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BLの丘
やすらぎ 6
2011-03-10-Thu  CATEGORY: やすらぎ
心の闇から脱したのを、誰よりも望が理解していた。
佳史は今までと同様、慌てることもなく、自然体のままの望を受け入れてくれる。
人に寄りかかる…。
これまでとは違った意味で触れ合う佳史に、安らぎを覚えるのは、佐貫に想いを寄せながら傍にいた罪悪感がなくなったからなのだろう。
これからも傷口を舐めてもらう行為は続くのだろうが、以前とは確実に違った気持ちが穏やかな心にしてくれる。
佳史に心の底から甘えればいいのだ…。
自分を大事にしてくれる佳史を、自分も大切にし、苦楽を共に過ごす…。
ずっと与えられるだけだった愛情を、少しずつ佳史に返していけばいい。
「急ぐことはない」と佳史はいつも言ってくれた。
「俺は、望がここにいてくれるだけでいい。こうしてそばにいて、頼ってくれる、俺を見てくれる。こんな時が来てくれたことが今は嬉しくて仕方ないんだよ」
「もう、佳史しか見ないよ…」
嘘か誠か…。
薄汚い関係を脱ぎ捨てようと決めたことと佳史に告げると、ふわっと笑みが浮かんだ。
頬を両手で包まれて、コツンと額同士が合わせられる。
「佳史が、僕の”一番”を知っている…」
「あぁ…」
唇が触れあうほどの場所で囁いたのは初めて…。
望は自ら赤い唇を佳史のそれに押し付けた。
「待っていた…」と言わんばかりに、激しく吸いつかれる。
絡み合う舌の熱さと吐息が、これからの自分たちを暗示していた。
5年の月日をかけて、ようやく触れ合わせたもの…。
長きに渡り、守り続けてくれた望の自尊心を、今、明け渡す…。

不思議だなぁと望は事務所で仕事を片付けながら、ふと感じた。
離婚問題ばかりを抱える望は、これまで『別れるため』の打算的なことばかりを見てきた。
それは今までの生活に終止符を打たせる、という考えで止まっている。
自分が佳史を受け入れたことで、『新しい道を切り開かせるための準備』という思いが芽生えた。
いや、今までもそう捉えてきた部分はあるが、自分が同じ視点に立ったことで、根本的な考えが変わったのだ。
『幸せに導くための手助け』
そう思うと、今まで以上に仕事に意欲を燃やすことができた。
佳史がいてくれたからこそ知れる”安堵”が望を変えている。
この喜びを他の人間にも教えてやりたい…。

「たまには食事でも作ってやるかな…」
誰に向けるわけでもなく、ぽつりと呟いてみる。
佳史が望のマンションに来ることも少なからずありはしたが、ほとんどは佳史の家での逢瀬だった。
望も顧客に合わせて、勤務時間もあってないようなものだったが、佳史は病院を経営しているという点であまり離れたがらない。
大学病院にいた頃は長時間に及ぶ手術などにも関わっていたようだが、個人経営の開業医となってしまった今は長くとも1週間くらいの入院で済む患者くらいしか診ていないようだった。
「すっかり町の医者になった」と本人は笑っていたが、1日24時間に課せられる労働と神経は相当なものだろう。
おまけに父親から引き継がれた精神なのか、もともと外科医といいながら、年配者の足腰の痛みから子供の発熱まで受けている始末で、診察時間は『何科』が専門なのか分からないくらいになっていた。
これも全ては過去に培ってきた病院での人脈があるからなのだと思う。
何より、佳史の知識力の高さなのだろう。
余程のことがない限り、佳史も定時で受付を閉めてしまう。
入院患者がいなければ、緊急で呼ばれる以外、佳史の身体はあく。
望の帰宅が遅くなる時ほど、佳史は望を自宅に招き、「健康に気を使え」と手料理をふるまってくれた。
その”恩返し”をするのもいいだろう。
望がすることを佳史は咎めることをしない。
それどころか、喜んでくれるであろう顔があると確実に分かることが、余計に望の心を晴れ晴れしくするのか…。
夕方、効率よく片付けた書類を鍵付きのキャビネットに全て仕舞いこむと、望の足はスーパーへと向いていた。
その足取りが軽かったことを本人も気付かずにいる。

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かなり不規則展開、本当にすみません。
書けたもんじゅんからなにかがあがる…。
週末アブないっていったのは書ける時間が取れそうにないからで…。
書けたならできるだけupしていきたい私の心情です。
新記事に上がったら"書いたんだー"って思ってください。

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やすらぎ 7
2011-03-12-Sat  CATEGORY: やすらぎ
病院の裏手にある自宅に足を踏み入れると人の気配がなかった。
普段の望からすれば、帰宅には随分と早い時間であったし、特に連絡してあったわけではないので当然の”お迎え”である。
勝手知ったる台所に入り、そばにあるテーブルの上にスーパーの袋を置いた。
雑多に散らかっても良さそうな場所は、きちんと整理と掃除が行き届いている。
佳史の性格が良く表れているな~といつも感心させられた。
佐貫だったらこうはいかないだろう。
手間暇かけることを面倒がり、自分のことは何かと後回しにしてしまう人物だ。
もし、仮に付き合った時…、とありえないものを想像して、つい愚痴ってしまいそうな自分が浮かんだ。
どのみち、うまくなんていかなかったんだろう…。

上着をリビングのソファに投げ置いてから再び台所に戻った。
米を研ぎ、買ってきたしょうが焼用の豚肉を、醤油、酒、みりん…と取り出し、生姜をすりおろして付け込む。
付け込んでいる間に汁物と付け合わせの野菜、小鉢の準備を始めた。
「望?」
不意に玄関の方から佳史の声が聞こえた。
この家に入れる人間など限られている。
誰もいないはずの家に明りが灯っていれば、不審に思うのが一人暮らしの家主のはず…。
「うん、ごめん。勝手に入ってた」
まだ見えない姿に返事をすると、すぐに白衣を着たままの佳史が現れた。
「電気がついたからびっくりした。どうしたの?もう仕事終わったの?」
何をしているのかと背後から覗きこまれる。
驚いてはいても嬉しそうな表情をされると、ついこちらも頬が緩む。
「最近効率いいんだ」
手短に答えただけで佳史はどんな状況なのか理解してくれるところが回りくどくなくていい。
スムーズに進む仕事は望の調子の良さも表している。
「佳史こそ、病院は?」
「うん、今片付けてたところ。あと少しで終わるから」
「そう。じゃあお風呂沸かしておくよ」
「サンキュ」
軽く額に唇を落とされると、消毒液の匂いが鼻腔をつく。
仕事着のままで佳史はあまり望に近寄りたがらない。
それでも想いを表したい態度は、心地よく望に響いてきたし、嫌ではなかった。
佳史がすぐに台所を去ってしまうと、また一人の時間が訪れる。

誰かの為に食事を用意し、帰りを待つ時間。
今、自分は確実に受け入れてくれた人間を知るから励みになっているが、ここでこうして、いつ離れていくかもしれない人のために時間を費やしてきた佳史の思いはいかなるものだったのだろう。
それを思うと、5年という長い月日、いや、もっと以前から佳史を苦しませていたのがとても罪なことだったと感じた。
どれだけ自分が自己中心的に物事を進めてきたのか…。
「本当に、ずっと、待っててくれたんだ…、こんな僕のために…」
『いつか…いつか…』
望が佐貫に願ったことと同じことを佳史も思っていた。
佐貫は一切の感情を遮ってくれたが、自分は完全に佳史を頼り、ただ身体だけを与えてきた。
その行為がどんなに虚しかったか…。そして酷いことだったか…。
改めて考えるとぽとりと手元に涙が零れ落ちた。
「…ごめんね、佳史…」
誰もいない空間に小さな声が漏れた。

同じ位置に立って、佳史がどんな思いでここに居たのかと想像するのが辛い。
今、これから…、自分がしてあげられることはどんなことなのだろう。
『望がここにいてくれるだけでいい』
佳史の言葉が脳裏に木霊する。

心の中に宿る、ふんわりとした温かさ。
自分がとても幸せだと実感する。
この思いを素直に告げればいい…。
そう思えたのは、しばらくして満面の笑みをたたえた佳史が帰宅した時だった。

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大きな地震、初めての体験にとにかく驚くだけでした。
皆様がご無事でいることをお祈りしております。

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やすらぎ 8(最終話)
2011-03-14-Mon  CATEGORY: やすらぎ
R18 性描写があります。閲覧にはご注意ください。

月明かりが綺麗な夜だった。
灯りをつけない部屋の中に、透かしてしまうような煌々たる光が流れ込んでくる。
シーツの上で二つの体躯が絡み合い踊っていた。
「あ…っ」
一度目の吐精を終えた身体はひどく敏感になっていた。
耳朶に押し付けられた唇が何度も「愛してるよ、望…。愛してる…」と囁く。
熱い舌先が唇を舐め、薄く開いた隙間から潜り込んでくる。
激しく口腔内を攻められる動きに息はあっという間に上がり、その求められ方に、佳史の想いが溢れているようだった。
このベッドの上で抱かれたことは幾度もあったのに、くちづけを交わしたことはなかった。
望の気持ちを汲んでくれていた佳史の配慮だったのだろう。
そして、いつも優しかった。
繊細な動きを見せる指先で身体をまさぐられ、丁寧な仕草で望を快楽の世界へと誘(いざな)ってくれた。

今はどうだろう…。
こんな抱き方をするのか、と知らされる。
これが本来の佳史であり、どれほどの欲求が佳史の中に渦巻いていたのかと刻みこまれる。
重なった唇が名残惜しそうに離れると、透明な糸が二人を繋ぎ、小さな滴が望の口端に零れた。
肩で息をする望に落ちつかせる時を与えず、濡れた唇は首筋を辿り喉仏と鎖骨を軽く吸い上げてから胸の尖りを捕らえた。
先の行為ですでに弄られていたその場所は、充分にしこっていた。
「い…っつ…っ」
口に含まれて舌先でころころと転がされると、ジンジンとした痛みが走る。
痛みはやがて快感に変わり、背中まで痺れさせていくようだった。
片方を口で嬲られ、もう片方は指先で抓まれ捏ねられている。
「やっ…め…っ、そこばっか…っ…」
胸への刺激だけで、股間は濡れそぼり、重なる佳史の体に擦りつけようと腰が浮く。
それが分かったように、空いた佳史の片手が反り立つ望の雄を柔らかく包んだ。
「だ…っめ、そんな…」
「すごい濡れてる…」
胸の上で話されてむず痒さに甘い声が漏れた。
「よ…し…」
何を望むのかなど承知の上で、まだ続けられる行為はじれったく、包まれた掌に押し付けるよう、腰が揺れた。
「佳…、も、やぁ…」
「あぁ、わかったよ…」
これ以上虐めるのは性分ではないと言いたげに、身体を起こした佳史がベッドの上に座ると、望も身体を起こされた。
彼の腿を跨ぐように引き寄せられる。
「望がして…」
一度穿たれた後孔は柔らかなままのはずだ。
佳史が双丘を両手で割り、勃起した屹立の先端を熟れた場所へ当ててくる。
望は佳史の両肩に手を乗せて、ゆっくりと体を落とした。
「あ…ぅ…ぅ…」
仰け反る首筋に佳史の唇が吸いつく。
先程体内で放たれた佳史の精液の滑りが、挿入を助けた。
狭道の中に押し入られるのは苦しい。
だが、その苦しさが今の望には心地よかった。
佳史の全てを受け入れるのだと、心底思うことができたから…。
自分が佳史にしてあげられること、してもらうこと。
ようやく一つになれる、愉悦が血肉の中から湧きあがってくる。
この喜びを誰よりも、きっと佳史自身が感じて、その想いを望に改めて教えてくれる。

…愛されて良かった…、佳史が居て良かった…と…、望自身に思ってほしいと…。

押し開かれカリの一番太い部分を飲み込んだ。
「んっっ…っっ…、はぁぁぁぁ…」
少し進めてはまた戻し…と、幾度か繰り返す。
二人の体には珠のような汗がじっとりと浮かび、お互いが荒い呼吸で酸素を求めていた。
「あ…、あっ…、あぁぁ…」
「あと、すこし…」
佳史は性急になることなく、ただじっと望の行動を待ってくれる。
望の心を確かめるように、佳史が己に言い聞かせて実感しているかのようだった。
最奥に達した時、喜悦の瞳が望を覗き、目の前の口が緩く弧を描いた。
「望…」
名を呼ばれて湿った肌を密着させる。
見下ろした先、悦びを表す形の良い唇に、望のほうからそれを押し付けた。

受け止めよう、その想いを…。
解き放とう、巣食っていた心を…。

遠回りをしてしまったけれど、辿り着くべき場所だった。
自分のために存在してくれるかけがえのない人…。
焦燥感に苛まれることなく、綿のような柔らかさで全てを包んでくれる逞しい心身。
今やっと、”やすらぎ”を手に入れた…。

―完―

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番外という形になりましたが、お付き合いくださいましてありがとうございました。
『心と魂』(『眼差し』が正しいかな)から読まないと理解できないという難文を書いてしまいましたが、読んでくださった方が多く、とても嬉しかったです。
放置してある話もありますし、そちらも書き進めていきたいと思います。
しばらく、新作の話はないかなぁ…。(まぁ、気まぐれで始めるでしょうが…)

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