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BLの丘
策略はどこまでも 48
2009-08-16-Sun  CATEGORY: 策略はどこまでも
大所帯での宴会は那智たちが着いてから2時間もしないうちにお開きになってしまった。久し振りに出会った人の現状や連絡先など、他愛のない話であっという間に時間が過ぎていった。
帰り際、「また連絡するねー」なんていう社交辞令を交わしながら、それぞれの方向へと向かって歩き出す。いくら仲が良かった同窓生とはいってもそれなりにグループみたいなものがあるわけで…。さすがに次の店にまで他の連中は着いてこようとしなかった。
今日ばかりは二次会でも三次会でもオッケーという岩村に、室橋と飯田を誘って別の店へ行くことを決めた。
那智と久志を含め、この5人は何かと仲が良かったと思う。
飯田は父の経営する建設会社に入ったこともあって、卒業後も那智と頻繁に連絡を交わしていた。仕事上の取引にまでは至らなかったが、那智の属する業界のアレコレを飯田から聞いた部分もあったりする。その辺はさすがに生まれながらにして植え付けられた知識に勝るものはない。

数百メートル歩いた先のこじんまりとした焼き鳥屋。ここも昔よく通ったものだ…。
テーブル席が2つと10席程度のカウンター席しかない店で、運良く空いていた4人掛けのテーブルに無理矢理5人を押しこむ。
「いやー、久し振りだねぇ。また来てくれるなんて嬉しいよ」
接客をする40代後半の女将が追加の椅子を出してくれながらニコニコと笑顔を浮かべた。ふっくらとした体格に白いかっぽう着。カウンターの奥では炭に向かい鶏肉を扱う主人がやはり嬉しそうにこちらを見ていた。
「あんた、覚えてるよー。あんたほどのいい男は早々お目にかかれないからねぇ。それに毎週違う女の子、連れてきたのはあんたくらいだよ」
バシンと逞しい久志の背中を叩きながら豪快に笑った。
「あんたたちもねーぇ。論文とか言いながらうちで飲んでるんだから。まぁったく、よく卒業できたもんだよ」
そう言って室橋と飯田を見比べている。
小さい店とはいいながらも、大学から近いことを思えば、ここには何人という生徒が通ったことだろう。数年の月日が流れているのに、昨日のことのように振り返ってくれる女将がまるで母親のように思えた。
当時は先に有り金を渡し、「この範囲でお願いします」と適当に料理や酒を用意してもらったことを懐かしく振り返る。

「実はね、今度、こいつ、岩村が来年から海外転勤になっちゃって…。ちょうど今日こっちで同窓会を開いた帰りなんです」
那智は女将に責められ言葉を失った面子を無視して、久し振りに立ち寄った理由を述べた。
途端に女将の目が目一杯見開かれる。
「海外?!う、わ、またそりゃ、大変だねぇ。…お父さん、なんか適当に盛り、出してあげてよ」
「え、いいですよ、そんな…」
女将がカウンターの奥に声をかけるのを聞いて、余計なことを言ってしまったかと後悔する那智に、女将はやはり豪快に手を振って見せた。
「いつだって、数年ぶりに顔を出してくれた客にはサービスするんだよ。うちの店を忘れてなかったんだっていうお礼さ」
女将は下手なウィンクを作って見せ、一杯目の乾杯のビールをサービスしてくれた。


話は嫌でも那智と久志のことに振られた。
どうせ岩村が遠くに行ってしまうのだから、そっちの話題にしてくれと那智は内心で思うのだが、3人の興味は自分たちにあったようで、どう振っても元に戻ってしまう。
那智と久志が並んで座り、正面に岩村と室橋、カウンター席を後ろに飯田が収まっていた。

「こんなんだったら、僕の計画なんてなくても良かったんじゃん」
二杯目のビールが届いた頃、溜め息をつきながら岩村が久志を呆れたように睨んでみた。
「計画?」
すかさず室橋が隣の岩村を伺い見る。悪戯気に笑って見せた岩村に、久志は両手を広げて見せ、「それ以上は勘弁…」といった態度をとった。
もちろん、こんな態度を取られて黙っていられる3人(那智、室橋、飯田)ではない。岩村の隣にいた室橋が話に飛びついた。
「はぁ?!何、タカとなっちーがこうなる前になんかしら企ててたってこと?」
「んー、まぁね」
曖昧に濁しそれ以上語らないのは、親友である久志のためか…。
隣の久志を見上げれば、話題に出してしまった岩村を咎めるように眉間に皺を寄せていた。
「何を?」
那智は岩村に話の先を促した。もしここで話が曖昧にされたとして、後で久志に聞こうが絶対に答えてもらえないと踏んだからだ。
室橋と飯田がいれば多少の強気にも出られる。この二人だって、こんな状態で話を濁されて納得できるはずもなく、視線だけは痛く岩村と久志を見比べていた。
岩村は、『どうしよっかなー』と気を持たせたが、久志が諦めたように額に手を当てるとニッコリと笑みを浮かべた。
どうあがいたって追及されるのは目に見えている久志は、それならば岩村から説明させた方が手間がないと踏んだようだ。
「実はさ。今日集めた連中の半分はなっち狙いだったんだよね」

那智は持っていたビールジョッキを落としそうになった。

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