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BLの丘
木漏れ日 7
2013-08-10-Sat  CATEGORY: 木漏れ日
「じゃあ次食べよう」と何でもないことのように、白神はあんみつに手をつけようとした。
こちらはスプーンでひとすくいずつ食べるものだ。
デザートに気を取られるべきか、白神の発言を掘り下げて問うべきか…。
白神は添えつけのプラスチックスプーンを鳥海に渡してきた。
…まずは目の前の獲物だろう…。

本格抹茶クリームは大人の渋みを口腔内に撒き散らしてくれる。
「良かったね、これ、白玉、二個入っているよ」
それぞれ好きな具を交互に食べ続けた。
和菓子が年寄りの好きなものとは、一部の人の勝手な固定概念だろうと思わせる。
…美味しい。美味しいのだが…。
どこか夢中になって堪能できない心に引っかかるものが、美味しさを半減させてくれていた。

食べ終わって麦茶で喉を潤してから、別の本題に脳が動く。
「藤里~っ」
言いたいことは白神も分かっていて、『隠し事はしない』そのままに、心を開いてきた。
開き直った、という態度に近い。
「昨日、鳥海のお兄ちゃんに会っちゃった」
へへへ、とまたほんわかな笑みが向けられる。
「へへへ、じゃねーよっ。にぃに会ったってオレ聞いてないしっ?」
「だって昨日のことじゃん」
サラッと肯定してくれる。
一体何があったのだと更なる疑問が脳内にひしめいた。

鳥海との付き合いから、すでに八竜と白神は面識があった。
それはそれで別に怪しむこともない。
しかし、"特別"な雰囲気が漂うだけに突っ込みも入る。
「なんで?」
「えーとねぇ」
鳥海は黙って白神の言葉に耳を傾けることにした。

鳥海がいたからなのだろうが、白神は不動産屋を通さずに大家とも親しくなっていた。
エアコンの効きが悪いと、寝不足になりつつある昨今、大家の方に直接話をしに行ったら、そこに八竜が居あわせたのだという。
その場で「様子見てやるよ」と八竜が部屋まで来てくれたそうで。
大家も自分の財産だけに、確認の意味もあって足を踏み入れてきた。
修理自体はチョイチョイで終わったらしく、見学していた大家が、親切にも家にあった買い置きのエクレアを持ってきてくれたそうだ。
大家にしてみたら、突然の依頼に対する八竜への"駄賃"であって、白神に対しても不便をかけた詫びであった。
きっとその時、八竜は白神に食べることを優先させたのは容易く想像できる。
一服しながら白神の動きを追って、手が伸びていた光景は、鳥海でも日常だった。
家の中で、幾度となくそんな動きを積み重ねてきた。
一つのデザートを分ける時、八竜は決まって先に鳥海に食べるよう促したし、いつの間にか染み込んだ鳥海と白神の立ち位置が無の状態で八竜とも重ね合わさって受け入れたのだと判断できた。
エクレア一個で済ませようとしてしまうのは、地域の人間性なのだろうか…。
そして一緒に戻った大家の家で、猫じゃらし遊びにふけってしまったそうなのだが…。

「ここで"休憩"してたから。その時に八竜さん、一服したかったみたいだし。煙草の臭いって鳥海言うの、その時のでしょ」
そこで懐いて大家の家に一緒に戻る白神の行動もどうなのだろうか…と頭を抱えたくなる。
鳥海と同じ仕草を見せたことでより身近に感じたのだろう。
寝不足で身体がだるく、大学に行く気にはなれなかった…とは、絶対に単なる言い訳だ。

兄と同じ行動を取ったと言われても嬉しいことではなく、またそれとなく気を惹かれている白神を思っても複雑な気分に襲われる。
兄に信頼を置いてくれるのは正直嬉しいことだし、しかし、"特別"な目はどうしたらいいのだろう。
白神が『勘がいい』と褒めてくれたけれど、単に"兄絡み"だったからに他ならない。
同じ"匂い"を感じただけだ。
「で?えーと何?まさかにぃとの仲、取り持て、とか言うの?」
「うん♪」
…"うん♪♡(←マーク付いてる)"じゃねーだろ…と、思いっきり脱力した。
デザートに誘われたけど、下心はそっちだったのだ…。
大元を辿れば、鳥海と同じように気を許せる存在として位置づけられたに過ぎない。
昨日の今日で舞い上がっているのか、箍がはずれてしまえば、無邪気なものだ。
問題は八竜にその気があるかどうかなのだけれど…。

「『贅沢プリン』と『濃厚ガトーショコラ』」
「ご褒美の時に買ってあげる」
フフフとまた白神は微笑んだ。
デザートの一つや二つで請け負ってしまおうとする自分の根性もどんなものなのだろう…と過ったけれど、幸せそうな白神を見ると力が入らなくなってしまうのだから不思議だ。
同時に目を覚まさせてやりたい友情も湧く。
意地の悪い八竜になど、白神を委ねられるわけがない、というもの。
"憧れる"という意味では、先日出会った瀬見が何故か脳裏に浮かんだ。
もし同じように、八竜に瀬見との再会を希望したら、どんな態度に出られるのだろう。
眉間に皺を寄せられる姿しか思い浮かばない。

"大人"に憧れるのは、この年代の宿命なのだろうか。
なんとなく、やっぱり似ているのかな、と鳥海は白神と自分を重ねた。

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コメント

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可愛いっすね
コメントちー | URL | 2013-08-10-Sat 07:54 [編集]
まったく、この子達ったら可愛いわ。
二人で仲良く分けあって食べてさ、
コイバナまで・・・
乙女か!

にぃには、好きな人はいないのかな?
藤里くんと上手くいくと良いなあ。鳥海くん、美味しいデザート目指して頑張って~(笑)



久々双子ちゃんで妄想

『あーん』『あーん!』
『美味しいねっ!』『マジ、ウマッ』
『それ、少しちょうだい』『うん、この辺がウマイよ?』『『はあ、幸せ~』』


「ねえねえ、由良ぁ。あの子達可愛いよ」
「本当だ、兄弟かな?」
「あ、茶色い髪の子がお兄ちゃんじゃない?口を拭いてあげてるよ?」
「本当だ・・・って、ユーリもじゃん。ペロ」

下僕二人
「うちの双子みたいなのがまだいたとは」
「あの子達には保護者はいないのか!」

あの子達、ただの友達何ですよ。
お兄様方(笑)
(@´゚艸`)ウフウフ、可愛い♪
コメントけいったん | URL | 2013-08-10-Sat 10:24 [編集]
鳥海も藤里も 無邪気で可愛いよね~

年上の人に憧れて いつしか恋心に変わる…
そんな時も 私にあったわぁ~(..*) ポッポッ 。o ○

改めて 八竜に 藤里を紹介するのなら もう合コンしかないでしょ!
鳥海が アブレそうだって?
もちろん 瀬見も誘うから 大丈夫♪v(`ゝω・´)キャピィ☆
Re: 可愛いっすね
コメントたつみきえ | URL | 2013-08-10-Sat 10:38 [編集]
ちーさま こんにちは~。

> まったく、この子達ったら可愛いわ。
> 二人で仲良く分けあって食べてさ、
> コイバナまで・・・
> 乙女か!

乙女の領域です(笑)
自然とやっちゃっているところが可愛いですね。
自分たちは自分。他人は他人なのです。
人の目は気にしない我が道を行くおとめ(おとうと)です。

> にぃには、好きな人はいないのかな?
> 藤里くんと上手くいくと良いなあ。鳥海くん、美味しいデザート目指して頑張って~(笑)

にぃはどうなんでしょうね。
今のところ、こいつらの視点で進んでいるので、詳細はまだ出てきませんが。

双子妄想、ありがとうございます!!

> 「あの子達には保護者はいないのか!」

危険信号、いっぱい点滅してて、気になるのでしょうね。
保護者、そのうち登場させないと、大変なことになりそうです。
ついつい面倒をみてあげたくなる親心…。
(それは浮気とは言わないよね…)

由良「何見てるの?」
萩生「あ、いや、別に…」
由利「僕たちに良く似た人がいたんだよ」
雄和「…チューはしていなかったから"似てない"よ。(友達なんだって)」
由利「雄和さんも気付いたんだぁ」(ニコニコ)
由良「ユーリ、ここにいたよね?」(棘)
萩生「…(よそ見するな…。ユーリは気付かないけど由良は怖い…)」

こいつらが座っているお店は、かなり繁盛してくれることでしょうね。
目の保養だぁ。

コメントありがとうございました。
Re: (@´゚艸`)ウフウフ、可愛い♪
コメントたつみきえ | URL | 2013-08-10-Sat 10:45 [編集]
けいったんさま こんにちは~
ご一緒してました~。

> 鳥海も藤里も 無邪気で可愛いよね~
>
> 年上の人に憧れて いつしか恋心に変わる…
> そんな時も 私にあったわぁ~(..*) ポッポッ 。o ○

恋心に変わってもらわないと話が進みませんね。
まだ幼いこの子たちですけれど、少しずつ刺激が増えていくことでしょう。
年上の人…って憧れる時がありますよね。

> 改めて 八竜に 藤里を紹介するのなら もう合コンしかないでしょ!
> 鳥海が アブレそうだって?
> もちろん 瀬見も誘うから 大丈夫♪v(`ゝω・´)キャピィ☆

鳥海ってば、どんな手で藤里と八竜を近づけるのでしょうかね。
えぇ、もちろん、ただのキューピッド役だけでなく、自分の幸せも手に入れないとね。
あぶれた鳥海のさみしいところに、瀬見がすかさず潜り込むっ?! かもしれない(←)

コメントありがとうございました。
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