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BLの丘
木漏れ日 34
2013-08-31-Sat  CATEGORY: 木漏れ日
いたたまれない気持ちにさせられる。
全員の目が自分を見ているのだから当然なのだが。
白神に対しての悔しさが重なりすぎた。

黙って俯いた鳥海に、森吉が頭上に手を伸ばしてきてはポンポンと叩いた。
「白神と何か予定があったの?さっき、誰か誘うようなこと話してたじゃん」
白神がたどり着くなり今後についての話題を持ち出したことを覚えていたようだ。
今更隠しても仕方がない状況に追い込まれて、ブスーッと口を尖らせると、クスリと笑われた。
「おまえ、ホント可愛いから俺としては歓迎だけど」
人目憚らず堂々と口にしてくれる内容に、言いだしておきながら照れくさくなる。
こんなふうに言われたことも初めてだったから。
「お前らが納得済みなら俺は別に反対することじゃねーしな」
能代に言われ、ちらっと白神を見たら、こちらを上目づかいでジッと見ている。
本気でないことなんて簡単に見破られている。その咎められている視線が痛い。
「藤里がにぃと一緒に遊園地行くの、付き合え…って…」
「にぃ?…あぁ、兄貴だっけ」
森吉は鳥海と白神の間にある人間模様を把握したようだ。
一緒に海に行った時も、白神はちょっかいをかけようとした能代にきっぱりと言い切っていただけに、想像は容易いのだろう。
「それがどうして鷹巣を連れていくことになるんだ?」
「連れていくんじゃなくて…」
「鳥海は行きたくないって思ったってこと?」
白神にそうはっきりと問われては、うん、と頷くの躊躇われた。
鳥海に対して物怖じせず、隠し立てもせずに切りこんでくる。
はっきりされ過ぎていて後ろめたくなる。
「何?ダブルデートでも企画していたの?」
「もう一人の相手を五城目は気に入らなかったのか」
そういった状況には慣れているのか、あっさりと悟った森吉が確認してくれば、能代も想像できることは幾つか思い浮かぶようだ。
気に入らなかったのではなく、白神に会わせたくない嫉妬だったとは、口が裂けても言いたくない。
能代は両腕を胸の前で組んでうーん、と唸ったが、即座に白神が反論してくる。
「そんなことないよ。八竜さんと瀬見さん、仲良しだし、鳥海だってこの前、溺れた時、助けてもらった人だもん」
「「『溺れた』ぁ??」」
森吉と能代が同時にハモる。
この話も知られたくない一つだったのに、もう隠すこともできなくなった。
「藤里~ぃ」
恨みがましい声が思わず出てしまう。

結局簡単ではあるものの、事の詳細を説明することになり、無様な結果に終わった『八竜の気の引き方作戦』に、あからさまに呆れられた。
その果てに危険があったのだから、返す言葉もないといったところか。
盛大なため息付きで、無事だったから良かったけどな…と二人にホッとされた。
「で?結局どうしたいわけ?」
森吉の質問は鳥海と白神の二人に向けられてくる。
白神のためを思って遊園地に一緒に行くことになるのか、白神の努力に委ねて鳥海は手を引くのか。
それは鳥海の心の闇を問うてくるものでもあったけれど。
瀬見に対してどんな気持ちでいるのか、改めて突きつけられた。
白神に気を取られるのが嫌だと思ったことが、全ての答えだろう。
さすがにそこまでの鳥海の心境は知らないから、白神に対しての話題に絞られていく。

「遊園地に行けないなら俺が協力しようか?」
「協力?」
能代の提案に白神がキョトンと聞き返す。
これには鳥海も何のことだと能代を見たが、森吉は言いたいことが分かったようにクスッと口端を上げて笑った。
だが口を挟まずに黙って成り行きを見守っている。
能代が話を続けた。
「要するに兄ちゃんの気があるかどうかを確かめたいんだろ?話を聞いていれば、もう随分親しくなっているみたいだし、それ以上を求めるっていうか」
「そうだけど…」
「俺に声かけられているんだけど…って相談してみたら?」
「え?」
「その反応で、大体分からない?」
海での鳥海と白神のドッキリ計画をバカにした様子を見せたのに、能代の提案も充分バカげたものではないかと、鳥海の脳裏を過った。
うーん、と白神は一瞬悩んだようだけど、すぐに首を横に振った。
「やだ。八竜さんに変な誤解、与えたくないもん…」
そう言われた時に、鳥海も自分の軽口を振り返った。
森吉と付き合う、となったら、そのまま瀬見の耳に入ることになる。
無茶をしてくるとは思えない瀬見だから、そこで瀬見との付き合いは、『八竜の弟』という存在に決定づけられるだろう。
それこそ、それ以上の期待は何も望めなくなる。
「誤解っていうか、単にこういう人がいるって話してみるだけじゃん」
「そうだけど…。でも…」
戸惑いを持つ白神に森吉がようやく口を出してきた。
「じゃあ、五城目にそれとなーく言ってもらえば良いじゃん」
…なんで俺?…
今度は一斉に森吉に視線が集中する。
「何を?」
「『困っているみたいだよ』って。それなら白神から相談しているのとは意味合いが変わるんだからさ。完全に拒絶しているっていう意味だろ?」
…あぁ、そうか…と納得しかけて、でもやっぱり結果的には同じじゃないか?と鳥海は思ってしまう。
こんな駆け引きはやったことがないのだから、どんな振る舞いをしたらいいのかも分かりもしない。
それに、そんなに白神のことばかり、構っていられないのも正直なところだ。
自分のことだってなんとかしたいと思っているのに…。

「もういいよ。にぃに遊園地行かないかって言うから。面倒くさいことしてまた失敗するの、嫌だし」
瀬見にも会えるかも、とは内緒の話だが。
鳥海が言えば、「あっ、そっ」と簡単に引き下がった。
それから、「ま、何かあったらいつで言ってこいよ」と頼りになる言葉をくれた。
不安はいっぱいあるけれど…。
白神に妬みを置いたとしても、結局は放っておけないのだ。
やけっぱちになって森吉に叫んだことは、すっかりないものにされていた。

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