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BLの丘
木漏れ日 26
2013-08-25-Sun  CATEGORY: 木漏れ日
夜、浜辺で花火を楽しんだあと、風呂に入ってそれぞれの部屋に収まった。
…のだが、夏の夜に、早くに床につく連中でもない。
他の客の手前…とはいえ、聞こえてくる、ちょっと賑やかな声には、こちらもはしゃぎたくなるというもの。
刺身の船盛りをメインとした夕食の時に、他の客ともチラリと顔を合わせた。
新鮮料理にいたく感動してやけに素材に詳しそうな2人連れと、幼稚園児くらいの子を連れた三人の父兄弟が今夜の宿泊客だと知った。
それぞれ、挨拶程度に会釈をして席につき、二人連れがプロ並みの批評をしながら口に運ぶのを耳の隅に聞き、また親子連れは「子供がうるさくしたらすみません」とご丁寧にも先に言ってきてくる父親がいた。
むしろ、こちらのハメはずしの声の方が睡眠の妨害にならないか?と危惧してしまうが。
食事が終われば、鳥海と白神を残して、八竜と瀬見はもう一つの部屋に集まっていた。
最初だけ鳥海たちも一緒にいたのだが、飲んではまたここで寝られても困る、と部屋に戻ることを促された。
同窓会で話したいこともあるだろうと思えば、素直に退散もする。

部屋に戻っては、「バニラとビター、元気かなぁ」と飼い猫の心配をした。
「お母さんが世話しているよ」
鳥海が答えると、「そうだね」と白神も安堵の表情を見せる。
これまでだって、なにかにつけ母親が世話をしていたペットがいるのだ。
仔猫の二匹くらい、何の問題もないだろう。

【その頃:母】
「まったく、結局私が面倒みるんじゃない。…コラ、鰹節の袋、あさらないのっ。飛び上がるんじゃないっていうのっ。猫缶を出してくるんじゃありませんっ」(←二匹VS一人で悪戦苦闘)

「今日のお刺身も新鮮で美味しかったよね。あれ、バニラたちにお土産にできないかな」
白神に言われて、鳥海も喜びそうだと頭を過った。
「いいかも。にぃに家へのお土産と一緒に買ってもらおう」
前回は自腹をきったが、今回は付添人がいるのだから懐は痛まない。
そんな話をしながら、民宿のおじさんが朝、漁に出ることを思い出した。
「オレたちも一緒に行ったらダメかなぁ」
ふと思いついたことは、単なるぼやきだったのだが、白神もこれには見事に反応してくる。
あらかた遊びつくしたのだから、次の提案には当然好奇心が向けられた。
海に潜って魚の見学はしたが、釣ったことはなかった。
目配せだけで、「おじさんに聞いてこよう」と意気投合し、万遍の笑みを携えて早速部屋を出て階段を下りる。
他の部屋に響かない程度に、どこの部屋もなにやら騒がしかった。
そんなのだから、なにも抜き足差し足…になる必要もないのだが、自然とふたりは忍び足で行動するのだった。

一階に降りると全体的な電気は落とされていたが、ダイニングに小さな灯りと、キッチンでは後片付けなのか翌朝の仕込みなのか、人の気配があった。
そっと壁沿いに顔だけを出すと、そこにいたエプロンをかけた女将さんと、ビールのグラスを片手に作業をしていたおじさんがギョッと目を剥いた。
ふたりとももうすぐ50歳代になろうかという、黒く焼けた風貌をしている。断然おじさんのほうが焦げていたけれど。
「…びっくりした~っ。脅かすなよ」
「足音もせずに近寄ってこないでよ~」
ホッと胸を撫で下ろして、でも、どうしたのかと耳を傾けてくれる。
鳥海と白神は躊躇いながらも、漁がどんなものなのか見てみたい、と口にすると、「まぁ、二人くらいならいいか」と簡単に同行を許されてしまった。
「結構な力仕事だぞ」と半ば脅され、咄嗟に「邪魔はしませんっ」と答える。
そこで「手伝います」と出ないところが鳥海たちらしい。
ケラケラと豪快に笑われながら、朝の三時半には出る、と言われて、その時間にもびっくりさせられた。
おじさんはあまり気にした様子もなく、「来なきゃ置いていくから、また寝ていろよ」と決め事にはしなかった。
あちらだって仕事なのだから、ガキの寝坊に構っていられないのだ。

そしてルンルンと部屋に戻ったのだが。
興奮し過ぎて目が冴えてしまった。
寝坊するくらいなら、このまま起きているのも一つの手ではないかと、安直な考えに辿りつく。
かといって、狭い部屋でじっとしているのもつまらない。
「ねぇねぇ、鳥海~。散歩に行かない?」
「散歩?」
「そう。花火していた時も星空、綺麗だったじゃん。夜風に当たりに行くのも良くない?」
確かに昼間の焦げるような暑さからは一転、爽やかな風が肌を涼めてくれた。

海夜
クリックで少し大きくなる海辺の写真です。

「うん、いいかも。一応、声をかけていくか」
酔っ払いが動きたがるとも思えないし、かといって無断で外出したなら、後が怖い。
白神と二人でいるのだから、何も咎められることはないだろうと、隣の部屋をノックした。
案の定、出来上がった人間が二人ほどいる。
どこで寝てもいいように、敷き詰められた布団と、その辺に転がる空き缶やスナック菓子のゴミは、部屋を汚さない程度にゴミ袋に詰められていた。
「おぉ、鳥海、どうした?」
「あ、にぃ。オレと藤里、散歩に行ってくるね」
ご機嫌良さそうな顔つきが、途端に眉間に皺が寄せられる。
横になっていない人間以外の視線から集中攻撃をもらった。
「あぁ?!」
「散歩~?良い子はもう寝る時間だろ」
口々に「外出してはいけません」と咎められると、こっちも意地になってくる。
「別にひとりでどっかに行ってくるって言ってるんじゃないんだからいいじゃんっ」
「じゃあ、八竜さんも一緒に行きますか?」
白神がニコニコとしながら問うていた。
『みなさんも』と言わないところが確信犯だと、鳥海の脳裏を過っていく。
…そうか、常に藤里の頭の中には八竜のことしかなかったんだ…。
積極的に行動してくれることに反対意見はないが、うるさい小姑がついてくることはあまり喜べない。
だったら白神と八竜で出かけてくればいいのに…と思わなくもないが、ここで一人残されるのも、二人だけにさせるのもなんだか気が引けた。
白神にしてみたら、鳥海は口実でしかなかったし、でも、何かの時に気心知れた友人が隣にいてくれたら、安心もするのだろう。
やっぱり、いきなりふたりきり…は落ち付かないのだろうし。

起きていた雄物川ともう一人は、疲れたと言わんばかりで、部屋でまったりしたい雰囲気、バリバリだ。
そこは八竜も変わらないのだろうが、くたびれた雰囲気を見せたくないのは意地か?
「何?どうしても行きたいの?」
「うん、行きたい」
我が儘を言えば答えてくれる兄の性格を知っているのは鳥海だったのかもしれない。
ここは素直に頷いておく。
「せっかくだし、ねぇ~」と白神と頭をコツンと合わせるように頷き合えば、それ以上の文句も聞こえなかった。
はぁ…と盛大なため息がこぼれたあとで、「30分だけ」と変な制約がついた。
「八竜、俺は寝ているぞ」
雄物川がすぐに口を挟むと、八竜も付き合わせる気がないと片手を上げた。
「俺も一緒に行ってやるよ。酔っ払い"お兄ちゃん"一人じゃ心配だから」
からかうようにクスクスと笑いながら、瀬見が口を開く。
戻る時はこちらの部屋ではないことも関係しているのか。
このことには鳥海の方が驚いていた。
てっきり残った人間で酒盛りの続きをするのだと思っていたのに…。

意外と(と言っては失礼だが)、しっかりした態度の瀬見で、「懐中電灯でも持っていこうか」とどこからか荷物を漁って取り出してきた。
「あー、瀬見も行くの~?じゃあ、俺たち、浜辺で座っていようぜ」
それこそ、視界の届く範囲意外の場所に行くなと言わんばかりの八竜である。
白神が何かを思い出したように、ぷぅっと膨れた。でも喜びが隠れていた。
「この前みたい。泳ぎに行った時、行方不明にならないようにって、能代さんにロープで船に縛りつけられたんだよね」
…その言い方は、充分なほど誤解を与えかねないけど…。間違いなく意味があるだろう…。
浮輪も預けられて、好きに泳ぎ回っていいけれど、範囲は決められていた。
明るく発言されて、どことなく八竜の機嫌が降下を辿っているのを感じた。
…本当に制限されることが嬉しいのかな…。
詳しい説明は歩きながらでもするか…。
陸で紐をつけられることはないと思うけど。

「若い子は元気だねぇ」と、雄物川の妙に年寄りじみた発言を背中に、鳥海と白神、八竜と瀬見は民宿を後にした。

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毎度お越しありがとうございます。
いつの間にか370000名様、過ぎていたんですね。
飽きずにご来店、本当に感謝です。
夏のプレゼントでもするかなぁ。
この記事に特別出演の隣の宿泊客、2組ともご名答のお客様、夏のお中元(←とっくに過ぎている)プレゼントとして賜ります。
誰にこだわらず、このCP こんなシチュ、もしくは個人的な過去のアレコレ、あんなのが読みたかった…とお知らせください。
(別に先着順とかありませんので。きえちんが、これなら書けそうと思ったものを優先的に…←オイコラ。でも当選者優先ですよ~っ。当てられたらね~(o´艸`o))
当たるか外れるか分かりませんが、一か八かのご投票お待ちしております。
*作品感想はともかく、リクについては公表いたしませんのでご安心して呟いてくださいね。
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コメント

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はいはい!
コメントちー | URL | 2013-08-25-Sun 07:12 [編集]
まず、料理に詳しいのは「真っ赤なトマト」のお二人。
熊谷孝朗くんと本庄圭吾くん。
お休みの日は、圭吾くんの趣味と実益を兼ねていろんな場所に食べ歩きに連れて行かれる孝朗くんですね。

そして、家族連れはもちろんみんな大好き、ひなちゃん一家ですよね。
三隅周防さん、和紀くん、ひなせくん。
(あ、まだ養子にはなってなかったけど。ひなちゃん、まだ小さいからひらがな~)

リクエストって書いて良いの?当選してから?
当たる気満々(笑)


仔猫と保護者。夜の海に繰り出しましたね。
にぃ、瀬見ちゃんも来てくれて一安心かな?
だって、仔猫達、何するかわからないしね。

「鳥海~、綺麗だねえ。ちょっと入ってみる?」
「えー、止めとけよ」
「怖いの?」
「こ、怖い?俺がぁぁ?」

ニャゴニャゴ、じゃれる仔猫モドキーズ。

にぃと瀬見ちゃんは、危険がない限り静観中。
ちーさま おはようです
コメントたつみきえ | URL | 2013-08-25-Sun 08:57 [編集]
右手しっかり上に伸ばして挙手している人がいる(笑)

大正解です~。
ちょっと分かりやすぎでしたかね。
ま、子供が出てくる時点で、あの家族は定番か…。

ちーさまのリクエストってなんだろうな。
この前佳史、書いといたし、野菜採りで成俊も登場させといたし、双子もとりあえずゲスト出演したし…(←言い訳?!)
いえいえ、読者様の脳は新鮮なので是非とも聞きたい!!
(当選かどうかはともかく…。だってきえちん、書けるかわかんないもん)

鳥海たち、何するんですかね~。
無邪気で無防備な仔猫。

八竜「あー、酔い覚ましにいいかも~(ゴロン)」
瀬見「ねぇ、鳥海くんたち、どこ?(キョロキョロ)」
八竜「あぁぁ?そのへんにいるだろ」
瀬見「……もしかして、あそこ、海に入ってる人?」
八竜「なにぃぃぃぃ???!!!」

…にぃ、酔って海にはいっちゃいけないよ~

コメントありがとうございました。
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