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BLの丘
真っ赤なトマト 38
2011-05-21-Sat  CATEGORY: 真っ赤なトマト
羽生は自分が仕組んだことだと、責任の全てを背負ってくれた。
束の間でも孝朗が羽生に興味を抱いたことは、口を割らなければ知られないことなのかもしれない。
もちろん、圭吾とどう違うのかと性の対象として見てしまったことは、聞かせられるような内容ではなかったが。
羽生の落ち着いた態度に圭吾も冷静さを取り戻した。
自分たちの関係がバレたところで、受け入れてくれないスタッフたちではないことを、圭吾もすでに承知済みのようだ。
孝朗の意思を尊重してくれていただけのこと。
対人面でいつまでも心底馴染めなかったのは孝朗だけだった。

更衣室から羽生が出ていってしまった後には、剣呑な雰囲気が漂う。
明らかに怒っている圭吾の感情が伝わってくるから、孝朗は顔を上げられなかった。
「羽生さんとキスしたって、いつなの?」
自分に起こった出来事を確認してくる台詞に何と答えようかと思う。
圭吾だって後ろめたさがあったから告げられなかったのだとは理解しているのだろう。
ただ、羽生に流されてしまったことは事実で、散々に言われていた”無防備さ”を露呈したようなものだ。

圭吾から盛大な溜め息が漏れた。
「タカ~ぁ」
「ご、ごめん…」
「断り方の一つも知らない、とか言わないよな?羽生さん、タカが一言『付き合えません』って言えば無茶してくるような人じゃないよ。それがどうしてこんなことになってんの?」
今更『付き合って』の意味を間違えたとも言いにくい。
ますますうなだれていく孝朗の体を圭吾の両腕が引き寄せる。
素直に身を預けてくる孝朗に、圭吾からホッとした安堵の息がかかった。
「今、ホントに、マジで焦ったんですけど…」
肩に額を乗せて感情の波をやり過ごしているようでもある。
本当はもっと激しく怒りたいのだろう。嫌われてもおかしくないくらいなのかもしれない。
想いを告げあってから長い月日を過ごしたわけではない。
圭吾が今の出来事に不安と怒りを抱えたのは当然のことである。
「もう、明日から張り紙するから」
「張り紙?!」
圭吾の言う意味が理解できなくて声が裏返った。
覗きこんできた圭吾が、軽く触れ合わせるだけのくちづけを贈ってくる。
「そ。タカは俺のものですって、みんなに言う」
羽生の仕掛けたことを実行しようとする圭吾に、孝朗の方が不安を宿した。
本当にそれでうまくいくのかなど、想像ができなかった。
「そ、そんなこと…」
「最初からそうすれば良かったんだよ。それなら悪い虫も付かなかった」
羽生を『悪い虫』と言ってしまうのはどうかと思ったが、知っていれば手出しもされなかったのは確かだ。
「でも、みんなに気を使わせるようで…」
「いちいち言ってくる人たちじゃないってまだ気付かない?それに、仕事中に甘ったれたことをしていれば、越谷さんからも羽生さんからも檄が飛んでくるよ」
店の中で付き合っていることをひけらかすのとは訳がちがう。
『今まで通りの仕事をしてくれればいい』という羽生の言葉の意味も、ようやく理解できるようになった。

「とにかく、今日は覚悟してよ」
「へ?!」
「この緩慢な体に思い知らせてやるから」
「な、なに?」
「タカは警戒心がなさすぎだって前から言ってるだろ。今度こんなことになったら、どうされるのかよ―――く教えてやる」
その言葉の意味も理解できず、恐れつつも孝朗は頷いていた。
怒らせた責任は取るものなのだろう、と思う。

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