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BLの丘
週末の夜 1 (策略SS)
2009-08-21-Fri  CATEGORY: 策略はどこまでも
こんにちは。『策略はどこまでも』のSSです。
昨日、なっちとヒサの甘々な続編のリクをいただいたので、次のお話が出来上がるまでの繋ぎにちょこちょこっと書いてみました。
甘くなるかどうかは分かりませんが、2、3話で終わると思います。(SSなのに…、不定期更新と思っててください)



金曜日の夜、高柳久志はいつものように桜庭那智の家に転がり込んでいた。
久志は休日が決まっているわけでもなく、那智と揃って週末が休みになることは滅多にあることではなかったが、週末は仕事があろうとなかろうと関係なく那智の家にいるのが当たり前になっている。
リビングにあるソファに寝そべりながらテレビを見ているのだが、肝心の那智はまだ帰宅していない。
今日は得意先との夕食を共にした打ち合わせがあると、昼間のうちに連絡は入っていたから久志もこれといって心配などはしていないつもりだった…。
那智は建設機械を販売する会社の営業職に就いている。客との接待など日常茶飯事で、時には午前様になることもあり、仕事上のこととわかっているだけに、さすがにそこまで久志には口出しをする権限はない。
だが、仕事上、必要不可欠な得意先とのやりとりですら、勤務時間外に繰り広げられる『お食事会』は久志を不快にさせるだけだった。
「…ったく、いつまでほっつき歩ってるんだよ」
見るともなく見ていたテレビ番組が一つ、二つと変わり、夜のニュースに切り替わった頃、久志のイライラは音となって口から零れた。
時計を見れば23時を指している。
週末で、明日が休みと分かっているから深夜まで連れまわされているのだろうか…。適当に理由を付けて引き上げてくればいいのに…。まったく要領が悪いんだから…。バカ正直っていうか…。
などなど、那智の苦労などお構いなしの自分勝手な言い草が久志の脳裏を占めていった。
携帯電話を幾度も手にしながら、コールしてみようかどうしようかと悩む。あくまでも仕事の一環と分かっているだけに自分の我が儘をぶつけるわけにはいかない。さすがにこの時間になれば電話をしてみても大丈夫かなぁ…と何度もディスプレイに『那智』の名前を表示させるのだが、最後の通話ボタンに手がかかることはなかった。

玄関の方でカチャカチャという音が聞こえてきて、ようやくお帰りか、と久志は寝そべっていた体を起こした。
リビングに通じるドアが開くと同時に、小柄な那智の姿が現れる。いまだにキッチリとスーツを着こなしており、一部の崩れもない姿には感心すら覚える。接待主と離れてしまえばネクタイくらい緩めたってよさそうなものなのに…。
「おかえり」
「ただいま。…あ゛―、づがれだぁぁぁ」
那智は久志の姿を認めると同時に、愚痴ともとれないような盛大な溜め息を吐き出しながら、先程まで久志が寝そべっていたソファにボスリと腰を下ろした。
これまで自分の家に帰宅して、会話する相手もいない一人暮らしの生活だったのに、最近は久志が居てくれることに安心感を覚えている。最初の頃こそ、『ただいま』の一言を言うのに抵抗があったのだが、今では自然と口から出てきていた。

隣に座った那智から、フワリと漂うたばこや女の香水の匂いに、チュッと額にキスを落とした久志が怪訝な表情を浮かべた。
「飲んできたの?」
「ん。少しだけ…」
いつもなら続くはずの唇への口付けがいつまでたっても落とされないことに、那智のほうが不安を抱く。
遅くなってしまったことを怒っているのだろうか…。
久志は機嫌の悪さを隠そうともせず、眉間に皺を寄せたまま少し離れたところから那智を見据えていた。
那智の付き合いの広さは承知しているつもりだったが、こうもあからさまに移り香を持ちこまれては、小言の一つや二つも言いたくなる。
「少し、ね。大変だな、営業サンは。それで?綺麗なオネーチャンがいるお店とかにも行ったわけ? どれくらい近くまで寄り添ってもらったらこんなに匂い、付けてくるの?」
久志の指先がパシンと那智の前髪を弾く。那智のことだから単に並んで酒を酌み交わしていただけのこととは分かり切ってはいたが、自分の知らない場所でそんな光景が繰り広げられたこと自体が気に入らない。
久志の棘のある言い方に、さすがの那智も気付いた。過去にも同じようなやりとりをしたことがあったから、久志が何故近づいてこようとしないのか、計るのは容易かった。
「別に、近寄ってなんか…。ごめん、シャワー浴びてくる」
那智は帰宅したままの恰好でいることに戸惑いを覚え、久志の腕をそっと避けるとバスルームに向かおうと立ち上がった。
自分ではあまりよく分からないが、2軒、3軒と店を変えたことを振り返れば、様々な異臭が纏わりついているのは想像がつく。
「飲んでるのに?ぶっ倒れるぞ」
背後で冷たくもある久志の声が響き、それと同時に那智の後を追ってくる気配がした。倒れるほどのアルコール量は摂取していないし、これくらいのことはいつもやっていることだったので、那智も気にしなかったのだが…。
「?」
不思議そうに振り返った那智の背中に手を添えられて、脱衣所の中に強引に連れ込まれる。
久志はニヤリともせず、苛立ちを露わにしたまま、那智のネクタイの結び目に指をかけると一気に引き抜いた。

「何にもなかったか、確認してやる」

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