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心と魂 余談
2013-11-17-Sun  CATEGORY: 眼差し
心と魂 3』の…ナニカ…。


 佐貫光也(さぬきみつや)は暗闇の中にいた。
…ここは、どこだ…?

 監禁されているわけでもない。自分はしっかりと立っているはずだし、ただ視界に映るものが何一つない。
 頭を振り、四方を見渡す。
 やがて、白い霞みのようなものが見えた。
 ゆっくりとそれは近づいてくる。

 形がはっきりとしなくて目を細めれば、やがて輪郭が浮かび上がった。
 まだ少年…とも言えそうな、だが二十歳は過ぎているだろう。儚げな印象を与えてくる姿に記憶があった。
「ナル…?」
 思わず声が出る。
『やっと来てくれたね…』
 今にも消え入りそうな小さな声だが、何もないここではしっかりと聞き取ることができる。
 いつの間にか生きてきた人生から消えてしまった人が目の前にいて、驚かないはずがない。
 愛した人間でもあった。
 心の中に後悔が激しく湧き起こって、佐貫はそちらに足を踏み出そうとした。
 成視(なるみ)の体と心は、他人の手で酷く甚振られて、佐貫は助けてやることができなかった。
 その後悔は長い月日、佐貫を苛み続けた。

 足を前に出そうと思ったが、腕が後ろに引っ張られて動けなかった。
 もう、引きずりたくない。その思いが阻むものを振り返ると、縋るような眼差しに出会う。
 言いたいことがあっても言えない、この眼を、佐貫は良く知っていた。
『光也…』
 自分を呼ぶ声が闇に響く。

 二人の間で、佐貫の脳内がめまぐるしく動く。
"思い出"が走馬灯のように過り、自分の手を引くものが誰なのか、はっきりとした。
「成俊…」

 もう一度正面を向くと、成視が『待っていたよ…』と呟く。
『ずっと待っていた…』
 その言葉の意味を佐貫は痛いほど知っていた。
 自分が機敏に動かなかったから、何人もの人を傷つけた。

…だけど、今、自分は成視のそばに寄って抱きしめてやることはできない。
 最期まで無情な男だとどれだけ恨まれても良いと心底思う。

 再び佐貫は護るべき人を得てしまった…。

 泣きそうな顔を見ては辛くなるが、手を引っ張ってくれる人もまた、置いていくことはできないと強く胸に刻む。
「悪かった…」
 そんな言葉では済まされないだろう。
 告げる言葉がどれほど非情なものなのか…。

 それなのに、成視は泣きながら笑った。
『光也くんがずっと苦しんでいたのは知っているよ。傷つけたのは僕のほうだった…。その人を初めて抱いた時、光也くんは僕の名前を呼んでた…。ずっと想っててくれたんだ…って知って嬉しかった…。もう、縛らないから…。自由になって…』

 なんのことなのかと佐貫は凝視してしまう。
「ナル?」
『僕は、そっちの人じゃない…』
『光也…』
 どこからともなく声が木霊する。
 もう一度背後を振り返ったら、成俊の姿がなかった。同じように正面を向いても、成視の姿も消えていた。
 再び暗闇の中に佇む。

『光也…』
 幾度も呼びかける声だけが佐貫の全身を滾らせた。
 成視の言った最後の言葉の意味がとても良く知れてくる。
 自分を自由にする、とは、過去の呪縛から逃れさせてくれるもの…。
 悩んで新たな道に踏み出すことを、拒絶していた佐貫の背中を押した。

…生きて、守るのだと…。
 足は背後に動く…。だが前進した。決して後退ではない。

 暗闇に、一筋の光が差し込んだ。


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今日分までの『同行』を先日間違えてUPしてしまいまして…。
後で書きますので、先にこちらを…。

以前、佐貫のことで書き遺したことはないかとリクエストをもらった時、忘れていましたが、あぁこれかぁ…と思い出しました。
独り言みたいな記事で申し訳ありません。
コメントもお待たせしておりますm(__)m
風邪がしっかり悪化しまして、寝込んでおりました。とりあえず、近況報告だけ。
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コメント

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佐貫さん
コメントちー | URL | 2013-11-17-Sun 11:29 [編集]
きえちん、風邪大丈夫?
風邪って本当に本当に怖いんだよ?
気を付けてね。そして、コメントの事より自分の事。
みなさん、優しいから気にしてないよ。
早く良くなって。


何回も読んだお話ですけど。
佐貫さんがさまよっている間にこんな事があったんですね。まさか、ナルが来てたとは。
もし、成くんがいなかったら。
佳史さんが偉い←お医者さんじゃなかったら。
佐貫さんは、いないかもしれませんね。
佳史さんが成くんを少しでも会わせて、呼ばせたから佐貫さんが帰ってこれた。
呼ばなかったら、ナルと行ってしまったでしょ?

確か高校の時、先生が言ってました。
意識がないときは一生懸命呼んで、こっちに戻すって。
そうしないとあちらに行ってしまうんですって。
きっと、あちらには行きたくなる何かが待っているんでしょうね。

ナルは、佐貫さんが自分を深く愛していたことを知っていたから、戻してくれたんでしょう。
もちろん、成くんがいたからでもありますが。
佐貫さんが愛した人達だものね。
二人とも良い子だよね。
拍手コメう様
コメントたつみきえ | URL | 2013-11-17-Sun 20:42 [編集]
こんばんは。
ご心配おかけしております。

> お疲れ様です(ペコリ) 無理せず ゆっくり休んでくださいね(*^_^*)

ようやくラクになれてきました。
意識朦朧としてくると、いっぱい失敗起こしますね(´∀`;)
(普段から…と言われればそれまでですが)
コメントありがとうございました。
Re: 佐貫さん
コメントたつみきえ | URL | 2013-11-17-Sun 21:06 [編集]
ちーさま こんばんは。

> きえちん、風邪大丈夫?
> 風邪って本当に本当に怖いんだよ?

体力が落ちている時の風邪ほど怖いものはないですよね…。
ご心配ありがとうございます。

> 何回も読んだお話ですけど。
> 佐貫さんがさまよっている間にこんな事があったんですね。まさか、ナルが来てたとは。
> もし、成くんがいなかったら。
> 佳史さんが偉い←お医者さんじゃなかったら。
> 佐貫さんは、いないかもしれませんね。
> 佳史さんが成くんを少しでも会わせて、呼ばせたから佐貫さんが帰ってこれた。
> 呼ばなかったら、ナルと行ってしまったでしょ?

誰が呼び戻したのか…はもちろん成俊なんですけれど。
あの世の入り口を彷徨っていた時、出会っていたんじゃないかな、と頭の隅っこで思っていました。
恨みつのって、連れて行っちゃうんじゃないかな、とかね。

> 確か高校の時、先生が言ってました。
> 意識がないときは一生懸命呼んで、こっちに戻すって。
> そうしないとあちらに行ってしまうんですって。
> きっと、あちらには行きたくなる何かが待っているんでしょうね。

高校の先生も、佳史先生も偉いですね~。
今回の佐貫も、あちらに行きたい何かがあったのかもしれませんね。
まぁ、成視は成仏できずに、佐貫の周りをウロウロしていたってことで(←)

> ナルは、佐貫さんが自分を深く愛していたことを知っていたから、戻してくれたんでしょう。
> もちろん、成くんがいたからでもありますが。
> 佐貫さんが愛した人達だものね。
> 二人とも良い子だよね。

佐貫がどれだけ苦しんだのか、周りの人は見てきていましたから。
成俊もいろいろあったし。
二人を『良い子』といってもらえて嬉しいです。
コメントありがとうございました。
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