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BLの丘
Present 34
2010-03-15-Mon  CATEGORY: Present
鹿沼に自宅まで送ってもらって、玄関で口付けを交わしただけで別れた。
本当に風邪を引いているわけでもなく、ズル休みをしていることに多少気が咎めているところはあるにしても、鹿沼の親切心がありがたかった。
昨夜は一睡もできず、そして精神的に追い込まれていたような時間を過ごしたから…。
今朝、鹿沼の顔が見られて良かったと感謝したくらいだ。

家の中では窮屈なだけのスーツから部屋着へと着替えて、こたつに潜って昔のことを色々と振り返ってみる。
北本とのことが否応なく浮かんだが、それらを鹿沼と比べている自分がいた。
比較するなどとても失礼なことと承知していながら、やめることができなかった。
まだ自分は思い出に縛り付けられている。
こんな状態で本当に鹿沼はゆるしてくれるのだろうか。
そして本当にあの頃のように、未来に対して何の不安も抱かなかったような生活が送れるのだろうか。
一度経験した『過去』は雅臣の恐怖心を大きくするだけだった。

玄関のチャイムが鳴って、鹿沼が戻ってきたのだと勝手に思ってしまった。
何か言い忘れたことでもあったのだろうか。
そして何の確認もせずに玄関に出向いてしまった。
全く疑ってなどいなかった。
玄関ドアを開けた先にいたのは北本だった。

「何っ…っ?!」
「雅がまだここに住んでいてくれて良かったぜ。会社に行ったら休んでるって言われてさ。今じゃあ住所なんか教えてくれないしな」
仕事の最中なのだろうと思われるスーツ姿で現れた北本が、雅臣の咄嗟に閉めかけたドアを力強い腕で阻止する。
「中に入れろよ。また変な写真を撮られても困るんだ」
返事をするよりも先に北本の身体が玄関の中に入り込んできた。
狭い玄関でまるで密着でもするかのような間合いの詰め方に雅臣が後ずさる。
こうなってしまえば雅臣の逃げ場は部屋の中ということになり、それだけは絶対に避けたかった。
ここには北本との思い出があり過ぎる。
いまの心境で北本の顔を見ながら思い出したいものではない。

「出て行けって!!」
「そう怒るなよ。昨日のこと、謝りたかったんだ。まさかあんなことになるなんて思ってもいなかったから」
ドアが閉まる前に怒鳴ってはみても、北本は全く気にした様子もなくカチャリと完全に閉まる音が響く。
もうどうでもいいと思う半面で、雅臣は何故こんな事態になったのかの事情を知りたいという気持ちもあった。
その一瞬の躊躇は北本にも伝わったようだ。
今更『謝る』なんていう情けをかけてくれなくていい。
こうして優しい目をするのは見たくない…。

「この前、雅に言い寄った時に写真を撮られていたんだ。綾(あや)のやつ、…あぁ、カミさんだけど、興信所使って俺の素行を調べさせてた矢先のことでさ」
「興信所?おまえ何やってんの?」
「ちょっとした浮気騒ぎがあったんだよ。未遂だったんだけどあいつ、全然信じていなくて、俺もむしゃくしゃしていた時だったし、懐かしさに雅に声をかけてみたんだけど」
ビルの陰に連れ込まれた時のことが頭を過る。
唇が触れる寸前まで近付いていたのは確かだった。
夫婦喧嘩のとばっちり?!
「自業自得!馬鹿な事しているからだっ」
「でもマジでおまえはもったいないよ。ただのガキだった時よりずっといい男になっていたし」
昔を懐かしむ声と、新しいものを発見した少年が喜ぶような声が混じる。
北本の手が伸びてきて束の間の会話に気を許していた雅臣の顎にかかった。

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コメント

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困った
コメント甲斐 | URL | 2010-03-15-Mon 18:08 [編集]
バカバカバカーーー
せっかくお休みさせたのに意味ないじゃーん
鹿沼どうしよう
Re: 困った
コメントきえ | URL | 2010-03-15-Mon 19:24 [編集]
甲斐様、
こちらにもどうも♪

> バカバカバカーーー
> せっかくお休みさせたのに意味ないじゃーん
> 鹿沼どうしよう

まったく意味がありませんでした。
しかも家に押し込まれて逃げ道はベッド?!みたいな状況です。
鹿沼、もうちょっと待っているべきでしたね~。
雅臣の心まで揺れ動き始めちゃって…。
本人、目の前ってキツイですよね、きっと。

コメントありがとうございました。
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