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待っていたから 18
2013-11-06-Wed  CATEGORY: 待っていたから
【嘉穂視点】

「なぁ、鞍手と付き合っているんだろ?」
 嘉穂が柳川に声をかけられたのは、部活に行く前の時間だった。香春はクラブの探索ですでに校外に出てしまっている。二時間もしないで戻ってくることが分かっていたから、香春についての心配は特にしていなかったが、他人から口にされる名前には訝しさを浮かべてしまう。
 小学校からの付き合いで、決して知らない人間ではないが、良く話をする間柄でもなかった。
 何を言いたいのだろうか…と首を傾げた。
「なんで?」
 嘉穂は短い言葉で問い返す。
 付き合っている真実が知りたいのか、付き合っていたら何が悪いのか、まだ特別な何かではないと確証が得たいのか、何が聞きたいのか…。
 柳川は「怖い顔、すんなよ」とたしなめてくる。肩を竦められて余計にイラッときた。
 嘉穂が明らかに不機嫌になった表情を見て、やっぱり…と柳川は納得したようだ。分かって離れてくれるのならありがたいが、からかわれるのは良しとしない。
 ただでさえ、香春は周りの影響を受けやすい性格をしている。
 アレコレ言われて気を病ませることだけは避けたかった。一番心配したのは、香春の成績だ。
 昔から筑穂が勉強は見てくれていたが、飲み込みの遅さは充分なほど承知している。一緒の高校に行くのは無理だ。嘉穂が高校のレベルを落とすのは簡単だったが、筑穂は絶対に認めないだろう。少しでも香春が頑張ってくれたなら、多少の差は埋められるかもしれない。
 だから支障がないくらいに、あからさまな態度はとってこなかった。
 人の噂が怖いことは、親を失って世間の冷たさを肌で感じてきたからこそ知っている。噂の対象にはされたくない。しかし、隠しようもない雰囲気は、自然と零れていく。それがどんな悪循環に陥らせるのかも…。
 嘉穂がここまで頑張ってきたのは、ただ香春の為しかなかった。
 本当だったら公然と打ち明けてしまいたいところもある。だがそれをしたら、香春は一層、身が引き締まらなくなるだろう。

「鞍手のやつ、イイ具合になってきたじゃん」
「だから、なにが?」
 とぼけたかった。
「おまえたち、ヤっているんだろ? そのコツが知りたかっただけ」
 単なる好奇心で目を向けてほしくない。柳川の言い方にますます嘉穂は顔を強張らせた。あわよくば、香春を手にかけようという気持ちも混じっているのだろうか。
「ふざけんなっ」
 色恋に目覚める年頃だとは、自分を思っても理解できる。先に"味"を知ったなら、それを聞きたいことも…。不慣れな人間より、経験のあるものに委ねたい何かというものも持ち合わせていてもおかしくない。
 しかし嘉穂には言いふらす気はこれっぽっちもない。先輩などが自慢げにすでに童貞から卒業したとか、どこのオンナを組み敷いたとか話すのも聞いていたから、そんな安い人間になりたくはなかった。
 何でもペラペラと話すと思われていたなら心外もいいところだ。
 思わず手が出て、胸倉を掴みかかったところで、「待てよ」と一瞬脅えた表情を見せた。嘉穂の体格からして、喧嘩になったとき、勝ち目はないと悟るのだろうか。
「おまえ、上陽をウザったがっていただろう? 引き受けてもいいってこと」
 柳川の言うことが理解できなくて、眉間に皺が寄る。柳川は嘉穂と香春の間をどうこうする気がないのが脅えの内に感じられた。
 はっきりと意思表示してくる八女については、確かに手をこまねいた部分があるかもしれないが、あくまでも友人だ。待ち受ける事柄が"遊び相手"にされることは許せるはずがない。
 それなりに八女の魅力も知るから、狙われていることも察知していた。嘉穂が突き放さなかったのは、危険性が及ぶことを漠然と感じていたから…。
 狙われるんだ、こういう輩に…。
 香春に似た部分があるからこそ…。だから香春には一刻を争っていたのかもしれない。

 嘉穂は何が正しかったのか分からなくなる。八女を気遣ったから、八女がどんな感情を嘉穂に抱いたのかもそれとなく知っていた。少しでも香春の嫉妬が感じられるのなら…と浅はかな考えがなかったわけでもない。
 香春が積極的になればなるほど、どこかで安心もしていた。
 反対につけ上がらせたのは八女だったが…。
 香春と深い関係になって、その存在は確かに邪魔になっていた。友人としての付き合いに留まらせたいと思うのは傲慢なのだろうか。
「引き受ける、って? なに、ソレ?」
 柳川の言い分が何を意味するのか、知りたくはないが聞いてみたい。それこそ、"あわよくば…"の考えが多少なりとも過ったことは否めなかった。
 嘉穂と同じように、八女を大事にしてくれる存在になってくれるのなら…。
"引き受ける"とは、嘉穂が担っていた役目を受け継いでくれることだろうか、という淡い期待が問う。
「アイツも鞍手のようになるのかな…って。正直、不安と期待が入り乱れている」
 伏せ目がちにポロッとこぼれた。
 それこそ、柳川の本音だったのだろう。
 守りたいけれど守れない。一番手っ取り早く体を重ねることで"自分のものにする"行為は許されないが、色を増すことで特別な存在がいることを撒き散らす。
 それを香春の"色"で感じたのだろう。
 独占欲とは、格好良くもみっともないものでもある。
 重ねて夢見たのだ。自分のものになる八女を…。だから香春を見る目も変わってきた。

 強引に推し進めて、いい結果だけは生まないが、嘉穂は柳川の本音を聞いて少なからず安堵していた。
…好きなんだな…。
 体から堕とそうという状態は絶対に褒められない。しかしセックスに味をしめたと少なからず香春が発していた雰囲気は、周りまでも刺激していた。そこに食らいつく若いオスはいる。

 香春に危害はない…。
 分かったら嘉穂も笑えた。
 ついでに釘も刺した。
「ジョウの気持ち、確かめてからな。興味だけで突っ走るなよ。相手がどんだけ苦しんで、辛い思いをするのかその責任っていうのを負うんだ」
「楽しくないってこと?」
「楽しいなんてないよ。殺人行為かと思った…」
 経験者だ。
 嘉穂の言葉に一瞬目を剥いた柳川だったが、快楽だけを求めるバカ共とは違って、相手を気遣うことを悟ったようだ。

 一生引きずる…とは嘉穂の胸の内に秘められた。
 そんな人間なんて、ほんの一握りだろう。
 柳川がどれだけの脅えを纏っても良い。今後軽はずみな先輩となって後輩を焚きつけてほしくなかった思いは、同級生だったからなのか…。
 もしふたりが短い期間で別れてしまっても、気持ちが込められていたのなら受け止め方は違うはずだ。
「恋愛を語るのはまだ早い」と筑穂は良く言うけれど。何事も経験しなければ進歩がない。

「上陽、今度の大会、絶対に見に行くはずなんだ。鞍手だって来るだろ?」
「こっちは一家ぐるみで、だよ」
「誰も入り込む隙間がないって分かったら、上陽、おまえのこと、諦めるんじゃない?」
 暗に公にしないことを咎められているようだった。はっきりと宣告しなくても、伝われば一番良いのだが、八女に対して曖昧さは通用しない。自棄になられて香春に何かをされるのも怖かった。
 しかし、守ってくれるものがいるとなれば…。
 考えこむように黙ってしまった嘉穂に、柳川は「俺も行くから…」とだけ告げて、踵を返していった。
 大会の日に、何かをしろというのだろうか…。そばに柳川がいれば心の隙間につけ込むことができる…。

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コメント

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アンケートコメ様
コメントたつみきえ | URL | 2013-11-06-Wed 08:36 [編集]
おはようございます。

どこに高柳? と不思議になり思わず読み返してしまいました。
じっくり読むこと2回…(←気付かないものですね…)
…ホントだ…と慌てて訂正。
ご指摘ありがとうございました。

なんで高柳が出てきたか…。
裏番組で何か書いていた時だったからですかね。(あっちで苗字なんて出てこなかったのに…)
キャラの名前がごっちゃになっている(^_^;)
コメントありがとうございました。
拍手コメさま
コメントたつみきえ | URL | 2013-11-06-Wed 08:50 [編集]
おはようございます。

> えっと、香春ちゃんには危害は無いってことよね?てか 八女君は まだ 諦めてなかったんだ( ̄~ ̄;)

香春に危害がないように色々と考える嘉穂のようです。
八女が諦めなかった理由の一つが、突き放せなかった嘉穂にあるんでしょうね。
そのどっちつかず、が、柳川の気に障ったところだったようです。
いや、経験積んだ嘉穂なら八女にまで手を出すんじゃないかという危機感?!
それか八女が安心して体を預けちゃうんじゃないかなと…。
向こうから誘われたら気がなくったって着いていっちゃうお年頃だもんね。
コメントありがとうございました。
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