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BLの丘
ちょうどいいサイズ 33
2010-05-01-Sat  CATEGORY: ちょうどいい
一葉の胸の内など知りつくしているのではないだろうか…、と時々思うことがある。
一葉が幼稚な性格だから分かり易いのか、人生を歩んできた安住の経験値なのか…。
だけど今のこの状況で、たった一瞬の間黙られただけだって一葉の中に湧いた『期待と恐怖』は、『恐怖』のほうが先にたった。
中條の台詞の後で、戸惑った安住の表情がさらに追い打ちをかけてくる。

「一葉ちゃん、僕はね、一葉ちゃんに無理はさせたくないんだ」
静かに、子供を諭すように告げられる口調はいつもと変わらない。
しかし、内容が”大人の関係”を意味するだけに、拒絶をされているようにしか思えなかった。
一葉の心は一気に沈んだ。
やはり安住には釣り合わない人間なのだろうか…。

真っ赤だった顔が青ざめるくらいに引き攣っていく。
目の端に涙は浮かんでいないかな?変な声が出ないかな?と平然を保とうとした。
そんな一葉の表情に気付いて安住が宥めてくる。
「一葉ちゃんのことはすごく大事だよ。だけどね、意味を取り間違えないでほしい。人には順序っていうものがあってね。階段を一段ずつ昇るように。分かるよね?」
問われて頷くしかない。
「今はまだ、僕と一葉ちゃんはそういう時期ではないと思っている。何より一葉ちゃんの心の準備ができていないはずだよね。周りの人にそそのかされたから、とか、単に興味が湧いたから、といった気分で一葉ちゃん自身を投げ出すようにはなってほしくない。僕はこれからずっと一葉ちゃんの隣にいるから、ゆっくりとその時を待てばいい。慌てることなく、一葉ちゃんの気持ちに応えてあげたいんだ。一葉ちゃんに合わせていくくらいの理性と見識は持ち合わせていると、”一応”思っているけどね…。…理解してくれたかな?」
ずっと黙ったままの一葉の表情を伺うように、更に覗き込んだ安住の真摯な瞳が一葉の俯いた視線を捕らえた。
部屋を別々にしたのは安住が持つ理性を保つためでもあったのだ。
お子ちゃまな性格の一葉をここまで気遣ってくれる人が他にいるだろうか。
安住の言うことは確かに当たっているように感じる。
無理して飛ぼうとしたって、今の一葉の中に踏み台すらまだ用意されていないのである。

一葉を気遣ってくれる安住の優しさにまたホロリとなった。
一葉が再び首を縦に振れば、いつものように一葉の手をとってその甲に唇を寄せてくる。
安住の言い分を理解し、納得したと返事をするたびに安住はこの仕草を取ったから、最近では慣れてきた。
たぶん、きっと、こうして、安住の懐の中に入り込んでいくのだと、漠然と感じた。
安住は着実に”その時”を待っているのだ。
そして、”慣れる”ように、少しずつ一葉に習慣として覚えさせている。

夕食の時を待たずに中條は帰っていった。
「らぶらぶになった二人にあてられるのなんて嫌だよ」
捨て台詞のようなものですら一葉の心臓をドキドキとさせ、頬を紅潮させた。
だがその後に待っていたのは、いつもと変わらない、安住が作ってくれた夕食を堪能する時間だった。
その”変わらなさ”が一葉をどこか安心させてくれる。

夕食を作りながら安住が声をかけてくる。
「一葉ちゃん、疲れたでしょ。先にお風呂に入ってきちゃったら?」
「そんな…。だって安住さんだっていっぱい色々してくれて…」
キッチンに二人で並んで立ったところで、一葉ができるのは鍋をかき回すこととか、お皿を用意することくらいだ。
まだ何の準備もできていないところで、戸惑う一葉に安住は言葉を重ねた。
「一葉ちゃんが出てきたら、後のことは任せて僕も入りたいから。今日は美味しいお祝のお酒を飲もうね」
一葉がここに引っ越してきたことを喜んでくれている安住の様子がすごくよく伝わってきて、一葉は素直に従った。
あの醜態以来、安住の前でお酒を飲むことなどなかった(車に乗って帰らなければいけないという理由もあったけど)から、酒類を口に含むのは抵抗があったが、緊張で眠れそうにない夜には『酒薬』?!『媚薬』?!『麻薬』?!の力でも借りたいところである。
要は飲み過ぎなければいいのだ…。

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帰ってこなかった粗大ごみに感謝です。
ってか、よくここまで書けた、私…。
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コメント

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ゆっくり大人になろうね!
コメント甲斐 | URL | 2010-05-02-Sun 02:28 [編集]
連休っといっても、全然お休みじゃないワタシのために更新ありがとうございます。
小さな幸せです。

そして幸せに浸っている人がここにもいましたね、一葉ちゃん。
ゆっくり熟成するのを待っててくれるって。
うん年物のワインとか古酒になって価値が出るかもですね。
いやいやちがくて・・・。
確かに二人で住みはじめたら、そんなムードにしてやさーしく手をとったら、雰囲気で流されてどうにでもなるでしょうね。でもあとから、気持ちがついていけなかったって思ったら後悔するかも知れないけど。

安住さんほんとに何でも分ってるですね。
コメントきえ | URL | 2010-05-02-Sun 10:28 [編集]
K様
こんにちは。
今日も良いお天気の我が家です。

>わ~い またまた粗大○○さんに感謝!一葉同様 ちょっぴり ホッとして 連休を過ごせそうです。ゆっくりなペースの二人… 待ちます 待ちますとも!! 待ってる時間も楽しませてもらってますよ。きえ様 お忙しい中 ありがとうございましたm(u_u)m

昨日は夕方までゴミ集荷場が預かってくれたので嬉しかったです。
二人に合わせて私もゆっくりペースで申し訳ないのですが、どうかお待ちください。
いつになったら"最後の砦"を越えられる二人なんでしょうか…。
こんなに長くなる予定ではなかったのに…。
何気なーく書き始めてしまって、よーく考えてみたら、すんなりといく二人ではありませんでしたね…。
自分で自分の首を絞めてしまいました。
楽しんでいただけているようなのでわたしも嬉しいです。
コメントありがとうございました。
Re: ゆっくり大人になろうね!
コメントきえ | URL | 2010-05-02-Sun 10:42 [編集]
甲斐様
こちらにもどうもです。

> そして幸せに浸っている人がここにもいましたね、一葉ちゃん。
> ゆっくり熟成するのを待っててくれるって。

いくらなんでもまだ早すぎる一葉だったのでね…
(というか、私が書けないだけなんですが…)
安住も、飛びこんできた子羊をいきなり食べちゃうような人ではないはず…だと思いまして。(言い訳)
だからといってどこまで待つんだろう。

> 確かに二人で住みはじめたら、そんなムードにしてやさーしく手をとったら、雰囲気で流されてどうにでもなるでしょうね。でもあとから、気持ちがついていけなかったって思ったら後悔するかも知れないけど。

安住はムード作りもお上手だと思うので、どうにでもしてしまうんでしょうが、やっぱりそこは一葉の気持ちを第一に考える方でした。
しばらくは『同居』なんですかね。
でも一葉は気持ちよく眠れる…ようになったかもしれません。(←無理だろな)
コメントありがとうございました。
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