FC2ブログ
ご訪問いただきありがとうございます。大人の女性向け、オリジナルのBL小説を書いています。興味のない方、18歳未満の方はご遠慮ください。
BLの丘
スポンサーサイト
-----------  CATEGORY: スポンサー広告
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
待っていたから 21(最終話)
2013-11-09-Sat  CATEGORY: 待っていたから
穂波・香春・嘉穂
イラストの版権はくるみ様にあります。お持ち帰りはお断りいたします。

 嘉穂と穂波と両脇に立たれて津屋崎家に帰った。夕ご飯はすき焼きだ。
 きっと穂波はこれが食べたいからさっさと嘉穂の回収に来たのだろう。
 残念な試合の結果はあえて深く突っ込まれることもなかった。試合に負ける悔しさは穂波も経験しているから、「ま、勝ち続けて天狗になるよりはいいよ」とあっさりとかわしてしまった。
 その悔しさをバネにまた励んでいけばいいと。

 食事のあと、香春はお風呂ももらって嘉穂の部屋に引きあげた。週末の今日、どっちの家に泊まってもいいという配慮は今後も続けていかれることなのだろう。
 嘉穂の部屋で待って、遅れてきた嘉穂は下で家族として何かを話しあってきたようだ。
 今日は特に傷ついた嘉穂がいるから余計だ。誰もが温かく見守ってくれている。…とはいえ、家族がいる前で、いやらしい雰囲気になれるはずもなかったが。
 嘉穂はまた牛乳とお菓子をトレーに乗せて持ってきた。
 ベッドの前の指定席に座っては、嘉穂の動きに目を奪われる。
 筋肉質な大きな体は香春の隣に腰を下ろしてきて、ずっと燻っていた気持ちを穏やかにしてくれる。話し始めたのは八女のことも含まれた。
「ごめんな…。ジョウのこと、気にしたのは香春だって嬉しくなかっただろ…」
 それはもちろんだったが、嘉穂なりの考えがあったのかと思えば強く責められるものでもない。そこは嘉穂の優しさにある。しかし、嘉穂は先程「友達でなくなってもいい」としっかりと伝えていた。
 これ以上、嘉穂に対して何かを言える権利なんてない。
 つまらなくても、悔しくても、嘉穂の人柄だと思えば許すしかない。
 嘉穂は次々と、溜めこんでいたようなことを口にした。

「香春、同じ高校に行こう」
 そう言われて現実を突きつけられた気分になった。甘い時間は続かない。
「香春に学力的に無理があるなんて思っていない。ジョウと柳川にはっきり伝えたのは、香春に自信を持ってほしかったから。俺がはっきりしないから、香春は余計に不安になったのかな…って考えた。勉強に身が入らないほど心配させたのかな…って。俺は絶対に香春だけを見ている。いつだってどんな時だって、香春がいてくれたからここまで来られた。部活だって、香春が『カッコイイ』って言ってくれるから、香春の自慢でいたかったんだ。…負けちゃったけどさ」
 情けなさそうにうなだれられて咄嗟に香春は「そんなことないよっ」と抱きついた。
 嘉穂がどれだけ努力して頑張ってきたのかは、一番近くにいた香春だからこそ知ることだった。チームプレーだから全ての責任が誰ひとりに押し付けられるものではない。嘉穂の活躍は誰だって認めている。たまたま、勝敗という結果が、『負け』の烙印を押しただけだ。
 そして何より、深く深く、香春のことを考えてくれていたことに感激した。
 自分が不甲斐ない成績を出してばかりで、嘉穂はヤキモキした時間があったのだろう。もしかしたら、それでプレーに集中できなかったのかと過れば申し訳なくもなった。
 えっちなことばかりに気を取られたのも否めない。体をつなぐことが、一つの安堵だったのだから…。
 そこを嘉穂ははっきりと位置付けてくれた。
 不安なんて持つ必要がないように…。

「部活はもう、やめることにした…」
「え…?」
 あまりにも予想外なセリフが飛び出して、香春のほうが瞠目した。目を大きく見開いて嘉穂を凝視してしまう。
「塾に行くって言ったら、にぃちゃんは『嘉穂が決めたなら』って学校への退部届願いまですんなり書いてくれたよ」
 嘉穂は笑う。
 勉強にうるさい津屋崎家にとって、部活はあくまでも娯楽の一つだったのかもしれない。先程までの時間はこの話のためだったのか…。
 それでも、香春のために…という選択肢は喜ぶことなどできなかった。
 校内でも、必ずしも部活に参加しろという制約はない。ましてや、受験が絡んでくるこれからの年は、強制させられない背後がある。
 塾に通うことになれば、当然時間が狭まれたし、勉強時間を削ってまで、部活動に励めとは言えなくなる。本人のやる気が全てで、尊重してくれるところでもあった。
「嘉穂くん…」
「俺と一緒に勉強したら、分かることも増える? 第一志望も第二志望も同じところにしよう。香春を一人にするのが嫌なんだよ、俺は…」
 抱きついた体は逆に抱き返される。
 強くて逞しくて…、守ってくれるものは、独占欲を剥きだしにしてきた。
 本当に待っていたのは、この想いなのだと思う。
 嬉しくて涙がこぼれそうになって、必死にこらえた。
 これ以上嘉穂の負担にはなりたくない…っ。
ストラップ

 ふたりをつないだ絆がある。

「がんばるよっ。僕、がんばるからねっ」
 同じ学校に通うことの夢が広がる。
 嘉穂の好きなことのひとつを取り上げたのだから、我が儘なんて言えなくなる。
 その環境を生み出すために、嘉穂は学校での噂も怖く思わなくなったのか。だから、八女たちにも自分たちの関係を明らかにした。
 確かに香春が望んだものだったが、覚悟を決めたという点は想像しなかった。
 それだけに、嘉穂の想いを感じる。
 彼に応えるべく闘志を燃やす。

「香春…。これからは"ご褒美"だけのえっちにしよう…。俺も我慢するから…」
 体の関係を遠ざけられることに不安は過った。だけど真剣な目に頷く。
 どうしてもなだれこんでしまう肉体関係は、上の空にさせてしまうことも強い。
 嘉穂に新たなる我慢をさせると思ったら、中途半端にいかないことを漂わせる。頷いていいのか、どうなのか悩むところだったが、ご褒美を与えてくれることを思ったら、首が縦に振られた。
「今日は、これだけ…」
 そう言って、嘉穂は香春にくちづけてくる。軽く合わせては離れて…。
 感動に潤んだ瞳で見上げたら、「やっぱり我慢できないかも…」と早々に音を上げた嘉穂がいて笑ってしまった。

…僕はいつだって嘉穂くんのためにいるよ…。
 そう胸の内で呟きながら、またキスを繰り返す。
 覚えたての肉体は、なかなか静粛にはいかなかった。

「嘉穂ぉっ、てめぇっ、ちゃんと宿題してんだろうなぁっ?」
 廊下から福智の声だけが響き渡る。
 入ってくることがないのは、この家での"配慮"なのだろう。たぶん、筑穂に確認を促されたのだ。
…家の中って難しい…。
 クスッと思わず顔を見合わせた。
 そう感じた中学二年生の、夏前…。
 今は"待っていたから"想いが聞けた、それだけでいい…。

―完―

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村
人気ブログランキングへ 
ぼちってしてくれるとうれしいです。(o'▽')σ【ポチッ】

なんだか、えらく中途半端にした気がしなくもなく…。
保護者の努力もあって、きっと香春は嘉穂と同じ学校に通うことができるでしょうね。
完結をお待たせした読者様にはお詫びしたいところです(←え? なんだよ、こんな終わり方かよ…っと不満に思われた方もいるかと…)
私、本当に学生物って、読むのはいいけど書くのは苦手だな…と思いました。
初々しさが書けないんですよね…。
だから今回の嘉穂も、どこか大人びてしまったかな…と反省しておりますが。
親が亡くなった状況下で育ったら、しっかりした精神が宿っていてもいいかな…と。

またしばらくお時間をいただくかと思います。
ただいま いただいているアンケートが、和紀と日生がものすごい勢いで、千城と英人を抜きました。
日生の日常が知りたいとか、日生がどう周防を呼んでいたのか知りたいとか(←ここ、誤魔化していたところをしっかり食いついてこられましたね…汗。そう、書いていないんですよ。わざと避けたところでした)。
そのうち、中間報告をしたいと思います。
締め切りは12月10日にしましたのであと一カ月。
(途中で誰かを書く可能性大ですが、思いつきのままでいきますのでお許しください。私が一番驚いたのは日野&神戸だったんですけれどね…。美しい海辺に撮影に同行させられた日野…との撮影されないらぶしーんとか書いちゃおうかなって気になりました。)
皆さま。お忙しい中、お付き合いありがとうございましたm(__)m
あと、別宅は本当に気ままに更新しております。それこそ気まぐれに、あっちのバナー(和紀ひな)をポチってしてくださると、きえちんのつぶやきが聞こえます。
その前に↓こちらにパチっていただけるともっと嬉しい(#^.^#)
関連記事
トラックバック0 コメント6
コメント

管理者にだけ表示を許可する
 
拍手コメ様
コメントたつみきえ | URL | 2013-11-09-Sat 08:42 [編集]
おはようございます。

> お疲れ様でしたm(__)m 嘉穂が 大人ぽいのは、3兄弟プラス ワンのせいだよ(笑)良い見本も悪い見本もすぐ傍に有るからね(ふふ)これからが 楽しみなふたりですね(´ψψ`)

どんな大人になっていくんでしょうかね(笑)
ホント、良い見本と悪い見本が揃った家ですね。
また何かの機会に登場させたいと思います。
高校生になったふたりとか、次は大学受験ですかね。
その頃には筑穂も30歳越えか…。
穂波はお店でバリバリ働いているのかなぁ。
いつも温かいコメント、ありがとうございましたm(__)m
アンケートコメさま
コメントたつみきえ | URL | 2013-11-09-Sat 10:57 [編集]
こんにちは~。

いっぱいネタ振りをありがとうございます。
ただ、日生が何故「和紀くん」「わっくん」となるのかは、その時々の舌足らずさにあるので、物語化するのが難しいところです。
勢いあまって、「和紀くん」と言いたいところが途中がすっぽ抜けたって感じでしょうか。
こんなところからのレスで申し訳ないのですが…。

安住編もご希望されていて、この際まとめて、日生を引き取った時に周防が会った弁護士、この人にしようかなぁぁぁなんて思いましたが、年齢的に無理が???
いや、そこは無視してもいいでしょうか。
結局、歳をとらない、我が家のキャラってことで(笑)

ありがとうございましたm(__)m
お疲れ様でした。
コメントちー | URL | 2013-11-09-Sat 21:38 [編集]
嘉穂と香春ちゃんは、結局オトナになっちゃって。
にぃちゃん達より早いよね。
筑穂にぃが一番、オクテだったか(笑)

福ちゃん、何気に活躍してて嬉しかった。
まあ、媚薬入りの何とかは置いといて。
ウッキーもちょこっと出たしねえ。
ウッキーも好き~。

嘉穂と香春ちゃんは、きっとずーっと一緒に行くんだね。下手すると会社まで一緒か。
そしたらあ、千種と同じ会社が良い。
にぃちゃん、そばにいないと淋しくて死んじゃうから。
ウサギかっ!

香春ちゃんは、大きくなるにつれて美人さんになるんだろうなあ。
そんな、香春ちゃんが心配でヤキモキしてる嘉穂。
高校辺りで一回別れて、お互い違う人と付き合ったりしても結局、忘れられなくてモトサヤとかあ。
若いからネタはたくさんあるね。
フフフ。

きえちん、お疲れ様でした。
骨休みにツバメちゃんの秋でも書いて←
Re: お疲れ様でした。
コメントたつみきえ | URL | 2013-11-10-Sun 07:14 [編集]
ちーさま おはようございます。

> 嘉穂と香春ちゃんは、結局オトナになっちゃって。
> にぃちゃん達より早いよね。
> 筑穂にぃが一番、オクテだったか(笑)

そう、にぃちゃんが一番オクテ(爆)
下の子は上を良く見ていますねぇ。

> 福ちゃん、何気に活躍してて嬉しかった。
> まあ、媚薬入りの何とかは置いといて。
> ウッキーもちょこっと出たしねえ。
> ウッキーも好き~。

今回、大人の威厳(←)で福智、大活躍でしたね。
余計なこともしたけれど。
家族総出で弟を見守ります(`・ω・´)ノ
浮羽もいずれ、(もう?)家族になってくれますからね。

> 嘉穂と香春ちゃんは、きっとずーっと一緒に行くんだね。下手すると会社まで一緒か。
> そしたらあ、千種と同じ会社が良い。
> にぃちゃん、そばにいないと淋しくて死んじゃうから。
> ウサギかっ!

千種の会社って何しているんだっけ???
まぁ、バリバリ仕事する吉良のところよりは良いでょうね。
香春、泣いちゃう(ノд-。)クスンってことになりそうだし。
にぃちゃん、家族を大事にしているものね。
親戚に引き取られることを拒否した人ですから。

> 香春ちゃんは、大きくなるにつれて美人さんになるんだろうなあ。
> そんな、香春ちゃんが心配でヤキモキしてる嘉穂。
> 高校辺りで一回別れて、お互い違う人と付き合ったりしても結局、忘れられなくてモトサヤとかあ。
> 若いからネタはたくさんあるね。
> フフフ。

まだ先が長い人たちです。
学生生活が垣間見られるでしょうか。
…一回別れて…。別れるのかなぁ。
ふたりの間に何かあったら、保護者のほうが黙っていなさそう…。
香春ママ「うちの子をキズモノにしたわねっヽ(`Д´)ノ」

> きえちん、お疲れ様でした。
> 骨休みにツバメちゃんの秋でも書いて←

骨休み? それ骨休み???
ちょうどこの前、燕を読んでいたので、ちーさまからリクいただいて驚きました。
年末になるとまた忙しそうな五泉ですからね。
その前にひとっ風呂 ってとこでしょうか。
こっちも家族旅行すればいいのに。(あ、会社の慰安旅行か)
刈羽と一緒にお風呂~♪(←?)

コメントありがとうございました。
お疲れ様でした~♪゚*。(b・∀・b)。*゚
コメントけいったん | URL | 2013-11-10-Sun 10:31 [編集]
学生ものは苦手な きえちんに 大変な苦労させてしまったようですが、
香春と嘉穂が、皆に支えられながら 2人仲良く 成長して行く様子を見られて 嬉しかったです。

この作品の今回の終わり方は、彼らが 主役となって また登場する作品を予想出来るものであって(←∑( ̄◇ ̄:)エッ!? (笑)) 良いと思います、私は!

ちーさんを筆頭に たくさんのリクがあるとは、
それだけ きえちんの作品が 素敵で 魅力的な登場人物が多いとうい事でしょう。
素晴らしい~(=⌒ー⌒)//"パチパチ

心配をお掛けしました母ですが、声の嗄れ(かれ)と咳は まだ残るものの やっと熱は下がり いっそう 我が道を行っております(笑)
ただ 世話に疲れからか 母とは違う風邪からか 私の胃腸が パンク!
昨晩から トイレと 親交を深く深く築いている状況で~~(泣)

きえちん、皆さんも これから 益々 体調管理が難しい時季となりますので 本当に気を付けて お過ごし下さい。
まただぁ~ε=(ノ゚Д゚)ノ ∥WC∥ 



Re: お疲れ様でした~♪゚*。(b・∀・b)。*゚
コメントたつみきえ | URL | 2013-11-10-Sun 12:20 [編集]
けいったんさま こんにちは~

> 学生ものは苦手な きえちんに 大変な苦労させてしまったようですが、
> 香春と嘉穂が、皆に支えられながら 2人仲良く 成長して行く様子を見られて 嬉しかったです。

いえいえ。良い刺激でしたよ。
嘉穂と香春の今後はどうになるのかは知りませんが(←)
少しでも成長過程を味わっていただけたなら嬉しいです。

> この作品の今回の終わり方は、彼らが 主役となって また登場する作品を予想出来るものであって(←∑( ̄◇ ̄:)エッ!? (笑)) 良いと思います、私は!

また続き?!
そこはまたリクエストをいただいた時にしますね。

> ちーさんを筆頭に たくさんのリクがあるとは、
> それだけ きえちんの作品が 素敵で 魅力的な登場人物が多いとうい事でしょう。
> 素晴らしい~(=⌒ー⌒)//"パチパチ

他人様の頭に新作を頼っております…。
それにしても読者様って、本当に意外なところで足をすくってくれるので(←ちがうっ)ありがたいです。
私、絶対に思いつかないことばっかり。
そこで話を思いつく、どうしようもないひと…。

> 心配をお掛けしました母ですが、声の嗄れ(かれ)と咳は まだ残るものの やっと熱は下がり いっそう 我が道を行っております(笑)
> ただ 世話に疲れからか 母とは違う風邪からか 私の胃腸が パンク!
> 昨晩から トイレと 親交を深く深く築いている状況で~~(泣)
>
> きえちん、皆さんも これから 益々 体調管理が難しい時季となりますので 本当に気を付けて お過ごし下さい。
> まただぁ~ε=(ノ゚Д゚)ノ ∥WC∥ 


お母様、お元気そうで良かったです。
うちもちょっとしたことで心配になる親がいるので、たかが風邪…とかいえないですよね。
移ることもありますから、お気を付けください。
(病院にいたときは、『風邪気味の方は入らないでください』的なことが書かれていたもんね)
自分で行けるトイレ…もまた良いことではありますが。
人のお世話にはなりたくないよね…。

コメントありがとうございました。
トラックバック
TB*URL
<< 2018/11 >>
S M T W T F S
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -


Copyright © 2018 BLの丘. all rights reserved.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。