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BLの丘
白い色 14
2010-11-01-Mon  CATEGORY: 白い色
一瞬戸惑う美祢に、駆がクスリと笑う。
「無理に誘っているわけじゃないから。それにただの夕ご飯だよ。もし美祢ちゃんが『大翔も一緒がいい』って言うのなら、あいつの都合も聞いてみようか?」
さすがに個人的な誘いに『弟を…』というのもどうかと思うが、緊張感を持たせないための駆の配慮なのだとは分かる。
だが、こんな状況で、大人しく大翔がついてこないのも美祢は承知していた。
たぶん、駆も同じように感づいているのだろう。

「べつに、大翔は…」
「まだ秀樹のことは心の整理がつかない?」
言い淀む美祢の言葉にかぶさるように駆が質問を重ねた。
あれから詳しく北野とのことを聞かれることもなかった。
故意的に避けているのも知っていた。
改めて聞かれたのは、駆との関係を曖昧にし過ぎている美祢への確認に近いのだろうか。

「秀樹さんとのことは、もうあの時からずっと…」
「そう。でもまだ前向きには考えられないっていうところかな?」
「駆くん、あのね…」
「何?」
小首を傾げられて、正面から見つめてくる瞳を、美祢は初めて恥ずかしく感じた。
優しいのは以前からだったが、温かさを含んでいる瞳はまた別格だった。
こうやって過去の男に堕ちていった美祢をまるで知るかのように…。
「駆くんのことは、まだ、正直、自分でも良く分からないけど、…でも、嫌じゃないのは、確かだから…」
今にも消えそうな声でぽつぽつと告げれば、それでいい、と満足したような駆の笑顔が見える。
「ありがとう」
コーヒーの香りが漂う中、駆の唇が美祢の額に降りた。
突然のことに思わず周りを伺ってしまうが、給湯室に入ってくる人の気配はなさそうだった。
何よりキスの一つに、心臓をバクバクさせたのも久しぶりだ。
ポウと赤くなる美祢が唇を尖らせれば、ククッと笑われるだけである。
たまにイタズラを仕掛けてくる『お兄ちゃん』だったと、ふと思い出した。

給湯室を出たところの壁際に背を預けて腕を組み、一部始終を聞いていた菊間は、足音を立てずにその場を立ち去って行った。


ホテルの上層階にあるレストランからは夜景が見下ろせる。
窓際に寄せられたテーブルに向かいあって着き、出てくるフルコースを前に、美祢と駆の話はいつもと変わらなかった。
意識せず過ごせるのは駆の技量なのだろうか。
慣れ親しんだこれまでの雰囲気が持たせるものだからなのか。
こういった席は以前から国分寺家と射水家(美祢んちです)で共にしたことがあったし、北野とも過ごした。
親からも最低限のマナーは教えられていたから恥をかかせない程度の振る舞いはできた。
ワインを注いでもらって会話も楽しむ。
「美祢ちゃん、本当はもっとカジュアルな方がいいんだよね」
「そりゃ、できれば…。駆くんたちと違ってこういうところ、あまり馴染みがないし…」
「俺だってそう頻繁に来るわけじゃないさ。あまり気を使わせるのも嫌だけど。ま、最初って言うことで今夜は許して。今度は美祢ちゃんのエスコートっていうことでどう?」
「そ、そんな、無理っ!僕が行くのなんか、近所の居酒屋とかファミレスくらいで」
「いいんじゃない?俺も好きだよ」
「ホントに?!駆くん、そういうところ、行かないと思ってた」
「おいおい、どんな大臣様だよ。どんなところにでも顔を出すって感じかな」
「それって半分仕事?」
「ま、そんなところもあるかも」
小さく肩を竦められて二人して笑いあう。
自然と肩の力が抜けていくのを美祢は感じていた。

北野ともこうして肩肘を張らずに過ごせたら、また違った未来があったのだろうか、とふと頭を過る。
駆の立場を考えれば、北野とそう変わらないはずなのに、この落ち着きと未来を心配しない違いは何なのだろう。

コース料理を食べ尽し、お腹も満足になったところで、駆が明日の天気でも聞くかのようにそっと口を開いた。
「美祢ちゃん、今日は泊まっていけるの?」

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兄ぃぃぃっ?!\(◎o◎)/!?
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コメント

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No title
コメントmiki | URL | 2010-11-01-Mon 00:42 [編集]
兄ちゃ~~ん\(◎o◎)/ ええっ、いきなりですか。何か全てがイキナリ進み過ぎて何が何やらパニックになりそうです。一体何を思って兄ちゃんは行動しているのでしょう? 続きが気になりますー(>_<)なので更新凄い楽しみにしてます(催促じゃないですよ催促じゃ、多分…)
Re: No title
コメントきえ | URL | 2010-11-01-Mon 07:49 [編集]
miki様
おはようございます。

> 兄ちゃ~~ん\(◎o◎)/ ええっ、いきなりですか。何か全てがイキナリ進み過ぎて何が何やらパニックになりそうです。一体何を思って兄ちゃんは行動しているのでしょう? 続きが気になりますー(>_<)なので更新凄い楽しみにしてます(催促じゃないですよ催促じゃ、多分…)

今回のお話は何もかもが突然湧きあがってますね…。
どうしてそうなっているのかっていう謎ときがないのでパニックになる読者様の心理、分かる気がします。
兄ちゃん、どうしたいんだろう…????
できるだけ切らさないように更新続けていけたらいいです。
コメントありがとうございました。
No title
コメント甲斐 | URL | 2010-11-01-Mon 15:03 [編集]
美祢ちゃんモテモテ!?
というより保護者がいっぱいって気がしなくもない
でも、優しいお兄さんも今夜は別の顔?なのかな

北野のことは早く忘れていい恋をして欲しいと思うけれど
無理したり流されたりしては
"やっぱり違う"と気づいたときにお互い辛い思いをしてしまうから、あんまり急がないほうがいいかもです
Re: No title
コメントきえ | URL | 2010-11-01-Mon 16:31 [編集]
甲斐様
こんにちは。

> 美祢ちゃんモテモテ!?
> というより保護者がいっぱいって気がしなくもない
> でも、優しいお兄さんも今夜は別の顔?なのかな

モテモテっていうよりは保護者がうじゃうじゃですね。間違いなく。
兄ちゃん、どう動くのか、私もただいま考え中でして…(汗)

> 北野のことは早く忘れていい恋をして欲しいと思うけれど
> 無理したり流されたりしては
> "やっぱり違う"と気づいたときにお互い辛い思いをしてしまうから、あんまり急がないほうがいいかもです

北野のことはもう吹っ切れているはずです。
新しい恋に走るのはいいんですけど。
急ぎ過ぎると後が辛くなりますよね。
まさに二の舞を踏みそうで。(三の舞か四の舞か?!)
コメントありがとうございました。
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