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BLの丘
【観潮楼企画】 ~指先が触れた時~ 6
2010-08-12-Thu  CATEGORY: 観潮楼
この作品は、【観潮楼】「夏―心を焦がす恋―」参加作品です。


ただれたような肉体関係だと思った。
睦から与えられる快楽に身を任せ、夏が終わる…。

大学に戻った途端に、友人に「なんだか艶が増した」と皮肉られ、この夏に何が起こったのかを漠然と知られた。
大学生活の中でも何度か睦との交わりを思い出した。
時折身体が疼くようになってしまって、情けないながらも自己処理をしたことがあった。
終わってみれば、いつも後悔ばかりだ。
いつもどこかで、『子供に翻弄されている』と思っているせいだろうか…。

こんなことを続けていて良いわけがない、と安里は分かり切りながら、翌年も同じ道を踏んだ。
待っていてくれる人間がここにいる…。
それが嬉しさだったのか理想だったのか…。

年下の面倒をみることは嫌いではない。
その延長で睦を受け入れてしまった気持ちはあった。
弟を見るような優しさ、兄を慕うような頼りがい。
睦の感情はどこか間違えているのではないかと、2年の月日を過ごしてさらに強く感じた。
告白を受け入れてから3年目の夏、睦は地元の大学に進学していて、一人暮らしをしているようでも休暇があれば村に戻っていたようだ。
安里も大学生活が最後の年だった。
卒業したら『教師』としての仕事が待っている。
ドタバタと過ごす日々の中、村に居られる日は1週間だけだった。

再会を果たした時、睦は万遍の笑みで安里を迎えた。
年を追うごとに逞しく、包容力を身につけていた睦。
その腕に堕ちていくのが怖い、そう思う感情だけで、安里は睦を拒絶した。
「もう、こんなこと、やめよう…」
睦の部屋の中で告げたことを、最初冗談だと思っていたらしい。
押し倒された腕の中でそっと呟いた言葉を飲みこまれるようにくちづけを落とされる。
目を閉じることもなく、人形にでもなったような無表情な安里に、睦は現実を理解したようだ。
「い、ま、さら…?…っざけんなよっ!!」
安里は未だに自分の気持ちが何なのかが分からない。
睦が欲してくれるような思いが自分の中にあるのだろうか。
漠然と繋がって、身体だけが溺れていった日々。
誰よりも『安里が欲しい』と無我夢中で追い掛けてくる姿に心が揺れ動いてしまった。
もっと…、もっとしっかりしなくてはいけない立場なのに…。
自制心が、たぶん、この言葉を言わせたのだろう…。

「安里?…いやだ…っ!絶対に嫌だっ!!他の奴になんか絶対にやんないっ!!大学なんか辞めて明日からでも安里の傍にいるっ!!」
「馬鹿な事言うなっ!!」
一時の感情で将来を見失わせるわけにはいかなかった。
その台詞を聞いただけでも全身が戦慄く。
睦の気持ちは憧れや理想だけではなかったのか…???
「なんでだよ…、どうして?あともう少しで、安里と並べるのに…っ」
首筋に顔を埋めた睦が悔しそうに呟いた。
自分なんかよりも、ずっともっと早い速度で『大人』になろうとしている睦を感じた。
そう、させたのは、年上の自分だったのか…。

もっとゆっくり、青春時代を過ごしてほしかったと淋しさが心に湧いた。
そしてさらに『想いが分からない』と傷つけたのだ…。
最初からはっきりと告げていればこんなことにはならなかった。

「ごめん…」
逃げるようにして村を去った。
翌年の夏は、仕事についたばかりで忙しいと言い訳を作って村を訪れなかった。

待っている腕がない…。
それを知った時、心の中に消失感が広がっていった。
初めて、睦を好きだったのだと、認めた…。
あの村にいた間、…求められているその間、安里は求愛を受ける形でも”恋”をしていたのだ。

夏恋

なら様より「夏―心を焦がす恋―」をお借りしてきました。
無断転写はご遠慮ください。

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コメント | | 2010-08-12-Thu 17:06 [編集]
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Re: タイトルなし
コメントきえ | URL | 2010-08-12-Thu 18:53 [編集]
K様
こんばんは~。

> “心を焦がす恋”というタイトル通り 安里と睦も そして お話を読んでるこちらまで チリチリと心が焼けつくような気持ちになります。この 後のラブラブ(イチャイチャ?)は 格別だろうな~ と期待しつつ 今のチリチリ感を楽しんでます(*^_^*) このところ忙しくて なかなかコメントも出来てませんが、毎日欠かさず訪問させてもらってます。3つのお話 それぞれに面白くて 楽しませていただいてます。

心を焦がす恋、…あっているんでしょうか…。不安いっぱい。そして、他の作家様が素晴らしすぎて冷汗を毎日かいています。
このあと、らぶいちゃにつなげたいんですけど…、どうも雰囲気はそうではない?!
風呂敷広げすぎたこともちょっと後悔ですが、ついてきてくださる方がいて嬉しいです。
読み逃げ結構です。
どうぞお体にはお気を付けください。
コメントありがとうございました。
No title
コメント甲斐 | URL | 2010-08-13-Fri 00:51 [編集]
年に1度の逢瀬とは七夕並みですね
若いむっちゃんがそれで我慢して
夏の日のひと時のデートを待っているなんて健気ですわ
恋に夢中になれるタイプじゃない安里くんは
苦しんでますね
こんなこといけないって
先生だしね、いろいろ考えますよ
Re: No title
コメントきえ | URL | 2010-08-13-Fri 07:23 [編集]
甲斐様
おはようございます。

> 年に1度の逢瀬とは七夕並みですね
> 若いむっちゃんがそれで我慢して
> 夏の日のひと時のデートを待っているなんて健気ですわ

夏のこの日のために、イケナイお遊びはしていなかった模様です。
だから会えるこの間はひたすら『自分のもの』感覚だったのでしょう。

> 恋に夢中になれるタイプじゃない安里くんは
> 苦しんでますね
> こんなこといけないって
> 先生だしね、いろいろ考えますよ

先生だからね。
中途半端にお付き合いしてしまったことで色々と悩んでいたのだと思います。
生徒を間違った道に導いてはいけない…って感じですか。
コメントありがとうございました。
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