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BLの丘
珍客の土産 1
2013-07-15-Mon  CATEGORY: 珍客


青く広がる空も、度を越せば凶器だと、家庭裁判所を後にした譲原望(ゆずはら のぞむ)は、ほんの一瞬空を見上げた。
一つの件が片付いて、一仕事を終えた…と喜びたいところだが、一歩外に出ては、照りつける灼熱にうんざりとさせられる。
午後の一番暑いと言われる時間帯に外を歩いている人も少ないだろう。
すぐに停車していたタクシーに乗り込んで涼をとった。

本日は恋人の栗本佳史(くりもと よしふみ)が経営する医院は、午後が休診日となっている。
顧客に左右されることが多い望も、可能な限り仕事の予定を入れてはいなかった。
それぞれの生活スタイルを大事にし、お互い、束縛しあうようなことはない。
ドタキャンになったとしても、責めるのではなく、送りだせるゆとりがあった。
もしかしたら、取り繕ったものでしかないのかもしれないけれど、どこからともなく湧いてくる『確信』が自信に変わる。
だから望が日によって仕事量を操っているのも、望自身がやりたいからそうしているだけであって、佳史の意見など一度だって聞いたことがなかった。
何も言わなくても、こういった日は望が佳史の家に行くことを予想しているだろうし、いつものように望を待っているのだろう。
佳史が家から離れたがらないのは、職業のせいもある。
家の敷地内にある病院のため、時間外でも頼られることが多く、彼の性格なのだろうが、来院されたら受診を断ることはない。
命の重さを深く知る人だった。
学生時代からの長年の付き合いがあり、親しんだ仲は空気のような存在で、美点も欠点も知りすぎるくらい知っている。
望だけがわざわざ出向く…といった考えも、望の中には存在していなかった。

そんな環境の中、勤務先のビル内にある個人事務所に入った途端に鳴った電話には驚かされた。相手が佳史となれば尚更だ。
その内容にもまた声を失う。
『今日はホテルにいるから』
家を離れる、ということが、何よりの驚きだった。
自分の行動を伝えるだけの簡潔なものには、『来い』という命令は含まれない。
望の予定も聞こうとはしない。
どうしたのかと尋ねれば隠すことなく経緯を教えてくれるし、望が「分かった」と返事をすれば、望の行動も伝わっている。
何故突然佳史が家をあけてもいいと思ったのか…。
声にはしないが、働き詰める佳史の体を影ながら心配しているのを悟られているのだろう。
たまには『良い機会だ』とでも思ってくれたのなら、望にとっても嬉しいものだった。

滅多にない出来事は望の心も弾ませていた。
ただでさえ早く帰る算段がされていた仕事は順調を通り越して快速で処理が済まされていく。
間もなく30代も終わるというのに、年甲斐もなくはしゃぐ心が止められないなんて…と一人苦笑していた。

ビル群の中でも多くの緑に囲まれた老舗ホテルは、普段耳にしている喧騒からも外れた。
家からさほど離れているわけでもなく、普段であればわざわざ宿泊しに来る場所でもないだろう。
望が到着したのは帰宅ラッシュになる前の時間帯で、道路の混雑に巻き込まれもしなかった。
先にチェックインした佳史からルームナンバーも聞いていたから、望はフロントを通らずにエレベーター乗り場まで足を進めた。
まだ望が着かない束の間でも、一人でゆったりとした時間を過ごしてくれていたらいいと思う。
この話がなければ、きっと今頃、佳史は望を出迎える準備を整えていたはずだ。
ロビー階にあるコーヒーラウンジは、望も仕事の関係でたまに訪れたことがあった。
観葉植物が程良い間隔で配置され、テーブルが近づいていない分、人目をさほど気にしなくて済むので、顧客と会うには便利だったからだ。
ふと視線を走らせたが、普段よりも混雑している雰囲気がある。
賑わっていておかしいことはないのだが、どこか騒がしく感じてしまう。
これからの自分たちの時間のために、静かに過ごしてほしいと願うのは、また間違った考えなのだろうが、少し残念な気がしてしまったのも確かだ。
ルームナンバーを聞いては、そこがグレードの高い部屋だと判断もついている。
過度な心配は不要だと分かっていても、気になってしまうのは珍しい出来事に対しての期待が大きいせいだろうか…。

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まだ続くの~??? といった感じですm(__)m
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コメント

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[柱]*´・ω・)*´・ω・)*´・ω・)*´・ω・)ゞ<<<まだかな、まだかな?
コメントけいったん | URL | 2013-07-15-Mon 20:16 [編集]
「「「「ア~で コ~で ペチャクチャ♪ それでね ペチャクチャ♪」」」」

「来た~!来たわよ~~!」byちー
「シィー、ちーさん 興奮し過ぎだってば!」byけいったん
「そうよ、気付かれちゃうわよ。」byさえ
「あっ こっち見た!!」by niったん
「全員、頭 低くして!」byけ
「「「「…、…」」」」
「もう 行ったみたいよ」byさ
「ちっ、写真を撮るひま無かったよ!」byち
「あれは 無理ですよ~」by ni
「こうなったら 是が非でも 撮るざおぉ~~!」byち
「えっ どうやって?」byさ
「もしかしての もしかして ですか?」by ni
「ふふふふ、そうよ、お察しの通り♪ 皆で 変身だぁーー♪」byけ
「「「「Σ(;。`゜ω゜。)。`゜ω゜。)。`゜ω゜。)。`゜ω゜。)ノお゙----ッお゙----ッお゙----ッお゙----ッ」」」」
皆様 こんばんは~♪
コメントたつみきえ | URL | 2013-07-15-Mon 22:21 [編集]
なかなかレスできずにすみません。
パソコン前の滞在時間が非常に短くて…。
でも全部読んでいますので、安心して(?)書きこんでくださいね。

拍手コメk様

> 早速利用したわけですね。素敵なホテルでどんなふうに二人過ごすのか楽しみです。ウフ。

早速来た…というか、お忘れの方もいるかもしれませんが、全部一日の出来事です。
ようやく時間が進んで、昼から夕方になった…ってところでしょうか(^^;ゞ
さぁこちらはどれくらいの長さで進むのでしょうね。

ちーさま
快適に過ごせるように備品、色々揃えてくださいね。
筋肉の塊みたいな久志の写真はどれほどの価格で売れるものなんでしょうね。
物好きが買っていったのかしら。

過去作品、あっちこっち飛びまくって書いた時があったので、読み残しがあったかもしれませんね。
大した話ではないと思うので別に放っておいてくれてもいいのですが。
あとは宝探し感覚で…(笑)

けいったん様
周防に少しでも近づけたようで良かったです~。
そしてサービスもたくさん。きっと大喜びでチップもはずんでくれたことでしょう。

みんなで変身(爆)
今度はホテルに潜り込んだのですか。
もうお日様に当たらなくていい涼しい場所に移動できました。
今度はどんな写真を撮影するのでしょうか。
また上納金が。ニコニコ(o´艸`o)

皆様コメントありがとうございました。
うー
コメントちー | URL | 2013-07-16-Tue 05:38 [編集]
久しぶりに消しちゃったよ、コメント(泣)

とにかくー、佳史さんと望さんにもイチャイチャする時間が必要よね?
うんうん。佳史さん、ヒサに時間を取られたし。
(ひなちゃんは良いのだ!)

しかし、望さん。私達に気が付いたのかしら?
いや、師匠のコメントにそうだったんだぁと(笑)
でもね?変装は師匠だけじゃないの?
私達もやるのー?
じゃ、私、翌日のベッドメイキングします。

師匠「わかった?じゃ、みんな持ち場に行ってね」
三人「「「・・・」」」
師匠「返事は?」
三人「「「はいはい」」」
ちー「ところで、師匠?衣装はどこから来るンすか?」
さえ「そうそう、いつも本物みたいなのよね」
ni 「いや、本物じゃないですか、これー」
師匠「ふふっ」

師匠・・・本気すぎですから。
Re: うー
コメントたつみきえ | URL | 2013-07-16-Tue 07:03 [編集]
ちー様 おはようございます。

> とにかくー、佳史さんと望さんにもイチャイチャする時間が必要よね?
> うんうん。佳史さん、ヒサに時間を取られたし。
> (ひなちゃんは良いのだ!)

いいのか(爆)
…いや、このふたり、書いておかないと爆弾でも飛んできそうな気がしたので…(←単に新しい話が思いつかないだけ…)
影の功労者様が如何様に過ごしたか、知りたい方いるかしらね~、いなくても書くわ といった感じでおります。

今頃になって、書いた私が気付いたこと。
もしかして、コーヒーラウンジが賑やかなのは 腐部隊が騒がしかったから?!
…意味が通じていなかった…(けいったんさま ごめんなさい。ここで謝っておく…)

ちーさま そのシーツまでまさか売りに出す気じゃ…(・・;)
(すでに防犯カメラが盗撮カメラに取り換えられていたりして…)

コメントありがとうございました。
拍手コメ 通りすがりさま
コメントたつみきえ | URL | 2013-07-16-Tue 10:20 [編集]
こんにちは~。

> まだまだ続けぇーーーーっ。佳史さん、好きです。

応援のお言葉、すごく嬉しいです。
ダラダラ続いている感じがありますが、お楽しみいただければと思いますので。
佳史って意外と人気者なの???
コメントありがとうございました。
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