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BLの丘
木漏れ日 20
2013-08-19-Mon  CATEGORY: 木漏れ日
「こんなところで粋がっているなよ」
声を掛けてきた男がいる。30歳前後か、縦長の顔つきに切れ長の目は大人の貫録を滲ませていた。
続いて彼よりは幾分若い、しかし短髪で体躯の良い男が揃って、鳥海の手を握ったヤツを視線だけで侮蔑していた。
その背後を同じ顔をした人間がふたり、じっと見ていては、四人に囲まれたのも同然で、注目の的になったのを把握して、男たちが怯む。
「な、なんだよ、お前ら…」
「警備員、呼ぶけど?この辺りは顔がきくんだよ」
年上の男は淡々と言い放っていた。
私服でいながらジャケットの胸元に手を入れようとする仕草を見せられて、どう思ったのか、サァと消えていく存在があった。
何が起こったのか分からない鳥海と白神は呆然と事の成り行きを見守っているしかない。
気付けば人だかりができている。
彼らの背後に隠れていた、双子だとはっきり分かる線の細い男が「君たち、大丈夫だった~?」と声をかけてきた。
今目立っているのは、自分たちよりも、この双子だと、なんとなしに気付いてしまう。
"注目の的"のお裾分けを浴びたからこそ、男は逃げだしたのだろう。
外見だけで威張っていた意外と気の弱い奴だった…と、鳥海はホッと安堵したが、心配げな問いに次の緊張が走った。

「あ、えぇ…」
助けてもらったお礼を言おうと思うものの、緊張に晒された喉はすぐには感謝の言葉が浮かばなかった。
人だかりはすぐにも散っていってしてしまう。
その直後に「鳥海くんっ?!」と響いた遠くの驚嘆の声には、その場に残った全員が視線を向けてしまった。
近づいてくる声と同様、驚いて目を見開いた人間は、ほぼ全員だった。
「せ、瀬見さんっ?!」
ようやく知った顔の登場にかろうじて喉から音が発されれば、続いて鳥海の前にいた若い男のほうが「あれ、新庄じゃん」と 落ちついて彼を認めた。
そしてまた、懐くように双子の視線も注がれていた。
近づいてきた瀬見はグルリと視線を回してから、改めて鳥海に眼差しを向ける。
そして「鳥海くん?」と改めて確認された。
「えー、新庄さんの知り合いなの?」
双子の一人が問うと、あぁ…と短い返事。続けて「見たことある連中がいるなぁと思ったら…」って男たちに苦笑いを浮かべていた。
どうやら、この集団、どこかで繋がりがあるのだと理解するのに時間はかからなかった。
やっぱり偶然の出会いには世間の狭さがついて回るらしい。

瀬見がなんとなく空気を読んだのが分かったのか、双子とその両脇の男はほとんど何も語らずに、自分たちの買い物に戻っていった。
改めて視線を向けてきた瀬見が、「八竜は?」と状況説明を求めてくる。
こういった状況において、逐一報告することを教え込まれた脳がある鳥海は、瀬見を前にして安心した気持ちもあったし抵抗もなく、猫を飼っての買い物と、逃げ出した兄のことを細かく説明してやった。
半ば呆れたため息が聞こえてきて、やはり瀬見は八竜を咎めてくれる自分たちの味方だ、と内心でガッツポーズを作る。
瀬見は休日に暇つぶしにここに訪れていて、たまたま見かけただけだったそうだが、最初に目についたのが『目立つ双子だった』とは納得できたけれど、少し悔しかったのはなんでだろう。
だけど常に周りに気を使ってくれる精神的なものが感じられ、黙って通りすぎない態度の優しさがジンときた。
白神も以前、八竜たちと交えて飲んだ席のことを思い出したのか、抵抗なく受け入れてくれる。
「瀬見さん、さっきの人は?」
鳥海が不躾な内容でありながら問うと、瀬見は嫌な顔せず微笑んでくれた。
「あぁ、会社の奴らだよ。双子の片割れは同僚なんだ」
説明されては親しい間柄が自然と想像できた。
ふぅんと頷く鳥海と白神に、「ところでもし邪魔でなかったら、付き合うけれど?」と首を傾げられた。
「「え?!」」
なんのことかと疑問が浮かぶ鳥海たちに聞こえたのは、想像を越えた素晴らしいほどの提案だった。

「俺も車で来ているから荷物を一度しまってくればいいし、一人でプラプラしていてもつまらないから御供させてもらえればいい暇つぶしになるんだけどな。鳥海くんと藤里くんの邪魔はしないつもりだけど。俺が送っていけばお母さんにわざわざまたこっちに寄ってもらわなくても好きな時に帰れるでしょう。ついでに猫も見せてもらおうかな」
自分の希望を優先的に口に出してくるところは話し方がうまい。

うんうん、と鳥海と白神は揃って首を縦に振った。
どうにも白神の判断に偏りがちな猫グッズも、第三者の意見があったら変わるかもしれない。
送ってもらった時に八竜がいたなら、どれだけ大変だったかの文句を瀬見からもしてもらおうという、邪な思いも脳裏を過っていった。
一応瀬見の都合を、本当に大丈夫なのかの確認はしたけれど、人の良い笑顔で信用させられた。
白神とはしゃぎながらアレコレと見て、かさばるものも購入できた。
意外と必要になるものがあるのだとは売り場に来て気付かされたが、予算上購入できるものも限られてくる。
瀬見に「急ぐ必要がないなら徐々に揃えていく楽しみもあるんじゃない?」と言われて、素直に頷けた。
大人からの意見というのは何かと得心できるものだ。

家に帰るとすでに帰宅した八竜が、仕事上がりのビールだというものを、この昼間っから飲んでいた。
先に連絡を受けていた母親がエプロン姿で台所から飛び出してきて、瀬見に愛想の良い笑みを撒き散らしている。
一緒に買い物袋を持って家に入った瀬見は、もう車に戻ることのできない勢いで出迎えられた。
「瀬見くん、わざわざありがとうね。今お昼ご飯用意していたところなの。もうちょっと時間かかっちゃうから八竜と話でもしていて」
「いえいえ、そんな…」
恐縮する瀬見の逃げ道はすぐに塞がれる。
「だぁってもう作っちゃっているのよ。瀬見くんが鳥海たちを見てくれるっていうから、お母さん、時間かけて調理してることができたのに~」
いかにも"手をかけた"のだとの言いっぷりに、少しだけ苦笑いを浮かべたが、「ありがとうございます」と靴を脱いでくれた。

玄関脇にあった段ボール箱の中身はからっぽになっていて、バニラとビターは遊びに出かけている様子だった。
それに気付いた瀬見が、「もしかしてこれが猫の家なの?」と尋ねてきた。
白神が「うん、そう。この中に二匹で仲良く寝られちゃうくらいちっちゃいの」と説明すると、何か考えている様子だった。
いつでも同じ行動で、何も言わなくてもそこに戻っていく仔猫二匹を引き離そうとは微塵も思っていない。

ねこ3
またちー様からお借りしました。転載等厳禁です。

大量の買い物品をリビングに持ち込むと、八竜が呑気に「おぉ~、瀬見、悪かったな」と全く悪びれていない態度で声を発した。
瀬見も特に気にした雰囲気もなく、いつも通りの返事をしている。
「にぃ~っ、重かったんだよっ。今度っからにぃの車、借りていくからねっ」
「ばかやろー。在学中は貸さねぇって言ってあるだろ。俺が特訓してペーパードライバー脱皮できてからだ」
いけしゃあしゃあと鳥海の生活に制限をかけてくるのはいつものことだった。
事故を起こしたら大変だと免許証を取り上げられていた鳥海が、不携帯で運転できるわけもない。
ちなみに白神は免許すら持っていなかった。
あとで家族総出で片付けるからと、端っこに荷物を積み重ねて、とりあえず四人でテーブルを囲むべく座りこんだ。
すると、家主(すっかり家の一員になった白神)の気配を察したビターとバニラが、ちょこちょことした足取りで、でも勢いよく鳥海たちの膝に飛び乗ってきた。
鳥海が「ビター、ひっかくな」と声をあげるのと、白神が「バニラ、いい子にしていた?」と語りかけるのがほぼ同時で、瀬見が興味深げに見つめている。
八竜だけが呆れと謎を浮かべた表情を見せた。
「なーんか、逆なんだよなぁ、コイツラ」
そう言うのは、鳥海たちの外見があったからだろう。
鳥海は栗毛色のくせっ毛で、白神は漆黒のストレートな髪を持っていた。
懐いたのは対照的な色だった…と。

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コメント

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やっと 登場だぁ~v(≧∇≦)v イェェ~イ♪
コメントけいったん | URL | 2013-08-19-Mon 10:10 [編集]
鳥海と白神がを助けるのは、颯爽と現れた瀬見っち♪
と、思ってたのに 双子ーズと その恋人だったとは 予想マルハズレ~苦笑_〆(´Д`ll)ハハッ

でも 待望の人が登場したので 良かった、良かった!

優しくて 思慮深くて 大人な瀬見ですが、
本性が見えない 分からない 何所か 掴めない所があって 曲者と 思ってます私。
だけど そこが また いいのよねー(。・・。) ポッ

これからは 瀬見っちが、いっぱい登場してくれるのでしょうね、きえちん?
8(´∀`8*))♪ワクワク♪((*8´∀`)8

私事ですが、このお盆休みは まさに「馬車馬の如く」でした!
ちーさん家のニャンコズのように まったりする暇も無かったよ~(泣)
今はもう疲れ果てて 腑抜け状態…ボー( ▽ ;)o〇O 


 
Re: やっと 登場だぁ~v(≧∇≦)v イェェ~イ♪
コメントたつみきえ | URL | 2013-08-19-Mon 15:03 [編集]
けいったんさま こんにちは~。
今日も暑いですね~。

> でも 待望の人が登場したので 良かった、良かった!

意表をつかせていただきました(笑)
いつまでたっても準主役が出てこない~と苦情をもらいそうな展開になっておりますが…(^^;ゞ

> これからは 瀬見っちが、いっぱい登場してくれるのでしょうね、きえちん?
> 8(´∀`8*))♪ワクワク♪((*8´∀`)8

実は今日、某待合室で時間つぶししている時に、パソコンコーナーで『乱反射』を斜め読みしていたのですが
(そこで読むな、って感じですが)
瀬見っていい味出しているキャラだったのね(´∀`;)
いえ、脇役なんてどうでもいいから適当に書いていて、記憶にもなかったけど…。
そう、どうでもいいから、本性が見えない謎の男になっていたのです(完全に墓穴を掘った現在だ)

いままではプロローグだったってことで、今後の活躍を乞うご期待?!

> 私事ですが、このお盆休みは まさに「馬車馬の如く」でした!
> ちーさん家のニャンコズのように まったりする暇も無かったよ~(泣)
> 今はもう疲れ果てて 腑抜け状態…ボー( ▽ ;)o〇O 

まだまだ暑い日が続きますよ~。
ご無理なさらないでくださいね。
コメントありがとうございました。
 
きえちんたら
コメントちー | URL | 2013-08-19-Mon 20:31 [編集]
わーい、双子ちゃんと王子達(今回は格好良いので)
なぜ、双子ちゃんが出るとワクワクするんだろうか(笑)
やっぱり、モドキーズより双子ちゃん?
いやいや、モドキーズは仔猫みたいでカワユイぞ。

そうそう、鳥海くん、藤里くん。
グッズを買うのも良いけどね?
まずは、お医者に行って健康診断を兼ねて予防接種!
大事だからね?
お金は、にぃから貰おうねっ♪

きえちんたらきえちんたらきえちんたらぁ。
今頃、瀬見ちゃんの魅力に気付いたの?
私と師匠があんだけコメントしてたのに?
書いてる方はそんなものかしらん。
師匠、良かったねえ。瀬見ちゃん登場!
頑張った師匠にご褒美←勝手に言う(笑)

師匠、お掃除中。
「はあ、まったく、家でもここでも働きっぱなし!やだやだ、疲れたぁ。ん、ギャー」

師匠、何かに蹴つまづく。

「痛い~。ん、痛くない。あれ?あれ?」
「大丈夫ですか?」
「は、はい。どーもね。やれや・・・瀬見ちゃん!」
「え?」
「い、いえ、ありがとうございましたぁ」

師匠、ぴゅ~っと逃げる。足を捻ったふりなんて出来ないウブな師匠でありました。

ち「にゃんこー。双子~。モドキーズ~。双子~、にゃんこー。モドキーズ♪♪♪」

どっちを見ても可愛いものに喜ぶちーでした。
Re: きえちんたら
コメントたつみきえ | URL | 2013-08-20-Tue 17:34 [編集]
ちーさま こんにちは~。

> わーい、双子ちゃんと王子達(今回は格好良いので)

下僕は王子に昇格?!(笑)
えー、だってたまには格好良いとこみせないとさぁ。
カワイイ子大好きちーさまだから、そのイチャコラぶりに、何かしてくれるんじゃないかという期待感があるんですかね(いや、何もしませんけど)

> まずは、お医者に行って健康診断を兼ねて予防接種!

きっとすでににぃがやってるかも?!
だって大事な弟に、何かあったら困るし。(弟が悲しんだら嫌だから先回りしてそう)
誰だって病気になられるのを見るのは辛いもんね。

> きえちんたらきえちんたらきえちんたらぁ。
> 今頃、瀬見ちゃんの魅力に気付いたの?
> 私と師匠があんだけコメントしてたのに?

(冷汗)
えーと、なんて言うんですかね…。
書いていた当時は、あつみと真室をどうしようかってほうに一生懸命で。
脇役なんて、全然気にしていなかったんです。
読み直して客観的に見ると、おー、こいつ、色々考えてるなぁっていう部分が見えてきて…。
今更ながら、人物像がはっきりしてくるというか…。
ホント、適当にキャラ作っていたと痛感させられました(汗)

本文はともかく、コメント欄から、「へー、瀬見って恋人いたのか~」と妄想書きたてられて書き始めたという…。
そうです。読者様に刺激されて私の脳が動き出しただけ。
ご褒美とも、あまり思っていなかった(←ヒドッ)

みなさんの期待にこたえられるようにしたいでーす。
コメントありがとうございました。
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