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BLの丘
木漏れ日 4
2013-08-08-Thu  CATEGORY: 木漏れ日
二話書けたから先出ししておきますね~。また今夜お会いしましょう。(こんな呑気なことをいっては、自ら首を絞めるんだろうけど)



コンビニに再訪したことは店員にも少々驚かれていた。
たぶん瀬見を連れていたからだったのだろうけど。
鳥海だけなら一日に何度も行くことがある店だ。
「何もいらないの?」
「鳥海くんの食べたいものを選びなよ」
鳥海がリクエストを聞いても瀬見は興味が無いようだった。
カゴの中に適当に放りこんでいるのを後ろから見学されているのはあまり気分が良くない。
こちらのほうが品定めされているようである。
「こっちとこっち、どっちがいい?」
「どちらでも」
確かに率先して買い物ができる状況でもないのは理解できるが、何か意見もほしいところだ。
思わず不貞腐れたように唇を尖らせてしまえばクスクスと笑みが降ってくる。
「そこ、怒るとこ?」
「別に怒ってなんか…っ」
「ほらほら機嫌治して。お菓子買ってあげるから」
「もう…っ!」
完全に遊ばれていた。
頭上をポンポンと宥められて、まだ笑い続ける瀬見を睨み上げるけれど、相手にされていない。
これのどこがおもしろいのかと余計に頬が膨らみ、瀬見はまたからかってくる。
八竜の友達と接触する時など大概こんな扱いにされてしまうのだが、自然と出てくる雰囲気がすんなりと馴染む。
つい先ほど知り合ったばかりで、まだ何も知らないことだらけなのに、違和感が一つもなかった。
こちらが腕を叩いてみても動じていないし、嫌がられてもいない。
瀬見にとっては友人の弟、というだけの存在なのだろうけれど。
それもなんだが悔しく感じられることだった。

レジでは先程の店員が不思議そうに、またあからさまに瀬見に視線を送るのが分かった。
経営者のおじちゃんやおばちゃんだったら、あれこれと聞かれるところだったのだろうから、アルバイトで良かったのかもしれない。
確実に帰宅は遅くなる。
鳥海が支払いをしている時に、瀬見は手を伸ばしてきて荷物を持ってくれた。
帰り道、歩き出してから瀬見が納得したように覗き込んできた。
「すっかり常連客なんだ。煙草、売ってくれるのもそれだからか」
「煙草?なんで?」
意味が分からないと車道側に立つ瀬見を見上げれば、フッと笑われた。
「身分証明書求められたことない?俺だったら一回確認するね」
それは遠回しにガキっぽいと言われているもので、こちらにもまた不機嫌さが表れてしまう。
悪いがそんな事態に出会ったことはない。世間一般の基準にあっているということだと思っている。
瀬見の視力がおかしいのではないかと含ませて声を荒げた。
「ないよっ。他のお店じゃ買ったこともないから知らないけど」
「へぇ。八竜もそこのところはわきまえているんだ」
妙に感心している態度に出られ、どうしてこの場で八竜の名前が出てくるのか話が見えない。
怒りも疑問に変わる。
「なんで、にぃ?」
「煙草の買い出しを頼まれる時は、この店に行く時だけだろ?」
「うん、そう。…う、ん…、そ、うかな…」
一度答えておきながら頭を巡らせて過去を振り返ると、確かに瀬見の言うとおり、他の店で購入したことが無い現実につきあたった。
煙草を吸わない鳥海が、八竜の要望がない限り手を出す品ではなく、他店での反応を『ないもの』と決めつけていただけだっだ。
年相応に見られるのだと自慢げに発言したのに、単に背景事情を承知しているからスルーされていただけと気付かされて、また唇が尖った。
「八竜だって鳥海くんが気分を害するようなことは避けていたわけだ」
成人しているのに年齢制限のあるものをすんなりと購入できない状況は確かにおもしろくない。
そんな体験をしなくて済むように回避されていた。
だけど素直に認めたくなんかない。
「そんなことないよ、ぜーったいっ」
「そう?"大人体験"させてくれた八竜の優しさだと思えばいいじゃない」
「お、おとな…って、オレ、じゅーぶん大人なのっ」
だいたい、優しさってなんだ?!腹の底で笑っているなら優しさとは言わないだろ???
真剣に反論する鳥海の声も、肩を震わせて笑う瀬見に「はいはい」と宥められて終わった。
確かに瀬見や八竜からみたら、まだ毛が生えた程度のヒヨコかもしれないけれどさっ。
「今の鳥海くんが可愛いって褒めたつもりなんだけど」
「それっ、褒め言葉じゃないからっ」
シレッと言われても素直に受け入れられるはずもなく、瀬見の腕を叩いたりボディブローを入れる真似をしているうちに、家に着いてしまった。
でも心底機嫌が悪くなったわけではなかったのだ。

瀬見は一時間ほど昔話や現状に花を咲かせてから帰っていった。
文房具メーカーに勤めるサラリーマンで、毎日商品と数字をにらめっこしているとか。
身近に働く人間が自営業である鳥海にとって、『会社』という組織はイマイチ、ピンとくるものではなかったが、自分の将来を考えても聞いておいて損はない話だと思えた。
どちらも邪魔にしなかったから鳥海はお菓子目当てにリビングに居座って二人の話に耳を傾けており、時々話題に誘われては邪険に扱われてむくれる。
ボロクソに言い放ってくれるのが八竜で、フォローを入れてくれる瀬見に感謝し、八竜を責めるとなんだか気分がよくなった。
普段滅多にこんなふうに隙をつくことなんてできなくて、それも鳥海の知らない八竜の一面を瀬見が知っていたからだろう。
瀬見が中立な立場にいたから、言い負かすことはできなかったが、一方的な攻撃を受けまくっていた過去とは違った。
そんな単純な理由で、鳥海の瀬見に対する評価は上位ランクになったのだ。
話の最中に追加で購入したデザートケーキまで平らげていたことを、「甘いもの好きなんだ」と笑われたのは恥ずかしかったけれど。

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コメント

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あまぁい
コメントちー | URL | 2013-08-08-Thu 19:44 [編集]
お、瀬見ちゃん。
良い男だねえ。

鳥海くんにも、兄ちゃん・・・
言わなきゃ、何とも思わなかったのに。
ちなみに、今のところ、私はにぃには興味ないです(笑)

瀬見ちゃんと鳥海くん。良いじゃん。
あ、髪の色は、大人っぽくするために染めたとかにしたら良いんじゃなかろうかと。
きえちんの事だから、上手くやるでしょう。

私の頭の中じゃ、マムちゃんにしたことも一連付けてしまいました。
さてさて、どうなりますか。
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