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BLの丘
夢のような吐息 15
2010-04-25-Sun  CATEGORY: 吐息
何が危険なのだろうか、何がダメなのだろうか。
考えはまとまりもしなかったが、築き上げた自分自身を崩される恐怖に咄嗟に身構える。
「すみません、これ以上は…」
何を告げたいのか自分でも分からないくらいだった。
こんなに動揺したことはかつてない…。

「どこまで強情なの?たまには素直になってよ。美琴さんを苦しめるようなこと、しないから…」
「だったら…っ!!」
続く言葉はなんだったのだろう…。
途切れた先を自分でも見つけられなかった。


夕暮れ時までその場で過ごした。
語る言葉が無くても隣にいる存在に違和感すら浮かばない。
こんなにも落ち付いた心が持てる人間もこれまでいなかった。
宮原はあれ以上のことを何も語らなかった。

このまま諦めてくれればいい…。
そう思いながら、心の片隅で傷つく感情は何なのだろうか…。

帰り道、野崎が運転を変わると申し出た。
たぶん、きっと、夜遅くまでの仕事と、今日この場を訪れるために、ほとんど睡眠などとっていないのだろう。
待ち合わせの時間よりも早くにいた宮原を思えば想像がつく。
「でも…美琴さん、疲れるから…」
「運転くらい慣れていますよ。それよりお休みなられたほうがいいのではないですか?」
「はっ、ずるいよね…。そうやって無意識に甘やかすところとかさ。なんか、全部分かっていますみたいな態度も」
「そんなことありませんよ…」
見られているのはどちらなのだろうと少し思う。
観察力などは想像以上に宮原も優れていそうだ。
「そういうとこに惚れるんだよ」
宮原の言葉が染み込んでくるのに振り払いたかった。

何を考えていたのかと振り返る。
助手席で宮原は、揺られる心地よさに瞼を閉じていた。
たったこれだけのことが幸せのような気がした。

宮原が愛した人間は、一瞬の時も見逃さないようにと瞳を開け続けたのだと思う。
短く儚い生涯の中でどれほど宮原を愛したのだろう。
自分は並ぶことができないと思うから尚更彼を受け入れられないのかもしれない。
瞳を開け続けたのは宮原も同じだったのだろうか。
誰かを愛することに恐怖心を覚える自分は、宮原にはふさわしくないだろう…。

そう思いながらもこうして隣に並ぶことでやっと休める時が来たのかと宮原を気遣う気持ちが頭を過った。
それは自分にとっても同じことなのだろうか…。
飛び続けた鳥が休める場所を見つけたように…。
感じたことのない嬉しさが心を襲ってくるのに、認めたくない自身がいる。

僅かな間だった。
宮原の寝顔に吸い込まれるような瞬間。
目の前を襲った、突然割りこんできた車。
急ブレーキを踏んでも間に合わなかった。

グシャッという嫌な音が耳を刺した。

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コメント

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「そういうとこに惚れるんだよ」
コメント甲斐 | URL | 2010-04-25-Sun 15:45 [編集]
死んでしまった恋人や愛した人がいるというのは、結構な障害ですね。
なんだか満たされない想いの代替のように求められているみたいで。
身近にいた可愛そうな仕事中毒の男に、昔できなかったことをしてあげたいみたいに思われるし。
プライドの高いみこちゃんにあの話をして『救ってあげたい、意地張らないで」なんていうのは逆効果な気がしますよ宮原さん。
正直は認めるけど。そこんとこ、もっとちゃんとわかってもらわないとね。

え?それで?って思ったら事故ですか?
Re: 「そういうとこに惚れるんだよ」
コメントきえ | URL | 2010-04-25-Sun 16:37 [編集]
甲斐様
こんにちは。

> 死んでしまった恋人や愛した人がいるというのは、結構な障害ですね。
> なんだか満たされない想いの代替のように求められているみたいで。

野崎もよりきれない何かに苦しんでいるんですかね。
宮原はただ寄り添いたい、それだけのことなのだと思いますけど。
正直な気持ちが返って負担になっているのか…。

> 身近にいた可愛そうな仕事中毒の男 (←笑える)

プライド高いみこっちゃん、どう調理されるのか…。

> え?それで?って思ったら事故ですか?

あまり書きたくないんですけど、まぁこれが一番早い展開かな…と。
(進まないんだもん、だって、こいつらも…)
コメントありがとうございました。
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