FC2ブログ
ご訪問いただきありがとうございます。大人の女性向け、オリジナルのBL小説を書いています。興味のない方、18歳未満の方はご遠慮ください。
BLの丘
ちょうどいいサイズ 35
2010-05-05-Wed  CATEGORY: ちょうどいい
早鐘のような鼓動に悩める問題。
頭を抱えたくなることに気付いて焦りはしたのだが、結局ベッドに入ってしまえば襲ってくる睡魔に勝てず、眠ってしまったのだから現金なものだ。しかも爆睡。
安住がお酒を飲ませたのは、一葉の緊張感を解すためと心地よい睡眠を取れるようにとの心遣いだったのだとも気付く。

寝起きの自分を見られるのもやっぱり恥ずかしい。
頭はボサボサだろうし、よだれの痕とかもありそうだ。
そっとドアを開けて、安住の姿が見えないことに安心し、先に洗面所へ行って顔を洗い身支度を整えてからリビングに行こうと、起きたことがばれないように抜き足差し脚忍び足で廊下を移動し洗面所のドアを開けた。
安住は朝食の準備でキッチンにいるものだと思い込んでいたのだ。
ドアを開けた途端、飛び込んできた光景は想像していなかったもので、一葉は目を反らすことも出来ずに固まった。
「わっ!」
「あ、おはよう。起きたんだね」
部屋着ともいっていいイージーパンツを穿いただけの安住が爽やかな笑顔で一葉を迎えた。
シャワーでも浴びていたのか、肌はまだ湿っているようだったし、髪も濡れている。
初めて見る安住の身体には適度な締まった筋肉が付いていて、自分の貧相なものと比べれば雲泥の差がある。
身長もあるから余計に逞しく見えた。
これまで、一葉を寛がせるために、一葉はバスルームに放り込まれたことがあっても安住は部屋着に着替える程度で湯上りの姿を見たのは昨夜が初めてだった。
普段とは異なる甘さを含んだ濡れ髪に昨夜も少々戸惑ったところはあったが、朝日の中で見る安住はまた一段と神々しい感じがした。
…が、そんな悠長に観察していられる余裕は一葉にはない。

「ご、ごごごこごめんなさいっ!!」
みるみるうちに顔が火照っていく。
一葉は自分がどういう動きをしたらいいのかも頭に思い浮かばず、ただ視線を外すのが精一杯だった。
俯いてしまった一葉に、目元を和らげた安住の優しい声が響いた。
「顔を洗うの?シャワーを使うの?すぐあくからね」
そう言われて、一葉が立ちすくんでいたことは安住を急がせているのだと気付いた。
「あ、だ、だ、だい、大丈夫です。へ、部屋にいますからっ」
「一葉ちゃん」
安住が止めるのも聞かず、踵を返した一葉は来た時とは打って変わってパタパタと音を立てて走るようにその場を去った。
バタンッと部屋のドアを閉め、ベッドの中に飛び込んだ。

…ひえぇぇ~…
覗きにでも入ってしまった気分だ。
次にどんな顔をして安住に会えばいいのか全く思い浮かばない。
ノックもしないで開けてしまった一葉をどんな風に思われただろう。
二人で住む以上、相手の姿が見えなければ、全てに確認が必要なのだと初っ端から教えられたようだ。
一葉は酷く反省したが、やってしまったことはもう取り返しがつかない。
そして脳裏に焼き付いてしまった、安住のセミヌード。

しばらくするとコンコンと部屋のドアをノックする音が響いた。
「ひゃっ」
安住が部屋に近づいてくる音すら聞き逃していて、突然聞こえたノックに変な声が喉からこぼれた。
頭から布団を被って蹲っているとしたって、物音は着実に伝わる。
「一葉ちゃん。朝ごはんの用意をして待っているからね」
扉の外で呼びかけられた声はいつものものだったし、不機嫌でも怒っているようでもなさそうだ。
リビングのドアがパタンと閉まる音が静かに聞こえた。
『待っている』と呼ばれたところで顔は合わせづらいし、かといってこのまま潜り込んでいるわけにもいかない。
こんな時中條なら強引にでも布団を剥がして連れて行くのだろうが、そんなことを安住がするわけもなく、いつまでも待たせることになるのだろうか。

一葉はグズグズと沈む気持ちをなんとか奮い立たせて、洗面所に向かった。
冷たい水で顔でも洗ってスッキリしたいところだが、鏡に映った自分の顔はまだ赤かったし、動揺しているのが端からでもよく分かる。
ただ唯一、沈着冷静な安住の態度だけが救いのような気がした。
きっと安住はこれしきのこと、気にしていないのだろう。
自分だけがジタバタしていることが、尚更、免疫も何もない『ガキんちょ』だと言われているようだった。

にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村

拍手コメA様
ものすごく遅くなりましたが一葉大好きっておっしゃってくださって感謝です。
拍手コメでもなんだか違うところにあったようで…。
気付かなくてすみません。
(本当に機械音痴m(__)m)
見つけられて良かったです。
不定期更新、申し訳ないです。

あと別宅もあります。
関連記事
トラックバック0 コメント5
コメント

管理者にだけ表示を許可する
 
ガキんちょ
コメント甲斐 | URL | 2010-05-05-Wed 14:12 [編集]
片思いの相手の半裸をうっかり見てしまった女の子の反応ですね。
どうしよーとパニクって焦る様子が可愛すぎ。
そこへなんでもないような顔して、待ってるなんて言う安住さんの余裕なところがちょっと憎らしいかも。

でもこんなに緊張したり焦りまくる日常じゃあ、落ち着かないし生活しづらくないか?一葉ちゃん。
何とかしないと、でもどうやって・・・?
Re: ガキんちょ
コメントきえ | URL | 2010-05-05-Wed 16:10 [編集]
甲斐様
こちらにもどうもです。

> 片思いの相手の半裸をうっかり見てしまった女の子の反応ですね。
> どうしよーとパニクって焦る様子が可愛すぎ。

親が疲れております…。
こんなウブな世界は思いだせないから…。

> でもこんなに緊張したり焦りまくる日常じゃあ、落ち着かないし生活しづらくないか?一葉ちゃん。
> 何とかしないと、でもどうやって・・・?

とにかく免疫をつけてくださいって安住に頼んでおります。
これまでの"非日常"が"日常"になればいいんですよ。
そんな簡単に言うなよ~って感じですけど。
セミヌードの次はどこを見せるんだろうか…見られるんだろうか。(つーか、見られてるし)

コメントありがとうございました。
コメントhitomi | URL | 2010-05-06-Thu 00:31 [編集]
はじめまして。一葉ちゃん、とっても好きです。
いつも楽しみにしています。
また、読みにきますね。
Re: タイトルなし
コメントきえ | URL | 2010-05-06-Thu 09:14 [編集]
hitomi様
こんにちは。ようこそいらっしゃいました。

一葉を気にいってくださっているようで嬉しいです。
一応努力はする子なんですけど、いまいち認められない、というかちょっと足りない…というか。
いつまでもドンクサな子なんですけど。

> いつも楽しみにしています。
> また、読みにきますね。
こんな駄文、お目汚しにしかならないのに楽しんでくださっていますかぁ。
心より感謝です。
コメントありがとうございました。
コメントきえ | URL | 2010-05-06-Thu 09:33 [編集]
K様
こちらにもありがとうございます。

>なんとも初な 一葉ちゃんの反応。安住さん 気にしなくていいから どんどん免疫つけてあげて下さい!

人っていうのはいつの間にか『慣れ』ていくものです。
さぁ!始まりましたよ、二人の生活がっ!!
で、いつ進展するのかしら…。
(こんなに長くなる予定ではなかったのに…涙)
全ては安住の腕にかかっているということで。
コメントありがとうございました。
トラックバック
TB*URL
<< 2019/08 >>
S M T W T F S
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31


Copyright © 2019 BLの丘. all rights reserved.