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BLの丘
月あかり 3
2013-09-22-Sun  CATEGORY: 木漏れ日
仕事の話でなかったら、じゃあ何だ?と由良が羽後を睨み見た。
「雄和(ゆうわ)さん、また、どっかで痴漢したんじゃないの?」
「ゆ、ゆらぁ…」
由利が困惑気味に、きっと"もう言わないで"という意味だろう。由良に手を伸ばす。その手を取っては由良は由利をぎゅっと抱きしめていた。
「ユーリ、何かあったらすぐ帰ってくるんだよ」
「おまえらなぁ…」
呆れたため息を吐いたのは高畠で、心底苦々しい表情を浮かべたのは羽後だ。しかし何も言わなかったけれど。
羽後はその光景を放って、瀬見と鳥海に向かいあってくる。
瀬見も突然の内輪じみた会話に肩をすくめた。
それぞれが、思い思いの時間を過ごしているところに、水を差したと思ったのだろう。
「羽後さん、すみません。何かあった、というんじゃなくて…」
瀬見は一度言葉を区切ってから鳥海を見た。またすぐに羽後に顔を向ける。
何故にこんなことになっているのか、鳥海に視線を送ったことで羽後も第三者の存在が理解できたようだ。
良ければ話の続きを…と無言で促していた。
「彼の就職活動の話をしていて…。似た分野なら羽後さんみたいな人の方が話が分かりやすいんじゃないかなって例えで名前、出しちゃっただけなんです」
仕事仲間がそばにいたから…で、この場で名前が出てしまったのは自然な流れだったのか。
羽後は、あぁ、と納得したようだったが、口を挟んできたのは由良だった。
「就職?早くない?高校生でしょ?」
「由良っ。高校生に酒、飲ませるかよっ」
「あ、そっかー」
こっちも納得しているが、高校生と言われた鳥海はあからさまに膨れた。
幼く見られるのはいつものことだが、それを言ったら藤里の方がもっと子供っぽいだろうに。
「由良ぁ、失礼だよ」
由利にまで咎められて、由良は一応反省したらしい仕草を見せた。
抱きしめた由利の体を離す。それから眼差しだけで「ごめんね」と伝えてきた。
同じ顔に同時に見つめられては、不機嫌になった気持ちもしぼみ、逆に彼らが持つ穏やかさに恥ずかしさが駆け抜けた。
このふたりには変なオーラがある…。

「私なんかでは何のお話もできないと思いますが」
「いいじゃん。雄和さん、あっち言って話聞いてあげなよ。ユーリは俺が見ているから心配しなくていいし」
羽後が謙遜すれば、由良がシッシッと手で追い払う真似をしている。
毒舌極まりない態度に、高畠は『始まったよ…』と頭を抱えた。
瀬見が『離れがたい双子』と言っていたが、恋人をけちょんけちょんに言うところから、4人が集まると毎度のことなのだと想像するのは容易かった。
羽後が下手に出ているのは、会社関係だけではない裏事情がありそうだ。
それとも大人の余裕で相手にしていないだけか…。
恋人の由利と同じように、由良も大事にしているからこそ、何を言われても動じないのかもしれない。
間違っても五城目家ではありえない光景だ。
何故にそこまで仲良くなれるのか、聞きたいくらいだとも過っていく。

あわや、分裂してしまうかという事態に、迂闊に話しかけてしまったことを後悔した鳥海だった。
あちら側の話の腰を折ったのは自分たちなのだし。
なによりこの店の中、他人を気にする、居心地の悪さを覚えてしまった。
羽後にとっては誰が何を言ったところで、瀬見に対しては『顧客』のはず。
同期の高畠とは扱いが変わってくる。

瀬見が由良を宥めるのか、咎めるのか、言葉ばかりの注意を発する。
そこのところは、部署内での『先輩』の姿を見せた。
「由良、こっちのことはいいから。引き離したら本荘くんだって淋しいだろ」
ねっ?と由利に同意を求められては由良も大人しくなるのか、仕方ない…といった感じで受け入れたようだ。
由良の基準値が由利にあるところが、またまた鳥海には理解不能だった。

そこに、出来上がった料理を運ぶよう指示を出していた店主が、「よろしければ、向こうのテーブルを繋げましょうか?」とカウンターの席の客と鳥海たちを見まわす形で問い掛けてくる。
運良く鳥海たちが座った隣の席は空いていた。
漏れ聞こえてくる内容から、知り合いだとはすでに感づいていて、必要あらば、と声をかけてくれたようだ。
真っ先に「いいんですか?」と聞き返したのが由利で、表情には嬉しさも浮かんでいるように見えた。
羽後が「由利?」と覗きこむと、「だって新庄さんに会うのも久し振りだし。雄和さんもお話できるじゃない」とニコニコと場を和やかにしてしまう。
会話の相手が増えることは気に入らなくもあるのかもしれないが、あの笑顔で「ね」と首を傾げられたら、その場の全員がやれやれ、と受け入れざるを得なくなっている。
態度や表情だけで読みとってしまった店員たちはさっさと動きだして、「どうぞ」と案内してくれた。
瀬見が立ち上がって鳥海の隣に来て、カウンター席の客だった4人は、やはり並び順は変わらずに目の前に落ちついた。
移動してくれた料理と、新しく届けられた料理と、「こちらもどうぞ」とゆずりあいながら、小さな宴会が始まってしまう。

他の全員がすでに知る人…である中、なんとなく気後れした鳥海が藤里を呼ぼうと頭を巡らせたのは単なる我が儘だった。
彼らを知らない人に、そばにいてほしかった。
それに、『高校生』と言われたことも引っかかっていた。
誰が見たって、藤里の方が子供で、鳥海は大人(っぽい)なのだと分かってほしい。
そんなことで優越感に浸る自分もどうかと思うけど…。
「瀬見さん、藤里、呼んでもいい?」
耳元で囁きかければ首を傾げられる。
「藤里くん?」
「『とーり』って誰?」
「由良、おまえ、口挟むなよ~」
「えー、だって聞こえちゃったし」
由良と高畠が嫌でも聞こえてしまう話に加わってくる。
瀬見と由良が同僚だという。気安く話に口を挟めるのは、普段の生活に堅苦しさがない証拠だ。
高畠が口を尖らせるのは部署が違い、自分が入りこめない部分を晒される…嫉妬???
確かに藤里は知らなくていい存在なんだけれど…。

鳥海のことを思うからなのか、瀬見は反対もしなかった。
この展開に、居辛さを覚えたことも理解している。
ここで彼らに出会って、同席する羽目になったのは瀬見の責任でもあると思うから。

藤里に連絡を取ると、『夜の若美庵』に心が躍ったのは藤里も同じだったらしい。
…にぃは連れてきてもあげなかったのか…。
兄に対して情けなさが浮かんでしまう。
はしゃいだ声をあげて電話は切れ、そう時間を空けずに到着することが予想できた。

「来るって?」
「うん。にぃ、もう飲んじゃっているみたいだけど」
「ははは。八竜らしいな」
「「あと誰が来るの?」」
同時に問われる声に驚いていると、鳥海たちの複雑(?)な兄弟と友人の関係を瀬見が説明してくれた。
「「ふぅん」」
頷き方も同じだ。
目の前に見える双子の行動に、しばし鳥海は目を奪われた。


*****

その頃。
藤里「八竜さん、八竜さ―ん。若美庵、行こー」
八竜「あぁ?(…今月の財布の中身が…)」
藤里「鳥海たち、行っているんだって~」
八竜「…(瀬見め、奮発しやがって…)」
藤里「ねぇねぇ~」(←腕を揺さぶっている)
八竜「たまにはいいかもな(←強がる)」
藤里「帰りは僕のうちの方が近いから、そっちに帰ればいいよね?」
八竜「おぅよっ」(←美味しいエサに釣られた)

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全くの余談ですが、BLじゃなくて 三隅周防と油谷清音の話を書いてもいいかな…と頭の中を巡っています。
特に何があるわけではなく、回想録みたいな感じですが。
畑違いかなと思って、別宅で書こうかな…と考え中。
(一つの話が終わると触手のようにあちこちに伸びていくんだよね…冷汗
とにかく今はこのSS片付けないと。)
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コメント

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ひひひ
コメントちー | URL | 2013-09-22-Sun 06:23 [編集]
しめしめ、またもや美味しいものがやってくるではないかあ。ヒッヒッヒ←魔女みたいだ

双子ちゃんとモドキーズ。
どっちも可愛いんだけどねえ。
若い分、モドキーズが勝つのか?
いやいや、双子ちゃんの妖しい可愛さが勝つのか?
私的にはどっちでも良いんだけどね(笑)
可愛いものは可愛いのだっ!
さて、にぃと藤里くんが合流してどうなるのかなあ。
楽しみ~♪


酔っ払いと見せかけて酔ってないちー。
(実は、そんなに飲みません)
若美兄ちゃんと市ヶ谷くん、通称イチの会話を耳にしていたのだ。

「ちょっとちょっとー。私達、チョー警戒されてるよ?」
「瀬見のバカあ。フラレてしまえ」

ちょ、師匠!聞こえたらどうする?
でも、あっちはこちらを気にする余裕はない。
あー、双子ちゃんてば相変わらずだなあ。
バッグからはみ出した愛用のカメラは使えない。
でも、私には秘密兵器があるのだ。
なんで、慌てない慌てない。

ん?トーリ?

「師匠!にっかたん!にぃと藤里くんが来るよ」
「え?何でですか?」
「鳥海が呼んだ?」

流石、師匠。酔っ払いでもスルドイ。
にっかたんは、メモに書いてる。
後で、見せて貰おっと。
お?由良達が大移動。


ち『あ、瀬見ちゃんと双子ちゃん達が』
に『何か話し合い?』
し『そうみたいよ、観察観察』

若美『良かった、アイツラ他に興味を持った』

イチを守るため双子ちゃん達を犠牲にした若美兄ちゃん(笑)ふふ、あまいなあ。
女の子は、一度に二つの事ができるんです。
腐レンジャーは特にね。

「イチ、もう大丈夫だ。安心していいよ」
「若美さん、本当?」

腐腐腐。
にっかたん、耳ダンボで高速メモ書き。
師匠、何やら妄想中。
ちーは、若美兄ちゃんと市ヶ谷くんのイチャイチャショットいただきました。
いつの間に
コメントさえ | URL | 2013-09-22-Sun 13:48 [編集]
みんな集合してる!?
私も混ざりた~い♪
なんなら空いたカウンター席でつぶさに観察を!
おひとり様 ご案内♪
コメントけいったん | URL | 2013-09-22-Sun 14:53 [編集]
皆 優しい人達だけど、瀬見の知り合いですものね。
鳥海が心細くて 藤里を呼ぶ気持ちを 瀬見は分かってくれて 嬉しいでしょ♪ーv(`ゝω・´)キャピィ☆
藤里と八竜は あっという間に 来てくれるから!


酔ったふりをしながら ひと言も わずかな動きも逃さない 腐友たち!
今日ほど 頼もしく感じた事は ないわぁ~(笑)

ち「むふふ、とうとう秘密兵器を出す時が来たわねっ~( '艸`*)プホホ♪」
に「秘密兵器ですかーー!?∑(゚∇゚|||)はぁうっ!」
け「ちーさん… 素敵過ぎる~~♪(*・・*)ポッ」
に「お二人には 付いて行けません!( ゚ω゚;)ブルッ」
け「にったん… そのカバンの中に ボイスレコーダーを隠し持って よく言うよ~( ゚∀゚;)タラー」
に「気付いてくれました! これ長時間 録音OKなんですよ~ヽ(^▽^ )ノ テヘッ♪」
ち「にったん、ブラボーー!v(≧∇≦)v イェェ~イ♪」
と、笑顔満開の3人の腐女史たち


その時 新しい客が…「「「「いらっしゃい~!」」」」

ち・に・け「「「こっちこっち♪ 遅いよ~~」」」」
さ「だって デートだったんだもん♡(o^^o)ふふっ♪」

市「エッ、ウッソー!!Σ(;゚ω゚ノ)ノ 若美さん、若美さんって!本当に大丈夫なんだよね?」
若「大丈夫!だいじょう… ゲッ! また一人 増えてんじゃねぇか!Σ( ゜▽゜:)」
市「しかも さっきより パワーアップしてるじゃんかぁー(T▽T)」
若「市…とにかく とにかく 頑張ってくれ! 頼む!(('ェ'o;)┓ペコ」

さえさんも駆けつけてくれた事だし、さぁ じゃんじゃん食べよう、飲もう!
(* ̄0 ̄*)ノ口 をーい、オヤジッ!もう一杯!!

周防さまと清音のSSの件について
コメントけいったん | URL | 2013-09-22-Sun 15:03 [編集]
今日も今日とて 長いコメになったので 分けて書かせて貰います。

別宅より やはり本宅での アップを希望します(≧∇≦)ノ ハーイ♪

また 周防さまに会えるなんて すっごく嬉しいよ~
幸せ者だわ、私♡8(´∀`8*))♪ワクワク♪((*8´∀`)8
みなさま こんにちは~
コメントたつみきえ | URL | 2013-09-22-Sun 17:38 [編集]
またまたまとめレス、失礼いたします。

どんどん集合してくるヽ(゚∀゚)ノ
腐女史会、賑わっていますね~。

店内撮影禁止?!
勝手につぶやかれて閉店に追い込まれちゃ困るものね~。
腐女史のみなさんは常識外れたことはしないと思うけど、用心しているのね。大将は。

でもちゃんと秘密兵器持ってるんだ~。
さすが腐レンジャーです。

はしゃぎまくりの腐女史たち。
酒を届けられるペースが早くないか?
よ、酔っ払うんじゃ……Σ(T▽T;)

若「…危機だ…。酩酊状態にさせるか…」
市「若美さーん、本当に大丈夫なんですよね~ぇ?」(←何回も確認する)
若「大丈夫だ。いっぱいサービスしてやってくれ。そのうち迎えが…」
市「迎え???」
若「…(電話してみる)…あ、若美庵ですが、今夜一泊空いてますかね?」
市「え?どこ?」
若「…あー、まだ空きはありますか…。いえ、一室でいいんですけど…」
市「(喜)もしかして僕のご褒美?!」
若「…予定は4名…ですかね、これ以上増えなければ…」
市「4名?!」
若「…待機? いえ、そこまでしていただかなくても…」
市「???????????」

佐『バカヤロー、俺はさっさと帰りたいんだよっ。クソッ、誰かにメシおごってやるか…』
・・・・・・・(((((|| ・_・)o) ソーッ[扉]
佐『オイッ、そこのヤツっ。張り込み行ってこいっ』
ナンデオレガ…(;д;)
佐『留置所、念のために空けとけよっ。緊急事態以外呼ぶなっ。テメーらで処理できるだろっ。あばよっ(←いや、これはイメージ崩れるな…)』

みなさま、いつも遊んでくれてありがとうです。

あ、周防と清音ね。OKです。期待せずにお待ちくださいm(__)m

こめんとありがとうございました~♪

まぁ~乾杯
コメントnichika | URL | 2013-09-22-Sun 23:35 [編集]
さえさんも集まった  う腐 ! すてきねON!!!
〆は~~ 鳥海たち 御勝手に想像  プリンはサエさまにオネダリ
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