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BLの丘
一番近いもの 33
2010-08-27-Fri  CATEGORY: 一番近いもの
大希とはきちんと別れてしまった。
鳥羽は海斗が多少触れられても動じないことに気付いた。
それどころか、少しでも時間がとれれば一緒に寝るようになった。
それは有馬と変わらない『添い寝』だったし、戸惑う海斗に、「それなら一緒に」と有馬まで参入してくる始末。
有馬や鳥羽の、狭い部屋でありながら、床の上にマットレスを敷いて、3人で川の字になって寝るのは奇妙としかいいようがない。
もちろん、何が起こるわけでもない。
有馬は温かい目で見守りながら、隠れて起こしていた行動(鳥羽の前で海斗に触れることはまずなかった)を堂々とするようになった。
その度に有馬と鳥羽が些細な言い争いをするようになり、海斗は宥めることに一生懸命で、気付けば疲れて寝ている…。
弄ばれている…といってしまえばそれまでだが、人に触れられる感触が妙に心地よい。
だから海斗は二人の好きにさせていた…というと語弊があるが、スキンシップを取ってもらうことに違和感がなかった。

鳥羽には明らかに好意を持って接触されているのがわかったが、その真意を確かめるまでには至っていない。
有馬はそんな鳥羽をからかうように、わざとらしく海斗を可愛がってくる。
年下の二人に可愛がられるのもどうかと思うが、海斗自身、居心地の良い中にいることに変わりはなかった。

そうこうするうちに海斗は夏季休暇を迎えた。
会社の休み自体は5日だったが、有給と土日を絡ませて10日の休みを手に入れていた。
多少前後はしていても、みんなが有給休暇を当たり前のように取る会社で、「実家に帰る」と言った海斗に、上司も反対はしなかった。
「親孝行してこいよ」
高校生の娘から相手をされなくなった…という部長を、なんとなく花巻と重ね合わせながら、海斗は「おまんじゅう買ってきます」と社屋を後にした。

有馬と鳥羽には、実家に帰ることをそれとなく伝えてある。
今更、空き巣に入られたところで盗まれるものもなかったし、こんなことでご近所付き合いを有り難く思う日が来るとも思ってもいなかった。
海斗が飛び立つ前の日の夜、「淋しくなっちゃう」と、ほぼ無理矢理鳥羽に連れられて夕食を共にした。
もちろん、有馬もいたし、テーブルの上には相変わらず海斗の好物ばかりが並んでいた。
こんな生活をしていると知ったら、たぶん父は喜ぶだろう。
そう思いながら、ツキンと傷む胸を知る。
なにが、どこから、どうして、そんなことを思うのか全く分かりはしなかったが、二人に囲まれて幸せなのだと、何故か父に伝えたかった。
父は海斗が苦しまずにいてくれればいいという道を、常に望んでいたから…。

とはいえ、どっちつかずの生活と知れば何と言われるのだろう。
今の海斗は鳥羽も有馬も選ぶことはできなかったし、父との関係を越えられない存在だとも気付いていた。

そう、海斗の中で、常に父がトップだったのだ…。


比べるのは卑怯だと思う。
だけど、常に海斗の中では、自分を大事に扱ってくれた父の存在が大き過ぎた。
鳥羽に寄せた想いは、危険を顧みずに突き進んでくれる強さを見出したからだろう。
そうやって、自身を守ってくれる人間に惚れ行くのだと海斗はそれとなく知った。

この夏で、父にあってしまったら、また心境が変わりそうな気配を海斗は感じていた。
ただでさえ、崩れ落ちたこの夏。
再び心は鳥羽の元へ返ってくるのだろうか。
なによりも、鳥羽は海斗を、本当の意味で『受け止めて』くれるのだろうか。

すでに父に縋り始めた心を戒めながら海斗は飛行機に乗った。
約束などないけれど、「待っていてくれる」。
その言葉を胸に置きながら、思ってしまう。
最終的に縋るのは父なのだ…。

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別宅にも書いたのですが週末、留守にします。
予約更新できるほどストックはないので週明けまでまってやってください。
毎日更新できなくてごめんなさい。
待っていてくれる方がいるって、それだけで嬉しいです。
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コメント

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No title
コメント甲斐 | URL | 2010-08-27-Fri 10:21 [編集]
川の字になって寝るだなんてやっぱり親子みたいだな~なんて思っていましたが、帰省ですか
あのお父さんに会いに?
海斗にとってのお父さんの存在はなんとなくわかりましたが、
愛している、一緒にいたい、というのも違う気がする
これからその関係をどうしていきたいのか
知りたいところです
週明けが楽しみです

Re: No title
コメントきえ | URL | 2010-08-27-Fri 12:40 [編集]
甲斐様
こんにちは。

> 川の字になって寝るだなんてやっぱり親子みたいだな~なんて思っていましたが、帰省ですか
> あのお父さんに会いに?

会いに行くみたいです。
お父さんの存在、普通じゃないのは確かなのですが…。
愛ともやっぱり違いますね。
この先どうしちゃうのかな、海斗。
お待たせするようですみません。
コメントありがとうございました。
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