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BLの丘
一番近いもの 32
2010-08-26-Thu  CATEGORY: 一番近いもの
有馬とふたりきりで部屋にいた、というのならまだしも、よりによって一緒に寝ていた所を見られるとは…。
「俺が海斗のこと気に入ってるって知ってて、こういうことするかぁ?!」
鳥羽は今にも有馬に飛びかかりそうだった。
『気に入ってる』って、鳥羽の言うものがどの程度のものなのか、期待と不安が入り混じる。
まさかそんな台詞が鳥羽から吐き出されるとは思ってもいなかった。
身動き一つ取れないでいる海斗とは対照的に、溜め息をついた有馬がスッとベッドを下りた。
落ちつき払った声で鳥羽に説明を始める。
「ゆうべ火傷をさせちゃってさ。落ち込んでいたからそばにいてあげたっていうだけ」
「火傷?!どこっ?!何でっ?!」
海斗から離れていく有馬とは逆に鳥羽がベッドに座りこんできた。
半袖のTシャツでいる海斗の腕に白い包帯があれば、その不自然さに鳥羽の目は嫌でも向けられる。
寝転がったままでいる海斗の手首をクイッと取られて、同時に海斗は鳥羽と視線を合わせてしまった。
怒っているようでありながら心配しているのも一緒に伝わってくる。
怒っているのは、海斗に対してなのか、有馬に対してなのか…。
複雑な思いが渦巻く。

「天ぷらを揚げようとして油が跳ねたんだよ」
「海斗になんでそんなことさせんだよ?!」
「お、俺が悪いのっ。手伝う、なんて言ってウロウロしたから…」
剣呑な雰囲気を漂わせる二人に慌てて言い訳を投じれば、海斗の腕をさすった鳥羽がふくらみに気付いた。
「水膨れ、できちゃったの?」
口が動くのと手が動くのが同時だった。
するすると包帯をほどいている。
様子を確かめるのは有馬も同じようで、二人に覗きこまれてきた。
水疱は一か所とはいえ、他にも赤黒くなっているところが点々とついているのを目にすれば、鳥羽があからさまに有馬を睨み上げていた。
「海斗の肌、白いんだからさー。痕になったらどうすんのっ」
「形成外科でも紹介しようか」
「そんな、大袈裟な…」
たかが火傷、と海斗は、話が大きくなっていくことに瞠目する。
小さい頃から傷を作るような遊びをあまりやらせてもらえなかったから、怪我をしたこともほとんどなかったが、日常の生活で出来た些細な傷跡のことで病院にかかることが想像できなかった。
有馬に処置してもらっただけでも、充分なくらいだと思っている。

鳥羽は再び水疱を保護するようにして包帯を巻きなおした。
それからおもむろに「海斗~ぉ」とぎゅっと抱きしめてきた。
「わっ」
こんなふうに全身でスキンシップをとられるのは久しぶりだった。
「蓮だけズルイ。俺、ずっと我慢してきたのに」
「我慢っ?!」
「我慢って何を?」
海斗が疑問に思うのと同じで、理解に苦しんだ有馬と声が重なる。
「海斗に嫌がられたら困ると思ってあんまり触らないようにしてきたのに、蓮と一緒に寝ているってずるくない?海斗の傷ついた心は俺が癒してあげるから、今日から一緒に寝よ」
「意味がわからない…」
絶句する海斗の代わりに有馬が鳥羽の台詞に頭を抱えた。
どこまで本気で言っているのか…。
二人に同情されている海斗自身、尚更情けなくなってくる。
それでも、鳥羽が何故、このようにギューギューと触れて来なくなったのか、その理由を知れば、海斗と鳥羽の間にあった薄いカーテンのようなものが取り除かれるような気がした。
事の発端は海斗が発した喧嘩越しの台詞にあるのは確かだが、鳥羽にとってあの言葉は海斗に触れるのを躊躇わせるものだったのだ。
自然体でいることができない、それが時々鳥羽が見せた『憂い』に繋がっていたのだろう。
気を使わせていたのは以前から承知していたが、ここまで考えられていたとは気付かなかった。
もちろん、簡単に『ギューギュー』されるのもどうかと思うが…。

「落ち込んだ時は蓮じゃなくて俺を頼ってよ。それとも海斗は蓮のほうがいいの?」
そんなことを聞かれたって、首を縦に頷くことも横に振ることもできるわけがなかった。
海斗にとっては二人とも大事な存在で、比べることなどできない。
たまたま、何かが起きたときに隣にいたのが有馬だったというだけで、鳥羽を頼っていないわけではない……と思う。

久し振りに感じる鳥羽の体温にドキドキしながら、昨夜有馬に抱かれていながら緊張もしなかったことを思い出す。
そして、心に湧きあがるようなそんな想いは、やっぱり過去にしたことがなかった。
顔を赤くした海斗に、有馬が何か気付いたように、それからの3人は奇妙な関係に陥っていった。

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長い旅になってしまった…(汗)もっとさっくりいかせたかったのに…。

キリ番66666踏みそうですねっ!!
今気付いたっ!!
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コメント

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No title
コメント甲斐 | URL | 2010-08-26-Thu 00:45 [編集]
有馬は無償の愛で包んでくれる
お母さんみたいだなーと思っていましたが
そうすると鳥羽はお父さん?

それにしても、鳥羽も我慢してたんですね
むぎゅーっとしたり、いい子いい子したかったんだ
おもちゃの取り合いが始まりそう
だって放っとけない子だものね海斗くんて
なんだか家族みたいでいいな
Re: No title
コメントきえ | URL | 2010-08-26-Thu 06:54 [編集]
甲斐様
おはようございます。

> 有馬は無償の愛で包んでくれる
> お母さんみたいだなーと思っていましたが
> そうすると鳥羽はお父さん?

家族が出来上がった!!
ここはにも手のかかるお子様が……Σ( ̄□ ̄;)

> それにしても、鳥羽も我慢してたんですね
> むぎゅーっとしたり、いい子いい子したかったんだ
> おもちゃの取り合いが始まりそう

触りたいけど嫌われちゃったらいやだしな~。この前も文句言われちゃったしな~。せっかくいい関係に戻れたのにまたヒビいれたくないしな~。
が、鳥羽の心境だったみたいです。
でも先に手を出された(?)っぽい雰囲気に防波堤は決壊しました。
そっかー。海斗はおもちゃかもしれませんね。
コメントありがとうございました。
鳥羽、発進!
コメントけいったん | URL | 2010-08-26-Thu 10:44 [編集]
海斗、鳥羽、有馬で 「トライアングル」な関係って 以前に書きましたが 今回から 『魔』の「トライアングル」って 書いた方が いいのかな?

海斗の 鳥羽に対する トキメキ感、有馬に対する 安心感...どちらも 捨てがたいモノですねー。 
「ニ兎追うものは 一兎得ず」なんて言われてますが、ここは 新しく「ニ兎追うものは ニ兎得る」って言うのは 欲深いですか?

淋しがりやで 甘えん坊の海斗く~ん、どうするの~(*´n`*)...困ったちゃんだね...byebye☆
Re: 鳥羽、発進!
コメントきえ | URL | 2010-08-26-Thu 13:02 [編集]
けいったん様
こんにちは。
発信したかっ?!鳥羽選手。。。

> 海斗、鳥羽、有馬で 「トライアングル」な関係って 以前に書きましたが 今回から 『魔』の「トライアングル」って 書いた方が いいのかな?

トライアングルになるんでしょうか…。なりそうですが…。

> 海斗の 鳥羽に対する トキメキ感、有馬に対する 安心感...どちらも 捨てがたいモノですねー。 
> 「ニ兎追うものは 一兎得ず」なんて言われてますが、ここは 新しく「ニ兎追うものは ニ兎得る」って言うのは 欲深いですか?

捨てがたく、二兎追っているんですけど…。
えーとですねぇ…。

>淋しがりやで 甘えん坊の海斗く~ん、どうするの~(*´n`*)...困ったちゃんだね...byebye☆

淋しがり屋は正しい。
どうする?!海斗?!
コメントありがとうございました。
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