2ntブログ
ご訪問いただきありがとうございます。大人の女性向け、オリジナルのBL小説を書いています。興味のない方、18歳未満の方はご遠慮ください。
BLの丘
鎧 1
2011-04-08-Fri  CATEGORY:
休日の日、佐貫は安住の家を訪ねていた。
成俊と一葉が揃って出掛けるというので連れてきて、二人を見送りそのまま居座っているところに、中條が飛び込んでくる。
「ヒナタ屋のロールケーキ、買ってきたよ~。…って、みっちゃん、来てたんだ」
「いて悪いか」
「そうじゃないけれどさ。休みの日にここにくるなんて珍しいじゃない」
最近では非番の日でも家に籠ることが多い。
成俊が忙しい自分に代わって何かと家事をすることが増えたために、せめて休日くらいは…と思うからだった。
まぁ、大して役にたってはいないのだろうが。
さすがに家庭を持っていた過去があるだけに、あれこれと神経質になるのは成俊のほうで、自分は子供ではないのだからと口やかましさに閉口することも多々あった。
何かにつけて理由を重ねてくる姿はありがたいことに越したことはなかったが…。
ほこりの一つで健康に害などないだろうと考える佐貫に対して、「一番の問題!!!」と跳ね返される。
そんなものか…と好きにさせてはいるのだが…。

成俊が日野の店で働く一葉と親しくなるのに、そう時間はかからなかった。
同じ年ということもあったし、佐貫と安住の中の良さにも影響されて触れあう機会があったからだろう。
現在の私服姿を見れば、今日が休みだと中條はすぐに気付く。
「成俊君と休みを合わせたんじゃないの?」
佐貫の隣に座った中條が疑問を持って佐貫を振り返った。
安住は立ち上がって中條の為のコーヒーを淹れに行く。
成俊も販売業だから休みは特に決まっていない。
忙しいなかでも佐貫も休みが取れないほどの事件に追われている時ではなく、時にはこうして成俊と同じ日を休日にすることもあった。
そのことを中條はすでに知っている。
「成俊が一葉君と服を買いに行くっていうから、送ってきたんだ」
「そうなんだー。確かに”オジサン”が口出せる分野じゃないね」
「オジサンって誠も同い年だろーが」
「若い子の趣味にはついていけませんって言ってるようなものでしょ」
「僕は一葉の服くらい買えるよ」
どこか反論的な安住が口を挟んでくる。
佐貫は成俊の身なりに頓着はなかったが、安住は気遣っていると言いたい雰囲気だった。
佐貫だっていざとなったら成俊の服の一着や二着…。と思いながら、どんなものが欲しいのかはやはり詳しくは知らない。
肌が隠れていればいいだろうと、それとなく思ってしまう。
中條が呆れたように口を窄ませる。
「二人してこの溺愛ぶりはなんなの~。まぁぁぁったく、嫌んなるよね~。若い子を捕まえた途端に人格変わるんだから」
「誠だって磯部さんのもとで甘やかされてるだろ?」
佐貫が嫌味返しに告げれば「僕が甘やかしているんです」とこれまた強気な発言が出た。
あぁ、磯部さんの先が思いやられるよ…と佐貫と安住に思われていることはもちろん中條は知らない。
同級生3人がすっかり寛いで昔話や現在の状況に華を咲かせている時、佐貫の携帯電話が突然鳴った。
「成俊か?」
表示された名前に当たり前のように穏やかな声で出るのだが、電話機の向こうに聞こえた雑音は尋常ではないものを伺わせた。
『みつ…っ』
『何、電話なんかしてんだ、ボケッ!!!!』
第三者の声が聞こえたと共に通話が途切れる。
「成俊?!どうした?!」
掛け直そうにもそれは繋がることがなかった。
無言の電話機に怒鳴り散らしても返ってくる言葉はない。
「どうしたの?」
コーヒーカップを投げ出した安住が、何が起こったのかと詰め寄ってくる。
成俊と一葉は一緒のはずだった。
「分からん。今位置を探す…」
携帯電話のGPSだけでは役に立たず、それ以外のものを成俊には持たせてある。
あまりにも小型で、普通の人間では気付かないようなものだった。
安住も一葉の位置を確かめようと探ったが電源が切られているようで無理だと蒼白な表情を浮かべた。
「なんかの事件に巻き込まれちゃったの…???」
中條がふざけている時ではないと声を震わせた。
成俊の過去に何が起こったのか、もちろん中條も安住も知るはずがない。
たった一度の経験だってさせたくないむごい行為だった。
万が一にもと想像するだけで悪寒が走るのを二人とも感じていた。
だが、佐貫は自身で二度も経験しているだけに焦りだけが生じる。
「佐貫っ!!!」
「享利、すぐ確かめるから…」
心配なのは自分だって同じだ。
小型の画面が成俊の位置を点滅させた。刑事だからこそ知る、あまり芳しくない位置だった。
暴力団の組の事務所…。
「なんだって、こんなところに…」
呆然と呟かれた言葉に安住が詰め寄った。
「どこっ?!」
少なくとも今分かるのは成俊の位置だけだ。一葉と引き離されていたら一葉の行方は知れない。
そのことをすぐにでも安住は感じ取っていた。
「一葉っ!!!」
悲痛なる声は佐貫の中でも木霊していた。
成俊に“守ってやる”と言ったのは自分だ。
「僕、ここにいるから…すぐに行って…」
家の戸締りなどしなくていいと、中條が二人を促した。
今は1分1秒が惜しい。

にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村
人気ブログランキングへ

何書こうかな~と迷っているうちにこんなのになっちゃった…。
関連記事
トラックバック0 コメント5
コメント

管理者にだけ表示を許可する
 
No title
コメントけいったん | URL | 2011-04-08-Fri 13:01 [編集]
佐貫ーー(ノ∀\*)キャァ
と、喜んでる場合じゃないですよね!

またしても 事件に巻き込まれてるの?成俊は!(´゚Д゚`:)ンマッ!!
一葉も一緒だしぃーー(T▽T)b

オロオロ(o;д;)oオロオロ...byebye☆

No title
コメントらぅら | URL | 2011-04-08-Fri 20:53 [編集]
Σ(- -ノ)ノ エェ!?また事件ですか?
成俊&一葉は大丈夫なのか?Σヽ(゚Д゚○)ノ

二度あることは・・・( ´△`)アァ-って
言ってる場合じゃない(。´Д⊂)うぅ・・・

きえさんってやはり・・・( ̄≠ ̄)クチチャック
Re: No title
コメントきえ | URL | 2011-04-09-Sat 08:20 [編集]
けいったん様
こんにちは。

> 佐貫ーー(ノ∀\*)キャァ
> と、喜んでる場合じゃないですよね!
>
> またしても 事件に巻き込まれてるの?成俊は!(´゚Д゚`:)ンマッ!!
> 一葉も一緒だしぃーー(T▽T)b

またしても事件にΣ( ̄□ ̄;)
トラブルメーカーだなぁ。
佐貫登場で喜んでもらえたようで良かったです。
大事な息子たちはどうなってしまうのでしょうか。
コメントありがとうございました。
Re: No title
コメントきえ | URL | 2011-04-09-Sat 08:22 [編集]
らぅら様
こんにちは。

> Σ(- -ノ)ノ エェ!?また事件ですか?
> 成俊&一葉は大丈夫なのか?Σヽ(゚Д゚○)ノ
>
> 二度あることは・・・( ´△`)アァ-って
> 言ってる場合じゃない(。´Д⊂)うぅ・・・

刑事さん、いっぱい起こる事件の中で最悪なものを思い浮かべてますね~。
成俊だけじゃなくて、その前のこともあるし…。
絶対に行方不明にしない佐貫、さすがな保護者です。

> きえさんってやはり・・・( ̄≠ ̄)クチチャック

はい?(゚∀゚)なにか???
コメントありがとうございました。
No title
コメントきえ | URL | 2011-04-09-Sat 08:24 [編集]
s様
こんにちは~。

>ハラハラしてます。続きが気になってしかたありません。新連載ありがとうございますm(_ _)m。また、楽しみができました

連載って言うほど長くはなりませんが…。
次の話を思いつくまでのつなぎで…なんです。
ハラハラドキドキを楽しんでいただければ嬉しいです。
コメントありがとうございました。
トラックバック
TB*URL
<< 2024/03 >>
S M T W T F S
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31 - - - - - -


Copyright © 2024 BLの丘. all rights reserved.