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病める時も 健やかなる時も 11
2013-12-01-Sun  CATEGORY: 新しい家族
「ようこそ」と牧師はまた言葉にする。
 ここに、何のために訪れたのかを衣装で理解する人は、男同士の関係も厭わなかった。
 
 周防にまた出会えた…。そう思ったらいけないだろうか。
 周防ではない。分かっていても、見守ってくれる人は、周防にしか思えなかった。
 動揺したことを和紀は素早い言葉で牧師に説明した。
 あまりにも似すぎる。早くに亡くなった父親がいること…、愛する人と改めて誓いを交わしたいこと。生涯、日生だけを愛する宣誓がしたいこと…。逐一言葉にされる全てが嬉しくて…。
 和紀が牧師に告げると、やはり、温かな笑みで答えてくれる。
「人を愛することは自由です。そして、幸せなことです」
 ピクンと日生の体が跳ねた。諭される口調はやっぱり似ている。
 和紀は苦笑を浮かべた。
「『ひなを幸せにしないなら承知しない』ってまるで、親父に釘を刺されているみたいだ…」
 本当のところ、牧師はそうは言わないだろうけれど…。
 牧師は答える。
「あなた方に出会えたことを、幸運に思います」
 見届けてくれると言う意味なのだろうか。

 和紀は、日生を幸せにすることの重要性を改めて感じている。
 そばにいることが大事だと肌越しにつたえる。
「幸せにするから…」
「和紀くん…」
 これ以上は望まないと思うのに…。
 人に、幸せの頂点とはあるのだろうか。
 毎日のご飯がある。抱きしめてくれる人がいる。愛されていると分かる瞬間がある…。

 周防に良く似た牧師は、一度キリストに向かいあって礼をした。
 それに伴って、和紀と日生も頭を下げる。
 そこにいるのは周防…、見守ってくれた父親。
 目の前に立った牧師に、姿を重ねて、まだ生きてくれていると姿を追ってしまう。。
 宗教にこだわるものなどなかったが、今だけは、周防に出会えた気がしたのは、日生だけではない。
 なにもかも、見られている…。いや、見守られているのか…。

 愛を交わす行事は淡々としていた。
 だけど、静けさから漂わされる空気はとても重い。
 和紀がどこからともなく、輝く指輪を差し出した。
 ふたつの輪を受け取った牧師が、絹織物の上でそれらを掲げる。
 結びつけるもの。
 牧師の声が聖なる場所に響く。
「病める時も 健やかなる時も…」
 永遠の愛を誓うのかと問われて、何の迷いもなく、日生は頷いた。
 誰も、他の人間は入り込まない。
 和紀だけが日生を翻弄して包み込む…。

 周防の前で誓う。どんな時だって、見守ってくれる人は周防という人だったと思う。
 ここに来て、再会できたことが嬉しかった。
 人を愛する喜びをくれた人に、「ありがとう」と何度も言う。
 和紀を与えてくれたことに、深く感謝する。

 交互に「誓います」と発して、先に温かな唇が呼気を止めそうに塞がれる。
 順番が違う、と驚いたのは牧師だったようだが、それらも温かく微笑まれただけで何も咎められることはなかった。
 命を繋ぐのも、永らえさせるものも相手次第…。
「和紀くん…」
「ひな…。魂がある限り、永遠に愛し続ける…」
 魂は永遠に生き続けるだろう。

 唇を離して牧師から差し出された銀の輪は…。
「あ…」
 思わず日生から声がこぼれたなら、和紀は「安物だから気にしなくていい」と言う。
 どこまで『贅沢』なのだろうか。
 小さな八つのダイヤが埋め込まれた指輪は、男が身につけるには派手すぎるだろう。
 艶消しが施されたプラチナの上に瞬くもの、また和紀の方には、一つの石が輝く。
 八歳だった日生と出会った年の数。
 周防がいる、天の川だ…。
 重ねたら、天(十)に満たない、九つの星。
 満足しないからこそ、あがいて、求めあえる日々がある…。
 不安ももちろんあるけれど…。
 全てを分かりあえない隙間を残したように。
 寄りそう…。

『病める時も 健やかなる時も…』
 何があっても和紀から離れることはない。答えは一つだ。
 そばで笑ってくれた"周防"の笑みに、こみ上がった感情は涙となって溢れた。
 牧師は周防の化身かもしれない。なんでもいい、周防が認めてくれたと思えたから…。

「ありがとう…。出会えてよかった…、愛してくれて嬉しかった…」
 周防だけではない。いったい、何人の人に出会って、愛されたのか…。
 周防も清音も、奈義も…。
 その言葉を日生は何度も繰り返した。
 和紀の腕に包まれる喜び。
 和紀に出会えたこと。周防に愛されたこと。
 白い衣装は、『三隅』の色に染められても何の反論もないと表す。
 いや、染めてもらえることが、嬉しいだろうか…。

『ひなは三隅家の子だよ…』
 和紀だけではなく、周防が望んだ世界。
 何より大事にしたい響きだった。
 
 牧師を見返した時、何かを分かったように頷いてくれた。
 祝福してくれている。
 和紀は自分のものだと、今まで以上の独占欲が日生を包んでくる。
 見知らぬ土地で決して一人にはされない。

 目に見えた父親は、やはり温かく見守る姿勢だ。
「幸せになる…幸せになるからっ」
 周防に伝えるかのように、日生は幾度も呟いた。

 誰よりも和紀を幸せにするから…。
 約束したのだ…。
 最後に周防と約束した。
『和紀を、支えてやってくれ…』

 引き取った時から日生を束縛したかもしれなくても。
 謝られることなど何一つない。
 周防が永遠の眠りにつく直前、語られたその気持ちはきっと誰も知らない。
 最期に望んだのは息子の幸せだった。
 もちろん、日生という"息子"も同じく…。

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この指輪、英人が作ったのでしょぅかね。(ボソボソと言ってみる…)
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コメント

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ひなちゃぁぁん
コメントちー | URL | 2013-12-01-Sun 07:32 [編集]
ウッ、ウッ、ひなちゃんがお嫁に行っちゃった・・・

いや、女の子じゃないしずっと前からだけどさあ。
ひなパパにそっくりな牧師さんに、見られてお兄ちゃんと永遠の愛を誓ったのね。
ウルウル。

腐レンジャー一同、陰ながらお祝い申し上げます。
♡おめでとう!!!♡
コメントnichika | URL | 2013-12-01-Sun 13:45 [編集]
May Love Bloom Forever!

かなりベターですが、これで泣きました
http://bmr.jp/news/45437
喜びの時も 悲しみの時も …
コメントけいったん | URL | 2013-12-01-Sun 16:54 [編集]
[命ある限り 真心を尽くす事を誓いますか? で、終わるそうです。
残念ながら 教会で式を挙げていないので 全文を知らず 調べました。

周防も 和紀も あの奈義だって 日生には 尽くし、
日生も また 彼らに 尽したと 言えるでしょう。

牧師が 周防に似ていると見えたのは、その容姿もでしょうが、
内から 溢れ出てる 寛容と強固な精神の故かもあいれません。

日生も 和紀も 会えて嬉しいと感じてる様に 私も 嬉しい~~!
周防さま♡+゜*。:゜+(人*´∀`)ウットリ+゜:。*゜+

niったん、素敵なプロポーズ画像を張り付けてくれて ありがとう
見ていて お目目ウルウルしちゃった…。゚(●'ω'o)゚。うるうる(嬉泣)
拍手コメ k様
コメントたつみきえ | URL | 2013-12-04-Wed 21:10 [編集]
こんばんは。
レス遅くなりましてすみませんでした。

> おお、そうきますか。ならば、英人が指輪をデザインする様子など知りたい・・です。繋がっていくって楽しくて面白いなあ。

どんな依頼の仕方をしたのでしょうかね(o´艸`o)
社長繋がりで色々と知り合った仲なんでしょうか。
時系列的なものを全くとらえていないので、過去のお話と重ねられるとおかしなところばかりです。
読者様が深く突っ込んでくれないのを良いことにどこにでも登場するという…(汗)
面白いと言っていただいて嬉しいです。
コメントありがとうございました。
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