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Opened door 5
2011-04-03-Sun  CATEGORY: Door of fate
無料の温泉が幾つかあることを老人から聞きだしたのはもちろん虎太郎だった。
もともとは町民の共同風呂だったらしい。
お互いが持つ信頼関係があるからこそ、貴重品管理なんていうのも曖昧なのだろう。
剥き出しのロッカーの意味が知れた。
それぞれ泉質が違う、などと聞いてしまえば、次に出た行動は湯巡りだった。
車に戻った頃にはすっかり日が落ちていたが、ひんやりとした空気も、温泉で骨の髄から温まった後では心地よく感じる。
熱い湯船は一日の疲れを癒してもくれる。
湯冷めしないように、と車に乗り込むなり虎太郎が用意してくれた毛布のおかげで風邪をひくこともない。

入浴で使ってしまった時間分だと言って帰路は高速道路を利用した。
だが週末のこんな時、運が悪いことは重なった。
交通事故で渋滞しているという。
途中まで行って一般道に切り替えるのも良いだろうと、安易に高速道に乗り込むとすでに渋滞は始まっていた。
「うわ~。案内板の嘘つき~」
車の流れはあるものの、都心に向かう車の数は増していくばかりで、ノロノロと進んでいるような状態だった。
「まずいな~。完全に止まっちゃったら動きようもなくなるだろうな」
その前に高速を降りられるインターチェンジに辿りつけたらいいのに…という呟きらしいが、それもかなり先の話だ。
一日中運転させてその上渋滞では虎太郎の疲労が増すばかりだと凛は心配した。
ましてや温泉で寛いだ後のことだ。
「無理して運転することないじゃん。次PAあるし休んでいこう。遅くなって俺こまんないよ」
「あー、うん、まぁ、そうなんだけどさ…」
いつ解消されるか分からない渋滞の車列にいるより、安全な場所に停車して寛いでいた方がいいと凛は考えてしまう。
虎太郎が週末の連休を取っていることは、凛もすでに承知済みだった。
何も急いで帰る必要はない。
「停まったら寝ちゃいそうだよ、俺…」
「寝て結構!居眠り運転されるなんて冗談じゃない。俺の命、こーたに預けてんだから」
「ま、確かにそうだな」
たぶん、虎太郎には早目に凛を送り届けたい思いがあるのだと思う。
虎太郎一人であれば凛が考えたことを実行しているのだろう。
家族と共に住まない虎太郎は、ある意味で自由人だった。
凛だってとやかく言われる生活ではないが、恵亮に散々なほど生活に対してのアレコレを言ってきた手前、後ろめたさがあるのを虎太郎は気付いている。
しかも出掛けに会ってしまったから余計に迂闊な行動はとれないと思っているのだろう。
だが今は『緊急事態』だ。背に腹は代えられない。
「そこで夕ご飯も食べようよ。せっかく閉店前のおじさんが増量してくれたんだしさ」
温泉地を出発する前に、別の温泉で出会った老人から地の物を使った豚丼があることを教えてもらった。
観光客にはあまり知られていないが、農場を経営する一家が営んでいるらしく、質も味も保証すると太鼓判を押してくれたものだった。
弁当となって現在保温庫に入っている。(こんな物まで積んでいてバッテリーは大丈夫なのかと聞いたら「ソーラーバッテリーを使ってるから」とあっさり返された代物だ)
「つーか、凛が腹減ったんだろ」
「こーたが疲れていないか心配してんのっ」
「それはどうも…」
正直、腹の虫がいつ鳴るかという状態ではある。
それを汲んでいるらしい虎太郎は苦笑いを浮かべながら、車線変更をして、凛が促したPAへと車を滑り込ませた。

駐車場でも一番端に車を停めた虎太郎は、「ちょっと待ってて」と、靴を脱いで中央からいきなり後部座席に飛び込んでいった。
何事かと凛は振り返りながら、座席をあれこれと弄っている後姿を眺めた。
折り畳んだ座席が床下(?)に収められ、あっという間に一番後ろまで繋がったまっ平らな空間に生まれ変わった。
その上に丸めてあったシートが敷かれると居住空間と言えるほどの広さができる。
窓ごとに取り付けられたカーテンを閉めてしまえば外からの視線も遮られた。
「すごっ!!ナニコレ?!」
「俺の第二の我が家」
出来上がった空間に凛もサンダルを脱いで跨いでいった。
膝を曲げなければ進めない高さだったが、座席に座って何かをしなければいけない体勢よりもずっと寛げる。
何より足を伸ばせるのがいい。
「車の中に家があるみたい~」
「だろう?」
クーラーボックスを引き寄せた虎太郎はそれをテーブル代わりに、保温庫から弁当を取り出して乗せた。
「車中泊できる意味が分かった気がする。どうやって寝られるのかずっと不思議だったんだ」
「足のばして寝ないとやっぱなぁ…」
「ちょっと待ってて。ビールとおつまみ買ってくるから」
「はぁぁぁ???」
「こーたを運転させないためだよ。今日はここで寝ていこう。こんなに早く”車中泊”できる日がくるとは思わなかった~」
凛は喜々として車を降りて行った。
「ちょっ、っ…、凛!!!」
呼び止める虎太郎の声など耳に入っていない。
すぐに履けるサンダル、サイコー!などと思っていた凛だ。

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現在高速でアルコールなど売ってないはずですが、そこはご愛敬で…
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コメント

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No title
コメントmiki | URL | 2011-04-03-Sun 11:21 [編集]
あれ、凛ってこんな性格?意外な形でこーたを振り回してますね(^_^メ) でも、いきなり外泊なんかして恵亮に何か言われるんじゃ(笑)
管理人のみ閲覧できます
コメント | | 2011-04-03-Sun 22:43 [編集]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
No title
コメントらぅら | URL | 2011-04-03-Sun 23:20 [編集]
虎太、案内板を信じちゃいけません(笑)

凛てば暴走しまくってるし。。。
早く車中泊したかったんでしょうね( ´艸`)ムププ
Re: No title
コメントきえ | URL | 2011-04-04-Mon 07:51 [編集]
miki様
おはようございます。

> あれ、凛ってこんな性格?意外な形でこーたを振り回してますね(^_^メ) でも、いきなり外泊なんかして恵亮に何か言われるんじゃ(笑)

凛、もっとお兄ちゃんなんですけどね~。
はしゃいじゃってます。
弟から嫌味をくらうことは必須でしょうね。
まぁそこはお兄ちゃん、うまく丸めこむんじゃないでしょうか(笑)
コメントありがとうございました。
Re: No title
コメントきえ | URL | 2011-04-04-Mon 07:56 [編集]
レ様
おはようございます。

> コタってばお母さんかドラえもんかってぐらい、いろいろ出てくる(笑)
> 旅慣れてるのねぇ。

何でも出てくる!
動く我が家(爆)
車って詰め込めるところがいいですよね。

> 小声で質問!
> 1話目から読んでて思ったんですが、この話のテーマ(?)って『カーセ○クス』ですか?(笑)
> なんかそっちにいっても違和感ない流れになってる気が・・・(;^_^A
> それはそれで嬉しいけどw←
>
> このCP結構好きwww

テーマなんてあまりかんがえていなかったんですが…。
前回、読者様には寸止め(?)で終了させてしまったので…(汗)
どうなるんでしょうかねぇ…
CP好きおっしゃってくださって嬉しいです。
コメントありがとうございました。
Re: No title
コメントきえ | URL | 2011-04-04-Mon 07:59 [編集]
らぅら様
おはようございます。

> 虎太、案内板を信じちゃいけません(笑)

ですよね~。信じちゃいけません(゚∀゚)
まぁ凛としては結果オーライなんでしょうが。

> 凛てば暴走しまくってるし。。。
> 早く車中泊したかったんでしょうね( ´艸`)ムププ

こんなチャンスはいつやってくるか分からないってことで走ってます。
釣った魚は逃がさない状態ですね(爆)
未体験な旅行の締めはやっぱりコレでしょう!
コメントありがとうございました。
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