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BLの丘
真っ赤なトマト 16
2011-04-26-Tue  CATEGORY: 真っ赤なトマト
食器を洗い終わればまたもや手持無沙汰で、孝朗はリビングで散らばったままのものの整理や掃除など始めてしまう。
ちょこちょこと動くのは性格なのだろうか。店にいた時も、何か仕事はないかと探していたほうだ。
だから、圭吾が風呂から出てきた時、とにかく驚かれた。というよりも、呆れられた。
「なにしてんだよ?」
「なに…って、少しでも片付けちゃおうかなって…」
「あのさー、タカ。”休む”ってことを知らないわけ?」
「だって、なんか落ち着かなくて…」
「他人(ひと)んちに来たわけじゃないんだから~」
ここが自分の家になるのだということを強く思わせたいらしい圭吾が、孝朗の動きを止める。
腕を取られて引き寄せるようにされ、圭吾の腕の中に収まった。
「なぁ、俺さぁ。タカに酷なことさせてる?」
「え?何が?」
圭吾の言いたいことの意味が分からずに顔を上げると、困惑したような、苦悩を湛えたような表情を浮かべていた。
「いきなり、生活変えちゃったから。…もっと気を休めてほしいのに、同居ってことで、余計な神経使わせてるのか?」
圭吾の内心で燻るものを感じた。
圭吾が一緒にいることで、孝朗が寛げないのではないのかという不安を今与えてしまったことに気付く。
「ちが…、ごめん…」
人を頼る…、心を寄せる…ということを教えてくれたのは圭吾のはずなのに、それを素直に表現できない自分…。
こんなところは幼子のように無知で自信がない。

圭吾の指先が孝朗の髪を撫で、頬をさすり、顎を上げさせる。
「辛かったらいつでも言えよ。タカが耐えるようなところは見たくない…」
「圭吾…」
今までの生活の中でも心配されたことは多々あった。
ただ、やりがいのある仕事をもっていたから、非難されなかっただけで…。
愛情持って見守られていたことは孝朗にとっても嬉しいことだった。

肉厚の唇が孝朗のもとへと降り注がれる。
優しく、羽で覆うような柔らかな啄ばみを幾度か繰り返される。
この温かさに安堵を覚えるし、気持ちがいい。
不意に孝朗の体が宙に浮いた。
「え?」
背中と膝裏に回された太い腕が、孝朗を横抱きにしている。
「ちょっ…っ!?けいごっ?!」
「ったく、ほっせー、体してやがって!風が吹いたら飛んでいくんじゃねーの?」
嫌味をくらっても、孝朗は呆然としてしまう。
こんなにも簡単に抱き上げられるとは思ってもいなかった。焦りよりも驚きのほうだ。
「大人しくしていないと落とすからな」という、脅しの言葉に、暴れる気も失せた。
いや、逆らう、という気持ちすら持っていなかった。
心配してくれていた圭吾の気持ちを気遣っていたからかもしれない。
こんな時にどんな風に返せばいいのか、指一本ですらどう動かしたらいいのかが全く分からない。
がっしりと捕まえられた腕に抱きかかえられて、運ばれている途中で、ふと、この先の事が脳裏を横切る。
何の目的でこうされているのかに気付くと、途端に朱が頬を覆った。
連れて行かれたのは圭吾の部屋だった。
そっとベッドの上に下ろされる。
幾度も一緒に寝たことのあるベッド、そのままだったが、もたらされる雰囲気の違いに、孝朗はこれからのことに、半分の興奮と半分の恐怖をいだいていた。
孝朗の体の上に跨った圭吾が、ゆっくりと顔を下ろしてくる。
間近に迫ったところで、孝朗に分からせるよう言いたいのか、だが口を開きかけて一瞬止まった。
「け…」
「タカ、…俺についてきてくれたこと、本当に感謝してる。絶対に守ってやるから。今までみたいに神経すり減らすような生活、させないから…」
圭吾なりの、精一杯の言葉なのだと感じられた。
だけど孝朗が自分で決めた人生を圭吾に押し付ける気はない。そんな風に負担に捉えられるのも嫌だ。
「俺が、好きでついてきたの…」
口をついて出た言葉に、圭吾の目が一瞬見開き、それからふっと細められて口端が上がった。
頬と頬を合わせ、耳朶を甘く噛んだ圭吾から安心したような吐息が漏れる。
「初めて聞いた…。タカからの告白…」
孝朗は自分が何を言ったのか理解できないでいた。
胸のうちで反芻して、とんでもないことを口走ったような気になった。自分からそれらしいことを言ったことは一度もなかった。
圭吾の表情が見えないのは彼の照れ隠しでもあったけど、気付く余裕など今の孝朗にはない。
「けい…」
「好き…。すげー、好き…。…タカ…」
重ねられる唇の動きが熱い。
今までとは全く違うその動きに翻弄される。
見知らぬ世界が、目の前に迫っていた。

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コメント

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No title
コメントらぅら | URL | 2011-04-27-Wed 01:43 [編集]
じっとしていられない孝朗。。。(爆)

そういえば・・・孝朗って圭吾に『好き』って言ってなかったんですね?
圭吾~、良かったねぇ~(笑)

次こそは。。。ラブラブ~になるかな?( ´艸`)ムププ
Re: No title
コメントきえ | URL | 2011-04-27-Wed 09:06 [編集]
らぅら様
こんにちはー。

> じっとしていられない孝朗。。。(爆)

じっとしていないんですよー。職業病みたいな感じですかね。
あとは焦り?動揺?

> そういえば・・・孝朗って圭吾に『好き』って言ってなかったんですね?
> 圭吾~、良かったねぇ~(笑)
>
> 次こそは。。。ラブラブ~になるかな?( ´艸`)ムププ

桃がどんぶらこ~どんぶらこ~と流れてきて拾われちゃった状態でした(爆)
圭吾も不安なとこあったんでしょうね。はっきり聞けてなかったから。
これで一安心♪
コメントありがとうございました。
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