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BLの丘
木漏れ日 17
2013-08-16-Fri  CATEGORY: 木漏れ日
もともと兄は父親に似た、人情味にあふれたところがある。
外面のよさもそんなものが生み出すのだろう。
白神の悲しげな声を聞いて、何を思ったのだろう。
白神からつぶやかれる声を黙って聞いていた。
「でも、仕方ないよね。僕、飼ってあげたいけど、アパート暮らしだし。この子たちね。ミルクあげる時、チューチューって奪いあいっこするんだよ。兄弟なのにね。…兄弟だから容赦なく我が儘言えるのかな」
まるで悪態つきまくりの鳥海と八竜のように…。
離れたくないと訴えているようだ。
愛しいものを見つめる眼差しは、一人暮らしで疲弊した何かがあったのだろうか。
眠りから覚めない猫を、大事そうに撫でる手がとても慈愛につつまれていた。
いつか…、一緒に育った自分たちも別々の道を歩む。
それこそ、もうずっと前から分かっていたことなのに。
どうして自分たちと重ねてしまうのだろう。
兄であり、友人であり…。離れていかない存在をどこかで求めているのは、人間の本能なのだと、なんとなしに思ってしまう。

「藤里くんは飼いたいの?」
八竜の問いに、やはり思いを隠しはしない。
「うん。誰かがそばにいてくれるような温かさがある。機械にかこまれるばかりだからぬくもりが欲しいのかな」
日常の中、学んでいることが電気工学に人の感情なんてなかった。
でもその世界にあこがれるのは、+と-が確実に出会って新たな何かを生むことを知るからなのだろう。
無意識に誰かを求めるものは、危険も孕んでいた。
足場が頼りない波の上にいて、咄嗟になんでもいいからすぐそばにあるものを求めるような不安定さは安全とは程遠い。。
身元が分かるものだけを与えたい八竜の気持ちは、鳥海に近づくものを品定めするのと似ている。
八竜の中で、藤里は鳥海と同じ立場に位置付けられていた。
何の悪態をいったところで、最終的には"弟のわがまま"を聞き入れてしまう兄心。

ねこ
ちー様からお借りしました。お持ち帰りは厳禁です。

「うちで飼ってやってもいいけど…」
「「えっ??」」
同時に漏れた疑問の声。
何の意図があって、八竜が発するのか。
「ただし、世話をしてくれること」
もし白神が拒否するなら、白神と八竜の別れも意味していた。
白神にとってはこれ以上ない、通う口実が含まれていることを八竜が気付かないわけはないだろう。

八竜にしてみたら、熊男のような存在から守ってやりたい思いでしかなかったのかも。
弟を守るのと同じ感覚だ。
視界の範囲にとりいれられることが、何よりも安心する。
猫を人質に、通うことを約束させて、不埒な人間を監視する意味もあるのか…。
自分のそばにおくための、卑怯な手立てでもあるのに。
『似ている』…。
瞼に映るものが似ているからこそ、寄せつけたくない存在を排除したい思い。
鳥海と並べて見ている感覚は分かったけれど。
その奥底に潜むものが白神の願うものと同じだったらいいのにと漠然と願っていた。

…にぃってぜったい我が儘だ。
そう思えたのも、自分の手中で泳がせたい背景が見えたからだろう。
更にいけすの中で可愛がられたい白神を思っては、束縛し合える"情"が強い絆になることもなんとなく把握できた。
自分ならお断りなのに。
守られてはいたけれど、自由に泳ぎたかった。

でもそこは、白神にはちがっていた。
『八竜さんのものであることが喜びになる』…。
束縛…の意味は、分かるようで分からなかったが好きな人に思われることは嫌でないとは理解できた。

もしかして、鳥海が何かの手を加えるよりも早く、このふたりには"惹かれ合う"という何かがあったのだろうか。
後を押したのは、間違いなく能代だろう。
危機感だけを八竜に置いていったのだ。
放っておいたら喰い物にされるぞ、と。
…えーと、通われるたびに"デザート"を強請ってもいい…?
邪な考えが掠めていくが、八竜の性格を思うと、白神のために買い与えてしまうのが想像できた。
買うことは言い訳のひとつになる。
白神の満足は鳥海の満足にも繋がると知って甘やかし続けることだろう。
それは鳥海と白神のふたりを大事にしたい、愛情でもあるのだろうけれど。

「親父。明日の人、断わってよ。やっぱり兄弟は引き離しちゃだめだろ。…離れたくないって全身で訴えてるよ」
抱きあってはなれようとしない猫を前に同情を買おうとする口上は立派なものだ。
情に弱い父親の弱点を確実についていた。
母親だけが口を酸っぱくする。
「あなたねぇ。昔っから『自分で飼う』って言って連れ込んだペットが何匹いたと思ってるのっ。お母さん、熱帯魚の水槽も洗ったし、犬の散歩も行ったのよ。最期のお別れの時がどれだけ悲しかったか…」
それでも自分に懐かなくなった息子の代わりに癒された心はあった。
もう一度、息子たちと繋がれるアイテムと言っては失礼なのだろうか、生きるものに向けられる愛情は人一倍濃い。
見つめられる瞳に言葉はなくても諦めが漂う。
言いだしたら折れない兄弟の絆は母親だからこそ理解しているのか。

「食費、入れなさいよっ。あなたたちのごはんも、"ねこまんま"にしてあげるからっ」
手抜きを堂々と言われて。

「僕っ、僕っ、働きますっ。八竜さんとお父さんの足手まといにならないようにっ、将来のためにもっ」
白神は必死に訴えて、自分の我が儘でもあることを母に伝えていた。
白神の発言が八竜を動かし、そう言わせたのだと。

…えーと、…就職活動、もうしなくてもいいけど…。つか、うち、人手足りてる?給料払える?
何もかもが、この家に収まることを前提としている。

…それより、オレと藤里って"兄弟"になるの???
その疑問だけは口にされなかった。

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コメント

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飼うんだ
コメントちー | URL | 2013-08-16-Fri 07:49 [編集]
あは、にぃ。
飼うんだね。で、世話はお母ちゃんがするのね(笑)
まあ、藤里くんが毎日来そうだけど。
もう、引っ越してきちゃえ!
でも、本当に双子みたいになっちゃうね。
覗いてみたい・・・
にぃ、エクレアちゃんを弟から恋人に早く昇格させてね。


ち「猫飼いになるんだあ。モドキーズとにぃ」
し「瀬見ちゃんはまだかぁ!」
ち「猫グッズ、ちゃんと買えるかなあ?」
さ「可愛い~、猫ちゃん」
ni 「 癒されますね」
す「ちー、最近仕事してないよね?」
ち「牛乳はあげちゃダメだからね、猫用ミルクあげて」

今日も暑い一日になりそうです。
飼うよね~
コメントさえ | URL | 2013-08-16-Fri 18:16 [編集]
にぃは藤里くんも飼うね。
恋愛かどうかは謎だけどね~。
さ、また皆で見学しましょうか♪
みなさん おはよーです
コメントきえ | URL | 2013-08-17-Sat 08:36 [編集]
八竜はおねだりされちゃうと弱いんですかね。
自分で世話しなくていい理由もできたしね。
面倒なことはしませんから(笑)

猫二匹と藤里の調教 しっかりできるでしょうか。

コメントありがとうございました。
拍手コメnさま
コメントたつみきえ | URL | 2013-09-25-Wed 07:32 [編集]
おはようございます。

> 能代カッコイイ!(≧∇≦)b

脇キャラに食いついてくださいましてありがとうございます。
ひとつ 年上なだけですが、いろいろ頭が回る人のようです。
そんな雰囲気がうまく伝わったかなぁと心配でした。
嬉しいです。

コメントありがとうございました。
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