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BLの丘
木漏れ日 12
2013-08-13-Tue  CATEGORY: 木漏れ日
少しの間潜っていた森吉も、スーッと海上に顔を出してはふーっと息をついた。
「もう溺れずに済んでいる?」
「あ…」
森吉もつかまるように鳥海の浮輪に掌を乗せた。
その重みで沈みそうになってバランスを崩しては、焼けた腕が腰を支えた。
わざとらしく腕を取られては、つかまるものが森吉だけにされて、嫌でも掌がギュッと求めてしまう。
「なんか、そういう仕草がいちいち可愛いんですけど。…おまえんちのにぃちゃんに会っちゃったしなぁ。あれって無言の圧力だろ?」
なんのことやら首を傾げたら森吉は相変わらず苦笑いを浮かべていた。
「傷者にできねぇってことだよ。"フリ"でいいから、俺の相手になっとけよ。あんまり離れるな」
何やら危険な匂いを発しながら、この先の流れを危惧された。
海に慣れた男は雰囲気の危険度も把握しているのか…。
カモフラージュがあったほうがいい、とは、森吉だけでなく、能代の意見もあるらしい。
白神はこわごわとしながらも、ざっくばらんな能代の手中に笑い声を立てていた。
「手ぇ、入れないで~っ」
海パンの裾から潜り込んでいる掌は、完全な"犯罪"に匹敵するだろう。
だけど、じゃれあいだったけれど。
一部のおかしな行動も受け入れてしまえるおおらかさは、開放的な気分にさせてくれる"海マジック"かもしれない。

妙な駆け引きを棚に上げても、すぐそばに白神がいたし、普段では見られない景色を届けてくれることは充分心を盛り上げた。
浜の近くとは違って、澄んだ海水と、通り抜ける風が心地よくて、同時に、心も心地よくしてくれる。

海

少しばかり潜っては森吉と魚と泳いで、海上に浮き上がらせてくれる動きも楽しい。
徐々に水にも慣れた。
「鳥海、水飲んどけよ」
久し振りにボートの上にあがると、小さなクーラーボックスからペットボトルのスポーツ飲料を差し出される。
『鳥海』と自然に呼ばれることがまた不思議だったけれど、知らずに乾いた喉に、その声も飲み込まれていた。

「そろそろ戻るか?」
約束したバーベキューの時間のことを考えても、こちらでのんびりしているわけにもいかない。
名ばかりの幹事でも放ったらかしにできないと声をかけられればお腹が鳴るのだから体は正直だ。

浜辺に戻ると全員が揃ったようだ。
民宿の従業員の手伝いもあって、大きなコンロがすでに用意されていた。
何より驚かされたのは新鮮な魚介があったこと。
「サザエの壺焼き~っ♪」
「ホタテもいい感じ」
「アワビの踊り食い~」
次々と出される肉の串焼きや飯盒のご飯もやってきた。
お焦げまで舌鼓をうち、手渡された缶ビールを喉越し良く嚥下すれば、ほどよく疲れた体は脱力感に襲われる。
白神と二人して、"お昼寝コース"にまっしぐらだった。
森吉と能代がつかず離れずの位置で気遣ってくれていて、まだ見たことのない人間は挨拶だけにとどめられている。
あらかた食べつくして、後片付けだ、午後のレジャーだと散っていった頃、パラソルの下、レジャーシートに白神と横たわっていると、釣り具を持った二人組に声をかけられた。
鳥海と白神は全員の顔など把握していなかったから、今回のメンバーだと疑わなかった。
「今夜、ここに泊まりだろ?俺たち、この後ジェットに乗りに行くんだけど、一緒に行く?」
「『ジェット』?」
「水上バイクのことだよ。こっちの入江じゃ乗れないから移動するけどさ。ずっと沖まで行ってスピード出て面白いよ」
楽しそうな遊びには眠気も飛んでいく。
目配せだけで鳥海と白神は同意を相手に伝えていた。
「迎えにくる」という言葉に、そのまま民宿に向かうと、途中で森吉に出会う。
「何?昼寝?」
部屋に戻るのかと確認され、逐一報告は鳥海の中では普通だった。
正直に成り行きを口にする。
「ううん。『ジェット』っていうのに行くの」
白神も頷いて、無邪気な答えは、すぐさま森吉の眉間を寄せてくれた。
「ジェット?誰が?」
「えー、分かんないけど、そこにいた人だよ」
当たり前だが、浜辺を振り返っても誘い主はいない。

「ダメダメダメっ。免許持っているヤツ、今回はいないはずだからっ。どこのどいつだよーっ」
行く手を阻まれてこちらも何事かと訝しがるが、鳥海たちの気分はすでに『水上バイク』だった。
自らの実体験が百聞は一見にしかずと教えられたのは、森吉たちとの"潜り"の中にもある。
「えー、乗りたいよ~」
「乗りたいよね~」
鳥海と白神の脳内は海上を颯爽と走っていく水しぶきの中にある。
森吉は鳥海の腕を掴みながら能代の姿を探していた。
やはり午後のプランに外に出ようとした熊を捉える。
「能代さーん、能代さぁぁぁん、こいつらナンパされてるよ」
「あぁぁ?」
「ジェットだって。乗りに行くんだって止まんないの」
「誰?」
「わかんねぇ。磯釣りのヤツか出入りの業者かなんかだろうけど」
歩み寄ってきた能代は眉間に皺を寄せて、森吉の言葉を脳内に入れながら逡巡していた。
しばし考え込んでいたけれど、白神のランランとした眼差しに負けたようだ。
「乗せてやるから、知らないヤツについていくなよ。行方不明ってマジでシャレになんねぇ」
多くの人が入り組む浜辺…なのだろうか。
危機感を植え付けられる。

その後、民宿まで迎えに来た"ナンパ男"を睨みつけて、森吉は鳥海の腰に腕を回していた。
今更密着されることに抵抗がないのはなんでだろう。
熊男能代を前にしてはさすがに怯んだようだ。
すっかり"恋人"にされて、「ジェット乗れるエリアって決まっているんだよ」と連れていかれた。
免許がないと乗れないと教えられたのもこの時で、また人目を惹くよう騒ぐ連中も目の当たりにされた。
遊びに長けた森吉と能代が最低限の資格を取得していることにも驚かされた。
本人たちは「あいつらと一緒にするな」とどこか差別意識が浮かんでいたけれど。
身に降り注ぐ危機感はともかく、颯爽と走る水上バイクに鳥海と白神の歓喜の声が上がる。
「爽快~っ」「気持ちいい~っ」
泳いだり、船の上にいるのとは全く違う。
足元を掠める水流や磯の風。

沖からはずっと離れた場所で、休憩とばかりにエンジンを止めた森吉は、「鳥海…」と背後にしがみつく鳥海に視線を落としてきた。
さざなみのように打ちよせる波音と、遠くで響くモーター音が耳元をくすぐる。
「おまえ、可愛いよ…。そういう態度とか、マジになりそう…」
戸惑いを多く含んではいたけれど。
体を捻った森吉の体が被さってくる。
…逃げ場がない…。
肉厚の唇が鳥海のソレに触れた。
熱い眼差しと熱い空気、熱い情熱が鳥海を昂らせた。
何かが誤魔化されている。
だけど流されていた。
怖いくらいの"雰囲気"。
差し込まれる舌先に、閉じた瞼の奥が輝く太陽を反射した。

"魔性の海の世界"に身を委ねてもいいのだろうか…。

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コメント

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ダメダメダメ
コメントちー | URL | 2013-08-13-Tue 05:00 [編集]
ギャー、鳥海くん?ちょっとちょっとちょっと~。
何、キスしてるのさあ。
チューならまだしも、キス~?
にぃ、あなたの可愛い弟がピンチですよ?

藤里くんは、どうなったの?
なんか危険な気がするけど。
どっちもユーリタイプみたいだからなあ。
由良みたいなお兄ちゃんはいないのか!

心配・・・
女の子なら一夏のアバンチュールで、妊娠して、どうしよう?みたいな気配。
王子さま、プリーズ!


ち「師匠、双子モドキーズが!大変」
し「(瀬見ちゃんいないからチョイグレ中)」
ち「師匠ったらあ!隊長呼んでよ~」
し「夏に危険はつきものよ♪」
ち「やだやだやぁだぁっ!」

す「さ、証拠写真証拠写真っと」
さ「冷たいデザート、できたよ~♪」
ni 「 わー!美味しそう」

どうなる、モドキーズ・・・
あぁーやっぱり!
コメントけいったん | URL | 2013-08-13-Tue 08:37 [編集]
ちーさん命名「双子モドキーズ」は、やはりナンパされちゃってるし~~
きっと 女子に手酷く拒否られた奴か、その嗜好の奴らでしょ!!
それとも ノンケも イチコロするほどの破壊力を発揮しているのかしら?

と、っと、っとと、そんな事を言ってる場合じゃないわヾ(´д`;)ノぁゎゎ
鳥海と森吉の間で 危険な香りが漂いだしてるんじゃないの~!

瀬見っちは またもや 当て馬扱いになるの!??

ち「激写!激写~!すーさん、激写連続するのよ~~!」
す「ちーさん、目がギラギラで こ・怖い…」
ni「生写真が また増えて ガッポガッポ~♪」
さ「こんなに暑くては スィーツが心配だわ…」
け「イケメン見放題の海の監視員♪」

今日も今日とて レンジャーは職務に忠実であった!ラジャ!( ̄- ̄)ゞ
みなさま こんにちは~
コメントたつみきえ | URL | 2013-08-13-Tue 10:57 [編集]
最高気温が35度と聞いて ホッとしているきえちんです。
私も海に行きたいけれど、日焼けが…。
海もぬるま湯になっているんじゃないですかねぇ。

ぬるま湯にひたって冷静な判断が下せない鳥海。
うーん、この育ちは、半分は過保護すぎた兄の責任でしょう。

アバンチュール(爆)
危険な香りが漂っていますね~♪

マァマァヾ(- -;) 瀬見の登場はまだ慌てずに。

にっちん、お水とはちょっとしたものでも恐怖にかわるのですよ~。
ライジャケ着て溺れた人…(恥)
しかも足がつくところで…
「タコ踊り?」と聞かれた…。

海で遊んでいる写真、別宅に届けてきましたのでお暇な方、覗いてみてね。
コメントありがとうございました。
管理人のみ閲覧できます
コメント | | 2013-08-13-Tue 17:41 [編集]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
Re: みず
コメントたつみきえ | URL | 2013-08-13-Tue 20:18 [編集]
にっちん ちわぁ

> ちょっと お話から外れますが
> コメでお話したように フロで溺れ 水は好きなんだけど 怖い
> 小学5年まで泳げなかった  無理やリの水泳教育 なんか絶対にコースを泳がせる最後 飛込みは免除してもらいました。負けん気が出て 平泳ぎのところでバタ足前進 笑われたけど あれ進んでる? 泳ぐのって楽しいって感じて それからは少しずつ 今もあまり泳げないけど 楽しんでます
> 水 自然のもの 身近にあるものだと勝手に思うけど 言葉にならない恵みをくれてますよね

水って本当に怖いです。
最近のニュースでもあげられるけれど、楽しめる範囲で収まってほしいですね。
きえちんは平泳ぎができなくて、いつも「かえる」って言われていたけれど、
カエルっておよげるんだよねぇ…。
どんな泳ぎ方をしていたんだか…。

自然のものです。枯れても泣くし、多すぎても困る。
でも全部受け入れなければならない"自然"ですね。
コメントありがとうございました。
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