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BLの丘
木漏れ日 33
2013-08-30-Fri  CATEGORY: 木漏れ日
白神が戻ってきたのは間もなくのことだった。
「あ、鳥海、ご飯食べちゃったの~?」
無邪気にじゃれてくるのはいつものことで、鳥海は一瞬、どう答えようかと躊躇いをもった。
白神に対してひがむのは筋違いだとは重々承知していても、心に巣食う闇をオブラートに包むことなんてできない。
「だって腹減ったもん」
ツンとそっぽを向きながら最後に残っていた野菜サンドを口に放りこんだ。
イライラ、というよりも、ムカムカとした感情が渦巻いている。
まともに顔を合わせられない自分が、本当にちっぽけだなと分かっても、コントロールするのは難しかった。
目の前に森吉と能代がいたから、必然的に鳥海の隣に白神が座ることになるのだが…。
「オレ、もう食い終わったし、先に行く」
今から買ってくるという白神を差し置いて、鳥海は起ちあがりかけた。
白神が明らかに動揺して「えっ?」と鳥海を見据えてくる。
「鳥海?何?何か怒ってるの?」
「別に…」
視線の一つも合わせずに、明らかにムッとしている態度は、機嫌が悪いと隠してもいない。
自分でも、なんでこんなに白神に対して苛立つのか分からないくらいで…。
成績も良くて、八竜のご機嫌もとれて、順風満帆に過ごしているとしか思えない白神に抱くものは、嫉妬であり、恐怖だった。
誰だって、こんな人に惹かれていくのだろうか。
燻った理由は、目の前に森吉がいたから余計だ。
瀬見は何一つ、鳥海に対して、色事を見せることはなかった。

遅れをとるような、焦り…なのだと思う。
「鳥海~、待ってよ~。八竜さん、今度の休み、空いてるって言ってたから、瀬見さんに話してもらおうと思ったのに~ぃ」
「そんなの、勝手にしろよっ」
話の内容がなんなのかは、簡単に想像できる。
一段落したとはっきり分かった今だから、本格的に動き出したこと。
教授に呼ばれた、という結果とこの成り行きが、全ての答えだろう。
黙って耳を傾けていた森吉と能代が交互に鳥海たちを見比べながら、不仲になるのを阻止しようと鳥海を止めた。
「五城目、待てよ。ホント、どうしたの?」
森吉が立ち上がって鳥海の腕を引いた。
掌の温かさを感じた時、鳥海の中で何かがはち切れていた。
「森吉、オレにキスしたじゃん。責任とって、オレと付き合えよっ」
「はぁぁ?!」
公衆の面前で言うべきことでもないし、公表する必要もない。
それでもこぼれてしまったのは…。
瀬見を呼んで、改めて白神の魅力なんて見せつけたくなかったからだ。
自分に相手がいれば、白神のバカバカしい茶番に付き合わなくて済む。
目を見開いた森吉が話の流れがつかめずにマジマジと鳥海を見下ろし、誰もがポカンとする状況を少しでも理解しようと頭を巡らせていた。
簡単に体を許す人間だとは思われたくないけれど、相手がきちんと決まった相手なら当然のことだろう、とは鳥海の勝手な解釈だ。
「鳥海っ?!」
白神の甲高い声が響く。
それでなくても他人の注目を浴びていたというのに…。

能代が落ちついた態度で「ここで話すことじゃないだろ」と状況を伝えた。
「藤里、メシ買ってやるから、ここ出よう」
そう言って、さっさとテーブルの上を片付け始めてしまう。
この後のコマは全員同じものだ。
時間が空くと分かったから、教授も白神を呼びだしたのだろう。
外に出てくるくらいの余裕はある。
「オレ、やだ…」
鳥海が駄々をこねると、能代に「鷹巣と付き合うんなら同席するのが当然だろう」と当たり前のごとく言いくるめられた。
今はこれ以上白神と一緒にいたくないのに…。
白神は突然の鳥海の態度の変貌が理解できなくて動揺しているし、森吉は何故にこんな展開になっているのかと疑問だらけでいる。
一人、年上の余裕なのか、能代だけが、次々と物事を決めて行ってしまった。

大学のすぐ近くにあるコーヒーショップで能代は白神にパニーニと挽きたてのコーヒーを買ってやり、どういうわけか森吉が鳥海の分のコーヒーを購入してくれた。
多少混雑した店内でも、一番奥の席が空いて腰を下ろすことができた。
白神と能代が並んで、鳥海の隣に森吉が座る。
「まずは食え」と能代に言われても、白神は一人だけ食べることを躊躇うのか、俯き加減でいながらなかなか手をつけることをしない。
「なんだ、食わせてほしいのか?」
口が早いのか、手が動くのが早いのか。
一口大に千切られたパンを白神の口元に差し出している。
「別に口移しで食わせてやってもいいけど」
熊男がフッと笑うのをムッとした表情で迎えた白神は、手元から奪い取って口に含んだ。
それを見てはフフと口角を上げ、満足した笑みに変わる能代がいる。
鳥海は違う意味で、こんな甲斐甲斐しい仕草を見せる能代がいるのかと感心していたが…。

白神が咀嚼するのを見つつ、能代が鳥海に向き合った。
「で、なんでいきなり、鷹巣と付き合うって話になったわけ?」
咎めてくる口調にいたたまれなさを感じる。
早まった発言だと、今更後悔しても遅い話だが、誰もが本気で受け止めていない空気も漂っていた。
理由があってのことだとはもちろんのこと。
学業で出しぬかれたことはともかく、遊園地計画くらいは話してしまってもいいのだろか。

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コメント

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おーい
コメントちー | URL | 2013-08-30-Fri 21:26 [編集]
鳥海~!何言ってんだ?ん?
まったく、これだから末っ子は。
つか、にぃが甘やかしたからだな。

気持ちはわからなくないけどさ、藤里くんにも鷹巣にも失礼だよ。わかってるらしいけど。
ちゃんとごめんなさいしなさい!
わかった?お返事!


ち「あ、鳥海くん、泣きそうな顔してる」
し「子供の喧嘩~。ほっとけ」
ち「師匠、何をニヤニヤ・・・(゜ロ゜;」

ちーから奪い取っただけでは飽きたらず、すーさんからも巻き上げたヒナパパの写真と瀬見ちゃんのお宝画像。

し「ふふふっ。ふ、ふふふっ。」

逃げなきゃ!バニラとビターのとこに!
Re: おーい
コメントたつみきえ | URL | 2013-08-31-Sat 13:13 [編集]
ちーさま おはようございます。

> 鳥海~!何言ってんだ?ん?
> まったく、これだから末っ子は。
> つか、にぃが甘やかしたからだな。

感情のままに動く弟です。
もう、これまでも何度身勝手な発言があったことか…。
そう、すべてはにぃが、最後には「あー、もういいよ、おまえの好きにしろよっ」って投げ出す(甘やかす)からこうなっちゃったんです(笑)
だからきっと謝ることも知らないでしょうね…。

> 逃げなきゃ!バニラとビターのとこに!

今度はちーさまは猫の写真を撮ることに夢中に?!
カメラマンちーさま、がんばれっ(`・ω・´)ノ

コメントありがとうございました。
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