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BLの丘
真っ赤なトマト 14
2011-04-24-Sun  CATEGORY: 真っ赤なトマト
引っ越しは荷物が少ないせいもあってか、移動はあっという間に終わった。
次の住処はそれなりに設備も整ったマンションだったから、これといって大型の家具の移動もない。
いや、もともとなかったのだが…。
2LDKの間取りに、それぞれの個室を持つ。
一緒に寝る寝室…を考えなかったのは、これまでと変わらないスタンスを保ちたいと、どちらからともなく言ったせいだ。
まだ『恋人』という関係に慣れないでいる孝朗を気遣った結果のことだとも思う。

夕方には自室にもリビングにもあった段ボール箱はあらかた片付いていた。
「タカ、疲れただろう?風呂入って来いよ。夕飯作っておくから」
「うん。ありがと」
「引っ越し祝いしよう」
「簡単なものでいいよ。圭吾だって疲れているんだし」
「料理は別。息抜きみたいなもん」
クスクスと笑って圭吾はキッチンへと入っていく。
LDKにあるアイランド式のキッチンはリビングから良く見えた。
キッチン用品などは孝朗にほとんど用がないので近付いてもいなかったが、並べられている備品はすでに目にしたことがあるものばかりだ。
ナイフ、フォーク、スプーンといったカトラリーから、皿、フライパンなどの調理器具まで…。
「け…っ!!…っ、それ店のじゃんっっっ!!!!」
「廃品、廃品」
全く気にしていない圭吾がニカッと笑顔で応えてくる。
数多くある店の備品の一つや二つが消えたところで分かりもしない。
時には10枚以上の皿を一遍に割ってしまうアルバイトだっていたから、数など不鮮明なままだ。
たまに数える棚卸の時にようやく店の”在庫”を知ったりする。
いつの間に失敬していたのか、孝朗も馴染んだ食器類が積み上げられていた。
「信じらんなっ…っ、ちょっ…っ、こんなのバレたら…」
「どこの寮にだってこんなものの一つや二つあるって。つか、タカ、規則に縛られ過ぎだって」
守っていることがむしろおかしいといった口調だった。
話には聞いてはいたが、自分が同罪の片棒を担ぐとは思ってもいなかった。
がっくりと頭を抱えて蹲りたくなる。
確かに圭吾にとって、店にあったものが手に馴染み使いやすいものだとは分かる。
それに市販の安売りの品よりもずっと過酷な状況に耐えられる素材だ。その分一つ一つの単価が高いのだが…。

言われたままに過ごしてきたことが、孝朗を頑なにさせ、神経を張り詰めた生活にさせていたとでも言いたげだった。
どこかで少しはいたずら心を起こすのも悪くない…と…。
それでも納得ができないでいる。だからといって今更圭吾を訴えたくもないしできることでもない。
そんな孝朗を、圭吾は「風呂」と顎で促すだけだ。

アパートにあった狭い浴室とは違って、ゆっくりと足を伸ばせる大きめのバスタブが備えられている。
こんなふうにゆったりと寛げる日が来るとも思っていなかった。
熱い湯で体の筋肉をほぐす。迂闊に目を閉じたら寝てしまいそうだ…とも思える気持ち良さ。
圭吾が待っているだろうと、孝朗は早目にバスルームを後にした。
まだごみごみとした部屋に、香ばしい匂いが漂っている。
圭吾の鼻歌でも聞こえてきそうだ。
「圭吾…」
風呂、入る?と問いかけたい質問が、「もう、でたの?」という言葉にかき消された。
リビングにいれば、自室にこもらない限り二人の姿が確認できるようにと、この物件を選んだのは圭吾だった。
設備の良さから少々家賃の値は張ったが、二人で折半する分にはさほど問題がない。
だがそれが、今はなんとなくあだになっている。
孝朗は手持ち無沙汰でなにをしていいのか分からなくなってしまったのだ。
その空気を的確に圭吾は掴んでくる。
「タカ、その辺で休んでろって。もうすぐできるから」
「なんかさー、なんか、やることない?」
「ちょこちょこ動き過ぎだって言うの。家にいる時くらい、その張り詰めた神経の糸、切らせろよ。つか、俺の前でそういう態度、嬉しくない」
「だって圭吾にばっかやらせてるみたいで…」
「じゃあ、タカ、ここに来て」
自分にできることがあるのかと、喜びも相まって、孝朗はいそいそと圭吾の隣に並んだ。
フライパンを器用に煽りながら圭吾は孝朗の首筋に鼻先を擦りつけてくる。
孝朗にしてみれば何か?と思うような行為で、思わず飛びのいた。
「いい匂い。夕食の準備なんかやめて襲いたいんだけど」
「なぁ…っっ…??!!」
あまりのことに孝朗は瞠目する。
呼ばれたのはその確認の為だけか?!
というか、孝朗の脳裏に浮かんだ言葉が『初夜』という、未知なる世界への入り口の言葉だった。
アパートで共に寝ることはあっても、薄い壁のせいか、初心な心を持った孝朗の為なのか、圭吾は肉体関係に辿りつくまでの行為をしなかった。
改めて認識させられる、新しい住居…。

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やっとRにいけるか?!


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コメント

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コメント | | 2011-04-24-Sun 15:59 [編集]
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No title
コメントらぅら | URL | 2011-04-25-Mon 01:00 [編集]
(´゚艸゚)∴ブッ 圭吾ったらお店の備品持ってきちゃったのね(笑)
まっ、まぁ分からなきゃいいでしょ・・・(いいのか?(爆))

ご飯を食べてからなの?食べる前?ラブラブのお時間~( ´艸`)ムププ
Re: No title
コメントきえ | URL | 2011-04-25-Mon 09:20 [編集]
レ様
こんにちは~。

> うふふ、新婚さんだ♪
> いつになったら孝朗は自然体で接することが出来るのかな?
> 圭吾は1日でも早くと願ってるでしょうに。
> やはり『初夜』を迎えなくちゃ難しいかな?
> でも、この雰囲気でR・・・大丈夫?

新婚さんごっこ(?)やっております(笑)
孝朗も慣れてきてはいるんでしょうけどね。なにせ、経験がなにもなく…なのです。
そんな態度も圭吾は気に入っているのかもしれませんが…。
R………λ......トボトボ……(ご想像のとおりでございます)
コメントありがとうございました。
Re: No title
コメントきえ | URL | 2011-04-25-Mon 09:26 [編集]
らぅら様
こんにちは。

> (´゚艸゚)∴ブッ 圭吾ったらお店の備品持ってきちゃったのね(笑)
> まっ、まぁ分からなきゃいいでしょ・・・(いいのか?(爆))
>
> ご飯を食べてからなの?食べる前?ラブラブのお時間~( ´艸`)ムププ

手癖の悪い子ですね~(笑)
そう、分からなければいいんです。
皿の端っこが欠けている…とか表向きの理由を色々と作ってね…(我が家にも……え???)
ラブラブなお時間~。これからはいつでもどこでも…。
せっかく作ったので美味しいうちに食べます。
コメントありがとうございました。
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