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BLの丘
想―sou― 一夜物語 18 (一応最終話)
2010-06-27-Sun  CATEGORY: 『想』―sou―
「嫉妬の挙句に襲われちゃった?」
「たける~っ!!!!」(まだ生きていたんだ、神戸…)
神戸の言葉に、トマトのように真っ赤に熟れきった那智が俯けば、何故か一葉も赤くなる。
自ら口にした『いきなり怒りだして…』の続きにくることは神戸なら簡単に想像できたと言わんばかりだ。

千城がフッと笑った。
「好きな人が違う男の傍にいると知れば当然イケると思ったんだよな?耐えていた月日はなんだったんだろうとか」
「社長、それを言ったら安住弁護士に失礼ですよ」
「何もないのは分かっていましたけど、俺にとってはいい”きっかけ”でしたよ。那智に改めて聞くこともできたし」
「ヒサぁぁぁぁぁ」
もう充分余計なことを口走っていると、那智は悲鳴を上げ、高柳のポロシャツを掴んでいた。
『改めて聞いた答え』が、現状であるわけで…。

英人がキョトンとしながら高柳と那智を見返した。
「でもよく、その場で判断できたね。那智君にも燻っていた…とかいろいろあったの?」
後半の質問は那智に向けてなんだろうか。
もちろん固まっていたのは那智で。
だけど質問者が『社長夫人』なら答えなければならないのだろうか…。

答えに窮する那智に変わって高柳が神妙な面持ちで口を開いた。
「学生時代に、ちょっと…。人に…、…那智、すごく嫌がって…俺にも近付かなくて、…そこで、『だめだ』って俺が勝手に判断して…。で、ずっと黙ったままだったんですけど…」
「あ、ごめ…ん…」
聞いてはいけないことを聞いてしまった…と英人は咄嗟に謝った。
そんな英人を千城が抱える。
那智は気丈にも「でもヒサに助けられたから…」と静かに答えた。
寄り添うのはもちろん愛しい相手だ。
これは一葉も初耳だった。
那智ほどの人間なら、多少の誘いはあっただろうとは思っていても、襲われることになるなど想像の範囲を越えていた。
重苦しい雰囲気になるところを、高柳がわざとなのか、安住をちらっと見た。
「だから余計安住さんには感謝しています。影ながら見守っていくんじゃなくて、正面から守っていけるようにしてくれたから」

硬い表情を浮かべていた安住も真実を聞けば頬を弛めた。
「たとえ誤解が生んだことでも、こうして皆が幸せになれる状況になれたとは心から嬉しいと思うよ。高柳君がさくらちゃんを想うように、僕にはもう一葉しか見えないからね。全てを預けてくれるこの子を本当に愛しいと思っている」
「きょ……きょ…」
突然のことに瞠目する一葉から言葉など出るわけがなかった。
人前で告げられる告白は『誓約』にも似ていると少し思う。
とても恥ずかしかったけど、心の中に広がる”幸福感”は、今まで以上に安住を愛していけばいいという自信につながった。
疑うことなく、どこまでも信じていけばいいのだと…。

英人が安住を見上げた。
「安住さんの考え方って素晴らしいですね。『皆が幸せに』…って。ちょっとした諍いとかでぎすぎすするこの世の中なのに」
「だからかな。僕が扱う件は全て『争い』だからね。ほんのちょっとの思いやりで避けられることも多い。だけどそこには人の欲とか憎悪とかがひしめき合っている。全てが同じ環境で育っているわけではないし、各個人の性格や暮らしとか、会社には存続するため、生きていくために譲れないものがたくさんある。そんな中で『幸せだ』と思って生きていける人がいるのを見るのは、僕の幸せに近いのかもしれない」
ここに見える全ての顔を見まわしてから、笑みを絶やさない安住は最後に一葉を見てその頬をひと撫でした。

そしてそれぞれの恋人同士が、互いに瞳を合わせていた。

このお店には、素直な心を引き出してくれる魔法の薬がいっぱいあった。
自然と人と触れあえる空間。
疲れた時に元気をくれる栄養ドリンクだったり、傷ついた心に貼ってくれる絆創膏だったり、へんな虫につかれないための殺虫剤とか。
それのどれもこれもが、愛しい人へと向かわせる。
だけど一番の薬は、ここに訪れる『恋人』なのだろう。

相手を想い、慈しみ、愛おしさを増すお店。

『想―sou―』

お気に入りは…。
そう。このお店…。

―完―

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おまけ。(私の脳内は3人が同じ制服を着た園児なんですけど…。3人って…えぇ、冒頭3人…。)
一葉と那智に向かって英人から。
英人「ねぇねぇ、こんどみんなでヤギ牧場に行こうよ。あそこ、楽しいよ」
一葉「でもヤギなんてあったこともないし…」
那智「お、俺も、…俺なんかが…」
千城「是非英人につきあってやってくれ」
那智「は、はい…」
英人「なんだか遠足いくみたいでたのし~ぃ」
神戸「ショウ、一緒についていってあげなよ」
日野「引率のセンセかよっ」
安住「君がいれば安心だね」
宮原「あ、俺も行く♪」
野崎「あなたはダメですっ!!」
神戸「凄い嫉妬だね…」
千城「そりゃ、これだけの面子が集まればな…」
ヒサ「俺、何?配達員なの?」
那智「だってヒサそういう仕事じゃん」
ヒサ「運ぶのは荷物であって人間ではないんですけど…」
千城「3人に『取扱注意』と『壊れ物』、『接触禁止』のシールを一枚ずつ貼っておけ」
ヒサ(ボソ)「っていうか、みなさん、ついてきた方がいいんじゃないんですか…????(26歳、ウロウロ族を一人では見きれないらしい)」
「「「!!!!」」」
千城「野崎、観光バスの手配だ」
野崎「しゃちょ…」
英人「わー、ほんとの遠足だ~っ」
一葉「おやつ、いくらまでとかあるの?」(なんて庶民な一葉…)
那智「バナナはどっち?」
神戸「挿れるとかいれないとか?」
日野「たけっ…っ!!!!」(バキッ!!)
一葉「おやつ…でいいのかなぁ」
野崎「はい。どちらでも。バナナはお好きなお時間にお召しあがりいただいて結構です。…(野原でも草陰でも…えっ?!)」
安住「一葉、お弁当は作ってあげるからね」
一葉「あ、ありがとう、ございます…」
宮原「俺も愛妻弁当がほしい」
野崎「……(手配はしても行く気はないらしい)」
安住「では宮原さんの分も…」
野崎「いえ、作りますっ!!安住弁護士のお手間を取らせるわけにはっ!!(出勤確定)」
神戸(ボソ)「ほんと、嫉妬心丸出しだね…」
日野「いいじゃん。全員集合ってことで」

会話だけで一話できる…(ってか読者様、楽しまれたのかしら????)
書いていたらエンドレスでした…。まずい…終わんない…。(え、まだ聞きたい?!ヤギ牧場…)
(明日、また自宅編をあげます)
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コメント

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コメント | | 2010-06-27-Sun 00:27 [編集]
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No title
コメントmiki | URL | 2010-06-27-Sun 01:32 [編集]
こんばんは、またまたコメさせてもらいます。
ヤギ牧場編ぜひ見たいです!このメンバー楽しすぎます(*^_^*) 26歳ウロウロ組が好き勝手にやって恋人がそれぞれのパートナーの面倒(?)をみたりとか、いっそ牧場貸し切っちゃえとか。また勝手に妄想が繰り広げられてます。スイマセン、楽しくてついついテンション上がって…
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コメント | | 2010-06-27-Sun 02:02 [編集]
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コメント | | 2010-06-27-Sun 02:15 [編集]
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Re: はじめまして
コメントきえ | URL | 2010-06-27-Sun 06:14 [編集]
s様
おはようございます。
ようこそいらっしゃいませ。

> このメンバー大好きです。
> ぜひ、観光バスで行く「ヤギさんツアー」をお願いします。

「ヤギさんツアー」
珍道中でしょうね。
おとぼけな園児が3人。
また予想外の行動をとったりするんでしょうか。
コメントありがとうございました。
Re: No title
コメントきえ | URL | 2010-06-27-Sun 06:21 [編集]
miki様
おはようございます。

> ヤギ牧場編ぜひ見たいです!このメンバー楽しすぎます(*^_^*) 26歳ウロウロ組が好き勝手にやって恋人がそれぞれのパートナーの面倒(?)をみたりとか、いっそ牧場貸し切っちゃえとか。また勝手に妄想が繰り広げられてます。スイマセン、楽しくてついついテンション上がって…

私の頭の中も妄想激しく、なにやらあれこれと浮かんでいます。
もうただのギャグですけどね。
ヤギ牧場貸切か~。
気が付いたらヤギに乗っちゃってたりとかするんでしょ、ひーちゃん。
一葉は「カメ持ってきちゃった」とか『おさわりコーナー』から連れてきて日野に怒られているんでしょ。
ポケットの中身まで食べられている那智だったり。
えぇ、もう私の中ではすっかり園児の3人なんです。
コメントありがとうございました。
Re: No title
コメントきえ | URL | 2010-06-27-Sun 06:28 [編集]
ら様
おはようございます。

> こんばんわ^^
> 最後は安住さんの言葉で締まりましたね。
> 流石パパ( ´艸`)

安住、まとめますね~。
一番できる大人ですね。

> おまけの会話をPCの前で一人ニヤニヤしながら
> 読んでました。(笑)
> ヤギ牧場編ぜひ読みたいです!!
> みんなでお弁当持ってピクニック♪
> 一葉となっちとひーちゃんは保育園(幼稚園?)の制服着てって勝手に妄想しちゃってます。。。(笑)

おまけの文を思いついたら、あっちのほうがノリノリで書いていましたね。
今までのタラタラと進んできたバーの中身はなんだったんだろうっていうくらい。
お友達になってしまえば、26歳には見えないトリオの完成ですか。
もう、思いっきり園児ですけど…。
でも全員が仲良くなったみたいだし。
野崎も変に気張らず、本能のまま楽しめばいいのにね。
そこは瑛佑君に引っ張り出してもらいましょうか。
コメントありがとうございました。
Re: 最終回おめでとうございます
コメントきえ | URL | 2010-06-27-Sun 06:31 [編集]
K様
おはようございます。

> どんな場面に直面しても 誠実で大人な安住さんでしたね。ウロウロ組さんの 『ヤギ牧場』遠足 またまた楽しくなりそうで… てるてる坊主作らなくては。おっと、その前に自宅編ですよね。待ってました!バーで 他のカップルに刺激されまくり、自宅ではどんなことになってるやら。。。

ヤギ牧場を出す前に自宅編だろ…と後で思いました。
でもみんなで会っている場所っていうことでいいのかな。
てるてる坊主、そうですね、雨では3人が泣いちゃいます。
パパたちはまた宥めるのが大変ですからね。
お家に帰ってどんな会話があるのか。(って大したものは書いてないですよ)
コメントありがとうございました。
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コメント | | 2010-06-27-Sun 15:56 [編集]
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Re: No title
コメントきえ | URL | 2010-06-27-Sun 17:15 [編集]
レ様
こんにちは。
以前はお返事も書けずにすみませんでした。

> 「やぎさんツアー」読みたいです。
> 26歳の園児達・・・かわいいwww
> そのときはぜひ龍太と雅臣にツアコンで同乗させてください。
> これでホントの『全員集合』ですよね?
> 妄想がふくらみますw

ツアーには添乗員まで!!
壮大なツアーになりますね…。
雅臣も園児の部類に入りそうだけど…
甲斐甲斐しくお世話されてますからね。
「ヤギさんツアー」、実行しないと大変なことになりそうです。
いっぱい妄想しておきます。
コメントありがとうございました。
終わっちゃった(;_;)
コメントさえ | URL | 2010-06-27-Sun 23:28 [編集]
きえ様、こんばんは~☆彡
とうとう一夜の出来事が終わってしまいましたね~。
足元から覗かせていただきました~。色んなものが…(*/ω\*)
次はお家編と遠足編ですね♪
こちらも楽しみです。
No title
コメントきえ | URL | 2010-06-28-Mon 00:17 [編集]
m様
こんばんは~。

>今度は、みんなで遠足の風景が、見れるんでしょうか???楽しみです(⌒~⌒)ニンマリ

遠足、見られるでしょうか…。
園児3人にとっては本当に遠足ですね。
っていうか、私の脳内が壊れているんじゃないか…って感じです。
コメントありがとうございました。
Re: 終わっちゃった(;_;)
コメントきえ | URL | 2010-06-28-Mon 00:21 [編集]
さえ様
こんばんは~。

> とうとう一夜の出来事が終わってしまいましたね~。
> 足元から覗かせていただきました~。色んなものが…(*/ω\*)
> 次はお家編と遠足編ですね♪
> こちらも楽しみです。

とうとう、というべきかやっと…というべきか。
でも結構ノリノリで書いていた部分もあったんですよ。
良いリクエストをいただきましたm(__)m
カウンター下なんていうところにご招待で申し訳なかったですね。
今度こそカウンターの上で小躍りを披露してくださいませ。
コメントありがとうございました。
内緒拍手コメ と様
コメントたつみきえ | URL | 2012-02-06-Mon 10:43 [編集]
拍手コメント と様
こんにちは~。
あちこちに拍手コメントを残してくださったのに、こちらから一件のレスで失礼いたしますm(__)m
でも各話しごとに一言でもいただけて嬉しかったです♪

>全員集合スッゴく楽しいです。なんか点がつながった感じだし。たくさん今までも楽しませて頂いてますが、ここまで読ませて頂いたからこその、繋がりがたのし~!です。

自分でも良くまぁここまで話を繋げたものだ…と感心するやらあきれるやらの作品になりました。
あちこち読まなければ意味が通じないような話で読者様にはご迷惑な話でもあったかもしれませんが、こんなふうに楽しんでいただけたと知ることができると、より嬉しさが増します。
ここから園児室やPTA総会、はたまた最強ママまで出てきて話の幅が広がっていきますが、面白かったとおっしゃっていただいて書いた甲斐がありました。
それにしても…最初のコメントから数時間に渡っての時間経過を見て驚きました。
こんなにも読んでいただけて感無量です。
是非また遊びに来てくださいね。
コメントありがとうございました。
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