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BLの丘
月あかり 4
2013-09-23-Mon  CATEGORY: 木漏れ日
鳥海は双子の動きに翻弄されっぱなしだった。
どっちがどっちだか見た目だけからは判断できないが、目の前で繰り広げられる会話を聞いていると違いがはっきりとしてくる。
積極的に何かを発言するのは由良のほうで、一歩遅れて反応するのが由利だ。
一応、由良がお兄さんなのだと聞いて、漠然と納得できてしまった。
弟とは、兄に弱いものだ。(鳥海の心境)
何かと由良が由利に手をかけるのを、両脇の恋人はほとんど無言で見守っている。
それも不思議だった。
高畠は時々由良をたしなめるものの、羽後については無駄口を叩かず…状態で、由良の手が回らなくなった時に差し伸べている程度だろうか。
タレがたっぷりかけられたつくねの棒焼きは由良が串を持って、由利と交互に半分ずつ食べている。
「あ、ユーリ、タレがついちゃってるよ」
口端に残り垂れそうになった茶色のタレを素早く由良が舌で舐めとっていた光景に、鳥海は目を見開いたまま固まってしまった。
隣で瀬見が、「相変わらずだね」と苦笑いを浮かべている。
…この人たちにとっては見慣れた光景なの…?

高畠が盛大なため息で瀬見に説明した。
「ふたり揃った時はもう何言ってもダメ。家の中ならともかく、外でするなって言うのに…」
肩をすくめて、呆れかえって…。
…いやいや、家の中でもしないだろっ。
「なんだか、今までの穴埋め、みたいな感じだよね」
羽後も容認しているところがまた…。
そんなにくっついていたい兄弟なのだろうか。
そういえば、羽後の転勤で双子は離れたって言ってたっけ、と思い出す。
それがなければもっと近くにいた存在は、ここまで激しくスキンシップを取らないのかもしれない。
羽後が静観しているのは、自分のせいで遠くなってしまった後ろめたさのようなものがあるからなのかと、変に勘繰ってしまう。
自分と八竜とを比べた時、いなくなれば清々すると思うけれど、実際、あの家の中に八竜の存在がなくなるなど想像もできなかった。
もし久し振りに再会したとしても、ここまで過剰なやりとりは行われないだろう。
「鳥海も藤里くんと似たようなこと、やってるよ」
クククと笑いながら瀬見が言うから、鳥海はぷぅと膨れる。
「しないよっ、そんなことっ」
少なくとも目の前の二人みたいに、見ている方が恥ずかしくなるような行動を取った記憶はない。
「そぉ?デザートはいつも半分こ、しているじゃない」
「だって藤里が食べきれないって言うからっ。それに半分こするだけなんて、誰だってするじゃんっ」
一個しかないものは、仲良く分けて食べなさい、と教えられて育った鳥海だ。
当然使うスプーンやフォークも一つしかなかったり、今双子がしていたように食べ合うこともあった。
鳥海が"やってあたりまえ"発言をすると、双子は頷き同調してくれた。
「そうだよ。これだって俺たち一人ずつ一本食べたら、お腹いっぱいになっちゃうもん」
「ね~ぇ」
首を傾げ頭を寄せ合う双子に、「そこは分けるとこ、俺らだろっ」と高畠が苦言を発するが、由良は聞いてはいない。
「萩生にやるくらいなら、ユーリに食べさせてあげたいもん」
「…これだよ…」
もうそこは、諦め感が強いのがひしひしと伝わってきた。
ここまで蔑ろにされた"恋人"っていうのも見たことないけれど…。
思わず同情してしまう。

羽後が一連の会話を聞きながら、瀬見に向かって「ささやかな嫉妬かな?」と小さく尋ねていた。
こうしてプライベートな時間になってしまえば、普段会社内ではあるのだろう、堅苦しさもいつの間にか飛んで行ってしまった。
一人に対してだけ畏まるのも変な感じだ。
指摘された瀬見は少しばかり照れくさそうな笑みを浮かべ、視線だけで「それ以上は…」と口を閉じるよう頼み出ている。
だけどしっかり食いついたのは由良だった。
「あ、新庄さんってば、鳥海くん、トーリくんに取られてヤキモチ焼いているんだ~。へぇ、意外」
「なんか、そんなふうに見えないのにね」
由利も由良に続けば返す言葉も浮かばなくなるのか、苦笑で答えている。
会社内での瀬見がどんな態度でいるのかは知らないが、鳥海を相手にしてはこれまでと違う一面が出たのは確かなようだ。
「あ~ぁ、新庄がねぇ」
高畠にまで言われて、さすがにこちらには「もう、黙っとけよ」と文句がこぼれていた。
羽後が「まぁ、相手次第だね。俺だって由良でなればこんなことさせないよ。由利も由良だから許しているだけで」とまとめてしまう。
他の相手にすることがないと信じているからこそ、黙って見守っていられるのだ。
あぁ…。鳥海はこれまで静観していた状況がすんなりと納得できてしまった。
信頼とはこんなところで生まれるのか。
そして兄弟が、というより、相手が誰かということ。
鳥海と藤里だから瀬見も八竜も特に何かを言ってくることはない。
鳥海と藤里が引き離されて久し振りの再会となったなら、双子までとはいかなくても、隣に居座る自分たちが簡単に想像できた。
今更わざわざ『似たようなことをやっている』と口にされたのは、瀬見の普段は見せない心の底の声で、ありのままに受け止めて鳥海は不貞腐れたけれど、目の前の人たちは、はっきりと自分たちと重ね合わせて"嫉妬"だと気付いてしまった。
余計な一言を発したと瀬見は悔んでいたようだが、すでに後の祭り。
酒が入った席だからか、気が緩んでいるからなのか。
本当に意外な瀬見を見せられてばかりだ。

羽後はサンマの塩焼きを食べやすいように骨を取ってあげては由利の前に皿を滑らせた。
半分は羽後も食べるからふたりの前には一皿しかない。
それは由良側も同様で、…しかし由良はその皿を羽後に渡した。
「ねぇ、これも取って」
「ハイハイ」
羽後は分かったように受け取っている。
散々に言い放っていた由良が、コロッと態度を変えて羽後に甘えているのは、こちらも意外というか…。
サバの味噌煮を、鳥海がいじってはぐしゃぐしゃにしてしまうものを先に一口大に分けていた瀬見が高畠に「おまえ、やらないの?」と疑問を投げかけると、素直に不得手なのを認めた。
「こういうのは雄和さんのほうが得意。おかげで帰ってきてもらうと結構ラクができる」
「雄和さん、手先が器用なの」
由利は無邪気に恋人を褒めていた。高畠を『不器用』と言わないあたり、思いやりがある。
でもこうしてお互いを認め合うっていい関係だな、と鳥海は眺めた。
どこも取り繕う必要がない、一歩踏み込んだところに、嫌味もなく自然と過ごせる環境。
「その器用さで痴漢されたらたまったもんじゃないけどね」
ツンとした由良の発言に、一同は喉に物が詰まったように動きを止めていた。
先程一瞬だけ見えたしおらしさは何だったのだろう。
何があってもなくても、この中で最強なのは由良だと確信する。

しばらくすると店員の掛け声があって、新しい客が入ってきたのだと気付かされる。
「あっ、う…、みぃ…?」
我先に飛び込んできた藤里が、店内を見回しきらないうちに鳥海を見つけるものの、そこにいる見知らぬ存在に、元気に上げたはずの声がしぼみ、疑問形に変わった。
一斉に振り向いた顔を見ては、八竜も不思議そうに瀬見に問うていた。
「立ち話もなんだから、とりあえず座って」
真ん中を陣取っていた瀬見は鳥海にズレるよう促して、鳥海の隣に藤里を、その隣に八竜を座らせた。
目の前に双子を見た藤里は、何も言わずに鳥海に視線を移す。
鳥海は得意げに無言の問いに答えてやった。
「双子なんだって」
「そんなのっ、見れば分かるよっ」
鳥海の説明に、藤里は速攻で、『無駄な説明』と切り捨ててくれた。
藤里が聞きたいのはこの状況だ。

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コメント

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ヤダネー(笑)
コメントちー | URL | 2013-09-23-Mon 08:09 [編集]
ああ、木漏れ日ではナイトだった二人が下僕に・・・
いや、これはこれで良しなんだけどね。
無敵の双子ちゃんにおおらかな恋人達。
良いよね~。だって、普段は尻に敷かれてるけどいざとなれば頼もしい。
良い旦那じゃないかあ。
そして、下僕予備軍も揃った事だし。
楽しませていただきます。モドキーズも双子並みにベタベタしてるとこ(笑)


若美兄ちゃんが佐貫さんに電話してる頃(違う?)
リア充さえさんが合流。
市ヶ谷くんの顔がひきつってるのは気のせいと言う事にしようか、うん。

ち「さえさん、何飲む?ビール?日本酒?」
さ「焼酎の梅割り(さえさんが好きかは知らない)」
し「イチ~、注文!」
に「し、師匠~。イチ、怖がってます」

見れば、若美兄ちゃんの陰でプルプルと仔猫みたいに震えてる市ヶ谷くんが。
なんか、失礼よ?イチ。あんた、可愛いけど私達のタイプじゃないからね。取って食べたりしないわよ。
劇おこぷんぷん丸~。

ち「私、筋肉フェチだしー」
し「私、渋好みだしっ!イチは、若すぎ」
さ「私、ひなちゃんなら良いよ♪←犯罪です」
に「私、私、私~」

レンジャーの醸し出す雰囲気が一気に変わったのを悟ったのか、注文を取りに来たのは可愛いお姉さん。

ち「可愛いねえ、いくつ?」
し「モテるでしょ?」
さ「化粧品、何使ってんの?」
に「ジー」

モテませんよー、だってー。
だって?

「ここ、丘の住人ばっかりですもん。まあ、見てる分には楽しいんですけど」

お姉さん、趣味と実益を兼ねてここで働いてる?
羨ましいぞ、このこのー。
で、大将とイチはどんなよ?
見てみて、双子ちゃんがまたイチャイチャしてるー。
鳥海くん、目を白黒させてて可愛い!
なんて盛り上がってると、にぃと藤里くんがやって来る。腐レンジャー、すかさず観察。

あ、佐貫さん。師匠はまだ大丈夫です!
まだ、待っててね♪
∪ヽ(ゝε・´★)ノ彡☆ 酒持ってこーい
コメントけいったん | URL | 2013-09-23-Mon 11:13 [編集]
藤里と八竜も 到着!
なので 腐女子の目と耳は 更に 鋭くなり 観察中なのです。(笑)

け「佐貫にはナル、瀬見っちには 鳥海か…ハァ」
ち「あっ あんな事してるよぉ~可愛い♪」
さ「今日は 気分が良いから 飲むわよ♪」
ni「ボイスレコーダー ちゃんと 録音出来てるのかな?」
と、
ちーさんは、双子ちゃん達の席を ガン見だし
さえさんは、リア充満タで ウハウハだし
niったんは、秘密兵器に オロオロ苦戦中だし

で、誰もカマッテくれない私はというと 注文した料理を持って来た市くんに
け「市! 私は 淋しいんだよ~~」
市「えっ! あー … はい …」
若「お客さん、俺の可愛い恋… いえ うちの可愛いバイトに 絡まないで下さいよ!」
市くんが 目で助けを呼べば すかさず 来るしなぁー(≧ヘ≦) ムスー

け「えぇ~い!こうなったら 今日も トコトン飲んでやる~~!!」
ち・さ・ni & 市・若「…!」
嘘!ォロ~(∀ ̄;(∀ ̄;(:´д`:); ̄∀); ̄∀)~ォロ マジか!


 
二回目ですみません
コメントちー | URL | 2013-09-23-Mon 13:13 [編集]
今さあ、あのさあ、読み返したんだけどさあ。
(バナナマンの○○さんがやる某親方の子供時代風に)

サンマの骨を取るって。
あんなん、ちっとも大変じゃないじゃん!
どんだけ甘やかしてんの?
なんか、ワタとか通な人しか食べないとこは、過保護下僕達が食べてるんでしょ?

瀬見ちゃんとにぃにはそんな風にはならないで欲しいなあ←ヤッカミです

あ、佐貫さん佐貫さん。
師匠がグレました。任務に支障が出そうです。
みなさま こんにちは~
コメントたつみきえ | URL | 2013-09-23-Mon 14:51 [編集]
またまた まとめレス すみませんm(__)m
うちのほうは 涼しい 通り越して肌寒いです…。
皆さま 風邪など召しませんように。

今度は女性スタッフが登場なの~?
そう、客は丘の住人ばかりですから、視界の端にも映されていないかも(笑)
趣味と実益を兼ねているのなら、是非腐レンジャーに~ “ヘ(゚▽゚*)オイデオイデ

けいったんさま ヤケ酒になっちゃった模様。
みんなそれぞれに自分のやるべきことに集中しちやったし。
(*゚ロ゚)ハッ!!ソウダ けいったんさま 得意のゴミ集めしてみれば?
ほら、食べ残しの骨をしゃぶってみるとか。
(余計に虚しくなっちゃうね…苦笑)

佐貫は部下に仕事押し付けて帰っちゃったみたいだから 若美庵には来ないんじゃないかな。
次に入ってきたサラリーマン風の男はきっと、タダご飯で誤魔化された佐貫の部下だよ。
こっちもヤケ酒したいけど、親分が怖いので 大人しくぴーちくぱーちくしている連中の監視をしていると思います。
あ、佐貫が来ないことが分かったら、余計にけいったんさまのお酒のペースが…。

サンマの骨、たぶん綺麗に食べられない姿をどこかで見ちゃったんだよ、保護者は。
鳥海と八竜は母親が厳しいので、きっとちゃんと食べられるはずです。
周りがやりたがっているだけで(←ここ大事です)

若「市、あそこは専用の人間を行かせるから、おまえはもう関わらなくていい」
市「ほんとーですかぁ。さすが若美さんっ」
若「…目があっちにばっかり向いて仕事に集中できないんだ…」
市「でも、本気で飲み始めちゃったみたいだから、大丈夫かな…」(←客を心配する優しい市ヶ谷)
若「おまえは優しいなぁ」(惚れ直している)

みなさまコメントありがとうございました。
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