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BLの丘
【クリスマス企画】 吐息 中編
2010-12-10-Fri  CATEGORY: 『想』―sou―
川岸に寄ってみれば、すでに本日の運行は終了したとのことだ。
ではどうしようか…と悩む美琴に、瑛佑は「少し歩こう」と提案した。
街はどこもイルミネーションで飾られていて、これを見ないほうがもったいない気がしてくる。
そのために来たのに…。
日本にいてこんな風に出掛けたことなどなかったから、何をするのも新鮮だった。
「フランクフルトは商業都市ですからね。今から観光できるようなところもこれといって…」
「いいから、いいから。俺、連れてきてもらっただけでも感謝しているし。美琴さんとこうやって二人きりになれたから不満なんかないって」
髪についた雪を払ってやりながらそっと額にくちづけを落とせば、「もうっ!こんなところでっ」と慌てふためいている。
こんな人ごみの中、気にかける人間なんかいないって。
笑って誤魔化し、はぐれたら困るから、と言い訳をつけてさり気なく手をつなぐと、最初は抵抗していたものの、擦れ違いぶつかる人の多さに諦めたようだった。
日本語を理解できる人間も早々いるわけがなく、堂々と愛の言葉を囁けるのも瑛佑を高揚させた。
…海外旅行ってこんなふうに寄り添って歩けるんだ…、なんかいいなぁ…。

雪の中を歩いて、ショップに入っては土産物を見たりして暖を取る。
民芸品など珍しいものを見つければ解説までしてくれて、何とも頼りになる恋人だ。
大聖堂や教会などを眺めながらホテルへと戻った。
市内の中心部にあるホテルで、キョロキョロとしていたから、もう着いたのか…という感じだった。
部屋はこれまた豪華な造りだった。
荷物を預けるだけにして街に出てしまったものだから、部屋に入るのはこれが初めてだ。
中は広々としていて、大型のソファセットとはまた別に、ミニバーと4人掛けのダイニングテーブルがある。
その奥にベッドルームがあり、これまたデカイベッドが中央に鎮座していた。
「ねぇ、これってさぁ…、まさか『スイート』っていうやつ?」
瑛佑は恐る恐る声に出してみた。
テレビの中でしかお目にかかったことのない空間に迎えられて恐縮し、テキパキと設備などを確認している美琴の落ち着きぶりに感動すら覚えてしまう。
「まぁスイートと言っても色々とありますけれど。社長がそれ以外の部屋を取るわけがないでしょう」
淡々と答えられては何と返したら良いのやら…。
「いつもこんなところに泊まってんの?」
「私は普段は利用しませんが。今回は貴方がいたから、というのもあるのでしょう」
「俺?何で?」
意味が分からなく問い返せば、珍しく口籠る美琴がいた。
困惑するような態度が可愛くもあり、手を止めない美琴の背後に近付いて背中から抱きしめた。
「何?どういうこと?」
心底分からないと疑問の声を上げれば、俄かに顔を赤くした美琴が、そんなことも分からないのか…という視線を向けてくる。
お互い感情を読むのは得意な方だったが、日常とはかけ離れた世界に来てしまったせいだろうか、どこかネジが狂っている気がした。

「貴方が海外は初めてだって言ったからですっ!『どこにも連れて行ってやっていないのか?』って嫌味を頂きましたよっ!」
スッと瑛佑の腕を解いた美琴は、「お風呂、沸かしてきます」とバスルームに逃げて行った。
キョトンと立ち尽くした瑛佑は、ここに辿り着くまでの行動を振り返ってしまった。
社長のお伴とはいえ、本来プライベートな時間なのだから何も美琴が付き合う必要もなく。
今日だってバーでの食事までは形式上、共にしたが、結局あの場で2人、放置されてしまったのだ。
それは美琴がいなくても充分に渡り歩ける世界であることを物語っている。
連れ歩く必要がないのに、連れてきてくれた理由って…。

「美琴さんっ!!まさかこれってハネムーン代わりなのっ?!」
後を追うように瑛佑もバスルームに向かった。
一緒に住むようにはなったが、改めて”新婚旅行”なんて考えたこともない。
社長はわざとあそこで瑛佑と美琴を二人にしてくれたのだと気付いた。
バスルームもまた、広かった。
バスルーム、というか、バスタブが…というべきか…。
「べ、別にそういうわけでは…」
うろたえる姿で充分肯定しているというもの。
驚きは素直に嬉しさに変わっていく。
ジャーッとバスタブにお湯が張られていく音を聞きながら、美琴の正面に立った瑛佑は細い身体を腕の中に抱きこんだ。
美琴は逆らわずに身体を預けてきたが、恥ずかしそうに顔を伏せたため顎先をつまみ上げ、その表情を覗きこむ。
視線は反らされたままだった。
「こんなことまで考えてくれていたんだ。ありがとう」
「…ですから……」
「お風呂、一緒に入ろ」
「ご、ご自分で…」
「だって俺、使い方分からないもん」
「日本と変わらないですよ」
額をくっつけ合わせ、唇が触れる寸前のところで吐息を浴びせながら囁く。
「美琴さんと一緒がいい」
「……」
「ね?」
強引にでも事を進めたい思いを必死で抑え込みながら、願いを口に乗せた。
しばらくの沈黙が続いた後、抱きしめた腕の中から美琴の手が瑛佑の首にまわった。
紙一枚分くらいの唇の距離を縮めたのは、美琴の方だった。

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終わってないΣ(|||▽||| )
こんなことだろうなー、と思ったそこのあなた、ハイ、その通りでした…。
じ、次回こそ終わりに…。
ところでホントのフランクフルトのクリスマスマーケットは22日終了のようです。
こちらもまた嘘を書きましたね、私…∑(゚o゚C=(__;バキッ
下調べせずに勢いで書くからこうなるんです…(反省)
その辺はどうか突っ込まないで流してやってくださいm(_ _;)mスミマセン。

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