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BLの丘
木漏れ日 27
2013-08-25-Sun  CATEGORY: 木漏れ日
また失敗した.・゜゜・(/□\*)・゜゜・
二度手間おかけしたかた、すみません…。


夜の海は、吸い込まれそうな怖さがあった。
みんなで花火をした時は、何も感じなかったのに…。
打ち寄せる波音が、近づいてこないのに、襲ってくるような錯覚に陥らせる。
街灯なんてない浜辺に、瀬見が持ってきてくれた強力なライトが、鳥海たちの進む砂浜を照らしてくれていた。
「鳥海~、溺れるなよ~」
ずっと後ろを歩いてくる八竜の声が聞こえる。
いいとこ、足首くらいまでを濡らす程度で、おぼれるはずがない、と内心で悪態をついた。
その八竜も、波際までは来なくて、砂浜に腰を下ろしていた。

「鳥海くん、これ、持って行って」
瀬見が、手にしていた懐中電灯を手渡してくる。
首からも下げられるストラップがついていて、落とさないようにと取りつけられた。
「やっぱり縛られるんだ…」とは白神の愚痴である。
光りがある限り、行方不明にはならない。
砂浜で寛ぐ大人にしてみたら、灯台みたいなものか。
文句を言いたくなったのは、動く気の無くなった八竜にたいしての嫌味か…?
まぁ、ものぐさな兄の性格は知るところではあったけれど。

鳥海はちょっと気に留めながら、「藤里、カメとかいるかな」と、子供のように冒険心を表した。
前回森吉が、生態系をちらりと教えてくれた。
もちろん、季節や気候など、条件があってのことで、偶然がそう簡単に訪れることもない。
手をつないで、波打ち際まで駈けよる。
ヤドカリかな、なんだか分からない物体が、よーく見ると足元をちょこちょこと歩いていて、その場にしゃがみこんでは観察した。
時々大きな波が打ち寄せてきて、「うわぁぁぁ」と慌てて逃げる。
暗闇の中を探すように視線を投げれば、かすかな月灯りのしたで待っている八竜と瀬見が浮かんでいた。

無邪気に声を上げる自分たちと、ただ静観するだけの大人の、隔たりのようなものが漂った。
自分が瀬見にとって、相手にもならない子供だとは百も承知しているけれど…。
突き放されたような淋しさはなんなのだろう。

小さく赤い火が灯った。
八竜が煙草に火をつけた証拠だ。
流れる海風が、赤々とその存在を浮き上がらせてくれる。
眉根を寄せながら「風が強い」と風向きを気にする八竜の姿が、遠くからでも想像できた。

「ねぇ、鳥海…」
誰にも聞こえないように囁く白神の声は鳥海の鼓膜だけに届く。
つないでいた手が離れて、どことなく、もじもじと躊躇う仕草が見えた。
こんなときは、必ず、おねだりが待っているのはもう知れた間柄。
「何?」
一応、つっけんどんに聞いてみたけど。
「『濃厚プリン』と『贅沢ババロア』買ってあげるから」
何の提案か…。
外まででてきたのだ。二人きりになりたい運びをどうにかしてくれという無茶ぶりが声にならなくても伝わってくる。
その先はどうにでもする自信は感心できることでもあるけど…。
それこそ、誰の入れ知恵か…。
やっぱり、にぃの何がいいのか分からない鳥海だが、けなげな態度には心も押される。
片隅で、協力したら、瀬見とふたりきりになれるのかという、淡い期待が渦巻いた。
みんなの中での、ただの弟、ではなくて、白神も交えずに自分だけを見てくれる環境とはどんなものなのだろう。
もっと甘やかしてくれるのだろうか。八竜のように嫌味もなく、鳥海を受け止めてくれるのだろうか。
嫌がられるのだろうか。
恐怖でもありながら、もしかしたら、という沸き上がる感情は抑えられなかった。
"海の魔法"が瀬見の沈着冷静な態度を崩してくれるかも…。
…そこで、はっきりするのかも…。

「藤里、『贅沢プリン』と『濃厚ガトーショコラ』だから」
「もぅっ、そんなのどっちでもいいじゃんっ」
小さく訂正を述べると、ぷぅっと膨らんだ頬が見えた。
鳥海からみても、可愛い弟だと思えてくる仕草だ。
自分もそんなふうに見られていたのか…、また、瀬見は一歩踏み込んだ存在として見てくれるのだろうか。
ウルサイ兄の視線が白神に注がれるのは、なんとなく淋しくもあったけど。
鳥海にとって、ひとつの賭けだったのかもしれない。
兄の代わりに手に入れられるものがあるのなら…。
兄とは違って、一人前の人間として見てくれる人ならば…。
漠然と心の中で生まれた葛藤がはっきりと瀬見を求めて居座った。

「あそこの岩場まで行ってみようよ」
鳥海が誘うと、白神は素直についてくる。
ずっと付きっぱなしのライトが揺れれば、行先は浜辺に座る人間に知らせられた。
離れれば離れるほど、もしかしたら不安にさせるのかもしれないけれど、光りがある限り安堵もされる。
見えるところにいることがどれほど安心するのかを、幼い頃から教えられてきた鳥海だ。
歩いて、岩場にはりついた苔の間に蠢く物体を見つつ、小声で「藤里、にぃ、呼べよ。足挫いたって騒げ」と呼びよせる提案をした。
『ドッキリ番組』さながらの演出だが、そんなとき、見捨てない八竜の優しさも熟知していた鳥海だ。
瀬見に奪われるかもしれなくても…、白神がこの積極さから八竜にしがみつけば、手は振り払われないはず。

ザッバーンと一際大きい波が岩にぶつかった。
「すごいね~」と驚くなかで、計画通りに白神が声を張り上げる。
今の波がちょうどいいタイミングだったのかもしれない。
白神を転がりやすい砂浜の奥に押しやった。
「はおり、さ、…っ…、鳥海っ?!」
続いて襲ってきた波までは気が回らなかった。
スィっと足元をすくわれて、波と一緒に沖に戻される身体を鳥海自身感じた。
海岸の砂浜ごと、えぐり取られた感覚だ。
「鳥海っ?!うみ~っっ!!!」
甲高い、白神の叫び声が暗闇と波音の中に響くのをただ、聞いていた。
やみくもに手が彷徨い、咄嗟に掴んだのは、瀬見から渡された、懐中電灯だけだ。
…光っている…。

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コメント

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あ、あれ?
コメントちー | URL | 2013-08-25-Sun 14:55 [編集]
28が消えてる~。読んだから良いんだけど。
ボーナス?ワハハ。

ギャー、鳥海くん、浚われた。
だから、夜の海は怖いって言ったのにー。
どうなるの、どうなるの、鳥海くん。
藤里くんが慌てふためいて泣いてるね。


さあ、腐レンジャーの出番よ!
あれ?みんな酔っぱらって寝てるじゃん!
役立たず・・・
Re: あ、あれ?
コメントたつみきえ | URL | 2013-08-25-Sun 15:56 [編集]
28~???
(.る~るぅるぅるるるるぅ~)(←仔猫のキャット きえちんうたってみた おんちすぎっ)
ちーさま
それはめの錯覚というものです
28話、ないもーんっ

つか、読んだのか~~~っっっ(汗冷汗 なんか、変えよう…)

そうです、夜の海は怖いんだよ~。
藤里はもう涙目で話になりません。
そこは八竜、慰めてあげてね。


腐レンジャー べつに海にとびこまなくても…
あーれー?人助けレンジャー必要???
あ、みなさま、ねてたからあんしんね~。

コメントありがとうございました。
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