はぁぁぁぁ…」
大きな溜め息をつきながら、夕食作りまでの時間に余裕ができた本日、胃袋を掴むのは自分だ、と変な対抗意識が芽生えて、筑穂はスーパーの片隅に置いてあるメニューカードを手に取り、その通りの食材をこれでもかと買いあさった。
メニューカードは見た目、とても豪華な料理として写っている。
いつも忙しく、手早く作れるものばかりで、見栄えも悪かったし、手の込んだものも作っていない。
残業のある日には穂波に連絡をして、適当に作れるものを指示していたりもした。
塩と胡椒があれば、どうにか味付けができる、と教えたのは筑穂だったけれど…。
何でもいいから食べられればいい連中は、たまごかけご飯で飢えをしのいでいたのか…。そんな悲しい状況すら思い浮かんだ。
穂波が『パン屋』という、食べ物関係に興味を示すのもなんだか分かるような気がしてきた。
その技術を身につけた時、食いっぱぐれることはないのだろう。
などと思いながら、まさかとは思うが…まさかとは思うが…と思考がマイナス方面へと落ちていく。
全ての原因は筑穂の料理の腕のなさ…なのだろうか…。考えれば考えるほど悪い方へと進み、落ち込み度が増していく。
穂波の意識を取り戻すためにも、料理の腕を上げるべきだろうか(←また何か一人勝手な思い込み)。

家に帰って、筑穂は今まで知らなかった食材の仕込みと料理を作りはじめた。
HPの制作など色々と関わったことはあったが、じっくりと料理ページを見たこともなかった気がする。
意外と簡単にできる料理などもあって、主婦のすごさを見せつけられた感じだった。
そして作っていけば、なかなか面白いものなのだと気付いたりもする。もともと、プログラム用語を見つめる、や、バグを探すなどといった細かい作業が好きな性格がある。
弟たちの面倒見の良さも、そんな性格故か…。

滅多に…というより、まず出てこなかったオープンまで飛び出した。
じっくりと焼き上げる行為は、家中に香ばしい香りを漂わせてくれる。
夕方に帰宅した嘉穂は、その香りだけで、何が起こったのかと目を見開いて台所に飛び込んできたくらいだ。
「にぃちゃーんっ、今日早いね~っ」
いつもは一番に鍵を開ける役が、出迎えてくれる存在があることに嬉しさを全開で表してきた。不憫な思いをさせていたのだとは、こんな仕草でも感じてしまう。
半分は料理の香りだろうが…。
それでも侘しい家に帰るより人の温かさがある家のほうが休まるものだろう。
両親が亡くなった頃は、筑穂も家にいた。
そのあと、鍵と携帯電話を持たせたが、淋しい思いをさせたのは嘉穂にも当てはまるのだろうか。
無邪気に笑顔を浮かべる姿に、やはり自分の考えが間違っていたのかと後悔が襲った。
「ご飯は穂波が帰ってきてからな」
「え~~~っ、ほらくん、いつ帰ってくるの~っ?!」
筑穂の提案を聞いては、目の前ですぐにでも食べたい態度を示す嘉穂が少しばかり膨れる。
揃ってから、と言い含めて宿題をするよう、自室に追い出した。
でも家族が揃うことの嬉しさも嘉穂にはあるのだろうか。筑穂の言葉に頷いてくれてホッとしていたりもする。
ところで、穂波は帰ってくるのだろうか…。
一番の心配点である。
大野城は、『平気だ』と見送ってくれたけれど…。

部活で遅くなれば、当然先に嘉穂の食事を済ませた。自分が遅くなれば弟たちは先に終わらせている。
皆が揃っての食事は、もう、最近なかったことなのだと、ふと気付いてしまう。
同じ空間にいながら、時間差で食することは多々あるが、『同じ時間』を味わっているのとは違っている。

筑穂の心配をよそに、穂波は早い時間に帰宅した。
たぶん、大野城のはからいもあるのだろう。
物別れに終わっている兄弟だが、心を割って話せば通じないことはないと…。
自分の意見を押し付けるだけでなく、相手の意見をきちんと聞くことだと教えられていたが…。
硬い表情の穂波にどう声をかけていいのか、筑穂は分からずにいた。

穂波の帰宅に気付いては、ダダダッと階段を駆け下りてきた嘉穂がいた。
「ほらく~んっ。にぃちゃん、なんか、すごいもの、作ったらしいよ~。内緒にして見せてくれないの~っ」
部屋着に着替えた姿には寝癖が見られる。
嘉穂に促されるのか、それとも筑穂の内心を知るのか、穂波はいつもと変わらない平然とした姿で「着替えてくる」とだけ言った。
これが、筑穂の知らない、穂波と嘉穂の二人の姿なのかと、改めて教えられたようで、余計に疎外感が浮かんでくる。
筑穂が仕事でいない間、ふたりの絆はどうあったのだろう…。

朝からの出来事を、嘉穂の前で改めて口にしたくはなかった。
話をしなければならないことは充分承知していながら、どこかで、夢の中の出来事だったのではないかと、逃げたくなっている精神がある。
穂波が家に帰ってきた…。もうそれで充分ではないだろうか…。などと家族の危機を思ってしまう。
釜いっぱいに炊いた混ぜご飯と鍋いっぱいの豚汁、オープンで焼いたタンドリーチキンや蒸した野菜、酢の物や根野菜の煮物。
滅多に出ない腕をふるった証拠は、筑穂の考え込む気持ちを穂波も意味あるものとして感じているはずだ。
だがやはり、嘉穂の手前、口にしないだけだろう。
基本的に料理は大皿に盛られる。
仲睦まじい家族の食風景の中、隠れたピリピリ感があった。
「にぃちゃん、すげぇぇぇ」
唯一、嘉穂の口いっぱいに頬張る元気な声が、その空気をかき消してくれる。

その中、「ピンポーン」と来客を告げる音が、家の中に響いた。

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