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BLの丘
策略はどこまでも 番外ヒサ編 12
2009-07-25-Sat  CATEGORY: 策略はどこまでも
「高柳さんって、明日出勤なんですか?」
思い出したように滝沢が声を発した。

「まあ、一応。でも黒川部長に戻ってきてから出社すればいいって言われてるから。時間は何時でもいいんじゃない」
研修に参加してさらに一泊してくると伝えると、休みにしてもいいし、出てもいいし…と曖昧な返事がきた。確かに忙しい時期ではあるが、日々誰かしら休みになっている事務所で、一人くらいいなくても支障はない。
ただ、久志は当初、今週末が連休だったので、どうしてもそれを確保したかったところはあった。
今回の研修で翌日を休みにするとすれば、週末の連休をフイにする。一か月に取れる公休日数は決まっているので、その間であれば自由がきくとはいっても、土日に連休が回ってくることなど、滅多にありえることではない。
平日の昼間に多少の無理を強いられたとしても、週末の連休だけはどうしても確保したかった。
滝沢は単純にこれだけ飲んでいるので明日は休日なのかと思ったのだが、出社すると聞いてますます驚いていた。いくら出勤時間が決まっていないとはいえ、遅くても午後には顔を出さないとならないだろうし、移動時間を考えればここでのんびり昼を迎えられるはずがない。

「滝沢はどうなの?」
と久志が問いかければ、「自分は休みにしてもらったので」と小さな声で答えた。
物流部の部長が気をまわしてくれたことが窺える。滝沢が一泊するしないに関係なく、あの人はそうしただろう。
「そっかー、良かったな。あんな研修の後じゃ、次の日仕事っていうのも嫌になるよな」
「高柳さんも休みにしてもらえたんじゃないんですか?」
研修が、ある種の『特別講義』みたいな扱いを受けているので、これまでに研修に参加した物流部の連中も、今の滝沢と変わりのない「次の日はお休み」となっていたはずだ。次の日に出勤するという久志には違和感があったのだろう。疑問の意味は久志にも理解できた。
「そうなんだけど。でも次の休み、とりたかったんだ」
「それって、彼女のためですか?」
一か月の休日予定が前もって出されるのはどこの部も同じことで、『変更したくない』と含ませられた言葉にはすでに予定があることなのだと滝沢にも読むことができる。

唐突に尋ねてしまったことにも久志は嫌な素振りを見せなかった。
「まあ…ね」
曖昧にしか返せなかったのは、滝沢の言うことが間違いだったからだ。恋人未満であっても、『彼女』には成り得ない。

「きっと喜んでいますね、彼女。高柳さんにそれほど思われてるって。今日、『片思い』なんて言ってたけど、たぶん、絶対違うと思いますよ。高柳さんに想われて逆に戸惑っちゃってるんじゃないですか。自分には自信ないとかって」
滝沢は無邪気に語った。

久志は心臓に針を刺された気分だった。人の感情を他人から聞いたことはあっても真剣に耳を傾けたことなどなかったが、もし当てはまるなら…と思う。
確かに久志は、意識しなくても色々な人に囲まれていたし、それにちょっかいを出すこともしょっちゅうだった。友人として共に居た那智はどんな奴と付き合っていたのかを知っている。
滝沢の言葉を借りて、「自信がない」と思っているとしたなら、今まで久志と関係のあった人間と比べているということだろうか。
どこの誰に手を出そうが、何一つ文句も言わなかったのは……那智だけだ。だから余計にムカついた。自分の節操無い行動を止めてほしいと願う部分があったのに一言だって聞いたことはない。嫉妬すらしてもらえないのかと、手が伸びる先は数えきれなかった。付き合った全てを那智が比べていて、誰よりも自分が劣っていると那智に思わせていたのなら…。

「たぶん、あいつはそんなこと…」
言いかけた言葉は途中で切れる。
『自信がない…?』
本人が気付いているかはどうであれ、那智を囲む人気は相当なものだった。男女構わず近づこうとした人間は多数に及ぶ。
誰をも魅了するようなベビーフェイス。人を疑うことのない純真な性格。
那智がどのような人間を好むのかなど聞いたことなどなかったが、近づいてくる数を思えば、自信がないと言えるような存在ではなかったはずだ。
少なくとも久志が慌てるほどの魅力は十分に備えていた。

「男って馬鹿な生き物なんだって、前にテレビでやってましたよ。女性に比べて単細胞らしいです。でもあまり認めたくないですよね~。あぁ、でも高柳さんはきっと違いますよね。何でもスマートにこなしてそうですし」
滝沢の言葉はどこか遠くを飛んで行った。『単細胞』という言葉が似合うならたぶん自分だろう。思ったままに行動し、人の気持ちなど言われるまで気にしない。
那智の脅え隠し認めようとしない感情がどこか引っかかっている久志には今の滝沢の言葉は重かった。だからといって確認できるのは今ではない。
ゆっくりと酒を呷りながら静かに思いを巡らせる。
たあいのない会話を綴り、したたかに酔った素振りを見せると、久志は滝沢が転がっていたベッドの端っこに身を滑らせた。端っことはいえ、しっかり半分を占領していたけど。
夜の帳が下り、滝沢の言いも知れぬ安堵の寝息を聞いた頃、ようやく久志も深い眠りに落ちた。

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なーぁんも進展がないので2部投稿にしておきます。
つまらないですよねぇ…。えぇ私も進展がなくてつまらないです。
まだなっちはヒサに転がり込んできそうにないので、とりあえず目の前の滝沢くんあたり、喰っときますか。
(いや、だめだろっ。)

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コメント

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妄想・・・
コメントメグミ | URL | 2009-07-25-Sat 13:49 [編集]
ふぅ~
長い夜が明けそうですねv-218
滝沢くん食っとくかv-219
に私の妄想が反応しちゃいました・・・

酔って寝てるヒサに・・・滝沢くんがちょっかい・・・
v-8
管理人のみ閲覧できます
コメント | | 2009-07-25-Sat 15:43 [編集]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
Re: 妄想・・・
コメントきえ | URL | 2009-07-26-Sun 10:14 [編集]
メグミ様

こんにちは。
レスが遅くなりすみません。
こちらにまとめて書かせていただきますね。


> 長い夜が明けそうですねv-218
ようやく…眠りについてくれました。
何をだらだらと話していたんだか…って感じですよ。

> 酔って寝てるヒサに・・・滝沢くんがちょっかい・・・
> v-8
うーん、どうしましょ。
まだ悩んでいたりします。
最初書いていたものと、だいぶ話が違ってきちゃって、すっかり別のストーリーとなってしまいました。
だって、ヒサが勝手に一人歩きを始めちゃって…汗
おかげでストックが切れちゃって投稿が間に合うかって冷や汗ものです。

また遊びにいらしてください。
私もお邪魔させていただきますね。
コメありがとうございました。
Re: タイトルなし
コメントきえ | URL | 2009-07-26-Sun 10:33 [編集]
Y様

こんにちは。ようこそいらっしゃいました。
レス遅くなりすみません。

> ヒサ君かわいい那智君さしおいておイタしちゃうんですか~?那智君そんなおバカな男やめて安住さんとひっついたらいいのに~、と妄想中(^^ゞ
那智ってばこんな男の何がいいんだか…と私も最近思い始めました(笑)
安住のほうが断然包容力を持っているだろうし可愛がってくれそうですよね。
那智も色々な人を見たらいいのだと思います。

また遊びにきてくださいね。
コメありがとうございました。

名無し様
コメントきえ | URL | 2009-07-26-Sun 11:34 [編集]
こちらではないところにコメントを残してくださった方。
お返事が遅くなって申し訳ございません。

>ヒサには自分の過去の行動振り返って反省して欲しいよ^_^;
反省させたいですね~。
いくらヒサには理由があったとしても、良くない出来事ですし。
これでは益々那智との溝が深まるばかりです。

さて、どうなることやら…

コメントいただきありがとうございました。
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