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BLの丘
夢のような吐息 23
2010-05-03-Mon  CATEGORY: 吐息
宮原は店に仕事をしに来るなと言っていたが、店以外の場所で逢うのがどこか怖い野崎だった。
だからといって、『口実にすればいい』と水谷に勧められたとおりになるのも癪に障る。
実際になってしまったのだから見透かされたようで余計に腹ただしさもあった。
散々考えながらも、一週間ほどの間をおいて裏口から店に入れば、眉間を寄せた宮原が出迎えた。
「何しに来たの?」
宮原は中に入れてくれようとはしなかった。

最後に逢った時の優しさは今は感じられない。
彼が表面に見せているのは、怒り、嫉妬といった類だろうか。

「いつもの確認作業ですよ」
「もうしなくていいって言ったじゃん。オーナーにまだ縋りたいの?」
水谷からも特に連絡を貰っているわけではない。
それまでも宮原は知っていたのだろうか。
過去があるだけに反論もできないが、むしり返されれば気分も良くない。
いつまでたっても水に流そうという気は起きないのか。
「そんなことは…」
「ここに入るんだったら、俺が終わるまで待っててよ。店から帰さないよ」
宮原は野崎にたたみ掛けてくる。
ここまで来てしまえば野崎の姿は監視カメラに映っているはずだろうし、事務所に辿り着く前に帰されれば宮原が水谷に何かを言われるのではないかと危惧した。
そして宮原も水谷に言い返すだろうし、そうすれば『口実』の件も宮原の耳に入ることになると想像する。
宮原に弱みを握られるようで、避けたいことだった。
宮原に気を取られているとは何故か知られたくない最後のプライドのようなものがある。
堕ちているとは認めたくない…、強情のようなものだろうか。
だが、『口実』に縋ってここに来てしまうほど、あの『癒し』を浴びたい自分がいた。
これはもう、無意識といっていい。
これまで感じたことのない感情を胸に抱いた野崎は途方に暮れていた。
日が経てばたつほど、自分が沈没船にでもなったような脆さにどんどんと占められていく。

「ねぇ、どうしたの?なんだか美琴さんらしくないね」
突然口調が変わった。
聞きたかった声がしたような気がした。
ドキッと心臓が跳ね上がったような錯覚も覚えた。
「いえ…」

何故店の外で逢いたくないのかはっきりとした気分だ。
二人きりになった時の宮原はどこまでも甘い声で野崎を翻弄させる。
グズグズと崩れきった自分を知りたくない。
でももう心も身体も戻れない位置に立たされていた。

フッと息をはいた宮原が野崎の肩に手をかけて、そのまま外に出てきた。
扉が閉まれば、ここがどういう状態の場所なのか承知の上で、口付けを落とされた。
「んっ?!」
ただ触れるだけのものかと思うくらい穏やかなものだったが、すぐに舌が入り込んできて後頭部と腰を手で覆われる。
長い時間ではなかった。
そんなことをすれば野崎の身体が疼くともばれている。
こうする目的も理解した。
水谷に見せつけたかったのだ…。

唇を離した後で射抜くような視線が野崎を捕らえてくる。
「いいよ、入って」
何をどうするわけでもなく、隠したはずの野崎の中に巣食う感情を宮原が知ってしまったことを悟った。
野崎と水谷がどうなることもない。
そう理解したから野崎を中にいれるのだろう。

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最終回が次にやってきました~。
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コメント

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宮原、妬く。
コメント甲斐 | URL | 2010-05-03-Mon 01:43 [編集]
宮原さん妬いてますね~。
そりゃあそうでしょうとも、あの水谷さんですから。
恋愛感情はないと分っていても、だからこそ気になるし、近づけたくないっていうオトメ心・・・じゃなくてオトコ心なわけですよ。

それは、みこっちゃんがいけねいな。
いけない子にはお仕置きだ!!
Re: 宮原、妬く。
コメントきえ | URL | 2010-05-03-Mon 10:33 [編集]
甲斐様
こんにちは。

> 宮原さん妬いてますね~。
> そりゃあそうでしょうとも、あの水谷さんですから。

それでなくったって1週間もご無沙汰で、連絡もなしに店に現れたらね~。
あの一夜はなんだったの?!って言いたくなります。
そして一度は(宮原は一度とは思っていないかもしれないけど)繋がったカンケイからあるって知ってるしーぃ。

> それは、みこっちゃんがいけねいな。
> いけない子にはお仕置きだ!!

始まったっ!!
甲斐様のおしおきっ!!
もうぅぅぅ、すぐお仕置きしたがるんだからぁぁぁ。(←え?!)
でもまぁ、それは次回作(あるのか?!)ってことで。
想像以上に長くなりましたがようやくらすとすぱーとです。
こめんとありがとうございました。
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