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BLの丘
甘い人 6
2011-12-12-Mon  CATEGORY: 甘い人
R18 性描写があります。閲覧にはご注意ください。


使い慣れた家の中へと足を踏み入れる。
望の希望通り真っ先にバスルームへと向かい、佳史の手も借りて衣類を脱ぎ捨てた。
今更目の前で裸になることに躊躇いもなかったが、昂った性器を視界に入れられるのに抵抗が生まれる。
佳史の手を通して感じさせてもらったのなら構わないが、今はいきなり見せつける状態だ。
「一人で、いい…」
「何言っているの」
望は入った洗い場ですぐに膝をついて蹲ってしまった。体内に渦巻く熱が込み上がって来ていて、直に触れられる今、醜態を晒しそうである。
望の正面に立った佳史が洗い流そうとシャワーをかけてきた。肌を這う全てが刺激になる。
「ダメ…っ、…さわら…ないで…っ」
「望、いいから。耐えなくていい。俺がいる」
佳史の優しさが伝わってくる。掌で直接触れてくることで、感じさせているのが自分なのだと意識をすり替えようとしていた。
蹲った体を抱き起こされ、その胸に寄りかからせられる。
医師としての日々の労働があるせいか、見た目以上に逞しい筋肉に覆われた体だった。多くの人の命を救い、また望のことも常に気にかけてくれる。
いつも支えてくれる人…。
啄ばむようなくちづけを額や頬、唇へと落としながら、下肢に潜り込んできた掌に握りこまれて、それだけで籠っていた熱が放出した。
「っ…っんっ…っ」
こんな簡単に射精するものなのか、と思ったくらいだ。膝をついていたからいいようなものの、体はガクガクだった。
それでも尚、湧きあがってくるものがあり、性器は萎えることがない。
「あぁ…っ…」
「大丈夫だから…。望、ずっと我慢していたんだろう。好きなだけ甘えればいい…」
「よしふ…」
流れ続けるお湯で白濁はすぐに消えた。
くちづけられて、口腔内を貪られる。絡み合う舌が再び望を快感の渦へと誘った。
はっきりと付き合うようになってからしか、佳史とは唇を合わせたことがなかった。
この行為が酷く官能を呼ぶものだと知ったのは、それからになる。佳史のくちづけは常に食い尽されそうな勢いがあった。
強く吸われる舌が…、唇が、佳史の思いを表しているようで、自分に向けられることに痛みすら受け入れたかった。
「あ…、ん…」
「ここじゃ逆上せるね。簡単に洗ってベッドへ行こう」

掌で泡立てたボディソープをそのまま塗り込められてゾクゾクとする。
今イったばかりなのに、体の回復を待つより勝手に体が反応し苛んでくるといった感じだ。
佳史の膝の上に対面で座らされて、背中に回った指が後孔を解した頃にはもう一度吐精したい状況になっていた。
両腕を佳史の肩に回し、抱きついた。中心が擦られたくて腰が揺れた。
そういった敏感なことに、佳史は良く気付く。いや…、この状況なら当然のことであるのか…。
嫌がられることもない。包んでくれる腕の温かさが望を翻弄する。
「もう一回、イっとく?」
「でも、よし…」
「これくらいじゃ望も枯れないだろ。このあと、俺もがんばらせてもらいますから覚悟してて」
ニコリと笑った姿は何もかもを受け入れてくれている。
望を楽にさせてやりたい、ただその優しさだけが見える。
佳史の中では、望が襲われたことはすでにない話になっていて、こんなふうに望を極めさせられるのは自分だけという考えだ。
迂闊な行動をとった望を責めることも、哀れに思うこともない。

佳史の性器も形を成しているというのに、優先されたのは望の解放だけ。
泡のぬめりの中で、二度目の絶頂もすぐだった。
それらをざっと流され、バスルームから連れ出される。フラフラな体は立っているのも歩くのも辛かった。
タオルで水滴を吸い取られた後、「おんぶがいい?抱っこがいい?」などとからかわれる。
丸裸の状態で、ましてやこの歳になって、おんぶも抱っこもできることなら避けたい。
「歩けるよ…」
「そう」
ふふふ、と笑った佳史だが、きちんと望の体を支えながら寝室まで歩いてくれた。
この後の行為が分かっているとはいえ、家の中を真っ裸の男二人が歩く…というのも奇妙な光景だな…とふと脳裏を過っていく。
そのあたりの羞恥心を失ってしまっているのも、年齢を重ねたせいか、完全に相手に委ねてしまっているからなのか…。

ベッドに倒れ込むように横になる。
一度寝室を出た佳史が水と錠剤を持って戻ってきた。
「胃薬、念のため飲んでおく?」
何を飲ませられたのかもはっきりしないが、佳史にはこの手の薬物の知識もあるのだろう。
良いと思う行動をとってくれるのはありがたいことでしかない。
頷き、起き上がりかけた肩を止められる。
寝転がったままの口の中にポトリと錠剤を落とされ、口に水を含んだ佳史の唇が重なった。
ゆっくりと流れ込んでくる冷たい水が、熱くなった体を冷やしてくれるようでもある。だけど直後には、佳史の溢れんばかりの熱情を注がれていた。

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甘い人 7
2011-12-13-Tue  CATEGORY: 甘い人
R18 性描写があります。閲覧にはご注意ください。


唾液の絡み合う水音が寝室に響く。
ベッドの上で抱きしめられた体が新たな熱を宿していく。
闇夜に肢体が浮かぶ風景はいつものもの…。年老いた体を晒すようで望が明りをつけることを嫌うから、小さな明りだけが二人を照らした。
月明かりのある日には、それだけに頼る。それはまた淫靡な風景であるのだが…。
バスルームで解された後孔はすでに疼き、満たしてくれるモノを求めていた。
自分一人だけが果てた現実に、佳史の耐えている気持ちも伝わり申し訳なさも募った。
体中を這いまわる指先も望を一層追いたてるものでしかない。
一刻も早く…と望んでしまうのは、激しい性行為に溺れて我を忘れたいのと、佳史からの愛情を感じたいからだ。
「佳史…」
「もう?」
「…ごめ…、…ほしい…」
「あぁ…」
望が何を求めるのかを悟るまでの時間はかからない。
今日の状況が普段とは違うのを佳史自身も充分承知している。だがあえて口にしてくることはない。
正直な気持ちを吐露すれば、蔑むこともなく、ただクスッと笑った表情で答えてくれた。望から強請ることの喜びに移り変わる。
待たせることなく、望の苦を何より嫌う人…。
潤滑剤をまぶせた指を塗りこまれ、両膝を抱え上げられ、屹立がひくつく場所に押し当てられると、また内側から熱さが増した気がした。
片足が肩に乗せられ、腰を強く掴まれてグイっと進んでくる怒張。
「あぁぁっ…っ!」
「望?」
急な行為には佳史にも抵抗があるのか、動きが一旦止まった。
慣れたとはいえ、呼吸の苦しさに意味もなく口がパクパクとする。
…いい、…続けてほしい…。そう願う気持ちが佳史の腕を掴む掌に込められた。
忌々しい出来事を、佳史の全てで忘れてしまいたいのだ。
「…い…、…はや、く…」
望の気持ちを汲み取ってくれているのか。続けられる願いに佳史の躊躇いが払拭された。
いつも挿入に関しては、佳史は慎重な姿勢をとる。それはじれったくなるほど、望を大事に大事に扱う行為だった。
どこまで耐えられるのかと思うくらいに、性急な態度に出ることはない。ゆっくり、着実に満たされていく内筒に、苦しさと悦びが混じり合う。
「あ…っ、んっ…、よし…っ」
「大丈夫だ。大丈夫だから。…俺がいる…っ」
どれだけ乱れてもいいと促される。
恋にやぶれた過去も、他の男に走って我を忘れようとしたみっともない人生経験も全て許してくれる。
年の功…、そんな一言では済まされない愛情の深さ。長年待たせたからこそ、与えてもらえるものなのか。
「佳史…。佳史…っ」
これほど自分を待ち、愛してくれるものがいるだろうか…。
穿たれるもので全身が満たされていく。狭道の中を貫かれ、激しく勢いが増す動きに望も合わせて、抱きつき身を寄せる。
足を佳史の腰に絡めさせ、その動きを感じた。何もかもが嬉しいと思わせるものでしかない。
「あっ…っんっあっぁぁ…っ」
堪え切れない喘ぎ声が漏れ、暗い室内に響き渡る。吸い付かれる胸元、首筋、耳朶…と、全身のどこもかしこもが性感帯に変わっている。
もう何度目なのか、自分でも分からない射精の瞬間、きつく締めた体内で苦しむ声を上げられた。
「んっ…くっぅ…」
望の痴態を見ていただけに、堪えていたものがあったのかと思う。
体の奥に当たる飛沫に、息を乱しながら、その姿を見上げた。濡れた髪のまま、汗を纏わせて苦笑いが見えた。

「俺もびっくり…。早すぎだ、コレ…」
望が導いた結果であるのだが、イマイチ納得していないといった感じでもある。
だけどその陰には、すでに放出した望を傷つけない優しさが存在していた。自分もあっさりとイってしまうのだと…。

燻る熱はまだ抜けない。
「がんばる、んじゃないの…?」
強請る口調であるのか、誘い文句であるのか…。
けしかける声にニヤリと笑いながら答えてくる。
「もちろん。一発で終わるような軟弱な男とは思われたくないね」
望の体を気遣うことは多々あれど、今のこの発言はクスリに犯された望を満足させようという強気のものでもあるのか…。
含ませた男に対する対抗心なのか…。
望の熱が消えるまで、それを奪うのは自分だと…。
弾けたはずの雄はまた潜り込んだままで膨らみを持たせた。
「…っんっ…、まって…っ。…そんな、すぐは…っ」
「誘ったのは望だからね」
ちょっとかけてしまった一言に反応される。
嫌味は嫌味で返されるのが慣れ親しんだ仲なのか…。
何もかもを分かられるのも少々問題だろうか…などと考える暇もない。
また、この空間が心地良いのだから言い訳もできない。
疼く体はどこが良いのか…。誰よりも知る恋人。
今はただ、佳史がそばにいてくれたことを、喜んで迎える。そばにいてくれたことに安堵が広がり、安らぐ気持ちが強い。
「望…。愛してるよ…」
囁かれた言葉が鼓膜を響かせて、うっとりとした世界に導いてくれた。
彼がいれば、他の何も必要ない…と…。

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昨日、間違えてupしてしまった…(-_-;) 今更言ってもしょうがないけど…。
13日0:00予約予定がどうして12日13:00になってしまったのか…。もう、見た私、びっくりですよ…。
なので慌てて書きました。
《やすらぎ》をもし振り返ってくださる方がいたなら…。
私の勝手な言い分ですけど、あれって震災のど真ん中で書いていたんですよね…。
もちろんそんな予測とか何もありはしませんが。偶然にしても、常に人が、誰かがそばにいてくれることのありがたさを痛感してしまいました。
今年の締めくくりにこの話は、このCPは…、良かったのかもしれません。
すみません。私の独りよがりです。
気軽な発言と捉えられ、ご気分を害するようなことがあったならお詫びいたします。
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甘い人 8(最終話)
2011-12-14-Wed  CATEGORY: 甘い人
翌日呼ばれた警察署内に、佳史も同行した。
案内されたのは面談室にでも使われそうな応接セットのある部屋だった。
普段、犯罪者とはこのような部屋で会うことはないのだが、軽犯罪と捉えた望の意向が充分に生かされていた。
佐貫が端から「訴えないのか?」と質問してくる。
男が男に対しての暴力行為、その末に来る犯歴など知れたものだった。
わずかいくらかの刑で済まされてしまうもの。
それらを与えるより、優しさを感じて真っ当な道を進んで欲しい。
望は江嶋を問うことはしなかった。
狭まれた世界で生きることの苦労と、長年の女性との存続の合間に燻ってしまった精神を少しでも思うから…。

望と共に現れた佳史の存在に、江嶋はそれとなく状況を感じ取ったのだと思う。
燻った世界でもいい。蔑まされるかもしれない。だけどその中で生き抜いていくこと…。
「江嶋さんの気持ちはありがたいけれど、僕にはすでに共にいたいと思う人がいます。力ずくで奪うこともなく、僕の全てを支えてくれた…。いつか、貴方もそうなってください。…ついてきてくれる人は、必ずいるから…」
自分たちの関係を否定しない。
弱みを見せることであり、また、相手の弱みを握ったことでもある。
だけどその奥に潜むのは、愛しい人と過ごせる時間。
押し付けるものではない。自然と与えられて、受け止めて、同じ時間を過ごせる喜び。

机の上に、頭を擦りつけた江嶋が、悲痛な声を漏らした。自分の罪は充分、認めているのだろう。
それがわかるだけに、これ以上何も望の口から発したくはなかった。
新しい人生を生きる…。そのために離婚問題を持ちこんだ人であるのだから…。

「望に感謝しとけよ」
佐貫は一言、江嶋に伝えて、彼を釈放した。
訴えるものがいなくなれば、こんな問題に関わる時間すらもったいないものに変わる。
そして向けられた視線。
かつて恋した人を前に、自分の余裕ぶりは何なのだろう。

署の出口まで見送ってくれた体躯の良い人間は、犯罪捜査を取り締まる厳しさから一転して、甘い表情を浮かべた。
こんな笑みなど、恋人の前でしか見せることはないのだろう。
それを望の前でも見せてくれるとは…。望がもう縋ってこない現実を知るからこその緩みだった。
いつもどこかでよそよそしかった人…。
一瞬の隙すら見せずに、望を拒絶した人…。
彼なりの拒絶が今はありがたいとすら思える。
だからこそ、佳史の寄ってくるありがたさを感じられた。
中途半端な愛情のかけらも、残さなかった…。

「望。行こう」
隣で声をかけられて、頷き返す。
望に手をかけたと分かる人間を前にしても、一呼吸乱さずに静観した人に、彼の甘さも感じた。
全ては望に、誰に想いを寄せるのかと確認させる出来事だったと、擦り変えられる精神の強さは圧巻である。
襲われたことは自分に近づかせるものでしかないのだと…。
佳史の精神、肉体、なにもかも感心する部分は多々あるのだが…。

「佳史のことも、バラしたな…」
帰り道の車の中で発した言葉に、運転席に座った佳史は軽く笑い飛ばしてくれた。
あえて口にはしなかったが、江嶋が自分たちのことをネタにおどしてくる可能性は低くない。
「別に。いいんじゃないの?恩を仇で返す、とんでもない人間には同じように封じ込めてやればいいさ」
佳史の発言に、それもそうか…と薄笑みがこぼれた。
社会的地位を危惧した人間が、早々に似た状況をバラしはしないこと。
同時に得た弱み。
晒した全ては自分の首を絞めるものにかわるのだと…。
なにより、自分たちの関係を隠そうともしない、堂々たる佳史の態度に悦びが溢れた。
「佳史…」
「なに?」
ふと呼んでしまった問いかけに続く言葉などない。
単に呼びたかった。…そして返ってくる言葉が嬉しかった。
「ん、ううん…」
誤魔化すように首を振り、何か分かったようにフッと表情を緩めてくれる。
無言の時間がただ気持ち良かった。
犯行を闇に葬った佐貫が甘いのか、犯罪者を責めなかった自分が甘いのか、襲ったのに文句の一つも言わなかった佳史が甘いのか…。
人は生きていく人に甘いのだと、ふと思う。

―完―

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お付き合いありがとうございました。
年末…と言いながらすでに終わった(*゚ロ゚) すみません、早めにかかったら早めに終わったらしいです。
でも約束果たせて良かったです。ホッ。
警察事件、全く分かりません。その辺曖昧にしてくださーい。
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甘い人 番外
2011-12-15-Thu  CATEGORY: 甘い人
ベッドの中で初めて聞いた。
それは闇に葬られた出来事と言っていい。
明かされることなく、隠したままで、佳史と佐貫の間で墓場まで持っていく内容だったのだろう。
打ち明けてくれたのは、佳史のそばにいると誓えたから…。
佐貫の全てを『過去』と捉えることができたから…。
望が誰にも話すことなどないと信頼があったから…。
佐貫が愛した相手が、成俊という人が、無情にも自分より酷い目にあっていたのだと、初めて聞いた。
強姦…。
それら、何も知らずに、冷たい言葉を投げかけ、引き離そうとした自分を、今更ながらに呪った。
自分は幸せなのだと、どこかで告げられる。
死に追いやられることもなく、支えてくれる人かいること。

今更知った事は、あまりにも衝撃的だった。
佳史は「望が気にすることではない」と慰めてくれる。
この話をしたのは、自分よりも苦しんだ人間がいるのだということと、全てを打ち明けることで佳史自身が楽になりたかったのだと思う。
医師として抱えた問題はあまりにも大きい。
「望が傷つくと思ったから言うつもりはなかった…」
望を抱きしめながらそっと囁かれる。
それでも言ってくれたのは、痛みを分かち合いたいから…なんだろうか。
いつの頃か、佐貫のことを諦めろとしつこく言われる日が続いた。
それまで見守ってくれる雰囲気が強かった佳史に、疑問も湧いたが、今となっては、佐貫が誰を守りたいのか、何を求めるのか見えていたのだろう。
更に痛々しい出来事。かつての失敗を思うからこそ、佐貫が何を望むのか…。

「みんな、苦しんだんだ…」
失恋…、それだけではない心の痛みを誰もが抱えていた。
一度は死を見て、また、自分も死に際に直面して、待つ人の意味を知ったのだろう。
佐貫は成俊を残しては死ねないと舞い戻った。奪われた体は知らなかったが、守りたいものは充分なほど見えた。
だからこそ、かなわないと諦められた。
その裏を知れば尚更…。

「望…」
「いるよね…。なにがあっても、いてくれるよね…」
「あたりまえだろう」
ふと問いかけた唇が、熱をもって塞がれる。
どれだけ待ったんだ…と、もうこの手は離さないと掴まれた。
苦しんだ過去は誰にだってある。
だけど…。
自分がどれだけ幸せなのか、改めて知ることができることでもあった。

「佳史…」
「望…」
囁き合う声が優しい。
響く声が愛おしい。
「愛している…」
その声が届くこと。答えてくれること。
何もかもが肌を震わせた。

暗闇の中で踊る裸体は相手を求めて今日も揺れる。

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かけない~っ。
…で、こんなもので繋ぎ…?!


誠に申し訳ないくらい…。
私の中でイメージ曲でした。
こうや
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甘い人 再々
2011-12-28-Wed  CATEGORY: 甘い人
「白髪、増えたね」
「うるさいよ」
ベッドの中で囁いた望の言葉に、佳史は苦笑で答えてくる。
そんなささやかな会話さえ、嬉しいものだった。
同じ時を共に過ごしていける。それがただ寛げるものになる。
今、どうであれ、一緒にいられるのだ。

「どんだけ禿げたって一緒にいるよ」
「望がボケ老人になってもな…」
38歳という歳になって、迎えてくるものは多い。
それぞれ、貶すわけではなく、でも去ることはないと告げあう。
この先に待ちうけているものは何なのだろうか。

いつか聞いたことがある。中條が伴侶を得た時。
『人生の半分を過ぎた』と彼は告げたそうだ。
残りを、残りの人生を共に過ごしてほしいとプロポーズしてくれたと…。
この歳になって、そうなのかもしれない。
だけど、大人になってからの残り30年は…。仮に30年、40年は、長いと思えた。
その間を本当に一緒に過ごせるのかと思ったら…。

「佳史…、一緒にいて…」
「今更何言ってんの…」
「佳史が…、佳史が…っ」
「望。何も悩まなくていいから。ずっとそばにいる。望の隣にずっといるから…」
囁かれた言葉が温か過ぎて…。
悩んでいる全てを包みこんでくれる。
仕事柄、内緒にしなければいけないことも、たとえ漏らしても、聞かなかったことにしてくれた。
これほど大きな人がいただろうか…。
全てにおいて、望を包み、支えてくれる人。

「佳史…」
「愛してるって何回言えばいいかな。それとも言ってくれないのかな」
小さく願われることに、恥ずかしさを纏いながら、望は口を開いた。
改めて口にできることが、どれだけ幸せなのか。その声を聞いてもらえる、また聞けること…。
告げられるのは今しかない。
明日、という日が遠いと感じた。
来ないかもしれない…。
「佳史…」
「望…」
触れあう唇から温かさが伝わる。
抱き締めた体が、身近にあること。唯一の救いのような気がした。

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