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BLの丘
Present 16
2010-01-27-Wed  CATEGORY: Present
正月休みも最終日の3日の夜、夕食を共に食べた後で、鹿沼は自宅へと帰っていった。
鹿沼は大概週末の休みだったが、色々な事情で変更されたりする。一方雅臣は完全な交替休みだった。
二人の休日が重なる日は、予定されている今、2週間も先の土曜日だった。
「俺、来られる日はなるべくここでご飯作って待っていましょうか?」
「やだよ。勝手に上がらないで」
窓口業務の雅臣は朝の出勤時間も鹿沼に比べれば遅かったが帰りも遅かった。待っていたいという鹿沼を一蹴する。
たとえ気を許したいと思う人間だって自分のテリトリーに勝手に入られるのは気分が良いことではない。
「もうだいたい、どこに何があるのか見ちゃいましたよ」
「それでも嫌なものはやなのっ」
「じゃあ、うちに寄って」
「場所、知らない」
「住所教えてあげます。タクシー使ってくればいいでしょ」
「誰がタクシー代、払うの」
「あとで経費で落としてあげます」
強引な誘いには絶句するしかない。公私混同も甚だしい。

正月休暇を終えて出勤した雅臣と会話をしているうちに、徐々に誰もが雅臣の雰囲気に驚き目を瞠っていた。
特に聞かれることもなかったが、遠巻きに何かを探っているような態度はとても気になる。
常に客が出入りするような場所で、私語は厳禁に近かったが、交替で摂る昼食を共にした部長が珍しいものでも見るように雅臣を追い続けていた。
すでに50代になり大人の貫禄を身に付けた男だったが身体を鍛えることには抜かりがないようで、がっしりとした体型をしていた。清潔感漂う整えられた頭髪や仕立ての良いスーツは女子社員からも好感を得ている。

近くのコンビニで買いこんだお弁当を広げながら、向かいに座った雅臣はとうとう痺れをきらしてしまった。
「あの…、朝からなにか?」
部長に限ったことではなかったが、聞けるタイミングは今しかなかった。まるで腫れもので扱われるような雰囲気が朝から自分の周りを包んでいる。
問われたことで部長は一瞬考えるような仕草を見せたが黙ることはなかった。
「いや…。随分と雰囲気が変わったな…と思って。休み前とは別人だぞ。一皮むけたというか、何か巣食っていたものが消えたというか…」
改めて伝えられたことに雅臣は意味が分からないと眉間を寄せる。
「べつに変わっていませんよ…」
「悪いことじゃないさ。以前から人当たりは良かったけど表向きな…、どこか壁を作っていた所があったが、今は心から楽しんでいるっていう感じがする。神経を張り詰めていたような態度よりは随分と全体的な雰囲気が柔らかくなったと思う」
この発言には雅臣の方が驚かされていた。そんな風に人に見られていたとは思ってもいなかった。
人当たりの良さにはそれなりに定評はあったし、客からも評判は良かったはずだ。それが『表面的』なもの?!
自分の中では何が変わったとかいうことに気付くものはなかったが、人にここまであからさまに態度に表されれば明らかに違ったものがあるのだろう。
何だろう…と考え込もうとした時、休憩室のドアが開いて鹿沼が飛び込んできた。
休憩室とは言っても、窓口の奥にある小さな部屋で、他の部の人間は滅多に出入りしないから、雅臣は驚いていたし、部長はすでに慣れたことのように軽く「やぁ」と挨拶をしただけだった。
鹿沼が雅臣をやたらと気に入っているのは誰もが知っていることであったから、今更違和感もないようだ。
「雅臣さんが休憩に入ったって聞いたから…。今日、新しい企画が出たんですよ。鉄道会社と旅館組合がタッグを組んで破格のやつ。今月だけの特別企画なんで早速売っちゃってください。あとね。俺たちの分ももう予約を入れておきましたから新婚旅行を兼ねて一緒にいきましょうね。あ、ぶちょー、お休みの変更届出しますからちゃんと合わせてくださいよ」
「ぶっっ!!!」
飲み掛けたお茶に激しくむせ返っていたのは当然部長で、真っ赤になる雅臣に手にしていた2色刷りのチラシを見せながら鹿沼は雅臣の隣の椅子に座りこんだ。
会社では名前で呼ぶなと念を押したつもりだったのに、どこ吹く風だった。
部長が何がどうなっているのかと目の前の二人を交互に見比べている。
「し、…し、新婚って…?」
「あ、まだ早いですかね。それにこの格安じゃあ失礼ですよね。婚前旅行くらいにしておきましょうか」
「そういう問題じゃないのっ!!!」
雅臣が激しい勢いで怒鳴ろうが何をしようが、一向に懲りていない鹿沼はチラシに載っていたいくつもある旅館の中から、「ここです」と宿泊先を指差した。
そんなことは聞いていない…。
「かぬまぁっ!!!」
「他の旅館がいいですか?でも俺のお勧めはここですよ。大丈夫です。ちゃんと特別室にしてもらっていますから。部屋に露天風呂も付いています♪」
雅臣も部長も返す言葉を失った。
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(あれぇぇぇ???と思われた方…『あれぇぇぇぇ????』です。飛びました。m(__)m 元旦から会社に…。だってえっちしてたら先に話が進まなかったんだもんね。(長くてもえっちでもよかったですかぁ???)いつまでも元旦で…まだ正月で…こいつら…汗 もう一月も月末だというのに…。季節感なくて本当に申し訳ございませんm(__)m)
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コメント

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コメントきえ | URL | 2010-01-28-Thu 07:03 [編集]
MO様
おはようございます。

>本人に自覚は無くても、確実に雅臣の内面は変わったようですね。それにしても、鹿沼ったら、会社で大胆な行動と言動にでましたね~。雅臣、どうするの?

確実に変わりつつある雅臣です。
鹿沼、どんどんと自分のペースに持ち込んでいますね。
公認の仲にしちゃう気なんでしょうか。
っていうかすでになっているのかなぁ。
雅臣どうなっていくんでしょうね。
コメントありがとうございました。
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