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病める時も 健やかなる時も 1
2013-11-19-Tue  CATEGORY: 新しい家族
予告編

アンケート、和紀日生をありがとうございます。
こちらは年末までとっておこうと思います。
何も書くことがないので、一部だけ放送(←)しておきますね。





 三隅周防(みすみ すおう)の一周忌は滞りなく成し終えることができた。
 この一年、誰よりも心労を負ったのは息子の和紀(わき)だろう。周防は役所に届け出るような手続きは生前に全てといっていいほど終えていたので、和紀は「ラクだった」と口にしていた。死亡届と、葬式を出すだけで済んだ…と言ったとしても、精神的な苦痛までは、人は想像することができない。
 いくら事前に周防の死が分かっていたことだったとしても、この世から存在が消えるというのは、心に大きな衝撃を与える。
 周防が亡くなってからも和紀は凛々しく構えていた。
 自宅に訪れるもの、会社にやってくる取引先は後を絶たず、まともに仕事にならない日が随分と続いた。
 日生はその支えになってやれたのだろうか、と幾度も不安を宿してしまう。

「今年の冬は長期休暇になれるから、どこか、遠くに行こうか…」
 和紀にそう提案されたのは、休日前のベッドに入った時だった。
 和紀と抱き合う空間は、元の家に戻っている。一度は実家(といえるのか)から別居したが、周防が再入院してから、隣の新居を引き払った。
 家政婦の清音に余計な手間暇をかけたくなかったからだ。自宅の管理と、入院中の周防の看護だけで充分なほど時間を使う。空き部屋であれば、休日に自分たちが手入れをすれば済む。
 現在はその空室に会社の専門弁護士が事務所をかまえていた。昔からの付き合いで、『遠くの事務所より近くの事務所』と和紀が説き伏せた結果だ。過去、連絡を取るのにも、往復するのにも距離があった。
 ふたりの男性弁護士が同居という形で自宅同然で住み込んで常駐し、通いの事務員が二人いることに、和紀は何も言わない。
 無駄な人間が出入りすることのない、このマンションの最上階は、それだけで安全が保たれているのかもしれない。

「とおく…?」
 日生は裸体を抱かれながら、和紀が口に乗せたことを繰り返す。
 周防が亡くなってから、多忙過ぎて出かけることなどままならなかった。もちろん、気が進まなかったこともある。それが、一周忌を迎えたことで、なにやらから解放された気分も混じったのかもしれない。
 日生がキョトンと問い返すと、和紀は「そう。ひなは寒いところが苦手だから、南の島、なんてどう?」と正面から尋ねてくる。
 べつに、寒いところが苦手なわけではない。ただ、凍える日生の姿を和紀が見たくないだけだろう。
 確実に日本を離れる予定に、日生にはいつものごとく控え目さが漂った。
「そんな…。これ以上の贅沢、できないよ…」
「贅沢?」
 日生が返すことに、訝しげな瞳が覗きこんでくる。
 これまでも充分なほど、世間一般では経験できないことを積ませてもらっていた。育ててもらっている当時は"普通"だと思っていたが、社会に出てみれば、明らかな身分違いだと知らされる。
 それに気付いてから、余計に和紀の負担にはなりたくないと、自分からは何も言わなくなった。
 黙ってしまうと、もっと和紀の瞳が強烈に注ぎ込まれてくる。
「ひな?」
 何を思っているのか言ってほしい、という和紀の気持ちは存分に計ることができた。
「だって…」
 それでも口を閉じる日生に、和紀も日生が何を思うのか悟ることができるのだろう。無理に口を開けさせようとはしなかった。
「俺が行きたい、って言っているんだ。ひなは一緒に来てくれないの?」
 そう言われたら断れるわけがない。
 首は嫌でも縦に振られてしまう。

 だけど、今回ばかりは曖昧にする気がなかった和紀のようだ。
「贅沢、って、どうしてそう思う? ひなは何を遠慮している?」
 きっと普段の行動からお見通し、といった感じだ。
…遠慮…。それはもう、ずっと昔から日生の中に宿った感情のひとつだ。
 引き取られ、育ててもらい、感謝することはキリがない。その上、家族にしてもらって、あまつさえ、周防から日生に『個人的遺産』まで残されていた。全て和紀のものとなるべきところを、『日生のもの』として個人名義に変えてもらったものまであった。
 いつ、路頭に立たされてもおかしくない立場なのに大事にされて、これが『贅沢』以外のなんなのだろうか。
「『三隅』の名前になれただけでも、充分なくらい、贅沢な立場だよ…」
 瞼を伏せ、掠れるような声で日生が答えたら、和紀は「そんなこと…」と笑う。
「親父は最初からそうする気だった…」
「え…?」
 最初、の意味が分からなくて、また真上を見上げてしまう。
 和紀は日生の瞼と頬にくちづけを落としてから、苦笑いを浮かべた。
「ごめん…。こんな時に言うべきじゃなかったな…」

…すっかり萎えるから…。そんな理由ではないだろう。
 いつまでも周防を慕い、思い続ける日生が、『贅沢』と口にした時だからこそだ。
 旅行に行かない、といつ、言いだされるかも分からない時。

 しかし、隠さなかったのは不安定な日生の心情を確かなものにするため。

「ひながもっと小さくて、前後何一つ分からない子供だったら、親父は確実に『三隅』を名乗らせた。ひなが『引き取られた』と分かる年だったから、『阿武』で戸籍を作らせたんだ…」
「戸籍…?」
 もっと分からない言葉が次から次へと日生を襲ってくる。
 それは、もともと誰にでも存在するものではないのだろうか…。
 日生の疑問はすぐに和紀に掬いあげられた。
 和紀は決して苦しまないように、と力強く日生を抱きしめ直して、尚も、啄ばむくちづけをやめない。
「うちに来た時…、ひなに戸籍はなかったんだよ…」

 日生は目を見開いて和紀を凝視した。
 知らなかった事実が、周防という壁がなくなったことで、次々と明かされていく…。 

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コメント

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わあん
コメントちー | URL | 2013-11-19-Tue 22:21 [編集]
一周忌になってるぅぅぅ。
まあ、仕方ないけど仕方ないけど。

ひなちゃん、いろいろと自分について知るのかな。
お兄ちゃんがいるから大丈夫?
あ、なんか、マグロ漁船に乗ったおバカさんを思い出しちゃったよ。

さて、明日が楽しみだなあ。

そしてそして。
弁護士さん二人・・・
それは、次回の主役?
それとも、今まで出てきた人?
いや、おニューだよねえ。

ひなちゃんより、違うとこに食いついてる私。
私だけだろうか(笑)
Re: わあん
コメントたつみきえ | URL | 2013-11-20-Wed 09:03 [編集]
ちーさま おはようございます。

> 一周忌になってるぅぅぅ。
> まあ、仕方ないけど仕方ないけど。

泣かれるかと思いましたが…。
そう、仕方ないのです(←)

> ひなちゃん、いろいろと自分について知るのかな。
> お兄ちゃんがいるから大丈夫?
> あ、なんか、マグロ漁船に乗ったおバカさんを思い出しちゃったよ。

マグロ漁船(爆)
しっかり売り飛ばされましたね。
日生は和紀から何を言われるのでしょうか。

> さて、明日が楽しみだなあ。

ごめんなさい。
ありません。
(予告編って書いたじゃん…)
でも、読者様に弱い私なので、応募状況(←???)によっては早まります。

> そしてそして。
> 弁護士さん二人・・・
> それは、次回の主役?
> それとも、今まで出てきた人?
> いや、おニューだよねえ。
>
> ひなちゃんより、違うとこに食いついてる私。
> 私だけだろうか(笑)

絶対に食いつかれると思ったよ~(笑)同居する弁護士。
難しいことは分からないので、書く気はありませんが、こちらもご希望があれば。
このお話の中で登場させる予定でおりますので、こちらも楽しみにしていてください。
コメントありがとうございました。
(∩´∀`)∩オォ♪ 予告編~♪
コメントけいったん | URL | 2013-11-20-Wed 11:35 [編集]
周防さまが、もう この世に居ないって分かっていても 事実を突きつけられると…( ´-ェ-` )シュン
と、
テレビドラマを見て 役なのに 悪役の女優や俳優を嫌う どこぞの おばちゃんの様に 現実と虚構が入り混じっている私です!(笑)

周防さまが居なくなった後の 日生と和紀 そして清音さんとの 3人の生活が どんな風に書かれるか 楽しみ お待ちしております。

しかし 寒い~~!
昨日も 今日も 雨時々 みぞれ交じり雨で 陽光が無いから 余計に寒いです。
きえちんも 風邪になったばかりだから ぬくぬく~にして 体を冷やさない様にね♪あったか~ぃ(∞'Д`*/ ̄ ̄\←こたつ 

Re: (∩´∀`)∩オォ♪ 予告編~♪
コメントたつみきえ | URL | 2013-11-20-Wed 13:04 [編集]
けいったんさま こんにちは~。

> 周防さまが、もう この世に居ないって分かっていても 事実を突きつけられると…( ´-ェ-` )シュン
> と、
> テレビドラマを見て 役なのに 悪役の女優や俳優を嫌う どこぞの おばちゃんの様に 現実と虚構が入り混じっている私です!(笑)

すみませぬ…m(__)m
きっと反論いただくだろうなーと思いながら、読者様はきっと分かってくれると思って、この始まりです。
役どころって難しいですよね。
でも引きづり込んでくれる役者魂、とても感心します。

> 周防さまが居なくなった後の 日生と和紀 そして清音さんとの 3人の生活が どんな風に書かれるか 楽しみ お待ちしております。

こちらも、過去、書き忘れたものを、ここぞとばかりに書いているのかもしれません。
読者様のリクエストに叶うかどうかは疑問ですけれど、また付け加えながら書き進めたいと思います。
少しお時間をいただきますが、お待ちいただけると嬉しいです。

> しかし 寒い~~!
> 昨日も 今日も 雨時々 みぞれ交じり雨で 陽光が無いから 余計に寒いです。
> きえちんも 風邪になったばかりだから ぬくぬく~にして 体を冷やさない様にね♪あったか~ぃ(∞'Д`*/ ̄ ̄\←こたつ 

さむいねー。
きえちんは先日、『着る毛布』というのを購入しました。
(ナイショデ ヌックミーっていうやつ…←全然ナイショじゃないね)
これ、なかなか温かくてすっごく重宝しています。
そちらは雨なの…?
こちらはしずくの一滴もなくて、庭に水やりしていますよ。
けいったんさまも、またおトイレと仲良しにならないように気をつけてくださいね。
コメントありがとうございました。
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