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BLの丘
策略はどこまでも 20
2009-07-09-Thu  CATEGORY: 策略はどこまでも
一件の後、高柳はラグビー部を辞めた。もったいないと誘われ、アメフト部に転向した。
那智を襲った2年生は未遂ということもあったし、男相手にじゃれ合っていたとしか言わず、まったくのお咎めなしで済まされた。
那智だってあんな出来事を訴える気にもならない。たとえ未遂で済まなかったとしても、犯罪と割り切って訴えられたかは疑問だ。

高柳と那智の関係は変わらなかった。
いつもどおり同じく選択した講義は一緒に受けたし、時折時間が空けば一緒に飲みに行ったりもした。酔ってどちらかの家に泊まることもあった。
くだらないテレビ番組に談笑を重ねたり、人気の映画を見に行くこともあった。
ただ、那智の知らないところで、高柳の肉体関係をもった付き合いはひどくなったようだった。噂にもされ、女も男も見境がないとまで言われていた。
お互い、後腐れないと話には聞いていたが、高柳が一度寝た相手と再びつながることはなかった。
那智はいつもそばにいながら、どれほどの噂を聞いても、どこか安心していた。
高柳が自分に性欲を見出すことはない。つまりは、肌を触れ合わすような期待などしなければ、永遠とそばにいられると思った。
一度でもその欲情を浴びてしまえば、離れることを余儀なくされる。
そんな思いが那智の中に渦巻き、生まれかけた高柳への想いを封印させた。
あの時、本当は助けに来てくれた久志を誰よりも欲し、安心して身を預けたかったのだと、今となっては言うこともできずに心の扉を閉めた。
それから数年、那智は高柳の親友という位置を守り続けた。



足がガクガクとする。崩れ落ちそうになる裸体を高柳に支えられ、那智は荒い呼吸を繰り返した。涙が、濡れた肌の上に落ちる。
那智は恐怖に震えた。
身体をどうこうされる恐怖ではなかった。この瞬間を境に、高柳との関係が崩れ、自分がいつかの誰かのように呆気なく捨てられるのだという脅え。
高柳が一度抱いた相手を、飽きては捨て、再びその手にすることがなかったと、身近にいた那智は嫌というほど見てきた。
その欲望の対象が自分に向かないことに安堵していたのに、今になって高柳の矛先が向けられたことが悲しかった。
何故だろう。安住の話をしてから何かが変わったと、今更ながらに気付く。
長年の間、隠し続けた高柳への想いが、今溢れだしそうで怖かった。パンドラの箱には、決して伝えることのない想いが入っていたのだ。

だからといって、想いなどをさらしたところで高柳の重荷になるのは目に見えたし、そういった付き合いを高柳が好んでいないことも長年一緒にいたことで承知している。

「那智…」
掠れるような低音が耳に届いた。濡れた額にそっと唇が落とされる。
「出よう。風邪ひく」
身体を支えられながら、バスルームを出る。軽く水滴を拭き取られると、不意に体が宙に浮いた。
あっという間に横抱きにされたことに気付いて、那智から慌てた声が上がった。
「ちょっ、ちょっと…」
「暴れるな。落とすぞ」
軽々と抱きあげられたことも、那智には悲しかった。数歩も歩けば、ベッドのある場所に辿り着く。
まだ湿り気のある身体を横たえられて、那智の身体を跨ぐように、高柳の体が上に乗った。
キリッとした二重の目が細められ、俄かに後悔を含んだ表情に見えた。この先をどうしようか、ためらいが見え隠れしているようでもあった。

不安に脅える那智の唇を高柳の親指が優しくなぞった。
「俺に抱かれるの、嫌か?」
そんな聞き方があるか、と那智は思った。ここで頷いたら、この行為をやめてくれるというのだろうか。
応えられずに、そっと瞳を閉じる。合意と理解したのか、高柳の温かな唇が再び那智のものと重なった。
先ほどよりもゆっくりとした、啄ばむような動き。そっと差し出された舌先が下唇を撫でた後、口腔内へと入り込んでくる。
優しく舌を絡めとられ、吸い上げられる。何度も角度を変えながら合わされ、貪欲なほどに求められる。それはまるで恋人同士が交わすキスと変わらなかった。
すぐに息のあがった那智を気遣うかのように唇が離れた。細い銀の糸が二人を繋ぐ。糸は小さな玉となって那智の上に転がり落ちてきた。
こぼれ落ちた唾液が那智の顎を伝うのを、高柳の親指が拭い、そのまま那智の唇をなぞる。思わず背中を走り抜けるようなゾクゾクとした感触に全身が震えた。
そっと目を開けると、真剣な眼差しが那智を見つめていた。
「俺のものになれよ、那智」

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ようやく現実に戻ってきました。

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