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BLの丘
策略はどこまでも 14 
2009-07-06-Mon  CATEGORY: 策略はどこまでも
話のほとんどは来年度から異動になる岩村の海外転勤のことで、彼の行き先がブラジルだと言われればまた驚いた。
年が明けてしまえばどうにも時間が取れずに、12月の多忙の最中であったが無茶だと分かっていても日本を離れる前に、皆と接しておきたかったから…と、あの同窓会を企画したらしい。

「まぁったくさぁ。地球の反対側だよ。次に日本に戻るのはいつ?って感じじゃない?片道丸一日くらいの時間がかかるって言うのに」
半ば愚痴とも聞こえたが、話しっぷりは未知なる世界に期待を馳せているようにも見える。彼が選ばれてその地に赴くことは言わずとも知れた。
「外国語、堪能な奴は世界一周コースじゃね?日本に戻ってくるの、定年後だったりして」
からかうように笑みを張り付けながら、低音ボイスが響く。
岩村は英語の他にスペイン語も完璧に話すことができた。新任地のブラジルはポルトガル語圏であるらしいが、スペイン語と似ているらしくどこまで通じるかは疑問らしい。
とはいえ、在学中から海外のあちらこちらを旅行しまくっていた岩村は、その他の語学も多少なりとかじっていて、基本のあいさつ程度なら理解できており、彼が話せる言語は未知数だ。

そのことを揶揄して高柳が言ったのだが、気にした様子のない岩村は肩をすくめた。
「こんにちは。ありがとう。が何カ国語言えたって、意味無いよ」
「お前が転勤するたびに招待されてやるから、航空券、送れよ」
「絶対に12月限定にしてやる」
この二人は顔を突き合わせるたびに、どうして嫌味の押収になってしまうのか…。まぁ、それが仲の良い証拠なんだろうと那智は思う。
こんな言い合いを繰り広げている時は、自分は口を挟むものではないと在学中に覚えた。一言言おうものなら、二人の矛先が自分に向かうのだと過去の経験で知っていた。
それこそ蜂の巣状態にされて、いいように言葉で弄ばれる。いつのまにやら話は全く関係ない方へ飛んでいて、時には丸めこまれて必要外のことを白状させられていたりするのだから、二人の話術は恐怖さえあった。

黙って二人の言葉遊びを聞いていると、ふと岩村に、そういえば…と話を振られた。
「ブラジルってコーヒー豆の原産国なんだって?なっち、コーヒー好きだったよね。赴任したら本場の豆を送ってあげるね」
突然高柳との会話を打ち切って自分を見られては、那智はキョトンとした。
同時に、コーヒーという単語から、頭の中に安住を思い描いていた。
「ほんとっ!?ありがとっ」
コーヒー好きと自他ともに認めれば、岩村の言葉は何よりうれしい。特にここ最近はインスタントではなく、きちんと挽いた豆を好むようになっていた。
それもそのはず。
那智が口にするコーヒーの大半は、安住の入れるものにあったのだから。
コーヒー豆の種類が多種多様にあることは安住に聞いた。そして彼は独自にブレンドをこなしていた。
実際、安住の所にお邪魔すること、数十回。同じ味のコーヒーが出てきたことは少ない。
これまでにも、ブラジル産と聞いたコーヒーが出てきたことはあったが、日本を離れていない安住がどういう経路で手に入れたかは知らない。
自分で分かるところから送られてくると思えば信用も置けたし、何よりその豆を安住が喜びそうな気がしてならなかった。
そんな話題から、つい那智は、安住の存在を口滑らした。
偶然とはいえ仕事でつながった関係のバリスタ。時折通う自宅。彼が醸し出す空間。

話を切り出した途端に、高柳と岩村が無言で目のやり取りをした気がした。それまで和やかだった雰囲気が即座に冷えていくのを感じた。
隣に座った高柳が
「那智」
と声をかけて、緊迫感が気のせいではないことを知った。
高柳は、普段は皆と同じく気安く『なっち』と呼んだが、機嫌の悪くなった時などは、その存在を表すかのように、『那智』と名前を呼び捨てにする。
機嫌の良い悪いに応じて名を呼ばれることに不平不満などまるでなかった那智はそのまま、特に理由を聞くこともなく長年をすごしていたが、そんな声が聞かれるたびに、何か悪いことをしてしまったのだろうかとひるむのだった。
「そいつんとこにいつも入り浸ってるって?」
いつもよりも低い声が降ってきた。

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ひぇっ。いつになったら…
こんなはずではなかったは(汗;滝汗
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