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病める時も 健やかなる時も 4
2013-11-24-Sun  CATEGORY: 新しい家族
「親父と清音さんは、あと数百年たったって、結婚なんかしないよ…」
 日生が疑問に思っていたことをポツリとつぶやいても、嫌悪のひとつもなく、和紀は答えてくれた。
 ふたりには、ふたりなりの思う立場があったのだと。
 数百年…。たぶん、一生、ありえないことなのだろう。
「清音さんは、俺の母さんの『姉』だったひとなんだ。ふたりとも施設育ちだから、血のつながりなんてない。でもそんなものより"濃い"意味を知るだろう?」
 和紀に問いかけられて、すぐに頷いてしまう。
 日生の元に寄る人間は、どれもこれも、血縁関係なんてなかった。
 まず、日生がその一人だ。
 戸籍も血縁も意味がないものだと一番知っているのかもしれない。

 和紀が話してくれたことは、とても穏やかな海に抱かれているようだった。
「清音さんにとって、母を親父が愛した一人の人としておきたかったんだ。それだけ愛された存在だと位置づけたかったんだ。大事な妹が、蔑まれることはないように。…誰も叶わない存在として残した。それが親父の再婚を阻んだのかもしれない。それに清音さんは、一番深いところまでは関わってはこなかったけれど、細かいところには行きついた。そこは完全に母親と親父の関係性をおもんばかって境界線をつけての踏み込みだったんだ。思考のひとつも、プレさせないためにも、家政婦で留まった。清音さんのプライドだと思ったら、誰も何も言えない。普通の女なら、図々しいくらいに飛び込んでくるよ。立ち位置も財産も知っているからな…。親父はまた、逆手に利用していたんだ。他の女などいらないと…。そうして、清音さんを守っていた…」

 何故、周防が再婚することがなかったのか…。その答えまで聞いた。
 他人をそばに寄せないとは、一番身近にいた人を好んでいたからだろう。想いを決して口にしなくても…。
 どこかで清音に他人との結婚話を持ちかけたとしても、断わってくれることが、周防にとっての安堵だったのかもしれない。
 奈義のことを不器用だと言ったが、周防だって充分、"不器用"だろう。
 今だから思えることで、深く繋がる、血はなくてもその存在感に身震いが起こる。大事にして守ることのすごさ。
 清音だけではない。自分もその一人。

 冷たい内容に聞こえるのに、とても温かい。
 …全ては、清音がそばにいてくれるから、周防は見せかけの『家族』を築いて、奈義を遠ざけたのか。
 さらに、『家族』を得たかった清音を救ったのだろうか。
 その半面で、やっぱり家族を欲しいとした奈義は見捨てることができなかった。本当はどちらも愛して…。表向きの抵抗を見せるしか出来なかった人。
 跡取りを残さなければいけない奈義の立場を、「気持ちがないのなら子供を道具に使うな」と諭したのも、きっと周防だろう。だから奈義は独身のままで生涯を閉じた。
 周防は和紀を育てるために労力を使ったが、奈義に同じようにできたかといったら疑問だ。
 きっと育てられないことを知っていた。だから、生ませなかった。それは隠した周防の希望だったのかも。
 本音を告げることはできないから、遠回しに拒んだ…。
 ひとつの感情を汲みとったら、愛する人の子供以外は望まなかった、奈義の抵抗でもあったのかもしれない。周防の子供だったら、喜んで育てたのだろうが。
 親から受け継いだ家紋は、極道の中、杯の一杯で他人に渡すことができていたのかもしれない。
 あの極道の世界で、純真な心を持った人だとは、誰も知らないだろう。
 だから奈義は、若い男を抱くことをやめなかった。種が蒔かれても成長はしない。
 なんて、不器用な人たちなんだと思う。


「ひな…。新婚旅行に行こうか…」
「え…?」
 突拍子もない言葉になんのことかと訝る声が上がってしまう。
 確かに、最初の会話は、この冬季休暇に、どこかの南国に行こうと言う話だった。
 いつの間にか、色々な方面に話が反れてしまったが、幾度もくちづけを寄せる和紀は、ずっと考えていたことがあったのだろう。
「ずっと、忙しさに感(かま)けて連れ出してやれなかったからな。式を上げて、指輪の交換もして…。良くないか…?」
 そう問われたら何故に反対が出来るだろう。
 全ては和紀が希望することだと分かるからこそ、余計に反論などできなくなる。
 何もかも、和紀の希望するとおりでいい…。
 従順な性格がそう思わせるのかもしれないが、本心から喜んだ出来事でもあった。
 日生がはっきりと望まない分、和紀から促してくれる。
 強引に従わされているのではない、日生が願うことを和紀が先取りして、準備してくれているだけだ。このあたりにも、意思の疎通の良さを感じてしまうのは、自惚れだろうか。

 年末までの時間を、和紀と日生は慌ただしく過ごした。
 海外貿易を主軸とする産業には、株価や円の取引も大きく影響して、決して息を抜けることなどなかった。
 それでも問題もなく乗りきったのは、昔から会社に仕えてくれた弁護士の存在が大きいだろう。世界中で取引条件は異なってくる。
「株式までは押し付けないでくださいよ」
 冗談なのだろうが、苦々しく口にするのは、隣の部屋に住む、40代の男だ。この年で190センチを越える人間は珍しいと思うのは偏見だろうか。
 それこそ専門家に任せている分野だと日生は笑った。
 和紀よりも年上の男は、その昔から双方父親に連れられて、親しんだ仲であり、和紀の"兄"という立場だったらしい。
 周防がいた昔の会社から携わる"息子"は、和紀同様、後釜を継いだ形となっている。立場上、年上でも雇われる立場にあったとして、堂々とした物腰は、不利益をもたらさないために必要な会話なのだろうから、誰もが大人しく聞く。
 すっかり隠居したはずの"元弁護士"、つまり、裁判官まで務めた司法会の彼の父親は、70代にして会社の動向を気にしてはいちいち口を出してくる、というが、それがありがたい。
 息子としてはウザったい存在なのだろうが、知った人間がそばにいてくれるのは、こちらとしても強みだった。
 息子はかなり、はっきりした性格だ。体格に表されるところがあるのだろう、がっちりとした態度も物腰も、人を平伏せるような部分がある。もちろん自信の表れであって、競争社会に生きていては、これくらいの雄弁さはほしいところだが…。
 反面、同居人の物腰の柔らかさが、全てを柔和に抑えてくれる。
 強面の息子が文句を言えば宥め、優男に見られる片割れが穏やかに相手を促し、また優しくも厳しく突っ込んでくる。
 決して意地悪なことを言っているわけではないが、理屈が通りすぎていて、綺麗男に傲慢男は逆らえなくなる様子だった。
 …なんか…いつかの誰かを見ているみたい…。
 ふと立ち寄った先で、日生は昔の誰かの姿を垣間見た気がした。
 もちろん、口にすることなどなかったが…。

 今日訪れたのは、年末年始を休暇にするという報告がてらだった。
 和紀は我が儘を通して、前後を増やす、12連休という、恐ろしい行程を組んだ。
 実質、2週間の休みとなる、これはどうなのだろうかと、頭を抱えた日生の意思はしっかり無視されている。

「有給休暇というのはありますからね」
 柔らかな眼差しの男は、聞いた話ににこやかに笑ってくれる。同居人と同い年の40代と言われて、大きな嘘があるだろうと、言葉にしなくても疑問に思ったのは日生だった。サラサラの髪を無理矢理整髪料で撫でつけてはいるが、いいところ、サバをよんだって30代の後半。哲多美星(てった びせい)は見る人からいったら、自分と歳は変わらない…。
 一方、株式を心配した強面男、三良坂世羅(みらさか せら)は、渋面をつくったままだ。
 歳は同い年だと聞いても、比べれば比べるほど、その身近さが感じられないのは、日生の対人面が薄すぎるせいだろうか…。
「少なくとも、ご自宅への侵入は徹底して阻みますからご安心を」
 留守中を預かってくれると言う。清音一人を残すことにも不安はあった。
 やっぱり穏やかな男の笑みで、年齢は誤魔化された感じはありはしても…。
 信頼を寄せる人たちしか出入りしないマンションの最上階に、少なからず安堵が過る。

 その安堵に日生は、先日聞いてしまったことが、ふとよみがえった。
 会社に良く、携わる人間だからこそ、周防とのことまで知っている。
 それは、日生のことも承知しているのだろうか…。
 少なくとも、弁護士が日生の戸籍を作る上で関わったことがあるとはすでに聞いている。
 秘密を守ってくれる弁護士だとは、随分昔からの付き合いで知れるところはあったけれど…。
 果たして聞いてしまってもいいのか。
 そのことで和紀が傷付くのだけは避けたい。
 だけど、巣食う気持ちが逸るのは何故なのだろう…。

「ひとつ、聞いていいですか…?」
 思わず声が漏れたのは、"会社"という上に立った、立場が口を開かせたのだろうか…。
…きっとこの人たちは知っている…。和紀が隠した全てを…。
 何事かと目を見開いた人は、静かに日生の次の言葉を待ってくれた。
「なんで、僕に、戸籍がなかったんですか…。僕の戸籍を作ったのは、あなたたち…? 本当は、僕の両親っているんでしょ…?」

 ひとつのため息が聞こえた。
「何が知りたいんだ…?」
 法律に詳しい、元弁護士の息子、そして三隅家の内情まで掴んだ現弁護士の三良坂は、この時にも、事実を伝えようかどうしようか悩んだ風情が見られた。 

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コメント

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゚+。゚(ノ`・Д・)ノオォオォ゚。+゚ 脇役2人に 名前が付いた!
コメントけいったん | URL | 2013-11-24-Sun 10:14 [編集]
きえちん!
とうとう 名づけちゃったんだね。
しかも 和紀や日生と会話もして しっかりした 登場ではないですか~!絶対に ちーさんが喰い付くよ!(笑)

和紀と日生の新婚旅行の様子も 気になる所ですが、
やはり 今まで 一回も出てこなかった 日生の母の存在が すっごく気になりますね。

生きているのか どうか…
どんな女性だったか…
日生を 置いて 家を出た理由は 何か…
もし 生きているなら 今は どの様な生活を送っているのか…
と、色々な事が気になるし、知りたい!

きえちん、深く掘り下げて書いてとは言いませんから サラァ~と教えてくれたら 嬉しいです。
ママァ~ドコ(T-T ))(( T-T)ドコ…
Re: ゚+。゚(ノ`・Д・)ノオォオォ゚。+゚ 脇役2人に 名前が付いた!
コメントたつみきえ | URL | 2013-11-24-Sun 15:34 [編集]
けいったん様 こんにちは~。
レス、一件で申し訳ございませんm(__)m

裸でベッドインしたはずなのに、ソッチのシーンに辿りつきませんでしたね(汗)
寝物語になっちゃった…。

> きえちん!
> とうとう 名づけちゃったんだね。
> しかも 和紀や日生と会話もして しっかりした 登場ではないですか~!絶対に ちーさんが喰い付くよ!(笑)

付いちゃった…、付けちゃった…ってところでしょうか。
喰いつかれるのは承知の上で、この選択に至りました(笑)
おぼろげながらの姿で登場でも良かったのですが、名無しだと様々な場所で余計な描写を書かなきゃならないかな…と思って…(その前に出さなきゃいいんですがねぇ)
回想録くらいで終わりにさせればいいものを…と後から気付きましたが、どっちにしても喰いつかれるだろうなと想像したら、さっさと名前をつけてしまおうか、と思いまして。

> 和紀と日生の新婚旅行の様子も 気になる所ですが、
> やはり 今まで 一回も出てこなかった 日生の母の存在が すっごく気になりますね。

和紀と日生の話なのに、二の次に回された感が…(´∀`;)
いえ、ふたりのお話ですよ。しっかりと。
でもその前にね…ってところでしょうか。

> 生きているのか どうか…
> どんな女性だったか…
> 日生を 置いて 家を出た理由は 何か…
> もし 生きているなら 今は どの様な生活を送っているのか…
> と、色々な事が気になるし、知りたい!
>
> きえちん、深く掘り下げて書いてとは言いませんから サラァ~と教えてくれたら 嬉しいです。
> ママァ~ドコ(T-T ))(( T-T)ドコ…

現在日生が迷子中ですので、まずはそちらの解決が先でしょうね。
掘り下げて書けるほど、詳細はありませんので、ご希望通り、さらぁ~っと流れるはずです。
コメントありがとうございました。
パクッ
コメントちー | URL | 2013-11-24-Sun 16:35 [編集]
ふはははは。
そりゃ、食いつくさ(笑)
だって、さらっと書いたときから気になったもん。
何者~?この人達って。

ひなちゃん、周防さんて呼んでたのか。
で、わきくんなんだね。
だからか、私はひなちゃんの小さい時が好きです。
無邪気にお兄ちゃん、おとーさん、て呼んでたであろうひなちゃんが。

ひなちゃんのお母さん、私は勝手に捨てて行ったと思ってたけど違うのかなあ。
まあ、さらあっと書いてくれるから良いか←

美星と世羅。どっちがどっち?
きえちん的配役はわかってるけど、たまには違うのも( ̄ー ̄)

あ、この間ニュースで本荘由利市?だったか出て、次は何とか市鳥海・・・
そうか、あの仲間はこの地方なんだとわかりました。
弁護士夫婦?は、広島辺りかな?
調べないけど何かでわかったら楽しいね♪

師匠にしっかり行動を把握されてますね。
ひなちゃんの次は、この夫婦で!
書かないよって、きえちんに言われるから先に書いとく~。書かないよね(笑)
Re: パクッ
コメントたつみきえ | URL | 2013-11-24-Sun 21:08 [編集]
ちーさま こんばんは~。

> ふはははは。
> そりゃ、食いつくさ(笑)
> だって、さらっと書いたときから気になったもん。
> 何者~?この人達って。

名前がなくったって、喰いつかれていたので、名前ができたら尚更だろうと思っていました(笑)
何者なんでしょうね、この人たち。

> ひなちゃん、周防さんて呼んでたのか。
> で、わきくんなんだね。
> だからか、私はひなちゃんの小さい時が好きです。
> 無邪気にお兄ちゃん、おとーさん、て呼んでたであろうひなちゃんが。

本編では一言も発していませんでしたからね。
あっという間に成長しちゃったってところもあったし。
いまだに書き残したことがあるような感じで、延々と続いているお話ですね(汗)
そういえば、ちー様、以前、小さい頃しか読み返さない って言ってましたっけ。

> ひなちゃんのお母さん、私は勝手に捨てて行ったと思ってたけど違うのかなあ。
> まあ、さらあっと書いてくれるから良いか←

えぇ、さらぁっとね。
まぁ、捨てていったことに変わりはないでしょう。

> 美星と世羅。どっちがどっち?
> きえちん的配役はわかってるけど、たまには違うのも( ̄ー ̄)

こいつらも年齢を曖昧にしたままです(←)
和紀と日生が幾つなのかの設定がないので、詳しく書けないのですよ~(いい加減に書いたことを今更ながらに後悔しても仕方ないですね…。
まさか、こんな形で続くとは思ってもいなかったので…)
配役は ご想像にお任せ致します(←?!)

> あ、この間ニュースで本荘由利市?だったか出て、次は何とか市鳥海・・・
> そうか、あの仲間はこの地方なんだとわかりました。
> 弁護士夫婦?は、広島辺りかな?
> 調べないけど何かでわかったら楽しいね♪

もっと良いことでニュースに上がってくれればいいのですが。
こんな時に、地名をつけたことを反省します。
日生たちは中国地方っていうのになるのかな。
なので正解です♪

> 師匠にしっかり行動を把握されてますね。
> ひなちゃんの次は、この夫婦で!
> 書かないよって、きえちんに言われるから先に書いとく~。書かないよね(笑)

書かないよ~(笑)
だって40代だよー。需要がないでしょー。
(前半か後半かは知らないけれど)
熟年夫婦であることは確かでしょう。
コメントありがとうございました。
管理人のみ閲覧できます
コメント | | 2013-11-25-Mon 03:42 [編集]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
Re: 三良坂 世羅
コメントたつみきえ | URL | 2013-11-25-Mon 07:10 [編集]
秘コメa様 
おはようございます。

はじめましてコメントありがとうございます。

> 気になったのは、三良坂世羅、という名前です。
>
> これって、地名?
> というのは、私の実家は三良坂と世羅の間にあるからです。
>
> 関係無いのでしょうか。

正解でーす。地名ですよ。
でも今回、こんな近いところで組み合わさっちゃったのですね…。
うちの作品はどれも、どこかの地名が入っているのです。
名前を考えるのが面倒くさい(←)ので、適当に拾ってきている結果でした。
関係性は何もありません。
たまたまです。
でもそんなところから親近感を持ってもらえたら少しばかり嬉しいです。
また何でも聞きに来てくださいね。
コメントありがとうございました。
拍手コメ う様
コメントたつみきえ | URL | 2013-11-26-Tue 10:16 [編集]
こんにちは~。

> 多分 私 奈義のファンだ(笑)どこか 憎めなくて…あの周防さんに甘えてるところが好きかも(*/ω\*)

奈義に一票ありがとうございます !
威張っているくせに、威張りきれないんですよね~。
そんでもって、渋々(`´)って顔をしながら結局言うことを聞いてしまう…。
うまく甘えられない人でした。
コメントありがとうございました。

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