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BLの丘
眼差し 4
2010-12-13-Mon  CATEGORY: 眼差し
こんな自分を見れば、日野も呆れるだろうかと思った。
いつも親身になって話を聞いてくれていたが、相手を孕ませ結婚をして、だけど結局無理だと投げ出し、更には金まで用意できないという有様。
軽蔑されても文句も出ない。
新しいおしぼりを出してきて、隠すように目元に当ててくれた。
「俺だってそんな立場になったらうろたえるだろうけどさ…。こんな商売していると、色々な繋がりってあるんだよ。成、その話、自分で決めるなよ」
まるで忠告のようだ。
だからといって、日野に何ができるとも思えなかった。
単身で、飄々と店まで構えて、いくら”雇われオーナー”と言ったって、所詮自分と同じ年。
日野が言う『繋がり』など、成俊には想像もできないでいる。
それとも生活レベルを比較したくない抵抗なのだろうか。

今は忘れろ、と言わんばかりに、おかわりのグラスに酒を注いでくれる。
酔って酔い潰れて、現実から逃れたかった。
そんなことで解決される問題ではないのに、何かに縋りたかったのだと思う。
日野ももう、止めはしなかった。
こういった時に、『たまにはハメ外せよ』ととことんまで付き合ってくれるのか、コイツの懐の大きいところだ。
自分には真似できない…。
面倒くさがって相手を拒絶してしまいそうだ。

高校時代の懐かしい話や、日野は今はどうなのか、とか、当たり障りのない会話が続いていく。
多少口籠ることに、特定の相手でもできたのか、と嫌でも分かってしまうが、成俊の現状を思えば口に出し難いのも理解できた。
不幸と幸福は隣り合わせで成り立っているのかもしれない。

喉を焼けつくしそうな酒を、今度はちびちびと飲み始める。
常連が集まる、と以前聞いたように、日野が多少不手際を見せても口を酸っぱくする人間はいなかった。
自分の家では感じられないアットホームさがここには溢れていて、益々家になど帰りたくなくなる成俊だった。

店のドアには小さな音を奏でるカウベルが付いていたから、開閉があるとすぐに日野が反応を示す。
だけど、今入ってきた、スーツこそ着てはいるが、サラリーマンとは違う、少し派手な感じがする男に、日野はこれといって声をかけることもなかった。
常連の扱いもここまでいけば…と、その態度に成俊が眉をひそめる間もなく、入ってきた男は何のためらいもなく日野の傍に寄った。
従業員…というには立場が逆のような気がしなくもない、きっと年上の人間だ。
何気なく目の前の動きを視界に入れていた成俊に、目の前で想像を越えた光景が繰り広げられた。
「ただいま」
「おかえり」
あろうことか、派手目の男は日野に帰りの挨拶をすると、その唇に自分のを軽くではあるが押し当て、スッと奥へと繋がる扉の中に消えていった。
あまりにも自然で、あっという間のことで、一瞬何が起こったのか分からない成俊である。
ここにいる誰もが、その行為を視界の中に入れていておかしくないはずなのに、何も言わない。
気にする自分がおかしいのではないかと思わせるくらいのものだ。
呆然とする成俊に、日野が向けた表情は、「見られちゃったなぁ」という、極めて落ち着いたものだった。

いくら日野自身がゲイバーに勤めていた経歴があったとして、本人がゲイになったとかホモになったとかいう報告は受けていない。
もちろん、そんなこと、言いふらすものではないだろうが…。
…ってか、ここ、”ゲイバー”じゃないんじゃないの?!…
成俊は驚愕のあまり、自分の離婚問題を忘れていた。

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コメント

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コメントきえ | URL | 2010-12-14-Tue 08:16 [編集]
MO様
おはようございます。
お久し振りでーす♪

>なんだか楽しい展開になってきましたね~(不謹慎でしょうか?)。更新を楽しみにしています♪

いえいえ、この展開がないと次に進まないものですから~。
今は辛い成俊ですけれど、きっとこの先明るい未来がまっているよってことで乗り切っていただきたいです。
成俊視点なのでできるだけ日野たちのことは書かないようにしたいです…が、さて(^_^;)
コメントありがとうございました。
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