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BLの丘
策略はどこまでも 50
2009-08-18-Tue  CATEGORY: 策略はどこまでも
那智は顔が火照るほど赤くなっているのが自分でわかった。岩村に何を伝えたのかと、隣でゲホゲホとするだけで声すら出せない久志を睨みつけるのだが、呆れかえったような飯田と室橋の視線と合うと、恥ずかしさにうつむいた。
自分の計画を無下にされた当てつけだろうか。いくらなんだって、この場でそんなことまで話さなくていいのに、と岩村にまで恨み事が募る。
久志が岩村に相談していたから知っている内容なのだと想像はできたが、これでは相談という名の報告だったんじゃないかと疑いすら抱く。

言い訳としていくらだって返す言葉などあって良かったはずなのに、実際に体から奪われたような那智には反論の言葉が咄嗟に出てこなかった。
久志がむせ返りながらも岩村を睨み見るのだが、苦しさで涙目になっていた姿は迫力も何もあったものではなかった。
「お…、ま……ゲホッ…。卓也ぁ…っ!」
「どうせ意味は変わらないだろう?話を聞いた限りじゃ、到底『合意の上』とは言えなかったようだし。ねぇ、なっちー」
口角を上げた岩村が厳しい口調を交えながらも久志を責める。ニッコリとしながら小首をかしげて那智に同意を求めてきた。問いかけられたところで答えられるような内容ではない。

那智は久志の手前もあって、一応小さく首を横に振ろうと思ったのだが、散々悩まされてきた頃のことと、久志が岩村にどう話をしたのかが気になって微動だにできなかった。
飯田が驚いたように那智と久志、岩村の三人にぐるりと視線を回した。
「なんでそんなことになっちゃったの?」
久志の冷たくもある視線が岩村に向かって、『これ以上言うな』と無言の圧力をかけていたが、岩村は動じた様子もなく、フフっと笑みを崩すことはない。
だが一向に岩村からは続く言葉が聞かれず、こんな状態にされて、隣の二人が黙っているわけがなかった。
「さんざん俺たちに協力させておいて、秘密はダメだよ、高柳クン」
室橋が人差し指を久志に振って見せる。飯田もうんうんと頷いていた。
「協力?」
那智は室橋が発した言葉に疑問を持った。

那智は不安になっていった。ここまでの話を聞く限り、自分の知らないところで色々なことが執り行われて過ぎて来たらしい。何も知らなかったのは自分だけかと思えば、自分の無頓着ぶりに呆れもするし恥ずかしさもある。またこれ以上の話を聞くのが怖い部分もあった。
しかし聞き捨てならない言葉が飛び出せば、さすがに那智も黙っていることはできなかった。
「えっ、ちょっ、な…っ?…はぁ?!」
自分の知らない世界が延々と続いているような気がした。
黙り果てた久志が戸惑ったように那智を見ている。たぶん那智には知らせる予定ではなかったことなのだと窺えた。

どんな状況になろうとも、態度の変わらない岩村が恐ろしいくらいだ。
もともと、久志と岩村が顔を合わせれば、嫌味の応酬ともとれないやりとりを繰り広げることが多い。実際二人だけの時がどうなのかは分からないが、人を前にした時はほとんど久志のほうがやり込められていた。
そんな那智と久志の無言の会話を汲み取った岩村が、「もう時効」と言いながら、久志の了解を取ることなく語り出した。

「なっちにだって知る権利はあるよ。あの頃久志ってば自分だけじゃ手が足りないんで、僕や当真たちにもなっちの護衛をさせてたんだよ。注目の的になってること、本人に気付かせればいいのにって思ったけど、久志は『他の奴に気が向くのは嫌だ』とか言って隠し通したし。だからなっちが無防備に振舞ってるのも仕方ないことなのに、気を揉みまくってさ。たちが悪い。正則なんて仕事し始めてからもなっちと色々連絡取り合ってたみたいだし、それとなーく、会社関係の人間のこととか聞いてたようだけどぉ」
那智はまたもや黙るしかなかった。
そんなことを頼む久志も久志だが、協力するこいつらもどうなんだよ…。

そんな話はいいから…、と飯田が先を進めるよう岩村を促した。
「で、何が原因でなっちが襲われることになっちゃったの?」
「襲ってねぇしっ!」
「なっちが他の男に興味を示しちゃったんだよねぇ」
久志の反論を聞くこともなく、口角を上げた岩村の笑みは絶えることがなかった。笑いかけられた那智は顔を引きつらせる。

…いや、だから、その言い方は語弊があるんだって…。

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