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BLの丘
策略はどこまでも 番外ヒサ編 3
2009-07-19-Sun  CATEGORY: 策略はどこまでも
なんだか今日はつまらない話です…。毎日かな…。

だだっぴろい事務所の中に机が8つしかないとはいっても、その周りは事務員の人数分以上もあるパソコンや機械類が並んでいたし、様々な書類の山まであったりするので、決して広いとは思えなかった。
お昼の休憩時間の終わりとともに、黒川が久志に声をかけてきた。
「高柳ぃ。悪いけどこの後、引揚荷物を積んだトラックが入ってくるから、荷降ろしの確認に行ってくれない?」

本来、荷物の確認や荷降ろしなどといったことは物流部の仕事であって、黒川や久志のような人間が現場に降りていくことはないのだが、配車のミスなどが発生した時は責任問題もあって現場に立ち会うことになった。だが、立ち会うなどという綺麗ごとでは済まされず、重労働が待ち受けている。
先ほど、黒川が配車表を手に唸っていたのは、何らかのミスが発生していたためと即座に理解する。嫌な予感がした。

「いいっすけど。まさかとは思いますがベタとか言わないっすよね?」
『ベタ』とはトラックに直積みにされた荷物のことだ。普段はトラックに荷物が積まれる際には、荷降ろしがスムーズに行えるように、フォークリフト用のパレットやコンテナボックスが使われる。
だが、配車ミスをした時はほとんどの場合、コンテナボックスが間に合わない状態で、運が良ければパレットを使ってもらえるが、大概は一番手間のかかる直積みにされてしまった。
それを運ばれてきたここの現場でコンテナに積み替える手作業が待っている。
一番厄介な仕事なので、物流部の人間は運行部の犯したミスの場合には手を出したがらなかった。

久志が冗談半分、確認半分で黒川に質問すると、黒川は笑顔で人差し指を立てた。
「ご名答。それがそのまさかなんだよな~」
「え~!!マジっすか?! …勘弁してくださいよ~、俺、今日体力的にキツイんスけど…」
言葉じりはかなり濁っていた。それでもしっかりと聞き耳を立て、意味を理解したかの事務員が笑い声を立てる。
黒川はあからさまにニヤリとした笑みを纏った。
言うんじゃなかった…などと後悔しても後の祭りだ。

「朝帰りしてた人間が何言ってんだ。力使うところが違うんだよっ、働け、このバカヤロー」
蹴りを入れる真似をして、黒川の足が空を切る。
その向こうで、ケタケタと笑う大友と石田の会話がスピーカーかと思うくらいの大きさで聞こえてくる。
「朝帰りっていうより、昼帰りよね。そりゃ、体力もないでしょうよ~」
「私だったら潰れちゃうぅ」
「そこまで頑張っちゃうって、そうとう良かったのかしらぁ」
「だぁって、『昼帰り』ですよぉぉぉ」

今更何の言い訳もする気になれなかった。これ以上何を言おうとも、この連中らが、このネタから外れることはない。
実際、言われていることは当たっているのだが、当然認めるわけにもいかない。ここは黙って聞き流すのが一番と踏んで、久志は開き直ることにした。
「はいはい。んで、到着、何時なんスっか?」
「14時。物流の人間も手伝ってくれるらしいから、楽勝だろ」
珍しいな、と久志は思った。配車ミスであるなら、まず物流の人間は出てこない。訝しげな久志の態度に気づいたのか、黒川が言葉を続けた。
「あっちも集荷の一つ、見落としてて、トラックを回してほしいってさ。これしか今日は回せないって言ったら速攻で手伝うって言ってきたよ」
おまえ、ラッキーだねぇ…っていうおまけの一言までつけてもらって、久志はホッと内心で息をつきながらも時間を確認した。
全てを自分一人で…となると相当な時間がかかるのが分かっていたが、手伝いが入るのであれば少しは楽ができそうだ。

現場に降りるとはいっても構内は数多くのトラックが着けられるようになっているために、その広さは広大だ。トラックが建物に着車できる範囲だけでも優に200m四方にも及ぶ。
ベタと聞けば、それなりに準備するものもあるわけで。
本来の仕事である配車の手配はすでに黒川がチェックを入れてくれているようで、「降りていけよ」と指示された。
どうせ事務所に居ても、今日は揶揄されることしかないだろう。根掘り葉掘り聞きたがる事務員から逃げるためにも、現場はある意味好都合だった。

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