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BLの丘
白い色 2
2010-10-20-Wed  CATEGORY: 白い色
美祢が溜め息をついたことを菊間は見逃していなかった。
「ちょっとさぁ。朝から、その辛気臭い顔は何?ヤル気失せるからやめてくんない?」
まるで嫌なものでも見るかのように、横流しの視線が美祢を睨んでくる。
だが、それも表向きのことであって、本心では心配されているのが手に取るように分かった。
年上だからなのか、何かと気に掛けてくれる。
そんな先回りをするような態度は、営業という人間を支えている強さを感じ、美祢もこんな人間になりたいと、目標にする部分を見せられる気分だった。

「べつに…」
そっけなく答えたものの、美祢には溜め息をつきたい理由があった。
もう3年も付き合っている北野秀樹(きたの ひでき)から、ぷっつりと何か切れたように連絡が途絶えた。
すでに2週間が過ぎている。
いや、1週間前に「忙しくなったからしばらく連絡ができない」というメールが入ってはいた。
電話をかけても留守番電話に変わるだけだし、メールを送っても返信はない。
3つ年上の北野が、30歳を越えてから何かと忙しくなったのは知っていた。
初めは同級生であった国分寺の紹介で知りあった人物だ。
北野にも、それなりの地位がある人間だとは、出会った時から耳にしている。
誘われるたび、まさか自分が…と思ったことも何度もあった。
美祢は物心ついた頃から女に興味のない自分を分かっていた。
公言してはいなかったが、気付く者はいるのだ。
男同士の出会いなど限られている。
北野に声をかけられ、戸惑いながら夢のような世界に美祢は堕ちていった。

育った世界が違うからだろうか。
美祢は幾度も『映画の中』のような雰囲気を味わった。
北野のリードは巧みだったし、話題も豊富で美祢を飽きさせなかった。
そこに加えて、身体の相性も良かった…と美祢は思っている。
仕事場が実家からも近いため、一人暮らしをする理由も見つけられず、結婚相手もいなければ当然のように実家から出られない美祢だった。
北野との逢瀬はほとんどがホテルだ。
北野が持つマンションは自己管理の不動産だと教えられたが、連れられて行かれたのは生活感のない部屋で、本当のところ、そこに住んでいるのか美祢は疑問に思ったくらいだ。

でも美祢は信じ続けていた。
過去に聞いた睦言やもらったプレゼントの数々を偽物や遊びと思いたくなかった。
掌を返したようなこの2週間が、とてつもなく重い。

「べつに…っていう態度かよ…。最近、ずっと悩んでいる雰囲気はあったけどさ。今日は一段と酷いぞ」
「そんなこと、ないもん…」
実際、眠れていない。
夜中に、枕元に置いた携帯電話が鳴ったようで幾度も眼が覚める。
だがそれは自分の願望が生んだ呼び出し音で、現実には何の反応もなかった。
寝不足と疲れと…、色々なものが溜まっているのだろうか。
美祢は知らずにもう一度溜め息を零した。
…もう、愛想を尽かされ、捨てられるのだろう…。
なんとなく分かっていた将来のような気がする。
けど、それならそれで、はっきりと伝えてもらった方がすっきりとしたし、思いっきり泣けたような気もした…。
今、『待たされている』状態が、何ともキツイ。

「たまには呑みに行くか?明日は休みだしさ」
菊間に誘われ、その時になって、ずっと心配をかけていたのだと美祢は悟った。
次の日の業務があるから、声をかけるのを控えていたのだろう。
少しでも愚痴を聞いて、何かの相談、アドバイス、もしくははけ口となってやろうという態度に思わず目頭が熱くなる。
振り返れば、目梨のこなす顧客の数に追いつけず、横からフォローを入れてくれたのはいつも菊間だった。
菊間にも東御麻央(とうみ まお)という、まだ若い担当の営業社員がいるのに、いつの間にか目梨の行動まで追っていた。
確かに東御と目梨の扱う顧客数は倍ほどの差がある。
まるで年齢差に引っかけたようだ。

『後輩のくせに…』とちょっと自棄を起こしそうになったことはあったかもしれないけれど、そこはやっぱり『年上』なのだ…と感心した。
教えているようで教えられる。

「言いたければ言えばいいし、言いたくなきゃ黙ればいい。けど、どんなことだって美祢が口にしたことを俺の口から洩れることはないから」
顧客情報を扱う強みにも似ている。
こんな業界、一つの商品を売るのだって、取引相手に価格は変わるし、そんな裏事情をホイホイ晒さない。
一つの糸のほつれがとんでもないことになると分かっているからだ。

「たまには呑んでぐっすり眠りたいかも…」
ぽつりと呟いた台詞で、菊間には美祢が寝不足であることが知れた。
秀麗な顔が少し笑った。
「ああ、眠ればいいさ…」

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キリ番リクもらったことないんですけど。
次、77777です。(いつのまにこんなにお客様が…)
まだ説明部分が続いているかもしれません…。
思い立ったものから書いちゃってすみません。
ポチいただけると嬉しいです。


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コメント

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No title
コメントきえ | URL | 2010-10-20-Wed 22:12 [編集]
MO様
こんばんは。

>美祢には、付き合ってる人がいるんですね。それも相当なステイタスな男のようですね。菊間も、頼もしくて、なかなか良い奴のようですし、タイトルの意味も含めて、今後の展開が楽しみです♪

はい、美祢のお付き合いのある方はそれなりに地位のある方のようです。
社長の息子とも親交は深いですし。
菊間さんの存在もどのように影響していくのでしょうか。
タイトルの意味?!
あー、えーと、あー、うー…。
コメントありがとうございました。
ぐるぐる
コメントさえ | URL | 2010-10-20-Wed 23:18 [編集]
美弥ちゃんぐるぐるしてますね~。
どんな展開になるのでしょうか?
楽しみです。
きえちゃん、またまたひーちゃん達のおやつあげました。
見てくださいな~。
Re: ぐるぐる
コメントきえ | URL | 2010-10-20-Wed 23:30 [編集]
さえちゃん、こんばんは~。
ごいっしょーっ♪

> 美弥ちゃんぐるぐるしてますね~。
> どんな展開になるのでしょうか?
> 楽しみです。

色々と悩む乙女…じゃなくて、青年。
あんまり大したことにはならない予定なんですけどね。
こんなのに期待してもらってありがたいです。

> きえちゃん、またまたひーちゃん達のおやつあげました。
> 見てくださいな~。

子供「「「おやつ~っ!!」」」
日野「黙ってメシ食えっ」

えぇ、取り合っていますよ、たぶん…。
さえちゃん、いつもありがとうです。
コメントも嬉しいです。
間違えた・・・。
コメントさえ | URL | 2010-10-21-Thu 00:14 [編集]
すみません。
名前間違ってました・・・。
美祢ちゃんでした~。ごめんなさい!!
Re: 間違えた・・・。
コメントきえ | URL | 2010-10-21-Thu 00:56 [編集]
さえちゃん
お気になさらず~ぅ。

> すみません。
> 名前間違ってました・・・。
> 美祢ちゃんでした~。ごめんなさい!!

美祢(みね)と美弥(みや)
紛らわしい名前を付けている私が悪いんです。
(ってか、私も全然気付いていなかった…。読み文字って曖昧ですね…)
わざわざありがとうございました。
Re.さえちゃんへ
コメントきえ | URL | 2010-10-21-Thu 10:29 [編集]
ミニコント、別宅に貼りつけてきたからね。
いつもありがとう。
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