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BLの丘
ちょうどいいサイズ 21
2010-04-19-Mon  CATEGORY: ちょうどいい
こんなことなら食後に寛いでいないでさっさと帰ってしまえば良かった…と後悔したがあとの祭りである。
それにご飯だけもらって帰るなんて図々しいことができるはずがない。
安住の顔など見ていられなくて、「2階に上がろう」という安住に小さく首を縦に揺らし俯いた。

安住に手を取られ階段を昇る。
手を繋いで歩いたことなどなかったからこれだけで一葉の心臓は飛び出しそうなくらいにドキドキとしていた。
数段先をいく安住に聞こえるのではないかと思ったくらいに…。

きっと真っ赤になっているのであろう顔を上げられず、リビングに連れられソファに座らせられても、隣に座った安住は一葉の手を離してくれなかった。
つないだ手を一葉の膝に乗せながら、安住から小さく吐息が漏れる。
絶対に迷惑がられているのだ…。
安住と顔を合わせられず足元に視線を落とした。
下を向けば、嫌でもつないだ手が見えて余計に一葉を困惑させた。

「一葉ちゃん。恵亮君とはどういうお付き合いだったの?」
安住の口調はいつも変わらない。
明らかに感情を剥き出しにした恵亮を見てしまえば安住が疑うのは当然だろう。
安住に恋していると口にされながら、他の人間とも曖昧な関係を続けたと知られればもっと嫌われるような気がした。
「……」
「問い詰めたいわけじゃないんだよ。ただのお客さんでしたって言ってくれればいいことなんだから。何も疑ったり嫌ったりしないから安心して。二人の性格はなんとなく分かっているしね。……時にははっきりと言ってあげないと傷つけてしまう。今の僕がまさにそうだ。一葉ちゃんを傷つけてしまった…」
我が身を苛む響きに、一葉は安住の言葉を何度も反芻して意味を理解しようとした。
一葉が恵亮を傷つけたというのなら話はわかるが、何故安住が一葉を傷つけたというのだろう?

こんな時の一葉に何を聞いても答えられないと知るからなのか、安住は言葉を続けた。
「一葉ちゃんがあまりにも可愛らしくて僕はもっと近づいてみたかったんだ。色々な人とお付き合いの場を持たなければならない仕事と分かっていたし、そこに僕は付け込んで一葉ちゃんにこうして家に来てもらえないかと声をかけた。一葉ちゃんが喜んでくれるのを見るのが嬉しかったよ。仕事上の付き合いでうちに来てくれることでも顔を見られればいいと満足していたんだ。でもたくさん会って話をしているうちに想いは膨らんで欲というのは増えるものだね。…さっき恵亮君は一葉ちゃんの気持ちに気付いていたんじゃないかって言っていたけど、そんなことは全然…。だってこんな『おじさん』に、だよ。懐いてもらってもそれ以上のことにはならないって思っていたから…。曖昧な態度で一葉ちゃんを翻弄させちゃったよね。僕がはっきりとしなかったからずっと悩ませてしまった…。…一葉ちゃんの気持ちを知っちゃったなら僕はもう遠慮はしたくないんだけど」

ゆっくりと諭すように伝えられる言葉がじんわりと胸に浸透していく。

…これは幻聴…?

自分の行動や思考を振り返ればとても現実のこととは思えない一葉だった。

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コメント

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「もう遠慮はしたくない」って!?
コメント甲斐 | URL | 2010-04-19-Mon 12:34 [編集]
安住さんて本当のところよく分からない人ですよね。
仕事が出来てかっこいい、優しくてお料理上手、何処までもいいひと。
なんていう、輪郭の素敵さはもちろんばっちりなんですけど、”こんなおじさん”に好意を寄せてくる一葉ちゃんの気持ちを欠片も気づかなかったって案外鈍感??
Re: 「もう遠慮はしたくない」って!?
コメントきえ | URL | 2010-04-19-Mon 14:21 [編集]
甲斐様
こんにちは。

> 安住さんて本当のところよく分からない人ですよね。

よくわからない人になっちゃいましたかね~。
一葉の気持ち…(というか親しみ?)には気付いていたと思うんですけど、"恋愛感情"という括りの中までは…って感じでしょうか。
子供が大人に懐くみたいなイメージだったのだと思います。

鈍感…、うーん、そんなところもあるかも?!
年齢差があったから余計に一歩引く、静観してみるみたいな…。
過去、那智のこともあったし(?!)

コメントありがとうございました。
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