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BLの丘
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2010-04-04-Sun  CATEGORY: かけがえのない日々
千城の登場ですっかり気分を削がれた…と台無しにされた雰囲気のほうに文句がこぼれる。
それでも一緒にバスタブに浸かって改めてお互いの肌に触れれば昂るのは早かった。
今度こそ慣れた部屋で、日野にも躊躇いは一つもなく、いつものように触れてくる。
狭い部屋の大半を占めるほどのベッドでも、二人が寄り添うのは小さな空間。
そろそろ空が明るくなるのではないかという頃まで交じり合って、快感という泉の中に溺れた。
身動き一つとるのも億劫な身体を日野に抱えられるようにして眠りにつこうという頃、日野が思い出したように千城の名前をあげた。
「もう、顔合わせづらくなっちゃったなぁ…」
日野の声を聞くとまだ眠気はないらしい。
もともと夜型の人間だし若さもあるのだろうとは思っても、今の神戸にそれにかまってやれる気力はなかった。
仕事でも情交でも疲弊している心身は早く休みたがっている。
目を閉じたまま、さらに日野にくっつくように潜り込んだ神戸はどうでもいいことのようにもごもごと口を動かした。

「千城なら『今更』って思っているから大丈夫だよ…」
「なんでそう平然としていられるの?恥ずかしいとかないの?」
「べつに…」
神戸としてはあたりまえのことのように答えたつもりだったのだが、日野にはそうではなかったようだ。
くっついたはずの肌がスッと引かれて、顔を覗きこまれる。
その動きにさすがに神戸も目を開けた。
「なに?」
上目遣いで日野を見上げれば、一瞬戸惑ったような表情を浮かべながらも、日野は疑問を口にした。
「あのさ…。…過去のことだから聞くのもなんだけど…。その、…千城さんともこういうことあったとか言う?」
「……」

黙ったのは肯定したからではない。質問の内容を理解するのに、相当な時間を要したからだ。
今更過去を責めるような無粋な真似をするほどお互い馬鹿じゃない。
たとえ繋がった時があったとしても、聞かれて「ハイ、そうです」と素直に答えるはずもない。
きっとそれは日野だって同じことだろうし、分かっていることだと理解している。
もちろん、なんの間違いもない人間を対象にされたから余計に苛立った。
「もしかして疑っているの?」
「っていうか嫉妬? 情事の後を見られても気にしていませんみたいな態度に『お互い何でも知っていますからどうぞ続きを』っていう雰囲気バリバリ。ちょっとムカついているんだけど」

要するに良く知った人間が周りにいることに対しての単純な子供じみた嫉妬だと分かれば、苛立ちもスッと消え失せていくのだから現金なものだ。
「いくらなんでもそこまで見境なくないから」
確かに千城とは付き合いも長いしそれぞれを知りつくしているといっていい。
互いの身体を見せあっても欲情もなにもわかないのは、単なる『同性で友人』の枠を越えていないから。
『間違い』があったら多少の照れでも生じるのかな…と少々思うところがあっても、想像してもやっぱり憎まれ口を叩き合う姿しか思い描けない。
それに間違って起こった性行為があったとしても感情など全くない、ただの欲望の果てなのだとも思う。
恋人が聞いて気のいい話ではないだろうが…。
多くを語らなくても通じる洞察力の良さというか…観察眼というか…。
恥ずかしさを覚えるような境界線はとっくの昔に取り払われていて、どんな醜態を晒そうが嫌うこともない信頼関係は今更崩れることもなく安心のできるもので、日野に言って理解してもらえるのかと、変な気が回った。
恋人になるわけでもなく、単なる友人の枠を越える存在。
それ以上にも以下にもなり得ない存在とはあるものなのだ…。

「エッチな話をする友達ってショウにだっているでしょ」
性行為の対象が女性だけに留まらないと知られた今となっては、いらぬ心配も増えるのだろうとは思っても、これ以上はどうにも言いようがなかった。
「いるけど…。やっぱ見られたら恥ずかしいよ」
「べつに見られたわけじゃないし。それにどうせ千城だってやることやってんだから、『お互い様』って開き直るのがいいよ。気にしてたら付け込まれるだけ」
「その図太さが欲しいよ…」
「僕は繊細なんですけど」
「……………」
「寝たの?」
「うん、寝た」

首を伸ばしてちゅっと唇に口づければ、困ったような呆れたような瞳が神戸を捕らえる。
「ホント、長流には敵わない…」

…いいよ、敵わなくて…。
神戸は両手を日野の体に回すと、より一層肌を密着させてから「ずっと守ってあげる…」と呟いた。

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次回で最終回です。
長引かなくてよかった~。

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