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BLの丘
眼差し 7
2010-12-17-Fri  CATEGORY: 眼差し
最初の雑談をする時間こそ、日野と日野の恋人はいてくれたが、本題に入ると二人は帰ってしまった。
途端に、不安になりはするものの、「こういうのはね、個人情報に関わってくるんだ」と、二人が退いた意味を安住がそっと教えてくれる。
二人を信頼してはいるのだろうが、むやみやたらに聞かせない、またあの二人も聞こうとはしない姿勢に、子供っぽい感情でいる自分に気付かされる。
自分自身で解決しなければならない問題なのだ。
成俊が詳しい話をするのは、また違う部屋へと移動してからのことだった。
応接室といった雰囲気で、ソファとテーブル、いくつかの観葉植物があるだけだ。
ただ、部屋にはしっかりと鍵がかかるようになっていた。
安住が言う”個人情報”の重要性が分かる気がした。
これまでの夫婦生活、資産や負債のアレコレと聞かれて、安住は事細かにメモをとっていた。
成俊も家計は妻に任せっぱなしだったので詳しいことまでは語れない。
おおよそのことしか言えない情けなさに項垂れたが、安住は決して成俊を責めたり貶したりはしなかった。

「もし武田君が嫌でなければ、私の友人を紹介しようかと思っているんだ。同じ弁護士とはいっても得意な分野というのがあってね。今後の人生を決める重要な判断は専門的に扱う人間の方が何かと有利になると思う。私はどちらかというと企業問題ばかりを扱っているからね。私の友人で信頼が置ける人がいるから、そちらに話を通してみてもいいかな?」
どのような流れになるのかなど成俊も未知の世界で、薦められれば首を縦に振るだけだ。
だけど心に引っかかってくることはたくさんある。
「あの、でも…。費用とか、どれくらいかかるんですか?そういうの、全然分からなくて…。何も調べてないし、今日いきなり尚治に言われてここに来ちゃって…」
怖気づく成俊に、安住は宥めてくれるように柔らかな笑みを浮かべた。
「私が彼に依頼をするんだ。君が悩むことじゃないよ」
あっさりと言い放ってくれたが…。
内容を理解するまでにしばしの時間を要した。
弁護士費用の請求は安住にまわり、自分には届かない…ということだろうか。
「え?で、でも俺のことだし…。そんないくらなんでも甘えるわけには…」
「慰謝料、養育費などの問題が片付いてから考えればいいじゃないか。目先のことに囚われて妥協するのは良くないよ。今は自分がいかに安らげて”幸せ”と思える時間を手に入れられるか、そちらを考えたほうがいい。自分に余裕ができれば、自然と他の物事もうまくいくようになる」
たとえ、安住から請求書をもらったとしても、無利子で何年ローンでも組んでくれそうな語りだった。
昨日の日野といい、この安住といい、包んでくれるような温かさに触れて、成俊はまた目頭が熱くなった。
家庭が冷たすぎるだけに、人の温かさを余計に感じる。
成俊は静かに頭を下げた。
情けない顔をこれ以上見られたくなかったのかもしれない…。

応接室を出て、再びリビングのような部屋に戻ると、すでに外は暗くなり始めていた。
あまり早く帰りたくない成俊の心情を気遣ってくれているのか、「新しいコーヒーを淹れてあげるね」と安住が奥にあるキッチン(?)へと身を滑らせる。
いつまでもお邪魔しては申し訳ない気持ちが湧くのに、安住が持つ雰囲気なのか、ここには居心地の良さがあった。
安住は成俊が淋しがらないように、と、色々と話題を振ってくれた。
ほとんどは日野のことに関してで、恋人のことに対しても激しい嫌悪を見せないせいか、安住の口調も柔らかい。
「人には色々な生き様っていうのがある。どれが正しい、なんていうのもないんだよね。武田君にしてみたら日野君のことは青天の霹靂だったのかもしれないけれど、彼が心の底から今の人生を満喫しているのだけは認めてあげてほしいな」
安住の言いたいことは良く分かった。
離婚問題で燻っている自分からしてみれば、たとえ男同士だろうか信頼しあって生きている人間は輝いている。
その充実した空間を否定することなどできるはずがない。
「えぇ。分かっています…」
成俊が静かに応えると、ふわりと人の良い笑みを見せた。

安住はさくさくと成俊がお世話になる弁護士と話をつけてくれたようだ。
やはり相手の弁護士も多忙なようで、すぐに成俊といつ会えるのかを尋ねられた。
仕事が終われば夜は時間が開くし、休みの日であれば、むしろ家に居てくれるな的な態度を取られる。
こういった仕事柄なのか、顧客に合わせての時間に、相手の弁護士も嫌な態度を見せることはなかった。
トントンと話が進むことに些かの不安はあったが、安住の人柄のおかげか、成俊は全てを委ねられる落ち着きを見つけた。

夕暮れの中、すっかり気を許し寛いでいた空間に、客なのか?と思う人が入ってきた。
成俊は咄嗟に、自分の存在が邪魔と思い、帰ろうと腰を上げる。
それをやんわりと安住に制された。
「大丈夫だよ。友人なんだ」
入ってきた男は、スーツを身につけていたが、サラリーマンとは違う体格の良さにどことなく違和感を覚えた。
パッと見た感じだけでも逞しいのが分かるのと、人を値踏みするような視線に、成俊はこれまで出会ったことがない。
「悪いな。来客中だったか」
「話はもう終わったから」
硬直する成俊に構わず、安住は入ってきた男を成俊の隣に座るよう促した。
新しいコーヒーを淹れようと安住がまた奥へと消えていく。
隣に来た男は「すまないね」と口角を上げた。
本人は笑っているつもりなのだろうが、成俊に与えるイメージは硬質なものだ。
「佐貫(さぬき)というものだ。ちょっと享利と話をしたいことがあって寄ってみたんだ」
名刺代わりに、佐貫光也(さぬき みつや)と名乗った男が見せてくれたのは、警察手帳だった。

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お待たせでーす。
週末何もないと思っててください…。

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コメント

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成俊の相手は・・・(・・?
コメントけいったん | URL | 2010-12-17-Fri 12:42 [編集]
安住が 紹介してくれる離婚問題専門の弁護士だと思っているのですが、
此処に佐貫刑事が、登場したって事は...
きえ様、 妄想~妄想~が、止まりませんーー!
佐貫が 刑事職だけで好きな私としては!
(☆▽☆)ゞbyebye☆
Re: 成俊の相手は・・・(・・?
コメントきえ | URL | 2010-12-17-Fri 12:55 [編集]
けいったん様
こんにちは~。

> 安住が 紹介してくれる離婚問題専門の弁護士だと思っているのですが、
> 此処に佐貫刑事が、登場したって事は...
> きえ様、 妄想~妄想~が、止まりませんーー!
> 佐貫が 刑事職だけで好きな私としては!
> (☆▽☆)ゞbyebye☆

えー、(ぽりぽり…)
誰でしょうかね~。お相手ww
なんか、目が輝いてる~っ
そのうち、流れが動き出すかと…思います…(オドオド)
途切れ途切れですみませんね~。
なるべく進めたいと思います。
気長にお付き合いくださいませ
コメントありがとうございました。
管理人のみ閲覧できます
コメント | | 2010-12-17-Fri 17:00 [編集]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
Re: わ、私も!
コメントきえ | URL | 2010-12-17-Fri 17:12 [編集]
レ様
こんばんは。
どうもご一緒したらしいです。

> 成俊の相手は離婚専門弁護士だと思ってたー!
> 佐貫?佐貫なんですか?

弁護士がよかったか~(第二弾って感じ?!)

> >週末何もないと思っててください…。
> ってコトは、来週までお預け?
> うわーん、気になるー!
> きえさん、焦らしプレイだ~(>_<)

すいません、色々と多忙でして…
今日みたいに昼間upできればいいんですけど、週末は書くのにちょっと難しい状態で…
あっちも放ったらかしで読者様には本当にご迷惑をおかけしております。
いろいろ妄想膨らませて、是非お知恵を拝借したいです。
コメントありがとうございました。
きゃぁ~(*´ェ`*)
コメントらぅら | URL | 2010-12-17-Fri 19:35 [編集]
きえさん こんばんはぁ~♪

ここで佐貫さん登場ですか?!
もしかしてお願いしたことがぁ~。。。(違w
そうなるといいなぁ~(人´∇`)

続きが楽しみですぅ~( ´艸`)ムププ
Re: きゃぁ~(*´ェ`*)
コメントきえ | URL | 2010-12-18-Sat 11:38 [編集]
らぅら様
こんにちは~。

> ここで佐貫さん登場ですか?!
> もしかしてお願いしたことがぁ~。。。(違w
> そうなるといいなぁ~(人´∇`)

別宅までらぅら様にお越しいただいてから色々と考えていました。
どうするかはまだこれからですが(←オイ)無事書き終えたいと思います。
皆さん、いろいろとお知恵をくださるので感謝です。
コメントありがとうございました。
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